男女共同参画会議(第3回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:2001年6月19日(火) 16:30~18:10
  2. 場所:官邸大客間
  3. 出席議員
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    福田 康夫 内閣官房長官
    議員
    片山 虎之助 総務大臣(代理 小坂 憲次 総務副大臣)
    森山 真弓 法務大臣
    田中 眞紀子 外務大臣 (代理 杉浦 正健 外務副大臣)
    塩川 正十郎 財務大臣 (代理 若林 正俊 財務副大臣)
    遠山 敦子 文部科学大臣(代理 岡山 丘 文部科学副大臣)
    坂口 力 厚生労働大臣
    武部 勤 農林水産大臣
    平沼 赳夫 経済産業大臣
    川口 順子 環境大臣 (代理 風間 昶 環境副大臣)
    村井 仁 国家公安委員会委員長
    猪口 邦子 上智大学教授
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶応義塾大学名誉教授
    神田 道子 東洋大学長
    小島 明 日本経済新聞社常務取締役・論説主幹兼国際担当
    住田 裕子 弁護士
    橘木 俊詔 京都大学経済研究所教授
    原 ひろ子 放送大学教授
    古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
    師岡 愛美 日本労働組合総連合会副会長
    (説明者)
    樋口 恵子 仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会長
    (説明者)
    島野 穹子 女性に対する暴力に関する専門調査会長

    (議事次第)

    1. 開会
    2. 議事
      • (1)仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の最終報告について
      • (2)各専門調査会の今後の進め方について
      • (3)その他
    3. 閉会

    (配布資料)

    資料1
    仕事と子育ての両立支援策について(専門調査会最終報告)
    資料2
    仕事と子育ての両立支援策について(案)
    資料3
    各専門調査会委員名簿 [PDF形式:114KB]別ウインドウで開きます
    資料4
    各専門調査会の今後の進め方について [PDF形式:296KB]別ウインドウで開きます
    資料5-1
    女性国家公務員の採用・登用等の促進について
    資料5-2
    「女性に対する暴力をなくす運動」について
    資料6
    「男女共同参画に関する研究会」報告書(要約)
    資料7
    第2回男女共同参画会議議事録(案)[PDF形式:78.9KB]別ウインドウで開きます

    (概要)

    ○ 仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の最終報告について

    仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の最終報告について、同専門調査会の樋口会長から報告があり、その提言部分について、「仕事と子育ての両立支援策の方針に関する意見」として会議決定した。

    また、提言の施策については、苦情処理・監視専門調査会でフォローアップを行うことが決定された。また、これをもって同専門調査会の設置に係る調査が終了したことから、同専門調査会の廃止が決定された。

    なお、これに伴い、小泉内閣総理大臣から、同方針について速やかに閣議決定し、内閣が一体となって施策を進めていく旨の御発言があった。

    (師岡議員)

    「新設保育所は民営を基本とする」となっているが、民間活力のみで保育事業の確保が可能なのか。保育事業者の新規参入がないと、無認可保育所が増え、現行の保育水準が維持できないことにならないか。公立保育所の延長保育実施はニーズがあるところは100%を目指すべきであり、数値目標を定めてはどうか。

    (原議員)

    駅型保育については、環境をどう確保するのか。男性も育児に参加する仕組みを作り、発想の転換を図れないか。

    (岩男議員)

    タウンミーティングでこの話をした際、子供の視点を失わないこと、両立の前に仕事がないこと、幼稚園と保育所の一元化といった、3点の指摘があった。 男女共同参画会議の専門調査会間の連携が必要であり、本報告については苦情処理・監視専門調査会でフォローアップをしていただきたい。

    (住田議員)

    構造改革の中に働き過ぎの解消を位置付けていきたい。保育所の認可基準を柔軟化しつつ、保育者の質を見て評価できるようにして欲しい。人材育成も含め、公的な助成をしてほしい。

    (古橋議員)

    この提言は、緊急課題という視点でプロジェクトを絞り込み、それらについて実施期限を定めるなど、今後の政策評価の1つのモデルになるものだと思う。苦情処理・監視専門調査会として、この趣旨を踏まえ重点的に監視していきたい。監視に当たり、各府省の連携や地域での対処、情報公開等に着目したい。

    (小島議員)

    この提言の位置付けとして、中長期的には労働力不足が予想される、女性や高齢者も働いて税金も払う、ジェンダーフリー・エイジフリーな社会が重要だとの前提が確認されるべき。

    (猪口議員)

    本日の様々な御指摘に関しては、専門調査会の議論の中で取り上げられたことをお知らせしたい。
    専門調査会で議論に参加した者として、政治のリーダーシップで予算を確保することをお願いしたい。
    また、このようなテーマがこの場で議論されること自体、女性議員を初め政治のリーダーシップのおかげであり、感謝すると共に、今後の御助力をお願いしたい。

    (橘木議員)

    この提言について、どの省のどの部局がやるのか、また、中央がやるのか地方がやるのか、はっきりさせた方がよい。

    (神田議員)

    ファミリー・サポート・センターは非常に重要。子育てや介護などの問題を抱えたときに、何らかの解決策が見付かる場所として、是非具体化してもらいたい。更に、つくるときには地域の人たちや女性も交えた計画立案と実施をお願いしたい。

    (武部議員)

    農山漁村における仕事と子育ては女性にとって非常に労働過重な状況にある。農林水産省としては、既存の施設や地域の人材を生かした小規模な託児など、子育てしやすい生活環境づくりや地域に合った子育て支援体制に努力しているが、関係省庁においても柔軟な取り組みや地域の実情に配慮した努力をお願いしたい。
    提言は現状を改善する問題解決型の視点だが、願望実現型の視点で考えたときに、私は年金も生涯年金ではなく一定期間の年金にして、男も含め、子育ての期間は年金をもらって家族で一緒に時間を過ごし、同時に新しい技術の習得や語学の勉強等をすることとし、これを社会でも認めることを考えてはどうかと思う。平素から思っていることを申し上げた。

    (坂口議員)

    立派な提言をおまとめいただき、特に数値目標まで入れていただいて感謝申し上げる。
    認可保育所の問題については、いろいろと規制緩和もすすめているが、さらに一生懸命やらせていただきたい。また、無認可保育所もできるだけ認可保育所になるようにしていきたい。
    ファミリー・サポート・センターについては、既に一部で始まっているが、更に充実させていきたい。

    (村井議員)

    ジェンダーフリーやエイジフリーで、労働力をもっと増やすようにする必要性がある。現実として、今の日本は不況でありながら外国人労働力に頼っている面があるので、女性の社会進出をもっと強めるなどして労働力を補っていくのが正論であろうと考える。

    ○ 各専門調査会の今後の進め方について

    各専門調査会の会長等から、各専門調査会の現状及び今後の進め方について説明があり、説明のとおり決定された。

    (森山議員)

    基本問題専門調査会で選択的夫婦別姓も取り上げるようであり、論点整理などは来年以降になるスケジュールのようだが、個々のテーマごとにまとめたものを逐次出してもらえるのか。このテーマは急ぐ話であり、材料を権威ある調査会から出していただけると非常にありがたい。来年の3月まで待たされるのは困る。

    (福田議長)

    世論調査のスケジュールはどうなっているのか。

    (森山議員)

    聞いているところでは8月ころに実施し、9月か10月ころには結果が出てくると思う。議員の間での議論も大分盛り上がっているので、よろしくお願いしたい。

    (岩男議員)

    急ぎたいと思う。

    (原議員)

    影響調査専門調査会の自己評価システムとは、各施策の担当者が自己評価をするシステムということか。

    (橘木議員)

    各府省で税制や社会保障等様々な施策を所管しており、それらの施策がどのような影響を与えたかについては自己評価した方がいいと思うので、そのような理解で結構だ。

    ○ その他

    男女共同参画社会の推進に関する動きとして、松下内閣府副大臣から「各府省の男女共同参画推進体制の整備・推進」について、事務局から「男女共同参画推進本部」について、平沼議員から経済産業省の「男女共同参画に関する研究会」報告書について、また、住田議員から「家族とライフスタイルに関する研究会」について、それぞれ説明がなされた。

    また、第二回男女共同参画会議議事録(案)が提示され、公開することが了承された。

    (古橋議員)

    女性国家公務員の採用・登用の拡大の問題については、勤務評定や昇格などの面で、実質的に差別が行われていると思われるので、これをなくしていくことが重要。女性国家公務員の登用については、かねてより各省の実情に応じた数的努力目標とタイムテーブルを含めた計画をつくってほしいと言ってきた。
    閣僚の皆様方には、各省の実情に応じ、女性の登用に関するある程度の枠を含む指針を策定し、これに応じて年次別に登用していただけるようお願いしたい。

    (橘木議員)

    女性国家公務員のクォータ制はまだ念頭にないのか。女性を何割にするのかについて検討項目に入っているのかお聞きしたい。また、地方公務員に関しては全く関心外なのか。

    (坂東局長)

    人事院の指針では各府省において妥当な目標を定めるということであり、男女共同参画推進本部本部あるいは人事院で登用の数値目標を提示しているわけではない。各府省でどのような目標を掲げるかについては各府省にお任せをしている。
    また、地方公共団体や関係団体、特殊法人、あるいは司法部門、立法部門においても、女性の登用に努力していただくように、男女共同参画推進本部長でもある総理の名前で協力をお願いする事を考えている。

    (原議員)

    各府省は計画の策定に当たり2005年度までの目標を設定するとあるが、この目標はいつまでに設定されるのか。

    (坂東局長)

    これも各府省で検討する。

    (原議員)

    なるべく早く決めていただけるようお願いしたい。

    (師岡議員)

    農林水産大臣から子育て支援の件でお話があったが、地方に行けば行くほど男女の役割分担意識が非常に根強く、男女共同参画社会づくりが大変難しいのではないか。農林水産省の方でも努力していただいているようだが、引き続き御努力をいただきたい。

    (猪口議員)

    せっかくの機会なので申し上げるが、日本で男女共同参画の観点から見て非常に不思議な風景として、企業、銀行、農業団体などで、女子のみに制服が課されていることがある。そこで、「女子のみ制服ゼロ作戦」をうち立てて、各府省で所管されているところでの改善をお願いしたい。

    (原議員)

    農林水産業の問題については、従事する人口が減ってくるにつれ、見落とされていく傾向がある。会議や各専門調査会の議論において、日本の社会全体の中で農林水産業が持っている機能の位置付けをどうしていくかについて検討していきたい。

    (神田議員)

    「男女共同参画に関する研究会」報告書だが、本日の最終報告と内容的に重なるところがある。今後各府省でこのようなことが起こった場合、内容を効果的に合わせていく必要があると思うが、その過程はどうだったのか。

    (平沼議員)

    これは経済産業省の視点で取りまとめたものである。確かに重なる部分もあるが、この場で皆様にお示しし、それぞれの今後の取りまとめの中でしっかりしたものをつくっていけばいいのではないか。そういう面では我々も全面的に協力するし、必要があれば大沢座長とお話をする機会を設けたい。

    (神田議員)

    様々な問題は、縦割りではなく横の連携が必要であると考えている。十分配慮して効果的に進めていただきたい。

    (武部議員)

    農林水産省では省内に男女共同参画推進本部を設置しており、また男女共同参画に向けた一般からの提言募集、農山漁村女性との現地懇談会の実施、農林水産関係の全国女性団体代表者との意見交換会の実施等の計画を立てている。
    タウンミーティングで、男らしさや女らしさ、父親らしさや母親らしさは大事だと思うとの発言があったが、私もそう思う。今は男女共同参画社会の実現に向けて積極的な努力をしていくべきだが、これは日本人らしさや人間らしさにも通じる議論であり、この場で議論することも大事なのではないか。

    (岩男議員)

    男らしさ女らしさの問題は第1回の基本問題専門調査会で既にかなり議論を行い、今後も続けていくので御期待いただきたい。
    なお、私もタウンミーティングで、農業の女性の仕事と子育ての両立支援という形で農林水産省が行っている新規事業について紹介させていただいた。

    (古橋議員)

    農村におけるジェンダーの問題については、まず家族経営協定を推進すべき。家族経営協定のメリットは現在農業者年金基金しかないが、それ以外のメリットを与えてほしい。また、農村女性の労働条件の合理化の見地からも農業生産の法人化をもっと熱心に推進してほしい。農林水産省には、この2つを重点的に進め、そのための統計や問題点の分析をお願いしたい。

    (武部議員)

    法人化と家族経営協定については積極的に努力してまいりたい。

    (住田議員)

    女性国家公務員の登用については、一種のポジティブアクションであり、指針ができた意味は大きい。女性の登用が特定のポストに限られていることが問題であり、各府省が、今後数値目標の設定などで変わっていくことを強く希望する。
    また、経済産業省の報告書のように、各府省でそれぞれの視点から議論をすることは大きな意味がある。議論の過程で出た問題意識をこの会議で説明してもらい、更に詰めていくことが重要であり、同じ意味で、タウンミーティングでもいろいろな意見が出ることを期待している。

    (以上)