男女共同参画会議(第32回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:平成21年11月26日(木)17:40~18:25
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
 
鳩山 由紀夫 内閣総理大臣
議長
平野 博文 内閣官房長官
議員
福島 みずほ 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
原口 一博 総務大臣
千葉 景子 法務大臣
藤井 裕久 財務大臣(代理 野田 佳彦  財務副大臣)
川端 達夫 文部科学大臣(代理 鈴木 寛  文部科学副大臣)
長妻 昭 厚生労働大臣(代理 細川 律夫 厚生労働副大臣)
赤松 広隆 農林水産大臣
前原 誠司 国土交通大臣(代理 馬淵 澄夫  国土交通副大臣)
小沢 鋭仁 環境大臣(代理 田島 一成  環境副大臣)
中井 洽 国家公安委員会委員長
家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂代表取締役執行役員副社長
岡本 直美 日本労働組合総連合会副会長
帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
鹿嶋 敬 実践女子大学教授
勝間 和代 経済評論家・公認会計士
勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役会長
加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
佐藤 博樹 東京大学教授
山田 昌弘 中央大学教授
出席者
楠田 大蔵 防衛大臣政務官
出席者
西村 智奈美 外務大臣政務官

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)女子差別撤廃委員会最終見解への対応について
    • (2)第3次男女共同参画基本計画の策定について
    • (3)「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」最終報告及び意見について
  3. 閉会

(要旨)

○ 鳩山内閣総理大臣よりあいさつがあり、「男女共同参画社会は友愛社会の実現の当然の前提であるが、まだまだ道は遠い。若い世代の意識は変わりつつあるが、世界の平均からは後れている。女性の国会議員もまだまだ少なく、男性中心の目で政治を作っているが、これからは、医療、介護、福祉、教育、環境といった女性の視点こそが重要な分野が、大きなネック。男女共同参画を進めていくためにも政治が頑張らなければならず、男女共同参画会議議員には、政治への後押しをお願いしたい。」旨が述べられた。

(1)女子差別撤廃委員会最終見解への対応について

○ 福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から、資料1-1に基づき、本年8月に国連女子差別撤廃委員会から出された、日本の第6回報告に対する最終見解について、説明があった。

○ 岡本議員から、資料1-2に基づき、女子差別撤廃委員会最終見解への対応について、以下のような意見が述べられた。

  • 最終見解への今後の対応としては、(1)民法改正、(2)女子差別撤廃条約選択議定書の批准、(3)女性の参画拡大のための暫定的特別措置、(4)女性に対する暴力の根絶・被害者支援の4項目を重要課題として取り組むべき。

○ 意見交換が行われ、各議員等から以下のような発言があった。

(赤松農林水産大臣)

  • 民法改正については、民主党の政策INDEXにも明記されており、男女共同参画担当大臣、法務大臣を中心に、是非、内閣として早期の取組を行なうべき。
  • 女性の参画拡大について、農村や漁村でも、地域活性化のための女性による起業などは多いが、農業委員や農協の役員などには、まだまだ女性が少ない。そういった組織・団体への働きかけについては、しっかりやっていきたい。各省庁とも協力をお願いする。

(千葉法務大臣)

  • 民法改正については、平成8年の答申を実らせることができておらず、残念。大変厳しい反対の意見もあるが、早期に法改正が実現できるよう、微力を尽くしていきたい。

(西村外務大臣政務官)

  • 女子差別撤廃条約選択議定書に定められた個人通報制度については、条約の効果的な担保を図るという趣旨から非常に注目すべき制度。一方で、制度の受入れに当たっては、検討すべき事項が多く、外務省では、関係省庁の協力を得て、研究会の開催を重ねてきたところ。今後も、早期批准について、関係省庁とともに真剣に検討を進めてまいりたい。

(原口総務大臣)

  • 公的分野における女性の参画促進については、「2020年までに、指導的地位に占める女性の割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」との目標を踏まえ、引き続き、女性国家公務員の採用、計画的育成、職域の拡大、働きやすい環境整備等を、政府全体として進めていく必要がある。
  • 能力・実績に基づく人事管理の徹底により、意欲と能力ある女性の登用拡大を図る必要がある。各府省においても、積極的な取組をお願いしたい。

○ 意見交換の後、福島大臣から、以下のとおり発言があった。

  • 女子差別撤廃委員会からの指摘事項については、しっかり検討し、第3次男女共同参画基本計画に反映させていきたい。特に、会議で取り上げた4つの重要課題については、今後、関係閣僚間で検討を深め、適宜、男女共同参画会議にご報告いただくこととしたい。
  • 閣僚の皆様には、まさに政治主導で、積極的に取り組んでいただきたい。

(2)第3次男女共同参画基本計画の策定について

○ 佐藤議員から、資料2-1に基づき、第3次男女共同参画基本計画の策定に向けた今後の進め方等について、説明があった。

○ 勝間議員から、資料2-2に基づき、10月2日に開催された、有識者議員と内閣府の男女共同参画担当の政務3役(福島大臣、大島副大臣、泉大臣政務官)との懇談会で出た有識者議員からの意見の主なものについて、紹介が行われた。

  • GEM(ジェンダーエンパワーメント指数)が、全世界や先進国の中で非常に低く、ぜひ上昇に向けた取組をお願いしたい。
  • 出産・妊娠で7割の女性が辞めるため、女性の労働力率がM型カーブとなり、男女の賃金格差も大きい。
  • 女性の参画拡大について、国や地方公共団体の入札等で男女共同参画を推進する企業に対する優先配分や、委員会などへの女性の割り当てなど、さまざまな分野で進めていただきたい。
  • 女性が就業継続できるよう、子育て支援の充実をお願いしたい。待機児童は、100万人くらいいるという前提のもとに、保育園の計画について見直しをお願いしたい。
  • 女性の社会進出の問題については、都会の女性のみではなく、第1次産業従事者、地域の女性も含めた全体を視野に入れて、議論を行なっていただきたい。
  • 民法改正、特に、選択的夫婦別姓については、選択肢が広がり、男性、女性が結婚しやすくなることにつながるものであり、少子高齢化対策、男女共同参画の観点から、役に立つ。
  • 女性に対する暴力については、テレビやゲームで氾濫しており、日本の取組は諸外国に比べて取組が甘く、非常に問題がある。暴力の被害者もなかなか保護されない。具体的な対策を立てていただきたい。

○ 福島大臣から、以下のとおり発言があった。

  • 第3次男女共同参画基本計画については、来年中に策定すべく、閣僚や有識者議員からの意見を踏まえつつ、国民にとって身近な、新たな時代にふさわしいものになるよう、検討を進めてまいりたい。

(3)「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」最終報告及び意見について

○ 鹿嶋議員から、資料3-1に基づき、最終報告の内容について説明があった。

○ 意見交換が行われ、各議員から以下のような発言があった。

(岩田議員)

  • 生活困難者が抱える問題は、重層的かつ複合的であり、一人ひとりが抱える困難の状況に合った、オーダーメイドの対策が必要。
  • 現在の対策は、サービスの提供側の都合で組み立てられているが、これを、サービスを受ける側の視点に立って、最適なサービスを組み合わせて、効率よく提供できるようにする必要がある。

(原口総務大臣)

  • 岩田議員の意見を支持する。今、生きづらさ、働きづらさを感じている、特に女性に、さりげなく寄り添う仕組みづくりが求められているが、行政はこういったことが苦手。NPO等、身近で問題意識をもった人たちが、一緒に解決方法を考えていくことが必要。
  • 中央に集めたお金を配るのではなく、直接NPO等に回すことができる「市民公益税制」という仕組みについても考えていきたい。

○ 福島大臣から、以下のとおり発言があった。

  • 女性の貧困の問題は深刻であり、男性でも生活上の困難を抱えている人は多く、早急な対応が必要。困難な状況の次世代への連鎖を断ち切るということをやっていきたい。

○ 最終報告を踏まえ、資料3-2について、会議から内閣総理大臣及び関係各大臣に意見を述べることについて、男女共同参画会議として、決定が行なわれた。

○ 最後に、官房長官から、以下のとおり発言があった。

  • 男女共同参画は、国民生活に関わる非常に重要な視点。鳩山内閣の「コンクリートから人へ」と方向に沿って男女共同参画を進めていく、という考え方のもと、大胆な取組をして参りたい。
  • 今後も、本会議を適時開催して各議員の意見を拝聴し、それを踏まえて、内閣として実行していきたい。

(以上)