男女共同参画会議(第19回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:平成17年7月25日(月)17:30~18:15
  2. 場所:総理大臣官邸2階小ホール
  3. 出席議員:
 
小泉 純一郎 内閣総理大臣
議長
細田 博之 内閣官房長官 (男女共同参画担当大臣)
議員
麻生 太郎 総務大臣
南野 知惠子 法務大臣
谷垣 禎一 財務大臣 (代理 上田 勇 財務副大臣)
中山 成彬 文部科学大臣 (代理 小島 敏男 文部科学副大臣)
尾辻 秀久 厚生労働大臣
島村 宜伸 農林水産大臣 (代理 常田 享詳 農林水産副大臣)
北側 一雄 国土交通大臣
大野 功統 防衛庁長官 (代理 今津 寛 防衛庁副長官)
村田 吉隆 国家公安委員会委員長
猪口 邦子 上智大学教授
内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員
大橋 光博 西京銀行頭取
片山 善博 鳥取県知事
住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
原  ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
八代 尚宏 国際基督教大学客員教授
山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
(説明者)
岩男 壽美子 男女共同参画基本計画に関する専門調査会会長
 
岩井 宜子 女性に対する暴力に関する専門調査会会長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)最近の男女共同参画社会の推進に関連する動きについて
      • 刑法等の一部を改正する法律の成立、施行について
      • 女性の再チャレンジ支援策検討会議の設置について
    • (2)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について
  3. 閉会

    (配布資料)※PDFファイルで開きます

    資料1
    女性の再チャレンジ支援策検討会議の設置について [PDF形式:13KB]別ウインドウで開きます
    資料2
    男女共同参画基本計画改定に当たっての基本的な考え方(ポイント)[PDF形式:1,073KB]別ウインドウで開きます
    資料3
    男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について(答申)(案)
    資料4
    男女共同参画社会実現に向けての提言 [PDF形式:19KB]別ウインドウで開きます
    資料5
    平成17年版男女共同参画白書 [PDF形式:14KB]別ウインドウで開きます
    資料6
    男女共同参画会議(第18回)議事録(案) [PDF形式:132KB]別ウインドウで開きます

    (概要)

    ○ 女性の再チャレンジ支援策検討会議の設置について
    事務局より、資料1に基づき女性の再チャレンジ支援策検討会議の設置について報告が行われた。

    ○ 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について
    岩男壽美子「男女共同参画基本計画に関する専門調査会」会長及び岩井宜子「女性に対する暴力に関する専門調査会」会長から資料2に基づき報告書をとりまとめた旨報告が行われた。

    ○ 内閣官房長官より、男女共同参画会議として専門調査会報告書を受けて、資料3のとおり男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について答申してよいか伺いがあり、了解となった。

    ○ 1970年のデータでみると、日本の女性の労働力率は意外に高い。ところが、1980年、2000年と時を経るにつれ、アメリカ、ノルウェー、オランダでは、女性の労働力率を大きく伸ばしながら、出生率も回復した一方で、日本は出生率が低迷している。働く女性が増えれば、出生率が下がるというのは正しい指摘ではない。厚生労働省始め関係各省には、仕事と家庭の両立支援策に徹底して取り組んでいただきたい。

    ○ 刑法等の一部を改正する法律の成立、施行について
    南野議員より刑法等の一部を改正する法律の成立、施行について報告が行われた。

    以下、資料2に基づき新しい男女共同参画基本計画の策定に向けて自由討論が行われた。

    (大橋議員)

    2020年までに30%という数値目標の達成にためには、アクションプログラムをつくるなど、きめ細かく段階を踏んで数値目標を立てていくことが大事。また、国家公務員I種の採用者に占める女性の割合は上がってきているが、問題は登用。国が率先垂範して官民学の人事交流、外部からの人材登用を相当積極的にやらないと数値目標の達成は難しい。

    (猪口議員)

    補足だが、日本は他の先進民主主義国と共通の価値を推し、主導する立場にあるので、男女共同参画の確実な推進が必要。しかし国際的な指標であるジェンダー・エンパワーメント指数によると日本は38位と非常に低い。これを改善することで国際的なリーダーシップを発揮できる。また日本は、ジェンダーという用語を使っている多くの国際文書の採択に参加している。政府としてコミットした立場を認識し、ジェンダーの概念は堅持して欲しい。

    (八代議員)

    子育てのために仕事を離れた女性が、その能力を生かして再び質の高い仕事に就くことが大きな課題。今後は、性別や年齢にかかわりなく、有能な人材を登用しなければ、官庁も企業も成り立たない。このためには、仕事と暮らしを両立できる制度への改革が必要。女性の再チャレンジ支援策は、仕事と子育てとの両立を可能とすることで、少子化対策としても大きな意味を持つ。例えば国家公務員への短時間勤務制度の導入は大きなインパクト。部分休業した分の定員を半分程度にカウントするなど、具体的な制度改正が必要であり、総務省には速やかに実現して欲しい。

    (内永議員)

    国家公務員への短時間勤務制度導入については、人事院からも同様の提言がなされていることも踏まえ早急に検討が必要。その際、仕事と暮らしのバランスを取るために、人事評価システムとして、オフィスに長くいることではなく、成果を出したかを評価するような見直しを進めて欲しい。

    (尾辻議員)

    出産や子育て等で一旦仕事を中断した女性の再就職、再就業支援の充実は極めて重要な課題。厚生労働省では、女性の再チャレンジ支援として、再就職を希望する女性の再就職準備への支援、両立支援ハローワークでの再就職援助を行っている。また、起業を目指す女性に対し、起業セミナー開催や個別相談、情報提供なども実施している。「女性の再チャレンジ支援策検討会議」が設置されたことは大変有意義で、女性の再チャレンジ支援に一層力を入れたい。

    (麻生議員)

    国家公務員のI種事務系の女性採用割合の目標について、政府では西暦2010年度までに30%程度を目安とする旨の申し合わせを行い、取組を開始している。平成17年度では既に女性採用の割合は21.7%。消防団については、全国で消防団の団員が100 万人を切っている中で女性団員の目標を10万人として積極的に取り組んでいる。

    (猪口議員)

    科学技術分野に女性が参加可能になるような政策を進めて欲しい。女性は論文を書いて業績を上げるべき20代、30代と、出産・育児の時期が重なる。期間的な制限緩和や研究所や大学内における託児施設の設置の促進、短時間勤務の導入、育児後の研究再開の支援などの支援策を文部科学省を始めとする関係各府省において、早急に講じて頂きたい。 才能、個性は男女両方に宿るので、日本は双方の才能を使って多様性を容認しながら新しいクリエイティビィティー、創造力を発揮して欲しい。また、内閣府の総合科学技術会議でまとめた基本方針の中間とりまとめには女性研究者の育成、活躍できる環境整備等を初めて入れていただいた。内閣府内の横の連動性と整合性を強化して欲しい。

    (内永議員)

    女性研究者のロールモデルが非常に少なく、女子中高校生が、物理、数学など科学技術の分野に進んだときの自分の将来展望が見にくい状態にある。また、親や教師からの期待が低いと感じている女子生徒の割合も結構高いと聞く。女子学生が科学技術分野に進めるように、教育やイベントを通じた啓蒙活動を進めて欲しい。なお、IBMでも、女子中学生を研究所に招待して、科学やコンピュータ等の講義をしている。

    (袖井議員)

    女性学、ジェンダー学については、ジェンダー史学、ジェンダー社会学、ジェンダー法学等、既存の学問においてもジェンダーに敏感な視点が取り入れられている。これは、物事を相対的に見る見方。決して女性だけの権利を主張するものではない。女性学、ジェンダー学の推進について御理解をいただき、女性学の普及に文部科学省では是非御協力いただきたい。

    (原議員)

    女性学、ジェンダー学は、人間としての多様性に配慮して、現実に迫り、問題を解決しようとするもの。例えば、法学の世界で女性に対する暴力についての考察が進むことは男女共同参画社会の形成にとって有意義であり、今後も理論的、実証的に研究が進むべきこと。他の領域においても、ジェンダー学の視点、女性学の視点を取り込んだアプローチを進めていく必要がある。

    (住田議員)

    ジェンダー「社会的・文化的に形成された性別」という概念は、各国際機関でも使われており極めて定着した言葉。また、我が国の平成12年の基本計画にも既に使われており、男女共同参画を進める上で非常に重要な概念。しかし、フリーセックスを進める、過激な性教育を行う、男女の生物的な差を否定するなど一部に誤解があるので、誤解をなくし、正しく理解をされるように努力が必要。ジェンダーの表現等については、引き続き専門調査会でも検討を続けていく。

    (小島議員代理)

    日本では女性研究者は11.6%。アメリカでは32.5%であり、比較すると日本は非常に低い。文部科学省としては、いわゆる「理科離れ」をしないようにすると同時に、研究と出産・育児等の両立支援の促進という形で検討を進めており、女性の進出を全面的にバックアップしていく。

    (山口議員)

    日本の農業経営は、仕事と生活の場、家計と農業経営の区別が付けられていない。これを改善するために家族経営協定が全国的に結ばれてきている。経営方針、一人ひとりの役割、働きやすい環境づくりをみんなで話し合って決めるもの。協定を結んだ農家では、近代化・合理化が進んだ声が上がっている。家族経営協定こそ、女性の地位向上、農業者の後継者問題にもつながるので、是非とも基本計画に位置づけてしっかりと推進して欲しい。

    (片山議員)

    全国知事会で「男女共同参画社会実現に向けての提言」(資料4)を決議した。1つは、地方団体の意見を十分に反映して欲しいこと。もう一つは、ドメスティック・バイオレンスについて広域的な連携が必要ということ。是非全国共通の連携が取れるようにして欲しい。

    ○ 内閣官房長官より、内閣総理大臣に対し、平成16年7月に諮問があった「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について」資料3のとおり答申が行われた。

    ○ 内閣総理大臣より挨拶があった。挨拶では、男女共同参画は国内外において重要であり、男女とも自分の能力を家庭でも、社会でも、会社でも発揮したいという気持ちは同じ。女性はこう、男性はこうではなく、これから男女がお互い助け合い補い合いながら、様々な面で能力を発揮しやすいような環境を整えるために、より積極的な助言、提言、支援をお願いする旨述べられた。

    (以上)