男女共同参画会議(第18回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:平成17年5月17日(火)18:50~19:35
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
    議長
    細田 博之 内閣官房長官 (男女共同参画担当大臣)
    議員
    麻生 太郎 総務大臣 (代理 今井 宏 総務副大臣)
    南野 知惠子 法務大臣
    町村 信孝 外務大臣 (代理 谷川 秀善 外務副大臣)
    谷垣 禎一 財務大臣 (代理 上田 勇 財務副大臣)
    中山 成彬 文部科学大臣 (代理 塩谷 立 文部科学副大臣)
    尾辻 秀久 厚生労働大臣 (代理 西 博善 厚生労働副大臣)
    島村 宜伸 農林水産大臣
    中川 昭一 経済産業大臣 (代理 保坂 三蔵 経済産業副大臣)
    北側 一雄 国土交通大臣 (代理 蓮実 進 国土交通副大臣)
    小池 百合子 環境大臣 (代理 高野 博師 環境副大臣)
    大野 功統 防衛庁長官 (代理 今津 寛 防衛庁副長官)
    村田 吉隆 国家公安委員会委員長
    猪口 邦子 上智大学教授
    大橋 光博 西京銀行頭取
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    橘木 俊詔 京都大学教授
    林  誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    原  ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
    (説明者)
    岩男 壽美子 男女共同参画基本計画に関する専門調査会会長
     
    岩井 宜子 女性に対する暴力に関する専門調査会会長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向についての中間整理について
    • (2)平成17年度 男女共同参画推進関係予算(政府案)について
    • (3)その他
      • 国連「北京+10」世界閣僚級会合について
      • ジェンダーと開発(GAD)イニシアティブについて
  3. 閉会

    (配布資料)※PDFファイルで開きます

    資料1
    男女共同参画基本計画の改定に向けた「中間整理」について [PDF形式:16KB]別ウインドウで開きます
    資料2
    男女共同参画基本計画改定「中間整理」のポイント [PDF形式:675KB]別ウインドウで開きます
    資料3
    「ジェンダー」の定義について(使用例) [PDF形式:179KB]別ウインドウで開きます
    資料4
    国連「北京+10」世界閣僚級会合について [PDF形式:64KB]別ウインドウで開きます
    資料5
    ジェンダーと開発(GAD)イニシアティブ(概要) [PDF形式:19KB]別ウインドウで開きます
    資料6
    影響調査事例研究ワーキングチーム都道府県・政令指定都市等取組事例集
    資料7
    男女共同参画会議(第17回)議事録(案)[PDF形式:54KB]別ウインドウで開きます

    (概要)

    ○ 内閣官房長官から挨拶があり、新たな男女共同参画基本計画の基本的な方向についての中間整理がとりまとめられたことから、その報告及び自由討議を行うので忌憚のない御意見を聞かせて欲しい旨述べられた。

    また、5月11日の経済財政諮問会議で、本中間整理で女性の子育て後の再チャレンジ支援策や公務員等の短時間勤務についても重要な項目として挙げていること、男女共同参画会議として夏に答申予定であること、諮問会議と参画会議の連携を測っていきたいことについて発言したこと、5月10日に関係閣僚と経済界、労働界のトップの方とで子育て支援の推進について懇談会を開催し、女性の再チャレンジ支援は少子化対策の一環としても重要であり、関係する閣僚とともに検討する場を設けて支援策を推進してまいりたい旨発言したことが述べられた。
    なお、新任の猪口議員の紹介も行われ、自己紹介を兼ねたあいさつが行われた。

    ○ 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向についての中間整理について
    岩男壽美子「男女共同参画基本計画に関する専門調査会」会長及び岩井宣子「女性に対する暴力に関する専門調査会」会長から中間整理及び今後の審議スケジュールについて報告。
    以下、資料2について自由討論が行われた。

    (大橋議員)

    政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に関して、女性国家公務員の登用状況が非常に低い。大事なのは登用であり、率先垂範して民間の人を官の幹部に登用するなど官民の人事交流をもっと進めて欲しい。

    (猪口議員)

    30%程度という数値目標は国際的は控え目だが、我が国の現状を考えれば非常に努力を要する目標。各省庁でも数値目標を立てながら、一歩一歩頑張って欲しい。

    (林議員)

    チャレンジ支援と働き方の見直しに関してだが、賃金、労働条件、厚生年金の適用などまともな待遇の短時間労働を日本社会に根づかせていくことは男女共同参画社会にとって効果的。女性の再チャレンジ支援、仕事と家庭生活の両立、働き方の見直し、様々なライフスタイルに合わせた勤務形態の選択のために、短時間勤務制度の導入は効果的。特に国家公務員へ短時間勤務制度を導入して民間の取組みを促すことを期待する。また、再就職に当たって、女性が正社員にもっと加わっていけるよう、企業の積極的な取組も必要。

    (袖井議員)

    短時間労働者への厚生年金の適用は女性自身の自立や、社会保障制度の安定的な維持のためにも必要。パート労働者の多くが就労調整をしているが、本人の能力を無駄にしており、国家的マイナスである。少子・高齢化という非常に厳しい状況の中では労働力を増やしていくことが不可欠であり、早期に厚生年金の適用拡大を検討して欲しい。

    (内永議員)

    IBMでは当初、育児等の理由で事業所規定時間就労が難しい女性社員の支援を主目的に、仕事場所などにとらわれず働けるテレワークを導入した。以後制度を拡充していったところ、現在では利用者の約3分の2が男性社員である。結果的に男女両方が仕事と生活のバランスがとれ、満足度が高い。また、配偶者の転勤で社員の仕事の継続が困難になるような場合には、転勤先の地域の自社事業所で社員の仕事を見つける配慮をしている。人材は企業の一番の財産であり、男女を問わず優秀な人材を確保して最終的に企業の競争力に結び付けている。このように、仕事と生活のバランスをいかにうまく取るかについても検討していただきたい。

    (今井議員代理)

    国家公務員 I 種事務系の女性採用割合の目標に関しては、昨年4月の各省庁人事担当課長会議で2010年頃までに30%程度を目安とするという申し合わせを行い、取組を始めており、引き続き積極的に取り組んでいく。

    (西議員代理)

    出産・育児等により離職した方への再就職も重要な課題であり支援の充実を図っている。また、両立支援ハローワークにおける取組を推進するほか、女性の再チャレンジ支援に一層力を入れたい。また、パートタイムでの働き方の質の向上も重要であり、パートタイム労働指針の周知、均衡処遇に取り組む事業主への支援を行いたい。更に、パートタイム労働者への厚生年金の適用問題は、短時間労働者の年金保障充実、中立性の観点などから意義がある。年金改正法で5年後を目途とした検討規定が設けられており、引き続き検討を進めたい。

    (橘木議員)

    中間整理にも男性の育児休業取得促進が明記されているように、積極的に男性の育児参加促進を広報・啓発する必要がある。30代から40代の男性が一番働き過ぎで育児休業を取れない事情があり、社会全体で働き過ぎ緩和が必要。
    また、教育は男女共同参画の重要な基盤。少子・高齢化の進展、グローバル化や情報化により、人材開発の重要性が増している。具体的には、初等・中等教育の段階から男女共同参画の意義を教えること、女性が働くために高校や大学で就業に役立つ科目を専攻する方向に持っていくことが必要。

    (内永議員)

    企業としても科学技術分野の女性社員を拡充したいと考えており、弊社でもいろいろな取組みを行っている。しかし理系の女子学生の絶対数が大変少なくリクルートが難しいのが現状である。女性の技術系は世界的に少ないが、日本の場合には少なすぎるので、是非推進していただきたい。

    (塩谷議員代理員)

    中間整理でも、男女平等を推進する教育・学習、多様な選択を可能にする教育・学習の機会の充実等が盛り込まれており、今後とも関係施策を推進していく。
    中でも、理工系、科学技術分野における女性の参画の推進は重要で、女性が自信を持って理工系への進路を選択できるよう、早い段階からの進路指導・キァリア形成の支援、優れた女性研究者等のロールモデルの提供などに取組んでまいりたい。また、女性研究者が能力を最大限発揮できるよう両立支援に関わる施策の推進を図っていきたい。

    (原議員)

    女性に対する暴力に関しては、派出所の警察官、警察本部、検察官、裁判官、報道関係などの方々の御理解が近年非常に深まり大変心強い。また、今後は予防が大事で、加害者にならないよう積極的な予防啓発プログラムに力を入れて欲しい。

    (猪口議員)

    ジェンダーという言葉は数多くの国際機関でごく一般的に非常に重要な概念として使われている。国際機関で文書を採択する際、その中にジェンダーの視点が記載されていることが多いが、これらの文書採択に際して日本政府は指示を表明してきたので政府としてコミットしており、重大な政策変更がない限りジェンダーに敏感な視点を重視することはゆるぎのないこと。国際社会では、ジェンダーは啓発的な概念であることを理解して欲しい。

    (内永議員)

    IBMでもジェンダーという言葉は一般の言葉として普通に使われており、定義も周知徹底している。日本は諸外国から見ると性別による役割分担が強く存在すると思われているが、ジェンダーに敏感な視点はグローバル化の中で日本が発言力を高めていくために必要である。正しい理解に基づきジェンダーに敏感な視点の定着を進めて欲しい。

    (袖井議員)

    ジェンダー・バッシング、ジェンダー・フリー・バッシングが行われているが誤解されている。社会的、文化的につくられた性差を見直すことと、生物学的な性差を無視することとは全く別。過激な性教育と男女共同参画も全く別で、更衣室を一緒にしたいと思っているわけではないので、誤解がないようにして欲しい。個人的には、発達段階に応じた性教育は必要だと感じる。全体的に世の中が過剰反応しているのではないか。

    (内閣官房長官)

    過激な性教育がジェンダー、ジェンダー・フリーの名の下に行われているとの国会でのやりとりがテレビで放映された。性教育に関しての行き過ぎの点を正していく必要はあるが、男女共同参画の基本的な考え方がおかしいことには繋がらないので、皆様方とともにしっかりと対応していきたい。

    (村田議員)

    総合科学技術会議に2人の女性研究者がおられるので、女性研究者の在り方とか問題点を特命でお願いしてみたい。

    (山口議員)

    防災に関し、女性医師や看護師が有効に働く場が必要。また、全国にある女性センターや働く女性の家などを災害の際の活用対象として考えていきたい。

    (村田議員)

    今回、人身取引が女性に対する暴力の項中に加えられたことは意味があること。警察としては、人身取引や人権侵害をする雇用主、悪質なブローカーを取り締まるとともに、被害者の保護も、関係の機関と協力し合いながら行ってきた。また、今国会で、外国人等の女性の雇い主に対し在留資格の確認義務を課すという風営法の改正を提案している。

    (塩谷議員代理)

    性教育について、文部科学省は、学習指導要領にのっとって児童の発達段階に沿った時期と内容で実施する、保護者や地域の理解を得ながら進める、学校全体の共通理解を図って進めることを基本的な考えとして進めている。
    国会でも取り上げられたような過激な性教育が話題になっていることは大変遺憾であり、改めて基本的な考え方を周知徹底するとともに、公立義務教育諸学校における性教育の実態を把握し、その調査結果を踏まえて、中央教育審議会で議論をしていただくこととしている。
    いずれにせよ、実態を把握し、是正すべき点は是正し、発達段階に即した適切な性教育を推進していく。

    (内閣官房長官)

    先日、関係4大臣で経済界、労働界の皆様を招き、人口減少の問題となっている障害を取り除くため、経営者、労働団体等を含め、勤務条件を変えていく社会運動を起こせるよう要請を行った。現在各団体で検討を進めてもらっている。

    (内閣官房長官)

    「国連『北京+10世界閣僚級会合について」
    事務局より、資料4に基づき国連「北京+10」世界閣僚級会合について報告が行われた。

    (内閣官房長官)

    ○ 先日、関係4大臣で経済界、労働界の皆様を招き、人口減少の問題となっている障害を取り除くため、経営者、労働団体等を含め、勤務条件を変えていく社会運動を起こせるよう要請を行った。現在各団体で検討を進めてもらっている。

    ○ ジェンダーと開発(GAD)イニシアティブについて
    谷川議員代理より、資料5に基づきジェンダーと開発(GAD)イニシアティブについて報告が行われた。

    (以上)