男女共同参画会議(第36回)議事録

【開催要領】

  1. 開催日時: 平成22年11月22日(月) 18:18~18:52
  2. 場所: 総理大臣官邸3階南会議室
  3. 出席議員
    議長
    仙谷 由人 内閣官房長官(兼 法務大臣)
    議員
    岡崎 トミ子 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
    国家公安委員会委員長
    高木 義明 文部科学大臣(代理 鈴木 寛 文部科学副大臣)
    細川 律夫 厚生労働大臣(代理 小宮山 洋子 厚生労働副大臣)
    鹿野 道彦 農林水産大臣
    家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
    岩田 喜美枝 株式会社資生堂代表取締役執行役員副社長
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    勝間 和代 経済評論家・公認会計士
    勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役会長
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    林 文子 横浜市長
    山田 昌弘 中央大学教授
    出席者
    蓮 舫 内閣府特命担当大臣(行政刷新)
    山花 郁夫 外務大臣政務官
    吉田 泉 財務大臣政務官

【議事次第】

  1. 開会
  2. 議題
    • 第3次男女共同参画基本計画(案)について
  3. 閉会
岡崎男女共同参画担当大臣
皆様、大変お待たせいたしました。議長である官房長官が少し遅れてしまうということですので、会議を始めさせていただきたいと思います。男女共同参画担当大臣の岡崎トミ子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入ります。
 本日の議題は、第3次男女共同参画基本計画(案)についてでございます。男女共同参画基本計画は、男女共同参画社会基本法に基づいて、今後10年程度の政策の方向性と5年間の具体的な施策を定めるものでございます。本年7月の答申を踏まえまして、基本計画を作成しているところでございまして、現時点の案を提示させていただいております。本日、皆様に御議論をいただきまして、本年12月には閣議決定したいと考えております。
 それでは、末松副大臣から、概要について説明をお願いいたします。
末松内閣府副大臣
内閣府副大臣の末松でございます。議事次第に沿って、5分程度で説明をさせていただきます。
 まず、第3次男女共同参画基本計画(案)の基本的なスタンスとしては、資料4の「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」(答申)の内容に沿って検討されたものということです。
 資料2の基本計画(案)の下に「この資料は、内閣府が作成した案であり、今後も調整を進めていくものである」と書いていますように、現時点で各省庁との調整がすべて終わっているわけではございません。大体95%は終わっていますけれども、例えば、国家公務員の指定職相当に占める女性の割合についての成果目標を3%としたい、これは900人ぐらいのうち28人程度なんですが、そう言ったところ各省庁が大反対したため、政治決定ですね、ということで上げていっているところであり、そのようなものも調整中としています。
 資料1に沿って、第3次計画案の特徴を4点御説明させていただきます。
 まず1つ目に、経済社会情勢の変化等に対応して、重点分野を新設したということでございます。資料1の2枚目をお開きください。ここで15分野を提示しております。黄色で星印が付いているものが新しい分野として追加されました。
 2つ目として、実効性のあるアクション・プランとするため、それぞれの重点分野に「成果目標」を配置いたしました。第2次基本計画では42項目でしたが、第3次基本計画(案)では延べ100項目を超える「成果目標」を設定しております。
 3つ目として、2020年に指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とするという目標に向けた取組を推進するということで、中間目標を設定、あるいは政治、司法、経済分野といった今までなかなか取り上げられなかった分野についても、目標を置いているということでございます。
 資料3は「第3次男女共同参画基本計画 成果目標等(案)」でございます。資料3の2ページ目でございますけれども、 <目標>の下に<成果目標>を書いています。例えば、司法分野については、検察官(検事)に占める女性の割合を、平成21年度の18.2%から平成27年度末までに23%まで高めようではないかといったことがあります。また、国家公務員採用試験からの採用者に占める女性の割合を、平成22年度の26.1%から平成27年度末までに30%程度まで上げようということや、国の本省課室長相当職以上に占める女性の割合を、平成20年度の2.2%から平成27年度末までに5%程度にしようということなど、こういったものを大体100項目ずらっと並べております。
 資料1の特徴の4つ目に戻りますが、「M字カーブ問題」も解消しようではないかということで、女性の継続就業支援や再就職支援といったことについても、細かにいろいろと記述しております。
 今回の会議においては、第3次基本計画(案)を議論していただき、御意見を賜ります。その後、与党との調整に入り、その中でいろいろと御議論いただいたものを、再度12月に開催予定の男女共同参画会議の場で御審議いただき、閣議決定を行う、という次第になっております。
 以上です。
岡崎男女共同参画担当大臣
ただいま説明がありましたように、実効性のあるアクション・プランとするために、それぞれの重点分野に「成果目標」を設定すること、政治、司法分野などの分野への取組や新たな分野を盛り込んだことは、今回の基本計画(案)の重要なポイントとなっております。こうした点も含めまして、基本計画(案)について、幅広く御議論をお願いしたいと思います。
 それでは、御意見のある方はお手を挙げていただきたいと思います。
 勝間議員、どうぞ。
勝間議員
3点あります。1点が全体に関すること、2点が成果目標に関することです。
 まず、全体に対する意見として、第2次基本計画までは、男女共同参画の持つメッセージがやはり女性優遇に見えていた。私たちはそういうつもりはないんですが、どうもそう見られている。ですので、第3次基本計画の閣議決定に当たっては、男女共同参画が女性優遇ではなく男性のためにもなるということ、したがって日本の競争力回復に資するんだというメッセージを、是非力強く、対マスコミに向けても、対国民に向けても打ち出していただきたいと思います。
 成果目標に関しては、2点ございます。特にGEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)に関する指標が成果目標に入っていないので、これは是非御検討いただけないかと思います。
 まず、第4分野ですけれども、企業の管理職に占める女性の割合というのがGEMを算出する際の大変重要な指標になっておりますが、それがそもそも参考指標にも入っていない。今現在確か10パーセントちょっとだったと思うんですが、少なくとも参考指標に、できれば本当は成果目標の方で、これを現実的に落とし所がつきそうな数値、例えば30パーセントとは言いませんが、15パーセントとか20パーセントという感じのところに掲げていただけるとありがたい。同じく、男女間賃金格差も69.8というのは非常に大きい数字でして、これもやはりある程度の目安をもって格差をなくすことが、実はそのまま正規、非正規の賃金格差の縮小につながると考えております。もともと今の非正規の賃金は、女性の非正規の賃金に引きずられているところが非常に大きい指標ですので。
 もう1点は、第7分野に関することです。第7分野の参考指標の中で相対的貧困率がありますが、非常に大事な指標として、日本のシングルマザー、シングルファザーの相対的貧困率というのは、実は非常に高いです。シングルマザーが大体60%、シングルファザーが18%ぐらいだという記憶がありますが、こちらの方も少なくとも参考指標に、可能であれば成果目標に入れていただいて、重点的に子育てあるいは男女共同参画の中で回復すべき問題という形で支援項目に入れていただければと思います。
 以上、全体目標に関する競争力回復の話、GEM絡みの数値2点、第7分野のシングルマザー、シングルファザーの相対的貧困が私の意見になります。
岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
 勝俣議員、お願いいたします。
勝俣議員
ありがとうございます。1点目は、成果目標が延べ100項目ぐらいあるということですけれども、それぞれ強制力みたいなものはあるのでしょうかということと、それぞれの手立て、例えば予算の裏付けとか、そういうものはどういうことになっているのでしょうか。
 2点目は、資料3の3ページにおいて、民間部門関係のところが検討中ということになっておりますが、これはどんなことを考えているのでしょうか。民間といいますと、大企業、中小企業といった区分、あるいは業種別にも、非常に格差がある分野ですので、そういう中で数値をつくるというのは非常に無理があるような気がいたしております。
 3点目は、資料3の6ページに自殺死亡率という項目があるんですが、この定義は何でしょうかということと、何となく自殺死亡率まで成果目標とすることに違和感を持っているんですが、いかがなものでしょうか。
岡崎男女共同参画担当大臣
それでは、岩田議員お願いします。
岩田議員
全体としましては、新しい分野を取り上げたり、体系的な成果目標を掲げているということで、非常に意欲的な計画になっているのではないかということで、高く評価したいと思います。
 先ほど勝間さんがおっしゃったことに関係して、2020年までにあらゆる分野で指導的な地位に女性が占める割合を30%程度にするという目標がある中で、民間企業の管理職に占める女性比率は30%以外にはないと私は理解しております。したがって、当然書いていないものは30%だから書いていないのではないかというのが、私の理解です。
 それを申し上げた上で、お願いしたいことがあります。今回の第3次基本計画も、取り上げていることが非常に盛りだくさんです。一つひとつの項目を見ていきますと、課題として非常に大きいものもあれば、そうでもないものもある。それから、既に取り掛かっているものもあれば、長年の課題であり非常に困難な課題もあるということだと思うんです。
 やはり課題として非常に大きくて、そして困難度が高いというのは第2分野だと思います。例えば税制、社会保障制度、家族に関する法制の見直しのところです。具体的には、配偶者控除の廃止ですとか、第3号被保険者制度の見直し、選択的夫婦別氏制度の法制化などがここの分野だと思うんです。これらを通して私たちがやりたいと思っておりますのは、夫だけが働く片働き世帯を標準とした社会から、共働きが当たり前であるという社会に転換するために社会の枠組みを変えようという課題だと思うんです。これらの課題は、10年前にできた第1次基本計画からずっと載っている課題だったり、国連女子差別撤廃委員会が何度も何度も日本国政府に勧告をしている課題です。やはり大きくて難しい課題なので、これまでできてこなかったと思うんですが、政治的なリーダーシップがなければ、とてもこの第3次基本計画期間中にもできると思われません。
 やはり、民主党政権になって、現政権であればこういう課題を前進させくれるのではないかという女性たちの期待が高いと思いますので、是非失望させないでいただきたいと思います。
 もう一つ、個別の課題なんですが、第4分野の中で触れられている女性と仕事の未来館についてです。女性と仕事の未来館というのは、働く女性に対して相談事業や研修事業を行っている施設で、国として女性の就労をバックアップするということについての中核的な施設であり、ある種、非常に象徴的な施設であると思うんです。そのことがこの計画(案)の34ページに書かれています。ところが一方では、最近の事業仕分けで、未来館の施設としての廃止、事業の廃止が言われました。抜本的な見直しは常に必要なことだと思いますけれども、是非利用者の声もよく聞いていただいて、廃止ということにならないように、是非よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
 それでは、加藤議員、お願いします。
加藤議員
私は、第14分野の地域、防災・環境その他の分野における男女共同参画について発言をさせていただきたいと思います。
 基本問題・計画専門調査会でも発言をさせていただいたのですけれども、自治会長に占める女性の割合については成果目標のところに書いてございますが、そこに是非PTAも加えてほしい。今回の資料2では、99ページに成果目標が掲げられており、自治会長に占める女性の割合は載っております。しかし、PTAにおける女性の割合は、資料3の参考指標の方には掲載がございますが、成果目標の中には載っておりません。
 PTA活動というのは、自治会以上に女性によってその多くが担われている訳でございますけれども、会長、副会長は大体男性の方です。民間に対して政府がどういうことを言えるのかという難しい側面はあろうかとも思いますけれども、ここはやはり成果目標に上げていただいて、環境整備を進めていただきたいと考えております。
 第2分野のところでは、社会制度や慣行の見直し、意識の改革について書いてありますが、まさにこういう地域における具体的なところでの男女共同参画が進むことこそが、慣行の見直しや意識の改革というところにつながっていくわけです。また、何よりも子どもたちに対する男女共同参画の教育になります。依然として、PTAにおける男女共同参画は進んでおりません。
 是非文部科学副大臣にも御理解をいただき、PTAにおける女性比率について、成果目標に掲げていただけると大変ありがたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
 続きまして、林議員お願いいたします。
林議員
横浜市では、2010年から2013年までの、中期4か年計画というものを素案からずっと練っておりまして、原案ができてまいりました。12月には正式に決定するんですが、横浜版成長戦略の中に、「女性による市民力アップ戦略」というものを掲げたんです。女性をぱっと打ち出したのは横浜市政史上初めてで、すごく画期的なことです。これはやはり、男女共同参画基本計画に相当後押しをしていただいたということと、私が女性市長であるということもあって、やらせていただきました。
 その中で、特に今、力を入れてまいりますのは、第7分野です。貧困など生活上の困難に直面する男女への支援は、例えば、先ほど勝間さんもおっしゃっていたように、シングルマザーの困窮度というのがかなり厳しいので、こちらもやっております。また、第9分野の女性に対するあらゆる暴力の根絶も、相当厳しいというのが実際の現状です。あとは、第5分野のワーク・ライフ・バランスですね。毎年横浜市は男女共同参画をかなり頑張るんですが、総花的になるので、この辺りの分野を中心にちょっとポイントを置いてやっていきたいと思います。
 最後にお願いなんですが、第1分野がやはり基本です。行政の世界でも、クオータ制など多種多様な手法によるポジティブ・アクションというのは、結構難しい面があるんですよ。ですから、これはやはり国に是非リーダーシップをとっていただきたい。様々な施策ありますが、常に政治、行政、企業など、様々な現場に女性が十分に参画して社会を動かしていくためにも、国は強いリーダーシップでやっていただきたいと思います。
 以上でございます。

(内閣官房長官入室)

岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
 それでは、官房長官、蓮舫大臣がお着きになりました。今、まず記者が入りまして、カメラ撮りをしましてから、議長である官房長官から一言いただければと思います。

(報道関係者入室)

仙谷内閣官房長官
久しぶりの男女共同参画会議でございますが、お忙しいところ御参集をいただきまして、感謝申し上げます。どうもありがとうございます。
 今日の国会議論の中でも、あるいは今流行りの『デフレの正体』という藻谷浩介さんの本でも、要するにデフレの最大の原因は労働力人口が減っていることであって、日本にそれを是正することができる要素がかろうじてあるとすれば、女性に大活躍をしていただくしかないという議論があるわけです。
 従来から、私も参画会議で申し上げたことがあるかと思いますが、非常に有能な女性の、質の高い労働力をなぜ日本は活用できないのかということが最大の問題であることは間違いございません。あり体に言えば、これから女性の社会的な地位を上げる方策をスピードアップする。それから、ちゃんとした資格や技能を持った人をしかるべき方法で処遇できる体制を、本気で、大スピードでやる。そのことを皆さん方と一緒に共有して、やっていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

(報道関係者退室)

岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
 今、皆さんに15分野につきまして、活発な議論をしていただき、御意見をいただいているところでございます。今まで5人の方に御意見をいただきましたので、引き続き御議論いただきたいと思います。
 それでは、家本議員お願いします。
家本議員
今回の検討部分の細かいところについては、十分に色んな議論がなされてきたかと思いますので、私からは1つだけ重要なお願いを申し上げたい。
 今回、12月に閣議決定を予定されているということで、先ほど勝間さんから、男女共同参画は女性のためだけではなく、男性のためでもあるという御発言がありました。もう一つ、これが今の社会の真ん中で活躍されていらっしゃる世代の方たちだけでなくて、これから先の21世紀の特に前半50年をつくっていく若い世代の人たち自身も、男女共同参画ということに対しての意識を是非真剣に向けてほしい。若い世代の人たちにとって男女共同参画は全く無関係な話ではない、若い人たちにもこの男女共同参画というのは非常に重要なんだということを、是非岡崎大臣に、これから御発表される機会がおありのときに、ひとつ添えていただけると大変うれしいなというのが私のお願いであります。
岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。
 続けて、山田議員お願いします。
山田議員
中央大学の山田昌弘です。前回の参画会議の際も述べさせていただきましたけれども、やはり日本の経済停滞というのは、私は男女共同参画が進まなかったというのが一因だと思っております。基本計画(案)の第1部の3段落目にあるように、少子高齢化の進展とか、閉塞感の高まり、グローバル化に伴う課題を解決するためにも、男女共同参画の実現が必要不可欠というのは、もっと強調していただきたいなというのが、私がまず言いたいことの1番目です。
 そして、前回も述べさせていただいたんですけれども、専業主婦がいると男性のお小遣いが少なくなって消費が増えない、共働きの男性ほどお小遣いが増えて消費も増えるということで、男女共同参画は男性のためでもあるということを強調させていただきたい。更に、最近私は内閣府で、地方の婚活というか、少子高齢化のための対策として結婚対策の調査をしているんですけれども、女性を活躍させているところは成果が上がっているんです。やはり昔ながらの嫁をとるというところでは、女性がなかなか結婚しにくい環境にあるということがありました。
 かつ最近、私は国際結婚調査をしています。日本人女性が海外、特にアジアに行って結婚するというパターンの調査の中で、インタビュー調査をしているんですけれども、やはり日本の労働環境があまりよくない。特に女性に対してはよくないので、アジア等に行って活躍して、現地の人と結婚したというパターンが非常に多く見られました。今は日本人女性の1%以上が海外で結婚しております。少なくとも私が会った方は、本当にみんなキャリアを積んで活躍しながら、共働きをしている方が多い訳です。
 日本では、教育までは男女平等がナンバーワンだけれども、仕事の世界にいくと、女性の活躍の場が先進国の中で最低になってしまうというのは、こういうところにも現れていると思います。男性のためにも男女共同参画はありますし、また、女性を活躍させなければ、優秀な女性はグローバル化している社会の中でどんどん海外に行ってしまうというところも、是非お考えいただきたいと思っております。
 以上です。
岡崎男女共同参画担当大臣
山田議員、ありがとうございました。
 それでは、鹿嶋議員お願いいたします。
鹿嶋議員
前回の参画会議で、私どもはエッジの効いた答申をしましたので、是非今度は政府がエッジの効いた計画をつくっていただきたいと申し上げました。
 今、第3次基本計画(案)を拝見しているのですが、やはりこの中で今回の目玉商品になるのは、資料2の6ページ、国会議員の女性候補者のクオータ制に踏み込んだという点で、これは初めてですね。基本計画は行政のアクション・プランであるわけですから、立法府のところまで踏み込めるかという議論は常にあったわけですけれども、これがやはりこれから日本が大きく変わる1つの手がかりになるのではないかと思っています。先ほどの末松副大臣の説明によりますと、まだ今後も調整があるということですが、是非国会議員の女性候補者のクオータ制は最後の閣議決定まで持って行っていただきたいと思っております。
 それから、資料2の8ページの政治分野における女性の参画の拡大については、地方公共団体の議会についても触れております。こういうものが大きな流れになって、今後この考え方が社会に定着していけば、日本は大きく変わるであろうと思っています。
 女性の地位を表す指標で、先ほどGEMの話が出ました。日本は非常に低迷したのですが、実はUNDP(国連開発計画)の方針でGEMは今年から廃止になり、新たにGII(ジェンダー不平等指数)という指標を設けております。こちらですとGEMとは違って、日本が世界12位に上がってしまうんですけれども、これで男女平等が解決したかというと、そんなものではありません。GEMの方は、管理職に占める女性の割合とか、国会議員の女性割合とかを用いて算出されており、非常にハードルが高かったのです。GIIでは、管理職に占める女性の割合が消えてしまった分、日本のランキングが上がったのでしょうが、女性国会議員比率の方は依然、指標として出ています。
 日本に対して一番厳しい評価が下るのは、世界経済フォーラムが出しているGGI(ジェンダー・ギャップ指数)です。今年出た結果では、日本は134か国中94位でした。ここで日本が欧米先進国と比べて極めて劣る分野は、女性の経済的参画の度合いと政治参画です。政治参画のファクターには、女性国会議員比率にとどまらず、女性閣僚比率とか過去50年間の女性元首の在職年数とかがあるんですね。日本はそういう項目は大変低いスコアになってしまうんです。そういうところまで考えていきますと、世界の中で日本が男女平等に関しても誇れる国であるためには、象徴的な項目としてやはり女性の国会議員比率を抜きにしては語れないのではないかと思います。そう考えますと、女性議員候補者比率をこのように基本計画に入れていただくことが、ひいてはエッジを効かせることにもなると思いますので、是非これを大きく育てていっていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。議員の皆様お1人お1人から御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
 先ほどの勝間議員の話と勝俣議員の御質問のところに、事務局の方から説明できる件はありますか。
岡島内閣府男女共同参画局長
男女共同参画局長でございます。
 企業の賃金格差あるいは相対的貧困率等につきましては、いろいろな経済的要因とか、あるいは社会保障制度の再分配効果などがございまして、ここに書いてあるような施策の効果だけでは達成できない部分がございます。したがって、成果目標とはせずに、動きを見ていく、ウォッチしていくという参考指標にさせていただいておりますので、その点御理解をいただければありがたいと思います。
 また、勝俣議員から、この目標について強制力はあるかという御質問がございましたけれども、強制力はございません。ただ、その目標に向かって、政府として努力しますし、民間の方あるいは地方も努力していただくように働きかけるという性格のものでございます。
勝間議員
確認ですが、第4分野に民間における女性管理職比率について参考指標に入れることですとか、第7分野にシングルマザー、シングルファザーの相対的貧困率を入れることは可能ですね。
岡島男女共同参画局長
検討させていただきたいと思います。
岡崎男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。各議員の皆さんから本日いただきました御意見を踏まえまして、よりよい基本計画の策定に向けて、更に検討を進めてまいりたいと思います。
 閣僚の皆様におかれましても、副大臣の皆様におかれましても、積極的な御検討を各省においてお願いしたいと思っております。
 最後に、官房長官から、一言お願いしたいと思います。
仙谷内閣官房長官
精力的な御議論をいただきまして、感謝申し上げます。どうもありがとうございます。今日いただきました意見を踏まえて、各省大臣におかれましては、この計画がより実効性のあるものとできるよう、積極的に取り組んでいただくように、議長であります私からも、強く要請をいたします。
 男女共同参画を進めて、女性も男性も生き生きと暮らすことのできる社会を実現する。特に今、御議論になっておりましたように、小学生、中学生、高校生あるいは大学生もそろそろそうかもわかりませんが、どうも女性優位が確立しつつあると思います。これは冗談半分ではなくて、そんなふうに思うんですが、しかし大学から先はどこも、あの優秀な女性の方々はどこで活躍の場を得ているんだろうという感じが世の中的にする。そのことは、先ほど山田議員がおっしゃられたように、日本の活力を確実に削いでいるのではないかと思います。
 人的な話で申し訳ございませんが、私のところも息子の方はどちらかというと国内志向で、一方、娘2人は海外志向が非常に強うございまして、積極的に海外に出て行きたがる。どうもそういう雰囲気がある。女性には、日本の社会は極めて住みにくいというか、努力して仕事していく価値がない社会だと思われておるのではないかと思うぐらいの実感を持っております。
 鹿嶋議員がおっしゃったように、私は本年2月の男女共同参画会議で、エッジの効いた計画をつくってほしいということを申し上げました。女性が然るべく活動・活躍できる場がつくれないと、日本は国をせっかく開いても、女性の活躍が生きてこないと本心で思っておりますので、政府でそういう認識を持って、エッジの効いた計画の策定、そして実行に取り組んでいきたいと考えております。
 勝俣議員にもおいでいただいておりますので、企業社会の中でも、是非そのことを浸透させていただきたい。我々は官の世界と政治の世界で、今日おっしゃられたようなことが実行できるような工夫をする、まさにそこにミッションがあるんだという思いで、これから頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
岡崎男女共同参画担当大臣
どうも皆さんありがとうございました。
 以上をもちまして、会議は閉会でございます。お忙しい中、お越しくださいまして、本当にありがとうございました。

(以上)