男女共同参画会議(第25回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:平成19年2月14日(水)17:30~18:30
  2. 場所:総理大臣官邸3階南会議室
  3. 出席議員:
 
安倍 晋三 内閣総理大臣
議長
塩崎 恭久 内閣官房長官
議員
高市 早苗 少子化・男女共同参画担当大臣
長勢 甚遠 法務大臣(代理:水野賢一法務副大臣)
麻生 太郎 外務大臣(代理:岩屋毅外務副大臣)
尾身 幸次 財務大臣
伊吹 文明 文部科学大臣(代理:池坊保子文部科学副大臣)
柳澤 伯夫 厚生労働大臣
松岡 利勝 農林水産大臣(代理:国井正幸農林水産副大臣)
甘利  明 経済産業大臣(代理:渡辺道博経済産業副大臣)
冬柴 鐵三 国土交通大臣
若林 正俊 環境大臣(代理:土屋品子環境副大臣)
溝手 顕正 国家公安委員会委員長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員
植本 眞砂子 日本労働組合総連合会副会長
帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
鹿島 敬 実践女子大学教授
勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役社長
加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
神津 カンナ 作家
佐藤 博樹 東京大学教授
袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
橘木 俊詔 京都大学教授
谷本 正憲 石川県知事
出席者
久間 章生 防衛大臣(代理:木村隆秀防衛副大臣)
 
岩井 宣子 女性に対する暴力に関する専門調査会会長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)仕事と生活の調和の推進に関する調査審議について
    • (2)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る数値目標(「2020年30%」の目標)のフォローアップについて
    • (3)配偶者暴力防止法の施行状況について
    • (4)男女共同参画社会の形成の促進のための取組等について
  3. 閉会

    ○ 安倍内閣総理大臣より挨拶があり、女性の活躍は国の新たな活力の源であり、女性が活躍できる基盤づくりを積極的に進めるとの考えが示された。また、男女共同参画会議においては、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関して本格的な調査審議を進めるなど、男女共同参画社会の実現に向け、その機能を十分に発揮させたい旨が述べられた。
    (総理挨拶全文)

    ○ 柳澤厚生労働大臣より、1月27日の講演における人口推計の説明のなかで不適切な発言をしたことについて、深くお詫びするとともに、今後は深い反省の上に立って、安倍内閣の下で職務に全力を挙げて取り組む所存である旨の発言があった。

    ○ 高市男女共同参画担当大臣より、1月6日付で任命された新任議員の紹介があった。

    (1)仕事と生活の調和の推進に関する調査審議について

    佐藤議員より、少子化と男女共同参画に関する専門調査会が平成18年12月に取りまとめた「両立支援・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進が企業等に与える影響に関する報告書」について説明があった。これを受け、資料3-1のとおり、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」を設置し、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進に係る調査検討を行うことが決定された。 続いて、高市男女共同参画担当大臣より、資料3-1(参考1)に基づき、仕事と生活の調和に関する考え方や、調査審議の在り方について説明があり、その後、議員間の意見交換が行われた。

    (谷本議員)

    どのようにして、企業の方々にワーク・ライフ・バランスについて理解していただくかが一番のポイント。積極的に取り組む企業が、社会的にも、市場からも高い評価を受けられる環境づくりを進める必要がある。石川県では、県のホームページへの掲載、知事による顕彰、入札での優遇措置などに取り組んでいる。専門調査会では具体的な施策につながる提案をしていただきたい。

    (岩田議員)

    企業の取り組むべきこととしては、長時間労働の是正と多様な働き方のメニューの準備があるが、難しいのは前者。競争力を落とすことなく長時間労働を是正するためには、労働生産性向上のための業務改革が必要であるが、具体的に何をしたらよいのかという点が難しい。専門調査会では、そのような課題をどうのように乗り越えたらよいか、ガイドラインなどを出していけば、企業はその課題に躊躇することなく向き合えるのではないか。

    (鹿嶋議員)

    社会全体で、ワーク・ライフ・バランス企業を育てていくことが必要。ファミリーフレンドリー企業を集めたファンドや、CSR調達、公契約での配慮などの例がある。ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の商品であれば、多少高くても買ってあげようといったムードが作りを進める必要がある。民間の運動である「ワーク・ライフ・バランス推進会議」でも、そのような取組を進めるよう私は提言しているが、専門調査会でも、それらの趣旨を踏まえて議論していただきたい。

    (植本議員)

    「働き方の二極化」の解消、男女双方の「仕事と生活の調和」の実現が重要。長時間労働か不安定な非正規雇用かという二者択一の状況になっている。2004年までの10年間で、労働時間が週35時間未満の人が308万人増えたが多くは女性。一方、週60時間以上の人が90万人増えたが多くは男性。また、年次有給休暇の取得も十分ではない。連合の調査では、80時間以上の時間外労働を行う人の5人に1人が年次有給休暇取得ゼロ。「企業中心の働き方」と、それと裏腹にある「家族依存の家事・育児」という戦後システムからの脱却が必要。税・社会保障制度、働き方の基準を抜本的に見直すことが求められている。これまで数多く打ち出された施策や提言の実効性の分析が重要。また、企業を育てる手段としての公契約の問題は重要であり、自治体のモデルを増やしていくことが原動力になる。

    (勝俣議員)

    ワーク・ライフ・バランスという言葉をそのまま理解できる方は非常に少ない。仕事が決まっている日に、ワーク・ライフ・バランスを理由に突然休むといった問題が現実にあり、まずは、管理職を含めて研修などによる理解活動に取り組むことが必要。また、産休制度など、ハード的な制度だけ整えるのではなく、毎月、何らかの情報をパソコンで送るなど、長期間休む人が不安を持たないようなソフト面の取組を重ねていく必要がある。

    以上の意見交換を受け、塩崎官房長官より、政府部内では、少子化対策や労働市場改革の観点からも関連する検討を進めているが、相互に連携を図り検討内容を活かし合っていくことにより、政府全体として大きな成果が得られるよう努力したい旨の発言があった。

    (2)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る数値目標(「2020年30%」の目標)のフォローアップについて

    基本問題専門調査会の報告について、資料4-1に基づき、鹿嶋議員より説明があり、以下の意見陳述があった。

    (加藤議員)

    すべての人が、その人らしさを活かして生き生きと暮らしていけるようにするには、男女共同参画を身近な地域レベルから進める必要がある。数値目標のフォローアップにも地域レベルの数値を含めるべき。具体的には、今後、自治会長等について、データがある県からでもよいので、指標に加えてほしい。例えば、鳥取県や東京地婦連においては、自治会長等の女性比率を調査・公表しており、こうした動きを全国に広げていくことが重要。また、地域社会のリーダーの女性比率が低い理由を調査し、施策として活かすことが必要。

    (帯野議員)

    地域レベルで指導的な女性を増やすことが重要であると思っている。世の中を変えるのはマスコミと政治と言われるが、政治、特に身近な地方政治に女性議員の数を増えることが必要ではないか。地方議員も関心が低いわけではなく、女性の登用促進等の意見は議会でもよく出ているが、議員団に女性がいなければ説得力に欠ける。どうすれば指導的地位の女性が増えるか、女性も政治の中に入って一緒に考えていく必要がある。

    意見交換の後、男女共同参画会議として、資料4-2のとおり、内閣総理大臣及び関係各大臣に意見を述べることを決定した。  この決定を受け、高市男女共同参画担当大臣から、内閣府において、年1回、フォローアップを行うこととする考えが示され、また、各府省においても「2020年、30%」の目標達成に向け協力していただきたい旨の発言があった。

    (3)配偶者暴力防止法の施行状況について

    女性に対する暴力に関する専門調査会の岩井会長より、資料5-1及び5-2に基づき、同専門調査会の現在の審議の状況について報告があり、その後、以下の意見陳述があった。

    (神津議員)

    家庭のなかの暴力に関連するものとしては、配偶者暴力防止法だけではなく、児童虐待防止法、高齢者虐待防止法がある。窓口も婦人相談所、児童相談所、福祉事務所などさまざまであり、どこかが俯瞰的に全体を把握し、横断的に判断を下すことができるようにすることが必要。また、暴力、虐待、いじめの内容も多様になっている。例えば、いじめでは、メールでの攻撃やネット上の書き込みなどがある。今までの感覚だけでは把握できないものもあるので、柔軟な姿勢を持って対処していくことが必要。

    (袖井議員)

    台湾では、配偶者間の暴力を含めた家庭内の暴力について、「家庭暴力防止センター」が窓口となり、そこで振り分ける形をとっている。例えば、高齢者夫婦間の虐待の場合、配偶者間暴力なのか、高齢者虐待なのか、区別がつかないので、そういったものをトータルに扱っていただきたい。また、現在の取組は対処療法となっているが、予防についても考えていく必要がある。台湾では結婚準備教育を行っており、そのなかに配偶者暴力の予防も含まれている。また、無料の短縮ダイヤルもある。日本でも、そういった取組が必要ではないか。

    (4)男女共同参画社会の形成の促進のための取組等について

    最後に、高市男女共同参画担当大臣より、資料6-1に基づき、平成19年度男女共同参画推進関係予算案について、また、資料7-1に基づき、女性の再チャレンジ支援プランの改定について報告があった。

    (以上)