男女共同参画会議(第20回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:平成17年10月24日(月)17:15~18:00
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
    議長
    細田 博之 内閣官房長官 (男女共同参画担当大臣)
    議員
    麻生 太郎 総務大臣(代理 今井 宏 総務副大臣)
    南野 知惠子 法務大臣 青少年育成及び少子化対策担当大臣)
    谷垣 禎一 財務大臣 (代理 上田 勇 財務副大臣)
    尾辻 秀久 厚生労働大臣
    岩永 峯一 農林水産大臣 (代理 常田 享詳 農林水産副大臣)
    大野 功統 防衛庁長官 (代理 今津 寛 防衛庁副長官)
    村田 吉隆 国家公安委員会委員長
    内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員
    大橋 光博 西京銀行頭取
    鹿島 敬 実践女子大学教授
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    林  誠子 日本労働組合総連合会参与
    原  ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
    古川 貞ニ郎 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会理事長
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
    (説明者)
    岩男 壽美子 男女共同参画基本計画に関する専門調査会会長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較について
    • (2)基本問題専門調査会の今後の調査予定について
    • (3)女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果
    • (4)女子差別撤廃委員会からの勧告を含む最終コメントを踏まえた対応について
    • (5)平成18年度男女共同参画推進関係予算(概算要求)について
  3. 閉会
資料1-1
「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」報告書概要 [PDF形式:33KB]別ウインドウで開きます
資料1-2
少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較
資料1-3
「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」報告書について(有識者議員提出資料)[PDF形式:35KB]別ウインドウで開きます
資料2
「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」の概要(抄)(青少年育成及び少子化対策担当大臣提出資料) [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
資料3
基本問題専門調査会の今後の調査予定について [PDF形式:64KB]別ウインドウで開きます
資料4
女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果(総務大臣提出資料) [PDF形式:1,299KB] 別ウインドウで開きます
資料5-1
女子差別撤廃委員会からの勧告を含む最終コメントを踏まえた対応について [PDF形式:13KB]別ウインドウで開きます
資料5-2
女子差別撤廃委員会からの最終コメント指摘事項に対する取組の状況について [PDF形式:177KB]別ウインドウで開きます
資料5-3
女子差別撤廃委員会からの「最終コメント」(仮訳)[PDF形式:53KB]別ウインドウで開きます
資料6-1
平成18年度男女共同参画推進関係概算要求額(総括表)[PDF形式:68KB]別ウインドウで開きます
資料6-2
平成18年度男女共同参画推進関係概算要求額(分野別内訳表)[PDF形式:68KB]別ウインドウで開きます
資料7
男女共同参画基本計画改訂に関する意見(全国知事会男女共同参画特別委員会)[PDF形式:197KB]別ウインドウで開きます
資料8
第19回男女共同参画会議議事録(案)[PDF形式:79KB]別ウインドウで開きます

(概要)

○ 少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較について
岩男壽美子「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」会長代理から資料1-1に基づき、報告が行われた。

以下、資料1-1に基づき、自由討論が行われた。

(鹿嶋議員)

1970年のデータでみると、日本の女性の労働力率は意外に高い。ところが、1980年、2000年と時を経るにつれ、アメリカ、ノルウェー、オランダでは、女性の労働力率を大きく伸ばしながら、出生率も回復した一方で、日本は出生率が低迷している。働く女性が増えれば、出生率が下がるというのは正しい指摘ではない。厚生労働省始め関係各省には、仕事と家庭の両立支援策に徹底して取り組んでいただきたい。

(袖井議員)

日本では女性の労働力率も伸びず、出生率が低下していくという悪い循環に入っている。欧米諸国では、女性に働きやすい条件をつくることで女性の社会参加を進めたが、日本では男性の労働時間を長くして、女性は家を守るという性別分業の家族が増えた。グラフからは、日本、韓国、イタリアのように、伝統的な家父長制家族で、性別分業的な家族観の強い国々で出生率が上がっていない。日本では、専業主婦の出生率も低下している。母親一人に育児負担がかかっていることによる。男性の家庭参加を進めなければ、出生率は上がらないのではないか。

(南野議員)

今月4日、内閣府に少子化対策推進室を設置した。少子化の流れを止めるには、男性を含めた働き方の見直しや、育児休業の取得促進、保育所の整備などを推進していくことが必要。また、資料2の内閣府によるアンケート調査によると、経済的支援措置を望む人が多いが、仕事と育児の両立支援策の要望も高い。関係閣僚と有識者で構成する委員会を今月中にも立ち上げ、少子化対策のあり方について幅広く検討を進めるとともに、地域、企業における子育て支援を推進し、仕事と家庭の両立を進めるための国民的な運動に取り組んでいきたい。

(大橋議員)

日本は、特に「働き方の柔軟性」が欠けている。例えば、銀行業界では、女性は行内で結婚するとほとんど辞めてしまう。メガバンクでも女性の支店長が一人いればよい方である。伝統的な業界ほど、そのような傾向が見られる。公務員の短時間勤務制度について、国が率先して導入することで民間を引っ張っていくことにもなるので、是非検討をお願いしたい。また、ワークライフバランスの推進にも国の支援をお願いしたい。

(林議員)

柔軟な働き方ができるようにするために、男性でも女性でも短時間勤務が選択できることが重要。日本では、労働時間の長短が大きな処遇格差のある雇用形態の差につながることが問題である。今のようなパート・アルバイトの待遇・雇用条件のまま非正規化が進めば、若い人が経済的理由で、結婚や子育てが困難になる。パートタイム労働者の処遇の改善及び年金適用を早急に進めていただきたい。オランダなどでは、パート労働条約に基づき、均等待遇が確保されている。

(内永議員)

性別にかかわらず、誰もがそれぞれのライフスタイルに合わせて柔軟に働き方を選択できることが大事。ビジネスの変化が非常に激しい中で、出産や子育てにより、スキルや経験が追いつかないということがある。常にスキルアップするための機会を提供していく必要がある。個人や企業の努力以外にも、国、自治体や大学などが主体となり、利用しやすい形で研修やeラーニング等の学習機会を提供できれば、社会全体も活性化する。特に厚生労働省や文部科学省には、継続学習支援に関する施策等に力を入れていただきたい。

(今井議員代理)

公務員の仕事と家庭の両立については、公務員生活の一時期、育児・介護など一定の事由がある場合に、職員がキャリアを中断することなく能力を発揮できるようにするなど、両立を支援していくことが大切と認識。総務省としても、これまで両立支援に資する取組を進めてきたところであり、現行制度の積極的な利用促進が有効と考えている。さらに、育児・介護に充てる時間を拡充する方向での制度的な検討について努力したい。

(住田議員)

平成17年4月時点で約2万3千人の待機児童がおり、都市部を中心に、なかなか減らない状況。今後とも、厚生労働省には、保育サービスの充実をお願いしたい。出生率の高い北欧諸国やオランダでは、「家族による支援」は少ない。日本では、三世代同居で祖父母の支援が得られる人でないと両立が難しい。三世代同居に頼ることができない人でも両立が可能となるよう、支援策をますます充実させていただきたい。「子育て費用の軽減」については、直接的に子育てにかかる費用だけではなく、出産・子育てにより、本来得られるべき収入が得られなくなることによる機会費用にも十分配慮していただきたい。

(原議員)

日本が特に遅れているのは、「ライフスタイル選択の多様性」という分野。一方、アメリカと北欧は、ともに多様なライフスタイル選択が可能な社会になっている。社会保障・人口問題研究所の調査では、日本の女性が結婚相手を決める条件として、妻の仕事に対する理解と協力や夫の家事・育児に対する能力や姿勢を重視する度合いが高まっている。働き方や結婚・子育てについて、女性役割や男性役割を決めつけず、色々な選択ができるような状況をつくっていただきたい。

(内永議員)

仕事と子育ての両立支援には、保育所の整備など制度面の改革が必要なのと同時に、意識面の課題がある。「男は仕事、女は家庭」といった役割分担意識は、生物学的な性差に基づくものではなく、過去の社会的・文化的背景から生まれた一つの考え方。欧米先進諸国と比べて、日本は男女の役割分担意識が強い。このような意識の問題に気づくということが「ジェンダーの視点」であり、男性も女性も協力して仕事と生活を両立するのが当然という意識になってほしいし、そのようなことができる制度面の整備も行ってほしい。

(山口議員)

日本の雇用機会均等度は、OECD24か国中最下位。女性の管理職割合や男女の賃金格差といった雇用機会均等度のデータは、GEMでも使われているが、日本はこのGEMの順位もかなり低く、昨年の38位から、今年はさらに43位と順位を下げた。日本では、家事・育児・介護の責任が女性に偏っているために、女性は補助的な仕事に就かざるを得ないのが実情で、やる気と能力発揮の機会を失っている。両立可能な環境が整ってこそ、男女が共に働きながら安心して子どもを生み育てることが可能になる。男女雇用機会均等法の改正はどのように取り組まれているか。厚生労働省には、審議会の答申を踏まえて、しっかり取り組んでいただきたい。

○基本問題専門調査会の今後の調査予定について
国の審議会等の女性委員の割合について、住田議員から30%という現行の目標は中間地点であり、新たな目標をどうするかということを検討することとなっているが、基本問題専門調査会委員として努力したい旨の意見が述べられた。

○ 女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果
今井議員代理から、資料4に基づき、フォローアップの結果について報告が行われた。

○ 女子差別撤廃委員会からの勧告を含む最終コメントを踏まえた対応について
鹿嶋議員から、資料5-1、5-2、5-3に基づき、監視・影響調査専門調査会で各府省の取組状況について審議し、また、提言をとりまとめた旨報告があった。

○ 平成18年度男女共同参画推進関係予算(概算要求)について
事務局から、資料6-1、6-2に基づき、平成18年度男女共同参画推進関係予算(概算要求)について報告が行われた。

(以上)