【開催要領】
- 開催日時: 平成22年7月23日(金) 9:30~9:55
- 場所: 総理大臣官邸4階大会議室
- 出席議員
- 菅 直人 内閣総理大臣
- 議長
- 仙谷 由人 内閣官房長官
- 議員
- 玄葉 光一郎 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
- 同
- 原口 一博 総務大臣
- 同
- 千葉 景子 法務大臣
- 同
- 岡田 克也 外務大臣(代理 武正 公一 外務副大臣)
- 同
- 野田 佳彦 財務大臣(代理 峰崎 直樹 財務副大臣)
- 同
- 川端 達夫 文部科学大臣
- 同
- 長妻 昭 厚生労働大臣
- 同
- 山田 正彦 農林水産大臣
- 同
- 直嶋 正行 経済産業大臣
- 同
- 前原 誠司 国土交通大臣
- 同
- 中井 洽 国家公安委員会委員長
- 同
- 岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行
- 同
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 同
- 勝間 和代 経済評論家・公認会計士
- 同
- 勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役会長
- 同
- 加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 佐藤 博樹 東京大学教授
- 同
- 林 文子 横浜市長
- 同
- 山田 昌弘 中央大学教授
- 出席者
- 榛葉 賀津也 防衛副大臣
- 蓮 舫 内閣府特命担当大臣(行政刷新)
【議事次第】
- 開会
- 議事
- 第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方について(答申)
- 閉会
- 仙谷内閣官房長官
- おはようございます。ただいまから男女共同参画会議を開催いたします。議事進行は玄葉男女共同参画担当大臣にお願いをいたします。
- 玄葉男女共同参画担当大臣
-
それでは、議事進行をさせていただきたいと思います。本日の議題は、「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方について(答申)」であり、会議として総理に答申をするものであります。
まず、基本問題・計画専門調査会でとりまとめていただいた内容について、鹿嶋議員から御報告をいただきます。 - 鹿嶋議員
-
それでは、資料1-1として「基本的な考え方」の概要が示してありますので、それに基づいて御説明いたします。
前回、4月15日に開催された参画会議で報告した中間整理の内容から大きな変更はございません。公聴会や意見募集でいただいた意見等を踏まえまして、再度専門調査会で議論を重ねまして、お手元の報告書をとりまとめました。
中間整理からの主な修正点としては、まず左側の「第1部 基本的考え方」をご覧いただきたいと思いますが、その中で触れております、あらゆる立場の人々に男女共同参画の認識が広まらなかったという反省を受けての記述が報告書にはあります。その中で、男女共同参画社会は男性にとっても暮らしやすい社会であることや、働く女性のみではなくあらゆる人々にとっての課題であることなど、身近な男女共同参画について、更なる明確化を行いました。
次に右の「第2部 重点分野」をご覧いただきたいと思います。その第4分野におきまして、「M字カーブの解消」というこれまでの表現について、公聴会等の意見を踏まえまして、働くことを希望しない人を無理に働かせるものではなく、継続就業を希望する人がそれを実現することが難しいという問題を解決する、という趣旨を明確にするために、「M字カーブ『問題』の解消」に修正いたしました。
また、貧困の問題につきましては、第8分野から独立させまして、第7分野として新たに位置づけました。
第9分野や第13分野に記載のある女性・子どもに対する性・暴力表現への対応については、表現の自由との関係から規制に反対といった御意見が多く寄せられました。それを受けまして、「表現の自由を十分に尊重した上で、その流通、閲覧等に関する対策の在り方を検討する」等の記述に修正いたしました。
2月の参画会議では、仙谷官房長官、当時の仙谷国家戦略担当大臣からエッジを効かせるようにという御指摘がありました。以来、いかにしたらエッジを効かせることができるか、それを課題にして私どもはとりまとめを行ってまいりました。
これから政府において第3次男女共同参画基本計画の策定作業を進められると思いますが、本報告書にもあるとおり、是非実効性のある、そしてエッジの効いた計画にしていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 - 玄葉男女共同参画担当大臣
- ありがとうございました。それでは、ただいまの報告を受けて、御意見のある方はどうぞ。勝俣議員、どうぞ。
- 勝俣議員
-
この第3次男女共同参画基本計画の基本的考え方には賛成であります。実感としまして、多種多様な問題があり、我が国の実態から見ると、国際的にも十分評価されていない面が多々あるということで、経済界としても取組を一層加速していくことが必要という認識を持っております。
先日、ある経済人の会議でたまたま女性の活用問題が話題になりまして、各社さんそれなりに努力しているし、大企業で見た場合には制度が充実しているという気がいたしました。
皆さん異口同音におっしゃられるのは、管理職比率で、これはとても難しい。と申しますのは、やはりある程度年功序列的な要素もあり、10年経たないと変わらない。もう一つは育休の問題で、男性の育休が非常に取りにくい。東京電力で申しますと、制度が成立してかれこれ10年経つのですが、取得したのが今までに21人ということで、1年に大体2人ぐらいということ。しかし、1年間休暇を取る者も出てきているということで、当初から比べますと徐々に進んでいるということかと思います。
ただ、これは大企業の話であって、やはり中小企業との格差の問題というのは、これから非常にいろんな意味でクローズアップされてくるのだろうと思います。したがいまして、そこをどうするか。1つには理解活動の徹底と、もう一つの特効薬は経済成長ということかと思っております。
その中でも現状の103万円の壁とか、130万円の壁とか、制度を見直すことによって改善の図れる余地もあろうかと思いますので、よろしくどうぞお願いいたします。 - 玄葉男女共同参画担当大臣
- ありがとうございます。そのほかありますか。では、岡本議員、どうぞ。
- 岡本議員
-
連合の岡本です。よろしくお願いいたします。私は専門調査会、起草委員会に初めて関わらせていただきまして、すごく丁寧に時間をかけて議論をしたということを実感しております。
特に各省庁の皆様からのヒアリングと、起草委員会に担当の方たちも来ていただいて、まさにその場で自分たちがこの第3次基本計画をどの程度きちんと実行できるのかという思いの中で、いろいろな意見を言っていただき、そして加筆修正をしていくということを初めて経験させていただきました。またパブコメであったり公聴会であったりと、かなりいろいろな意見を十分に踏まえながらつくられたものだと思っております。その意味では、第3次計画が省庁の壁を超えてきちんと進んでいくことを期待したいと思います。
また、第2次計画で出された2020年までに指導的立場の女性を30%にするという目標がありましたが、まさに政府の新成長戦略の中でも2020年という目標が掲げられています。ここに「『出番』と『居場所』のある国・日本」というのがありまして、私はとても好きな言葉です。まさに女性も男性も若い方も高齢者の方も、また障害を持っている方、マイノリティーの方たちも、自分達の持つ能力を発揮できる場所というものをきちんとつくり上げていくということが成長につながっていくものかと思います。
先日、改めて署名をいたしましたワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針において2020年までということでの修正が行われて、ワーク・ライフ・バランス、そして新成長戦略、男女共同参画、それぞれが2020年までにどのように実効性のある形にしていくのかということとなり、時期的なことも含めて揃ったなということを感じております。そういった意味では、是非、しっかりとまさに実効性のある取組をしていただきたいと思いますし、民間である私どももしっかり計画を踏まえてやっていきたいというような決意も改めて申し上げさせていただきます。 - 玄葉男女共同参画担当大臣
-
ありがとうございます。そのほかございますか。
それでは、加藤議員、どうぞ。 - 加藤議員
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加藤と申します。よろしくお願いいたします。
「基本的な考え方」の資料の23ページの「(2)具体的な取組」の中に「公共調達の法整備を検討する」という文言が書いてございます。
これに関連して、これまでのコスト削減重視、行政サービスの質の低下や受託先労働者の人権軽視の民営化、行政改革を改めていただきたいと思います。男女共同参画のみならず、深刻化する貧困、格差問題に対して、行政が行う契約の改革から取り組むため、国民のための真の行政改革の観点から、行政刷新担当大臣を中心に内閣を挙げて全閣僚が一体となって、公共調達法の制定の実現に向けた御検討を、是非お始めいただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。 - 玄葉男女共同参画担当大臣
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ありがとうございます。御発言はございますか。
それでは、山田議員、お願いします。 - 山田議員
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中央大学の山田でございます。私は常日ごろから、男女共同参画は女性だけのためにあるのではなく、男性のためにもあるし、さらに日本の経済発展にとっても必要なことだと思っております。
私は家族社会学をやっており、先日、男性の小遣いの国際比較調査というものを行いました。そうしましたら、日本男性は、小遣いの割合が一番低く、非常に少ないということがわかりました。家族形態別に見てみますと、共働きの男性は小遣いは多いんですけれども、片働きの男性は少ない。日本では共働きが少ないので小遣いが少ないという結果がありました。
ですから、私は、女も稼いで男も使う、それで経済成長というスローガンを出したいと思っているのですが、なかなか進まないのが現状でございます。日本の内需を拡大するためにも、是非、女性にもっと働いていただきまして、また男性もどんどん使っていただく。それによって幸福が実現するという社会を目指していく。そのための第一歩としても、今回は「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」に、「男性にとっての男女共同参画」という項目を盛り込んでいただきました。よろしく推進方お願い申し上げます。 - 玄葉男女共同参画担当大臣
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4人の方から大変有意義な御意見をいただいたと思いますけれども、閣僚の方々からも何か御発言があれば。よろしいですか。
外務副大臣、何かありますか。どうぞ。 - 武正外務副大臣
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おはようございます。外務省としましては、ミレニアム開発目標の達成と人間の安全保障の実現に向けまして、男女共同参画の視点を重視しつつ、ODAを実施してまいります。具体的には我が国として力を入れて取り組んできた母子保健等への支援や、人身取引被害者の社会復帰に向けた能力強化など、女性のエンパワーメントの達成及び地位向上に寄与する支援に積極的に取り組んでまいります。
また、女子差別撤廃条約との関係では、昨年8月に女子差別撤廃委員会から出された同条約の実施状況に関する最終見解の指摘事項について、関係省庁とも適切に対処してまいります。 - 玄葉男女共同参画担当大臣
- ほかにございますか。それでは、男女共同参画会議といたしまして、本日お手元に配付をされている「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」、資料1-2でありますけれども、この内容のとおり答申を行う。そして、この答申を踏まえて基本計画を策定するように政府に対して要請するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
- 玄葉男女共同参画担当大臣
- それでは、異議なしということでございますので、このとおり答申を決定いたしました。間もなく総理が到着されるということでございますので、到着されましたら、鹿嶋議員から総理に答申をお渡しいただきたいと思います。
(報道関係者入室)
- 玄葉男女共同参画担当大臣
- 総理の到着までもう少しかかるようなので、少し話していただければ。勝間さん、どうぞ。
- 勝間議員
-
ここ20年ぐらいのさまざまな新規事業を見ましても、実際、女性が起業しているケースが非常に多いんです。それまで起業のチャンスがなかった女性が立ち上がってくる。
例えば昨日、私は佐賀に取材に行っていました。ちょうど福岡から佐賀に大きな道路ができまして、40分で佐賀に行けるようになったんですが、そこにマッちゃんという大きな直売所ができ上がっていました。今そこは年商7億円なんですが、農家の女性が1人で事業を立ち上げたんです。
行って分かったのは、農家の味に加えて、おふくろの味を全部提供しているんです。農家のそういう方が多いんです。そういう女性を応援していくことが本当に地域活性化になるんだな、というのをすごく感じました。
(内閣総理大臣入室)
- 玄葉男女共同参画担当大臣
- それでは、鹿嶋議員から総理に答申をお渡しいただきます。よろしくお願いします。
(答申手交)
- 玄葉男女共同参画担当大臣
- それでは、総理から一言、お願いをいたします。
- 菅内閣総理大臣
-
第3次男女共同参画基本計画の考え方の答申を、鹿嶋先生からいただきました。皆様方の御努力、本当にありがとうございます。
諮問を行ったのが平成21年3月ということで、内閣で言うと私で4代目になりますが、皆さん方には、その間一貫してしっかりと議論いただいたと思います。
男女共同参画というと、これまではどちらかと言えば女性を中心とした課題だという受け止め方がやや多かったわけですが、今回は、そういうことではなくて、まさに男女を越え、特に男性自身が、男女共同参画というものの中身を認識するだけではなくて、行動を持って対応できるかどうかが大変重要だと。そういう視点が数多く盛り込まれていると理解いたしております。
これまで男女共同参画担当というと女性の閣僚にお願いすることが多かったのですが、この内閣では玄葉さんにお願いしたのも、そういう積極的な意味を持っているというふうに御理解をいただければと思っております。
日本の社会のいろいろな問題、行き詰まり等がありますが、その1つが、男女共同参画が必ずしも十分に進行していないことです。特に政治分野でよく言われるのは、国会議員の男女比や閣僚の男女比がありますが、そういうものも含め、女性の皆さんの力といいましょうか、能力というのは全く男性に比べて変わらないということは、私も日々実感をしているところであります。そういう意味で、是非、この答申がそういった新しい意味を持って実行されるよう、私たちも勿論お受けした以上、全力を挙げたいと思います。この答申に関わられている皆さんにも、これからもいろいろ御指導いただくと同時に、それぞれの立場で、大きく前進するよう活動いただくことを心から期待いたしまして、あいさつに代えさせていただきます。 - 玄葉男女共同参画担当大臣
-
それでは、本日決定された答申を踏まえて、実効性のある男女共同参画基本計画を策定してまいりたいと考えております。そのためには、明確な数値目標を定めることが大切で、さらにその目標を達成するための力強い取組をこの計画に盛り込んでいくということが大切だと考えております。
参画会議、基本問題・計画専門調査会において、数値目標、基本計画案について御議論、御意見をいただきながら、計画についての検討を進めていきたいと考えております。
閣僚の皆様には、是非、それぞれの政策に男女共同参画の視点をしっかりと反映させ、この計画の策定に取り組んでいただきますように、私から改めてお願い申し上げたいと思います。
本日の議題は以上でございます。議長である官房長官から、一言最後に締めくくりでお願いいたします。 - 仙谷内閣官房長官
-
先ほど総理に答申を行いまして、皆様方の精力的な御議論、御活動、御尽力に改めて感謝を申し上げたいと存じます。
先ほど山田議員から大変分かりやすいお話をいただきました。私も2月のこの会議の席上では、もう少しエッジの効いた話ができたのでありますが、今は、我が意を得ているというほどの山田先生のお話をこの立場でやると物議を醸すかな、と思いながら聞いておりました。
ただ、私自身は、私を育てた祖母が、「女は仕事、男は家事」というモットーで孫を育てたという、そういう中で育ってきたこともございまして、女性の方々にも稼いでいただいて男が使う、というのはこれこそすばらしい世界だと、この思いはそのとおりです。日本の社会システムあるいは経済をずっと反省しますと、この20年間先進国あるいは途上国と比べて、女性の能力をきちんと社会的に位置づけて処遇ができなかったというのは、日本特有の現象で、そのことがこの産業構造の転換、特にサービス化経済や知識経済、情報化時代への対応が、日本が十分にできていない、その最たる原因だという思いを払拭できないわけでございます。
早く、パブリックセクターも経済界も労働界も、あるいは市民社会の中でも、その能力に応じた出番と居場所がつくれるような位置づけ、処遇がきちんとなされるよう、制度的問題は政府の方で制度化を行い、皆様方と今日出された答申に基づいて精力的に取り組んでいくということだと思います。日本社会の男を中心とする意識改革の面は、是非、警鐘を鳴らしながら私どもも頑張ってまいりたいと思いますが、各界で御活躍の皆さん方にも、その点をよろしくお願いいたします。
政府としましては、玄葉大臣を中心に各大臣にリーダーシップを発揮していただいて、年内の基本計画の策定や施策の実行に、しっかりと取り組んでいただきたい。そのことを各大臣にお願いをして、本日の男女共同参画会議を終了いたしたいと思いますが、総理の方から1点訂正があるということで。 - 菅内閣総理大臣
- 先ほど申し上げた4代は、3代でありましたので、それだけ訂正させていただきます。どうもありがとうございました。
- 仙谷内閣官房長官
- では、本日総理に答申をいただきましたので、これを尊重するというレベルではなくて、できる限りエッジを効かせて実行するということに取り組んでまいりたいと思いますので、どうか皆さん方の御協力をお願いして、この会議を閉じたいと思います。どうもありがとうございました。