男女共同参画会議(第39回)議事録

【開催要領】

  1. 開催日時: 平成23年7月29日(金) 17:17~17:59
  2. 場所: 総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員
     
    菅 直人 内閣総理大臣
    議長
    枝野 幸男 内閣官房長官
    議員
    与謝野 馨 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
    片山 善博 総務大臣(代理 鈴木 克昌 総務副大臣)
    江田 五月 法務大臣、環境大臣
    野田 佳彦 財務大臣(代理 五十嵐 文彦 財務副大臣)
    高木 義明 文部科学大臣
    細川 律夫 厚生労働大臣
    鹿野 道彦 農林水産大臣
    海江田 万里 経済産業大臣(代理 松下 忠洋 経済産業副大臣)
    中野 寛成 国家公安委員会委員長
    家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
    岩田 喜美枝 株式会社資生堂代表取締役執行役員副社長
    大塚 陸毅 東日本旅客鉄道株式会社取締役会長
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    勝間 和代 経済評論家
    加藤 さゆり 長野県副知事・前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    山田 昌弘 中央大学教授
    出席者
    末松 義規 内閣府副大臣
    山花 郁夫 外務大臣政務官
    林 久美子 文部科学大臣政務官

【議事次第】

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)専門調査会からの報告について
      • 1.基本問題・影響調査専門調査会(女性の活躍による経済社会の活性化)
      • 2.基本問題・影響調査専門調査会(ポジティブ・アクションの推進)
      • 3.女性に対する暴力に関する専門調査会
    • (2)男女共同参画の視点を踏まえた東日本大震災への対応について
    • (3)女子差別撤廃委員会最終見解フォローアップ項目について
  3. 閉会
枝野内閣官房長官
ただいまから、男女共同参画会議を開催いたします。
 本日は、冒頭、菅総理にも御出席をいただきました。菅総理から御挨拶をいただきます。
菅内閣総理大臣
今日は男女共同参画会議ということであります。この間、いろいろなことが御承知のように起きております。1つは、政府として、あるいは党として、社会保障と税の一体改革について取り組んでまいりました。この社会保障改革の「安心3本柱」の1つとして、「働きたい女性は全員が働けるだけの子育ての基盤の増強」が必要だということを私の方から指示をし、そういうことも含めて案をつくっていただきました。社会保障・税一体改革の成案では、地域の実情に応じた保育等の量的拡充や幼保一体化などの機能強化、女性の就業率のいわゆるM字カーブ問題の解消等を改革項目に盛り込んだところであります。
 もう1つは、言うまでもありませんが、東日本大震災の復興における取組といった中で、男女共同参画の観点から、あらゆる場に女性の参画を促進する。復興構想会議は、女性の委員がお一人だけだったので、更に追加的にという要請もいただいておりまして、そういったことも含めて、今回の復興が新たな社会を創造する復興になるよう、女性の参画も含めて進めてまいりたいと、このように思っております。
 いずれにしても、今後とも男女が共同で参画できる社会の実現のため、議員各位の一層の御尽力を心からお願い申し上げます。よろしくお願いします。
枝野内閣官房長官
総理は、別日程がございますので、ここで退席されます。
 メディアもここでお願いいたします。

(菅内閣総理大臣退室)
 (報道関係者退室)

枝野内閣官房長官
それでは、議事に入りますが、議事進行は与謝野男女共同参画担当大臣にお願いをいたします。
与謝野男女共同参画担当大臣
それでは、各専門調査会から説明をお願いいたします。まず、「女性の活躍による経済社会の活性化」について、山田調査会長から説明をお願いします。
山田議員
基本問題・影響調査専門調査会、「女性の活躍による経済社会の活性化」についての調査会の御報告でございます。
 女性と経済につきましては、基本問題・影響調査専門調査会の下にワーキンググループを設置し、私が座長を務めまして、勝間和代議員に座長代理をお願いし議論を行ってまいりました。これまでの議論の概要につきまして、資料1-1、カラーの横長A3の資料に従って御報告させていただきます。
 まず現状の把握といたしまして、女性の参画が広まっているということを左上で述べさせていただきます。図表(1)にございますとおり、女性の雇用者数は産業構造の変化などを背景に医療、福祉などの成長分野で中長期的に増加しております。起業等でも増加しております。
 しかし、その隣の図表(2)のとおり、女性の労働力率は30歳代を底とし、いわゆるM字型カーブがあります。先ほども総理が御発言されたように、まだまだ潜在力は大きいわけです。働いていない女性の中でも340万人余りが就業を希望しております。これは全労働力の5%に相当し、男性の就業希望者と比較してもはるかに大きい状況にございます。これはつけ足しですけれども、日本よりも女性の労働力率が低い先進国はギリシャ、アイルランド、スペイン、イタリアとなっております。これはよくわかると思いますけれども、女性の労働力率が低い国は財政状況の厳しい国ということでございます。北欧とかオランダのような女性が参加している国は、健全な財政状況にあるということでございます。すなわちそのように女性活動の潜在力は質・量ともに大きいことを改めて強調させていただきたいと思います。
 次に右上に移らせていただきます。女性の参画や能力の発揮を阻む要因について、どうして女性はなかなか働けないのか、働かないのかということについて検討してまいりました。図表(3)にございますように、未就学児のいる夫婦世帯の場合、収入が高いと妻の就労率は低くなる。つまり家計にゆとりがあれば働かない傾向が見られます。日本では高学歴女性が余り仕事をしていないという諸外国と比べて非常にもったいない状況にありますが、こういう背景があると考えられます。
 更に上から3つ目の矢印にあるとおり、我が国の男女には現状をベターと考えて、敢えて変化を望まない意識があるとの指摘もなされております。更にこうした意識が生じる背景には、働き方、つまりキャリアの形成の仕方というものが、いわゆる男性、特に正社員長時間労働型の男性モデルしかないといった社会制度や雇用慣行の存在があると考えて調査しているところでございます。
 更に図表(4)を見ていただければわかるように、諸外国は女性の高等教育在学率が男性より女性のほうが高いのですけれども、韓国と日本といったところは男性と女性の差が逆転しておりますし、見たとおり、女性の高等教育の進学率は非常に低くなっております。その意味から言っても、女性の潜在力はまだまだ活かされていないと思っております。
 次に、中段に移らせていただきますと、なぜ女性の能力の発揮が今まで以上に必要かと言いますと、もちろん女性本人にとって希望の実現でもあるはずです。いわゆる結婚や家族を持つことに対する希望というものを実現できると同時に、自分の能力を活かすために伏線的なキャリアというものを構築する、そういうことが今必要であると考えております。
 それと同時に、女性が経済的に活躍するということは、日本経済にもプラスの影響を与えると思います。逆に言えば、女性の経済的な活躍なくして日本経済の未来はないと言ってもいいと考えております。
 今後の調査について御説明いたしますと、より実践的・効果的な取組に関する事例を収集しながら、施策の在り方について議論を深めたいと思っております。
 下段のオレンジに示した3つのことについて調査を進めていくつもりでございます。1つは、「新たな分野や働き方における女性の活躍」、いわゆる新卒一括で入社して、同じ企業でずっと働くという以外の働き方を女性は望んでいますし、また、そういう部分に成長分野があるのだと思われます。そういう事例を集めていきたいと思っております。
 そして真ん中にありますのは「制度・慣行・意識」というところで、女性の経済分野での活躍を妨げる制度・慣行・意識があるとしたら、どこにあるのかということについて調査を深めていきたいと思っております。
 更に選択肢が多くなるということが必要だと思っておりまして、「多様な選択を可能にする教育やキャリア形成」の在り方はどういうものか。
 以上、3つの点に重点を置いて今後の検討を進めていく所存でございます。
 以上で報告は終了でございます。ありがとうございました。
与謝野男女共同参画担当大臣
続きまして、「ポジティブ・アクションの推進」について、鹿嶋調査会長代理から御説明をお願いします。
鹿嶋議員
ポジティブ・アクションの必要性については、この参画会議でも何度か話し合いをしてまいりました。基本計画が単なる作文で終わってはならないと、それを実効性あるものにするためにはポジティブ・アクションが大変重要なのだということで一致していると思っております。
 資料1-2をベースに話をしたいと思います。なぜポジティブ・アクションが必要かということですけれども、我が国における政治分野、雇用分野、科学技術・学術分野での指導的地位の女性たちの比率を示したのがこのグラフです。毎回こういうグラフを示され、もう見飽きた方もいるかもしれませんが、とにかく大変低いわけでございます。ただ、第3次基本計画では、男女共同参画に関し、国際的な評価を得られる社会をつくるのだということをうたっておりますので、このような低い状況をいかにして変えるかというところにポジティブ・アクションの大切さがあると思います。
 中段の「ポジティブ・アクションの必要性」という問題ですが、ポジティブ・アクションをなぜ実施するのかといえば、男女間の格差を是正していくことに第一の目的があるわけですが、同時にその背景にあるものも考えておく必要があります。我が国では固定的性別役割分担意識や女性の能力に関しての偏見がまだ強く残っていますし、更には男女の置かれた社会的状況に原因があり、ことに女性の場合は能力や努力、意欲だけでは格差是正につながらないことがあります。それ以前の問題として、固定的性別役割分担意識や女性への偏見が根強いためで、それをなくさない限り、実質的な機会の平等は確保できないのだという危機感を社会全体で共有し、必要な範囲において女性に積極的に機会を提供するポジティブ・アクションを進めていく必要があると考えております。
 中段の黄色い枠の右の方ですが、ポジティブ・アクションの考え方を簡単にまとめたものです。
 ポジティブ・アクションといいましても、多種多様な手法があります。(2)を見ていただきたいのですが、例えば一定の人数や割合を女性に割り当てることで実現する方式、これは「クオータ制」です。それから「プラス・ファクター方式」、これは能力が同じ場合は一方を優先して扱う方式です。更には女性の参画に関する数値目標と達成までの期間を定める「ゴール・アンド・タイムテーブル方式」もあります。そのほかには研修の機会の充実を図ったり、仕事と家庭生活の両立支援を推進したりして、女性が活躍できる基盤を整備する方法などもあり、要するにポジティブ・アクションの手法も実にさまざま、厳格なタイプもあればソフトなタイプもあるというわけで、どの方式が格差解消に有効なのかをケースに応じて見極めながら取組を推進していくことが大切です。
 こうした各団体の取組を推進するための国の方策についても、強制力の程度に応じて取組を義務付ける方式、インセンティブを付与することで、各機関・団体の取組を政策的に誘導する方式、更には自主的な取組の要請と、働きかけにもさまざまなレベルがあります。
 政策的な誘導のインセンティブとしては、補助金、交付金、税制上の優遇、公契約時の評価、認定・表彰などがあります。
 こうしたバリエーションの中から、政党、民間企業、研究機関のそれぞれの特性に応じて、最も効果的な方法を選択することが重要だと考えます。
 最後の「各分野の推進方策」ですが、例えば「政治分野」につきましては、政治分野の女性の参画状況について、我が国と世界の状況の格差を認識し、国民各層に広く周知して、その議論をしていただくことが必要かと思っております。更には各政党に対して女性候補者の増加とポジティブ・アクションの導入の検討について働きかけを行うことも必要だと考えます。また、政党関係者間で具体的な議論が行われるよう、諸外国の取組など参考になる具体的事例の提示を行うことが重要です。
 「行政分野」ですが、これについては、各府省における女性職員の採用・登用拡大計画の着実な実施をお願いしたいと思います。特に男女共同参画会議等で監視機能を活用して改善につなげる必要があります。
 「雇用分野」につきましては、現在、内閣府や厚生労働省などで男女共同参画に関する調査等の委託に当たって、女性の登用など、男女共同参画に積極的に取り組む企業を評価する取組を進めております。それを更に推進すると同時に、今後、調査等以外の事業においても積極的に評価する仕組みを検討することなどを盛り込んでおります。
 以上、ポジティブ・アクションの概要について報告しました。よろしくお願いいたします。
与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。
 最後に、「女性に対する暴力」について、辻村会長から御説明をお願いします。
辻村議員
「女性に対する暴力に関する専門調査会」についての資料は、資料1-3を、また、報告書のほうは資料2-3をご覧いただきたいと思います。
 4つの分野にわたって集計いたしておりますけれども、これは本年2月から3月にかけまして、内閣府が実施いたしました電話相談事業、「パープルダイヤル」と通称いたしておりますが、性暴力やドメスティックバイオレンスの相談電話事業でございます。この結果を中心といたしまして、本専門調査会では、課題と対策について議論を行いました。
 まず、第1の「配偶者暴力に関する相談」でございますけれども、上の段の左の表をご覧いただければわかりますが、年代別には、10代から70代まで、30代を中心として幅広い層から相談が寄せられております。図(2)でございますが、暴力の継続年数なのですが、6~10年、あるいは11~15年、16年以上というところの値が非常に高くなっておりまして、4人に1人が10年以上の長期にわたって暴力をふるわれ続けているという深刻な状況にございました。
 これは24時間対応の電話相談でございますので、思い余ってお電話くださったということだと思いますけれども、こういう状況に対しましては、課題として、下の段でございますけれども、今後、切れ目なく支援が行われる体制づくりが必要です。すなわち、24時間対応で相談を受けることができるようにする。そして「ワンストップサービス」ということが書いてございますけれども、複数の手続きを1か所でできるようにするような体制づくりが必要だということでございます。とりわけ被害者にとって最も身近な市町村における配偶者暴力相談支援センターの設置を促進する必要がございます。また、その中で関係機関、団体が密接に連携する体制を構築する必要がございます。2007年の法改正で市町村でもこういうセンターを設置することが努力義務になっておりまして、現在全国で30ぐらいセンターがございますけれども、これを促進していく必要があるということでございます。
 また、現在の法律では配偶者等の暴力が対象になっておりますが、相談電話のうち約2割が交際相手からの暴力でございました。これは社会においては「デートDV」などという言葉で説明されておりますけれども、これについては、DV防止法ではフォローしておりませんので、今後こういうものをどのような形で救済していくか、法的にどのように取り組んでいくかという課題がございます。
 次にまいります。性犯罪への対策でございまして、「2 強姦・強制わいせつに関する相談」のところをご覧いただきたいと思います。相談者・被害者につきましては、10代、20代の若年層からの相談が非常に高くなっております。また、右の表(1)というところでございますが、加害者との関係では、大半が「知っている人」からの被害だということで、約6割に及んでおります。知らない人からの被害ではなくて、知っている人からの被害だということから、どういうことが言えるかと申しますと、被害者が相談しにくい、相談することを躊躇する、あるいは潜在化する傾向が指摘できます。したがって、被害者が躊躇しないで相談できる、必要な支援を受けられる体制を確立することが課題でございます。
 この意味でも、この下の段でございますけれども、関係機関が連携を強化して「ワンストップ支援センター」というものをつくっていく。これは国際的にも推奨されている方法でございますけれども、医師や弁護士や臨床心理士などによって支援をして、あるいは警察官による事情聴取などが1つの場所でできる、という体制が望ましいということでございます。また、もちろんその背景には、性犯罪被害の実態がわかっていないということがありますので、これについて、一般社会の正しい理解を促す啓発活動などが必要になってまいります。
 3番目でございますが、「男性からの相談」対応について、今回初めて、男性相談窓口を開設いたしました。ここでは男性はもちろん加害者である場合と被害者である場合があるのですけれども、配偶者からの暴力、日常的な生活に関わる不安や悩み、会社や社会への不満、様々な相談がここに寄せられました。男性について、このような形でこれまで取り組んでおりませんでしたので、今後は、暴力をふるった男性加害者の更生という取組にまで進めていかなければいけない。相談のニーズに合わせた対応を検討していく必要があると考えます。また、男性に対しても、意識啓発が必要ですし、暴力を予防するような措置も大切だということでございます。
 4番目が「外国人からの相談」でございますが、これもこれまで取組が遅れておりましたけれども、今回は外国人からの相談もたくさんございまして、こちらは6か国語で対応いたしました。子どもの教育や在留資格など日常的な問題についての相談も併せて寄せられたことが特徴でございますが、これについては外国語対応が非常に重要になってまいりますので、これが可能な相談窓口の周知に努める必要がありますし、また通訳の手配など、関係者が連携を進めていく必要がございます。
 このように、場合によって条件は異なってまいりますけれども、いずれにいたしましても、第3次計画で取りまとめました内容に基づきまして、関係府省や地方公共団体、関係機関が連携をして、女性に対する暴力の根絶に向けて取組を一層徹底していく必要があろうかと思います。国際機関からもこの旨を勧告されておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
 これらの報告を受け、今後の取組事項について、末松副大臣から案を説明いたします。
末松内閣府副大臣
今後の進め方についてでございますけれども、資料3の1枚紙をご覧いただきたいと思います。
 この3つの分野につきまして、政府に取組を求めるものを1つ目の「〇」に書いてございまして、また、専門調査会として、今後、更に検討していくものを2つ目の「〇」に整理しております。特にM字カーブの問題の解消や、あるいは女性の参画拡大は喫緊の重要課題でございまして、関係府省が連携して早急に取組を進めていく必要があると考えております。
 以上です。
与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。
 それでは、御意見をいただきます。御意見のある方。勝間議員。
勝間議員
女性と経済の活性化に関しまして、意識の問題を皆様にお伝えしたいと思います。資料1-1の中で、「女性の参画や能力発揮を阻む要因」として、上から3番目、「現状をベターと考え、敢えて変化を望まない意識」というのを指摘させていただきました。これは先進各国の中でも、特に日本に顕著でして、構造的には男性のほうはなるべく女性に競争に参入してほしくない。これ以上、競争が厳しいのは嫌だと。女性のほうは、なるべく競争に参入しなくていいものだったら参入せずに働きたくないというものが確固として存在しています。この結果、高学歴であっても働かない女性というのが先進国中トップのパーセンテージになっている。
 すなわちこれは意識、ソフトウェアの問題ですので、まず女性としても、もっと活躍ができることを知るということが1点目。知ったら、その次、意欲が出ますので、その意欲というのをしっかりと社会全体で盛り立てるということ。3番目として教育ということを随分申し上げましたが、実際に活躍できるんだと知って意欲を持った女性が実際に活躍できるようなスキルを身につけるようなもの。
 この3つの施策が並行して走らないと、なかなかM字カーブその他の問題は解決しないと思いますので、是非とも女性がもっともっといろんな活躍する女性がいることを知って、そうなりたいという意欲を持って、そうできるというスキルをつける。この点を是非お願いしたいと思います。
与謝野男女共同参画担当大臣
よろしいですか。ほかに御発言はございませんか。
 ありがとうございました。それでは、いただいた御意見を踏まえながら、原案のとおり、今後、政府や各専門調査会で取組や議論を進めていくことにいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。

(「異議なし」と声あり)

与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。それでは、案のとおり決定いたします。
 次に、「東日本大震災への対応」について議論をいたします。まず、男女共同参画の観点からの震災対応について、末松副大臣の御説明を願います。
末松内閣府副大臣
資料4、幅広の紙でございますが、ご覧いただきたいと思います。今般、東日本大震災に対しましては、男女共同参画の観点からも様々な取組を実施しております。災害の現場では、女性と男性のニーズの違いはございますが、そうしたことが実は十分に考慮されず、男性中心、男性目線で防災の取組が進められてきた面がございます。防災基本計画でも、第3次男女共同参画基本計画でも、防災分野における男女共同参画の推進が掲げられておりましたが、これが十分にまだ浸透しておりません。残念でございます。
 2、3例を挙げますが、東日本大震災におきましても、例えば避難所や被災地への輸送物資に粉ミルクや哺乳びんが入っていなかった例がございました。また、間仕切りもなく、プライバシーもない中で、女性が布団の中で着替えざるを得ない、こういったこともございました。更に、避難所運営に参画していないので、女性がなかなか要望を言い出せない、意見として反映されない、などの問題が生じたと報告されております。
 内閣府男女共同参画局では、地震発生直後から、女性と子育てのニーズを踏まえた災害対応の働きかけや、職員の現地対策本部への派遣による現地情報の収集や情報発信を行ってきました。また政府全体で、被災女性支援のための取組を取りまとめてきたところでございまして、例えばきめ細かな妊産婦支援や、女性警察官の派遣、女性自衛官による御用聞きなどの対応を行ってきております。
 今後についてですけれども、今後は復興プロセスへの女性の参画拡大を進めるとともに、コミュニティビジネスを含めた女性の起業や就労など、また復興の担い手として、女性の活躍を応援していきたいと思っております。更に女性の悩み相談をきめ細かく行っていく所存でございます。特に窓口対応だけでなく、避難所や仮設住宅での相談を拡充していくことを考えております。更に復興の中での女性の活躍については、私自身も宮城県の現地復興対策本部長としてしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 以上です。
与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
 本件については、基本問題・影響調査専門調査会から提言が出されております。内容を山田会長から御説明願います。
山田議員
資料5をご覧ください。末松副大臣から説明がありましたように、第3次男女共同参画基本計画でも防災分野における男女共同参画の推進は重点分野の1つとなっております。
 そこで災害時に女性などのニーズに配慮した対応、更に復興に当たって女性の力も十分に活躍させること、そして男女共同参画をしながら復興を進めていくことが非常に大事だと考えております。
 この資料5の真ん中の参考の囲みにあるように、防災会議や復興会議の中でも、女性委員の数が少ないことに非常に心配の声が上がっております。これで女性のニーズが本当に把握できるのか、女性の力なくして復興がうまくいくのかということの懸念の声も上がっていますので、この点について是非とも対応をよろしくお願い申し上げます。
 以上です。
与謝野男女共同参画担当大臣
この件について御意見がありますれば、御発言をいただきたいと思います。加藤議員。
加藤議員
加藤と申します。私は3月11日に長野県の副知事に着任をいたしました。未曽有の大災害の当日でございますが、翌12日未明には本県・栄村を中心といたします北部におきましても震度6強に見舞われた被災県でもございます。副知事といたしまして、被災地であります栄村を訪れまして、防災活動におけます男女共同参画の視点の必要性を私は改めて痛感をした次第でございます。
 長野県防災会議は、女性はゼロでございます。ただ、女性を増やそうと思いましても、御案内のとおり、災害対策基本法の条文で職務指定がされております。現在の制度では都道府県の防災会議に女性がメンバーになるということは非常に難しい状況にございます。
 今回の震災によりまして、政府におかれましては、いろいろな法制度が見直されると思いますが、是非災害対策基本法も速やかに見直しをしていただきたい。かつ職務指定だけではなく地域で男女共同参画に取り組みます女性、地域で防災活動に取り組む女性などが都道府県防災会議のメンバーになれるような条文に是非改正をしていただきたいというふうに考えております。
 併せて国の中央防災会議にも女性を増やしていただきたいと思っておりますし、加えて総理の御挨拶の中にもございました、また山田議員からの御説明にもございましたけれども、復興構想会議を始めといたしまして、復旧・復興、あらゆる場の政策決定の場に是非、女性を増やしていただきたいと考えております。よろしくお願いをいたします。
与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。いただいた御意見を踏まえながら、各省庁におかれましては、引き続き、東日本大震災への対応に取り組んでいただきますよう、お願い申し上げます。
 続きまして、「女子差別撤廃委員会最終見解フォローアップ」について、議論をいたします。まず政府回答案について、林政務官から御説明を願います。
林文部科学大臣政務官
資料6をご覧いただきたいと思います。我が国は、女子差別撤廃条約の締結国として施策の実施状況について定期的に女子差別撤廃委員会に報告を行っておりまして、同委員会による我が国に対する審査結果は最終見解として公表をされています。
 2009年に公表された最終見解では、選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正及び女性の参画拡大のための暫定的特別措置について、2年以内にフォローアップを行うこととされております。
 これまで、男女共同参画会議監視専門調査会での議論を踏まえつつ、NGOの方々など等とも意見交換を行いながら、関係府省とともにフォローアップの報告案を取りまとめたところでもございます。
 まず民法の改正については、平成22年1月に民法及び戸籍法の一部を改正する法律案(仮称)を通常国会の内閣提出予定法律案として登録はいたしましたけれども、国会には提出をしなかったこと、第3次男女共同参画基本計画では、「婚姻適齢の男女統一、選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正について、引き続き検討を進める。」と記載していることなどを盛り込んでおります。
 次に、女性の参画拡大のための暫定的特別措置につきましては、第3次男女共同参画基本計画において、意思決定過程への女性の参画を拡大するための数値目標とスケジュールを設定したポジティブ・アクションを導入したこと、最終見解において指摘された分野に関係する数値目標については、第2次基本計画の5項目から第3次基本計画では19項目に増やし重点的に取り組むこと、第3次基本計画で政治分野への女性の参画の拡大について新たに取り上げたことなど、各分野における取組を記述をいたしております。
 以上です。
与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。
 それでは、女子差別撤廃委員会最終見解フォローアップについて、御意見のある方はお願いします。江田法務大臣。
江田法務大臣
選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正につきまして、今、林大臣政務官、御指摘のとおり、国連の女子差別撤廃委員会から数度にわたり勧告されているところであります。この点は、今、お話のとおり、既に平成8年2月に法制審議会において制度の導入を含む民法の一部を改正する法律案要綱が答申されているところであり、法務省としましては、この答申を踏まえて、昨年の通常国会への法案提出をも視野に入れて法案を準備をしておりました。
 しかしながら、この改正につきましては、政府部内においても様々な意見があり、提出が見送られることになってしまいました。法制審議会の答申から15年が経過しても、なお、民法の改正が実現できていないことは法務省としても大変残念なことでありますが、今後とも関係各方面に対し、改正の内容等を十分に御説明しながら、改正に向けて努力していきたいと考えております。
与謝野男女共同参画担当大臣
ほかに御発言はございませんか。鹿嶋議員。
鹿嶋議員
ただいまの発言は、改正に向けて努力していただけるということですので、心強く拝聴いたしました。選択的夫婦別氏制度を始めとする民法改正につきましては、監視専門調査会としても、本年5月に議論を行い、会長である私のほうから民法の改正が必要である旨を各委員に申し上げました。そして、それを男女共同参画会議の場におきまして閣僚の皆様に強く要請すべきであるという結論に達しました。
 私は監視専門調査会で、この問題は煮詰まっているという表現で発言をいたしました。民法改正に関し、今、必要なのは、私は政治的な決断であろうと思っております。それを本日の参画会議で閣僚の皆様に強く要請したいと思っております。是非、政治のリーダーシップを発揮していただいて、民法改正の問題に取り組んでいただきたく、監視専門調査会を代表しましてお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。
与謝野男女共同参画担当大臣
ほかに御意見のある方は。
松下経済産業副大臣
その他で、全体を通して、よろしいですか。
与謝野男女共同参画担当大臣
どうぞ。
松下経済産業副大臣
海江田大臣が出席できませんで、代理で出ております、副大臣の松下です。
 産業構造改革を推進する立場で成長戦略を進めているわけですけれども、その中で、一層の女性の就業促進というのは非常に大事だと考えています。子育て環境の整備、仕事と育児の両立支援、ここをしっかり取り組むことで企業にも働きかけておりますけれども、そのことでM字カーブを少しでもなだらかにしていく努力をしなければいかんと、そう思っております。女性の起業支援等にも相当力を尽くしておりまして、この面でも努力することによってこの問題の解消に努めることができると、そう思っています。一層、努力しますので、よろしくお願いします。
 以上です。
与謝野男女共同参画担当大臣
岩田議員。
岩田議員
社会保障と税の一体改革の成案について発言したいと思います。この問題は、第3次男女共同参画基本計画の中でも大きな課題として取り上げておりまして、例えば社会保険の短時間労働者への適用拡大ですとか、年金における第3号被保険者の問題ですとか、所得税の配偶者控除の縮小廃止、これらを課題として掲げております。これは実は第3次に初めて課題として掲げたわけではなくて、10年前の第1次計画からずっと掲げ続けている課題で、残念ながら何ら進展を見ない大変難しい課題であると思っています。6月30日にまとめられました一体改革の成案の中には、これらの方向を盛り込んでいただきましたので大変ありがたく思っております。
 日本の社会保障制度、税制度は、それらが戦後整備される過程の、当時の社会的な状況、つまり専業主婦家庭が普通であったという、その状況の下に制度設計がされていると思っておりますが、今日では非常に世帯は多様化していることとか、今後のことを考えますと、女性一人ひとりが納得のいく充実した人生を送るということと、高齢社会を支えるということ、この2つを同時に実現するためには解は1つしかなくて、それは女性が子育てをしながら経済活動にしっかり参加して、その結果、経済を活性化することと、社会保障制度や税制を支える側に回るという、このことしか解はないと思います。ですから、一体改革の成案の方向で是非実現を今度こそはお願いしたいと思っております。
 どうぞよろしくお願いします。
与謝野男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。
 それでは、本日の会議は以上でございますが、最後に議長を務めておられる官房長官から御発言をお願いします。
枝野内閣官房長官
大変活発な御議論をいただき、御礼を申し上げます。また、専門調査会の皆さんには、今日の報告に向けての御議論でも御尽力いただきましたことを御礼申し上げます。
 今日、御指摘いただきまして、直感的には思っておったのですが、中で大変刺激を受けましたのは、財政状況の悪い国と男女共同参画が進んでいない国というのが非常につながっていると。まさに日本が明らかに21世紀に入って世界の中でトップランナーではないということの1つの証が、男女共同参画の遅れであるということを裏づける1つの大きな材料だろうというふうに思っております。
 そうした中で、震災対応については、特に復興構想会議のメンバー構成などについては、男女共同参画会議の議長が官房長官をやりながら十分な目配りができませんで、遺憾に思っているところでございますが、ここからの復興に当たっては、男女共同参画の視点が十分に入っていくように努力をしてまいりたいと思っておりますし、今日御指摘いただいた防災会議関連の話は、私も今日初めて伺いましたので、防災担当大臣のところでしっかりと検討していただき、改善できるように努力をしてまいりたいと思っております。
 引き続き、皆様方には様々なお知恵をお借りしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
与謝野男女共同参画担当大臣
それでは、以上をもって会議を終了します。どうもありがとうございました。

(以上)