男女共同参画会議(第32回)議事録

【開催要領】

  1. 開催日時:平成21年11月26日(木)17:40~18:25
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
 
鳩山 由紀夫 内閣総理大臣
議長
平野 博文 内閣官房長官
議員
福島 みずほ 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
原口 一博 総務大臣
千葉 景子 法務大臣
藤井 裕久 財務大臣(代理 野田 佳彦  財務副大臣)
川端 達夫 文部科学大臣(代理 鈴木 寛  文部科学副大臣)
長妻 昭 厚生労働大臣(代理 細川 律夫 厚生労働副大臣)
赤松 広隆 農林水産大臣
前原 誠司 国土交通大臣(代理 馬淵 澄夫  国土交通副大臣)
小沢 鋭仁 環境大臣(代理 田島 一成  環境副大臣)
中井 洽 国家公安委員会委員長
家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂代表取締役執行役員副社長
岡本 直美 日本労働組合総連合会副会長
帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
鹿嶋 敬 実践女子大学教授
勝間 和代 経済評論家・公認会計士
勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役会長
加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
佐藤 博樹 東京大学教授
山田 昌弘 中央大学教授
出席者
楠田 大蔵 防衛大臣政務官
出席者
西村 智奈美 外務大臣政務官

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)女子差別撤廃委員会最終見解への対応について
    • (2)第3次男女共同参画基本計画の策定について
    • (3)「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」最終報告及び意見について
  3. 閉会

(配布資料)

議事内容

○平野内閣官房長官
それでは、ただいまから第32回男女共同参画会議を開催させていただきたいと思います。議長を務めさせていただいております、平野博文でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
本日は、鳩山総理にも、御出席をいただいておりますので、それでは、まず総理から、ごあいさつをちょうだいしたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣
男女共同参画会議にお集まりをいただきまして、ありがとうございます。新政権になって最初の会議ということで、どうぞよろしくお願いいたします。
新政権は、人の命をとことん大切にする、そういう政権でありたいと願っているところでありまして、そのためには、女性も男性も、それぞれ、この国あるいは世界の中で大いに頑張っていける、そんな国にならなければいけない。そのように思っております。
友愛社会を実現したいと申し上げておりますが、その友愛社会という意味においては、男女共同参画社会になることは当然の前提だと思っておりまして、その前提がまだまだ道半ばというよりも、道が遠いというのが現実の姿だ。そのように感じているところでもございます。
したがいまして、今日お集まりいただいた議員の皆様方がそれぞれの気持ちをしっかりと、この日本の新しい政権に対してものを言っていただいて、真の意味での男女共同参画社会が実現するような、そんな日本にしつらえていただくために、是非、先頭を切って御尽力願いたい。そのように感じているところでございます。
どうも、GEMの指数は、まだ109か国中57位とかと聞いております。今回の総選挙によって女性の数が、若干ですが、増えたことは事実でございますが、その結果を反映させても57位からせいぜい1つ上がったぐらいの話ではないかと思いまして、そういう意味で、先ほど申し上げたように、世界から見れば相当遅れをとっている。まだまだ、女性の皆様方が思い切って、お仕事と生活の充実の中で人生をエンジョイしておられるような状況からは遠い。そのように思います。
私も、自分の孫ができましたので、孫の面倒をどちらが見ているのかなと見ておりましたら、結構、我が家に息子が帰ってきているときには、妻よりも息子の方が面倒を見ていることがあるものですから、少しずつ若者の中には、男女共同参画の意識というものが芽生えているのかなとは思っております。
しかし、まだまだ男性の意識は、世界の平均的な意識から遠いところにある。これが最大の問題だとも思っておりますし、女性の国会議員が増えたとはいえ、まだまだ13.3%という状況でございます。そうなると、男性中心の目で政治をつくっており、本当の意味で男女共同参画になり得ない現実が、政策の中でも出てきているのではないかと思っております。
これから、まさに、医療、介護、福祉、あるいは教育、環境といった、女性の視点こそが重要視されなければならない分野が、やはり大きな日本のネックになってきている。そのようにも思っておりますので、そういうことであればあるほど、男女共同参画社会を進めていくためにも、政治が更に頑張らなければいけない。そして、その政治に対して背中を押していただけるのが、この男女共同参画会議の議員の皆様方だ。そのように思っておりますので、是非、積極的に御意思を私どもにお与えいただいて、私どもの目が覚めるような、そんな政治の状況をおつくりいただくために御高見あらんことを心からお願い申し上げて、私からの、お礼と少しばかりの決意を込めた、あいさつといたします。
お互いに頑張りましょう。ありがとうございます。 (拍手)
○平野内閣官房長官
ここで総理は所用があり、退席をされますので、御理解をいただきたいと思います。
(鳩山内閣総理大臣退室)
○平野内閣官房長官

それでは、これからの進行ととりまとめは、担当大臣の福島大臣の方から進めていただきたいと思いますので、大臣、よろしくお願いします。

○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
どうも皆さん、ありがとうございます。日ごろから男女共同参画に御尽力いただきまして、心から感謝をいたします。
今日は3点の議題がありますが、初めに、本年8月に女子差別撤廃委員会から出された我が国への最終見解への対応について、御審議いただきます。
まず、私から、この最終見解の概要について、御説明をいたします。資料で言いますと、資料1-1をごらんくださいませ。
我が国の女子差別撤廃条約実施状況報告に対する最終見解の概要について、説明をいたします。
ご存じのとおり、我が国は1985年にこの条約を締結しています。我が国における条約の実施状況に関する報告を国連に提出し、今年の7月、国連本部で開催された女子差別撤廃委員会において、第6回報告に関する審議が行われました。その結果が同委員会の最終見解として8月に公表されました。最終見解は、肯定的な側面と主要関心事項及び勧告から構成をされております。
肯定的な評価もありますが、資料の「2」にありますように多くの課題が指摘されています。主要なものとしては、民法改正、個人通報制度が規定されている女子差別撤廃条約選択議定書の批准の検討の継続、雇用及び政治的・公的活動への参画促進のための暫定的特別措置の実施、女性に対する暴力の問題に対する取組、教育分野・労働市場における男女共同参画のさらなる推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、具体的には保育施設の提供と男性の育児休業取得の奨励です。このうち、民法改正と雇用及び政治的・公的活動への参画促進のための暫定的特別措置については、2年以内の報告が求められております。
以上です。
これを踏まえた今後の対応について、御議論いただきたいと思います。皆さんから御意見がありましたら、お願いをいたします。それでは、岡本議員、お願いします。
○岡本議員
連合の会長代行をしております岡本です。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、ただいま福島大臣から御説明がありました、女子差別撤廃委員会からの最終見解の対応についての意見を、資料1-2として、私ども有識者議員4名の連名で提出させていただいていますので、その資料1-2の補足説明をさせていただきたいと思います。
なお、4名の名前が記述されていますが、ここにいます有識者議員、それから、男女共同参画会議の各専門調査会での議論も踏まえて、多くの有識者議員がここに非常に注目をしている、同じ思いであるということを、最初に補足させていただきたいと思います。
女子差別撤廃委員会からは21の主要関心事項及び勧告が出されていますが、特に私どもが提唱させていただきました記載の4項目を重要課題として取り組むべきであると考えております。
民法改正と、女子差別撤廃条約の選択議定書の批准については、これまでも幾度となく勧告を受けてきました。今回の勧告も、相当強い文言で法改正と批准を求めています。国内でも随分長い間、これについては議論をしてきたと思っています。
民法改正については、先ほど福島大臣からもお話がありましたように、2年以内の状況報告を求められていますので、まさに待ったなしの状況というふうに思います。私たちは、新政権になって、これらの課題が大きく進むということを期待しております。
次に、3番目の女性の参画拡大のための暫定的特別措置については、第2次男女共同参画基本計画で政府目標が立てられていますが、このままではとても達成はできないと思います。先ほど鳩山総理からも決意が語られましたが、まさに日本の状況というものは、世界に比べると、あらゆる面で非常に遅れていると思います。今回の衆議院議員選挙で女性の議員の割合が2桁になりましたけれども、多分、国際比較をしますと100位以下ということになると思いますし、総理もおっしゃっていたGEMは57位。それから、GGI、ジェンダーギャップ指数についても134か国中75位。いずれも相当な低さです。政府には、外国の例などを参考にしながら、クォータ制の検討など、率先して大胆な取組みを実行していていただきますよう、要請をいたします。
最後に4番目ですが、内閣府で昨日まで女性に対する暴力をなくす運動を展開されていました。東京タワーがパープルに染まったとおっしゃっていましたが、多分、ピンクリボンの乳がんの運動に比べると、まだまだ大きな広がりを持てていないかなと思っています。もっと更に大きなキャンペーンをしていただきたいと思います。
また、暴力を受けた女性がメンタル面から社会とのつながりを断ってしまうというようなことが起こる場合もありますし、その結果が、貧困とか、更に子どもへの暴力、また、子どもの貧困につながっていきかねない状態があります。こうした女性たちへの相談体制とか支援体制を更に充実させていただいて、もうこれで安心して社会と関われると、こうした女性たちが思えるまでの、息の長い、そして、個人の事情に応じた丁寧な取組を図る必要があると思っています。
以上、簡単に補足をさせていただきましたが、私どもの思いを是非受け止めていただいて、政府においても議論を深め、具体的な対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。ただいまの御提案について、関係大臣から御発言いただきます。
それでは、農水大臣、お願いします。
○赤松農林水産大臣

まず意見としては、実は私も岡本さんと同じことを言おうと思っていまして、福島大臣から御説明があった勧告の(2)と(7)については、特に2年以内の取組を報告しなければならないということですし、特に民主党の政策INDEXには、選択的夫婦別姓などということはきちっと書いてあります。法務大臣も大分発言していますから、是非、担当大臣の福島大臣、あるいは千葉法務大臣を中心にしながら、是非、早期の取組を内閣としてはやっていくべきだということが1つ。
それから(7)のところですが、今、省庁ごとにそれぞれの女性の社会的な活動を支えるような取組をやっています。私は農水大臣ですので、例えば農村あるいは漁村などで言いますと、結構、地域の活性化のための起業みたいなものは多いんです。去年でいうと、9,500件ぐらいやっている。しかし、それでは、農業委員に、農協の役員にどれだけ女性が入っているかといいますと、2%、4%などという実態で、そういった組織や団体に対する働きかけは、我々がやっていかないとなかなか実現しません。旧政権からずっと、組織としては対策本部みたいなものがあるのですが、なかなか生きた形で出なかった。それぞれ組織としては既にみんなあるのですが、ただ、それをきちんと使い切ってこなかった、やり切ってこなかったということが問題です。そんな意味で、農水省もしっかり取り組みますので、各省庁にもいろいろと御協力をしていただきたいし、それぞれ公的活動への共同参画ということで、是非、実の上がるように、よろしくお願いしたいと思います。

○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。
それでは、法務大臣、お願いします。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。
それでは、外務大臣政務官、お願いします。
○西村外務大臣政務官
外務大臣政務官の西村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
外務省の方からは、資料1-4としてお付けしております「女子差別撤廃条約選択議定書」、この件について意見を述べさせていただきます。
先ほど福島大臣、そして、岡本議員から御指摘がありましたとおり、この女子差別撤廃条約選択議定書については大変高い関心があるところだと思われます。この選択議定書の中身については、是非、資料をごらんいただきたいと思います。
ここで定められております個人通報制度が、この選択議定書の言ってみれば肝になるわけでありますけれども、この個人通報制度は、条約に定める権利の侵害について、国内救済を尽くした個人などが行った通報を、委員会が審議して、見解や勧告を通知する制度であります。ただし、この委員会の見解や勧告に法的拘束力はございません。ただ、この個人通報制度は、各人権条約の効果的な担保を図るという趣旨から非常に注目すべき制度だと私たちは考えております。
この制度の受入れに当たっては、いろいろな検討すべき事項がありまして、委員会の見解と我が国の基本的な立法政策や裁判所の確定判決の内容とが異なる場合などについて、立法府・司法府との関係を含めた具体的な対応の在り方についてあらかじめ検討する必要があると思われます。
そのために外務省は、具体的な通報事例を可能な限り収集いたしまして、委員会や関係各国の対応などについて研究を行うための個人通報制度関係省庁研究会というものを、関係各省庁の参加を得て、既に54回も開催してきております。
今後とも、選択議定書の早期批准について関係省庁とともに真剣に検討を進めてまいりたいと考えております。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。
総務大臣、発言はありますか。
○原口総務大臣
公的分野における女性の参画を推進するための取組みでございます。
先ほどお話しになりました女子差別撤廃委員会最終見解への対応でございますが、現状を申し上げると、平成21年度の国家公務員のI種試験等の事務系の採用者に占める女性の割合は、ようやく30.6%。登用については、本省課室長相当職以上に占める女性の割合は、残念なことに、2.0%です。
一方、地方公務員の本庁の課長相当職以上に占める女性の割合は、都道府県で5.4%、政令指定都市で8.2%、市区町村で9.0%です。
「2020年までに、指導的地位に女性の占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」との、男女共同参画基本計画の目標を踏まえ、引き続き、女性国家公務員の採用、計画的な育成、職域の拡大、やはりアドボケートしてもらう、その権利をしっかり明示することだと思います。働きやすい環境整備等を、政府全体として進めていく必要がございます。
本年4月から施行された改正国家公務員法に基づき、能力・実績主義に基づく人事管理の徹底により、意欲と能力のある女性の登用の拡大を図る必要がございます。各府省においても積極的な取組をお願いしたいと思います。
女性の地方公務員についても、同様の目標を定めて、そして、私たちも積極的に働きかけを行っていきたいと思っております。
以上です。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。
女子差別撤廃委員会の最終見解における指摘事項については、しっかり検討し、第3次男女共同参画基本計画に反映させていきたいと考えております。特に、本日の会議で取り上げた4つの重要課題については、今後、関係閣僚間で検討を深め、適宜、男女共同参画会議に御報告いただくこととしたいと存じます。
閣僚の皆様には、まさに政治主導で、積極的に取り組んでいただくよう、お願いをいたします。
それでは、次に、第3次男女共同参画基本計画の策定について、御審議いただきます。
まず、策定に向けた今後の進め方などについて、基本問題・計画専門調査会の佐藤議員から御説明をいただきます。
○佐藤議員
佐藤です。それでは、第3次男女共同参画基本計画の策定について、お手元の資料2-1で御説明させていただければと思います。
平成17年12月に策定されました第2次男女共同参画基本計画における具体的施策は、22年度までに実施する施策について取り上げています。そういうことで、22年度には計画全体を見直すことが必要になっています。男女共同参画会議は、21年3月に総理から新たな基本計画策定に向けた基本的な考え方について諮問を受けております。
現在の社会・経済情勢の変化や課題に対応した、新しい時代にふさわしい計画になるよう、平成22年内の計画策定に向けて、来年夏を目途に答申できるよう、現在、検討を進めているところです。 検討の体制ですけれども、男女共同参画会議の下に置かれた基本問題・計画専門調査会で、計画の方向性や全般的な方向について議論を進めております。また、今回は同専門調査会の下に8つのワーキンググループを設置し、それぞれ担当する論点を分けて整理をしているところです。
ワーキンググループにおける主な検討課題については、そこに挙げられております。特に先ほど総理からもお話のありましたような、政策・方針決定過程や地域などにおける女性の社会への更なる参加、男女共同参画の意義についての男性の理解等々について、グループを分けて検討しております。
ワーキンググループにおける議論の成果を、年明けの基本問題・計画専門調査会に報告し、専門調査会で、計画の方向性について政務三役に随時御報告しながら、重点事項や重点分野について議論を進めたいと考えております。
具体的なスケジュールですけれども、年内はまず現行の2次計画のフォローアップを行うと同時に、先ほど御説明しましたように、ワーキンググループに分かれて論点の整理を行いたいと思います。 そして、それらの議論を踏まえて、来年4月ごろには中間整理案をとりまとめて、パブリック・コメントや公聴会などを通じて多方面から御意見を伺い、その上で、来年の夏ごろには新たな基本計画策定に向けた基本的な考え方をとりまとめ、それを男女共同参画会議から総理へ答申するというような予定を考えております。
そういう意味で、22年中の第3次計画策定に向けて、さまざまな御意見を踏まえて、今後、精力的に答申案を検討していきたいと思います。
以上です。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
どうもありがとうございました。
皆様から御意見がありましたら、お願いをいたします。
○勝間議員
10月2日に、福島大臣、大島副大臣、泉政務官の政務三役のお方々と、こちらの有識者議員との間で懇談を実施いたしました。そのときに出た内容のポイントを資料2-2にまとめましたので、こちらを簡単に説明させていただきます。こういった内容を是非、基本計画の方に盛り込んでいただきたいと考えております。
まず、先ほど総理大臣の方からも御指摘がありましたが、GEMが非常に低いということです。これは国会議員における女性議員の割合とか、管理職に占める女性の割合等で成り立つ指標ですが、こちらが全世界の中でも低く、OECD諸国中でもほぼ最低であるということについて、是非、御理解をいただいて、景気回復のためにも、この指数の上昇をお願いしたいということ。 2番目としまして、この低い原因の一つとしましては、やはりM字カーブの問題です。出産及び妊娠で7割の女性が辞めてしまうということ。結果として、男女の賃金格差が、今、女性が大体3分の2でして、これも先進国の中で極端に低い水準になっております。しかも、実はこの問題は非正規雇用に影響を与えておりまして、女性が非常に低い値段で非正規雇用に就いてしまうがゆえに、男性の非正規雇用も非常に低い値段になってしまうという市場メカニズムを招いて、全体的な格差の拡大につながっております。
3番目に、先ほどクォータ制というものがございましたが、ようやく育児休暇のクォータ制が始まりましたけれども、それだけではなく、さまざまな分野で、こういったような有識者会議は勿論のこと、あるいは企業におけるとか、国や自治体における入札制度その他で、是非、男女共同参画をしている企業に対する優先配分とか、さまざまな委員会に対しての割り当てということを行っていただきたいということ。
4つ目としましては、とにかく就業継続のための対策は子育て支援に限るということでして、これがないので少子化になってしまう。少子化になると私たちが全員困るという状態ですので、やはり子どもを育てながら就業継続できるようにして、子育てに結び付けるということをお願いしたいと思います。
次のポイントは、とにかく大変な待機児童の問題でして、これは待機児童のキャパシティーを増やせば増やすほど、結局、ほかの女性たちが、私も働きたかったんですと手を挙げて、いつまで経っても待機児童が解決しない。こちらは、実は待機児童が100万人ぐらいおり、2万人、3万人ではないという前提の下に、是非、この保育園の計画について見直しをお願いしたいと思っております。
次の問題で、女性の社会進出なんですけれども、こちらも実は大きな問題になっております。やはり、私たちが東京に住んで東京に暮らしていますと、どうしても都会の問題ばかり見てしまうんですが、これまでの男女共同参画、私たちの反省としまして、都会に住んでいる女性の正規社員がキャリアを積むためにはどうしたらいいか、といった議論が多く、全体的な女性の参画における計画になっていなかった。そこで、例えば。特に第一次産業従事者の方や地域の方をどうやって男女共同参画に活躍していただくかという視点を是非とも入れていきたいということです。
次が民法改正の問題でして、やはり民法改正、特に選択的夫婦別姓については、男女共同参画に大きく役に立つと考えております。これは選択制ということで、必ずしも別姓でなければいけないということではありませんので、男性、女性がもっと結婚しやすくすることによって、少子高齢化対策にもなりますし、共同参画にもなる。
最後が、女性に対する暴力が、本当に諸外国に比べて非常に甘いというのが私たちの危機感でして、実際にテレビとかゲームでこれだけ氾濫している。暴力を明らかに受けた人でもなかなか離婚ができない、保護されない。このような状況というのは非常に問題があると思いますので、ここは是非、具体的な対策を立てていただきたいと考えております。
以上になります。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。
ほかの方で、どなたか御意見はありますか。
それでは、第3次男女共同参画基本計画については、先ほどの佐藤議員からの御説明にあったとおり、来年中に策定すべく、検討を進めることといたします。検討に当たっては、閣僚や有識者の皆様の御意見を踏まえながら、国民にとって身近な、新たな時代にふさわしい計画となるようにしてまいりたいと考えております。勝間議員の御指摘も、本当にありがとうございます。
○勝間議員
できれば、GEM20位以内ぐらい大胆な目標を置きまして、進めていきたいと思います。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
頑張りましょう。ありがとうございます。
それでは、3点目の論点で、続いて「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」について、御審議いただきます。
まず、監視・影響調査専門調査会の最終報告について、同調査会会長の鹿嶋議員から御説明をいただきます。
○鹿嶋議員
監視・影響調査専門調査会の会長の鹿嶋でございます。「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」の報告書及び意見をとりまとめましたので、資料3-1を中心に御報告申し上げます。
この報告書は、各種統計のほか、実地調査とか各省庁からのヒアリング、一般からの意見募集も行った上で、男女共同参画会議の下に置かれた監視・影響調査専門調査会がとりまとめたものです。
資料3-1を改めてごらんいただきたいのですが、ここでは冒頭の※のところに書いてありますように「生活困難」は経済的困難に加えて、教育や就労、それから、健康面や社会的な孤立、そういう社会生活上の困難も含めた広い概念としてとらえております。この生活困難が広まって、かつ現在の経済危機の中で悪化しているのではないかという問題意識、危機意識を持ち、そういう中から検討してまいりました。
右側のグラフを基に説明いたしますと、上の方のグラフは女性の方が男性よりも貧困に置かれやすい状況を示しております。また、下のグラフは、特にマル印が付いているところですが、単身の高齢の女性、母子世帯、それから、母子世帯の子どもたちが貧困に置かれやすい状況ということがわかります。
聞き取り調査等の結果を踏まえますと、いわゆる生活困難がその子どもにまで連鎖して、固定化するような状況が起きている。原因をたどっていくと、かなり複合化しているというようなところがありまして、例えばDV被害者ですと、DVによって被害を受ける中で、精神的にもかなり厳しい状態になり、その結果、仕事に就けないばかりか、その子どもも、例えば親が教育に目が行き届かなくなった結果、学校を中退したりする。そうすると、その子どもも安定した職業に就けないという連鎖・固定化という問題が出ております。
さらにはもう一つ、男性にも独自の問題がありまして、父子世帯は相談相手も少なくて、公的な支援も受けにくい。そして、地域からも孤立するといったような状況です。これらの背後には、女性が出産・育児で仕事を中断する。さらには、非正規雇用が女性に集中しやすいという問題がございます。特に2003年から女性の非正規雇用者は5割台に達しておりまして、大変大きな問題になっております。 それから、暴力が女性の自尊心を傷つけるという点については先ほど勝間議員も申し上げたとおりですが、就業や社会参加を更に困難にしていると思っております。
また、男が稼ぐというプレッシャーを、今は若い男性たちが受けているんです。そういうジェンダーバイアスによって、最近の若い男性たちのいわゆる未婚化といいますか、稼ぎが少ないがゆえに結婚に思い切って踏み切れないようなところがあります。年収が200万円前後の若者たちが、今、かなり出ていて、若い女性たちに愛のプロポーズができないのです。
私のゼミの学生たちに聞きますと、お父さんからおまえの恋人はフリーターだから結婚相手にはふさわしくないといったことを言われるそうで、だから恋人と結婚相手は別であるなどと言っている。そういう状況や男が稼ぐ人というジェンダーバイアスがあるから、若い男の子は結婚にどうもちゅうちょするようになっているのではないかと思っております。
2ページをごらんください。このような状況を踏まえまして、やはり男女共同参画の推進は、生活困難を防止するという点からも、不可欠であると思っております。
白枠で囲ったところが、その対応策ですが、セーフティーネットの再構築が必要だと思います。今までのセーフティーネットは、長期勤続とか、それから、家族の福祉的機能が十分果たされることが前提になっておりましたが、今はいわゆる有期雇用の若者たちも増えているわけですから、セーフティーネットが、再構築される必要があると思っております。
それから、生活困難を抱える人々の持てる力を十分に引き出すような支援というものも必要です。精神的な回復が必要な人々に対しては、その回復を支援するような仕組みも改めて考えなくてはなりません。
さらには、女性が出産・育児後も就業継続・再就業し、経済的に自立できるような環境整備も必要です。
また先ほど申し上げましたように、生活困難が子どもの方にまで移転しているわけですから、そういう生活困難の世代間の連鎖をいかに断ち切るかというのが、大事であろうと思っております。
こういう施策を推進する上で大事なことが、その支援を行う多様な主体の連携プレーだと私は思っております。病気や経済的困窮など、1人が複数の困難を抱えるような状況に対しては、複数の支援を組み合わせまして、そして、1人の個人に対して、これは大変行政としては難しいことになるんですけれども、切れ目のないサービスとか対応をしていくということが、大事だと思うんです。そのためには、国とか地方公共団体とかNPO、さらには企業も含めた多様な主体の連携が、今後、一層大事であると考えております。
最後になりましたが、先ほど総理が友愛社会の前提として男女共同参画社会の形成が必要だということをおっしゃっていましたが、大変心強く感じております。高度経済成長期と違う、新たな経済の枠組みとか価値観の形成が必要な中で、新しいものを創造する上で、絶対に避けて通れないものが男女共同参画社会を作るということであって、男女共同参画社会基本法の前文に書いてあるように、それが21世紀の最重要課題というのは誠にそのとおりであると思っております。
総理を始め、皆さん、ここにおられる方々のリーダーシップを期待すると同時に、是非、今、申し上げたようなことを、すなわち男女共同参画というものは理念もさることながら、生活と結び付いている役に立つものだということを御理解をいただいて、各省に落としていただきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)

ありがとうございます。ほかに御発言はありますか。

○岩田議員
生活困窮者の問題をジェンダーの視点から分析するというのは、今回が初めてだと思います。そういう意味では、鹿嶋議員を会長として、大変難しいですけれども、いい仕事をしていただいたと思います。
それで強調したいのは、鹿嶋さんもおっしゃっていただいた最後の点ですが、生活困難者は、困難が重層的である、複合しているというケースが多いです。母子家庭であり、そして、健康上の問題を抱えていたり、離婚の原因がドメスティックバイオレンスであったり、原因が多重だと思います。ですから、それに対する支援策も1つでいいかどうかというと、必ずしもそうではないこともあるんです。
例えば、雇用対策と福祉対策の両方の対策が必要だということもあると思います。国がやっている支援プログラムと、自治体がやっている支援プログラムを結び付けないといけないということもあると思います。それから、行政がやっていることと、NPOなど民間の力を借りてやることをうまくコーディネートすれば問題がもっと解決できるということもあると思うんです。
ですから、言いたいことは、生活困窮者というものは、困窮の原因が多層であるので、対策も一筋縄ではいかず、また、抱えている問題が一人ひとり違うので、対策はオーダーメードである必要があるということです。サービスを提供する主体が複数あって、それをうまく一人ひとりに、オーダーメードにつくらないといけないと思うんです。
今はサービスの提供側の都合で仕組みができているわけです。国と自治体、あるいは省庁間、官民のサービスを提供する側の都合の仕組みになっている。それを、サービスを受ける側の都合でどうやったら最適のサービスを、最も効率のいいコストで提供できるか大変難しい課題だと思いますけれども、是非、新しい政権には、そのことを期待したいと思います。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。
今の話を聞いていますと、緊急雇用対策でやるハローワークのワンストップサービス、総合対策や、そこに自殺対策として、できればハローワークに心の健康相談、保健師さんたち、あるいは法律相談、多重債務、弁護士や司法書士を組み合わせてということを、今、やっておりまして、今、岩田議員がおっしゃったことと重なる部分もあると思います。ただ、もっと広範囲なことも、きちっと言っていただいたと思います。ありがとうございます。
ほかに御意見はありますか。どうぞ。
○原口総務大臣
私は、岩田議員がおっしゃったことを全面的に支持したいと思います。
特に、生きづらさ、働きづらさを感じている、特に女性たちにさりげなく寄り添う仕組み、これは、行政は非常に苦手です。例えば京都にこみカフェ「ゆめ・はあと」という、これは女性がおつくりになったNPOですけれども、1日2時間でも働くことができるようにアドボケートする、あるいはエンパワーする。これをNPOでやっていく。そのことによって、一番身近な人たちが、一番問題意識を持った人たちが一緒に解決方法を考えていく。
今、360万人の方々が、ある意味、引きこもりで、そして、今後、この政権でうつ基本法あるいは引きこもり基本法というものをつくっていきたいと思っているのが一方でございます。もう片方で、やはりそのための税制、私は税調のメンバーですけれども、市民公益税制というもので、1回中央にお金を集めて、それをさまざまな分配によって行政が使うというのではなくて、直接、ダイレクトにNPOに回していく。そういう仕組みも是非考えていきたいと思っています。
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ほかに御意見はありますか。よろしいですか。
女性の貧困の問題は深刻であり、男性でも生活上の困難を抱えている人は多く、早急な対応が必要です。今回、初めてこういうアプローチをしていただいたことを大変感謝いたします。困難な状況の次世代への連鎖を断ち切るということをやっていきたいと思います。
本報告は、こうした認識に基づき、今後の取組みの方向性を示すものです。本件については、資料3-2のとおり、本会議から内閣総理大臣及び関係各大臣に対する「意見」として、決定することとしたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○福島内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
ありがとうございます。特に生活困難者は貧困の問題でもあるので、きちっと取り組んでいきたいと思います。
それでは、異議がないことを確認いたしましたので、そのように決定いたします。
官房長官、本日の議題は以上です。最後に一言、お願いいたします。
○平野内閣官房長官
ありがとうございます。それぞれ闊達なる御意見・御報告をちょうだいいたしまして、大変ありがたく思っております。
この男女共同参画というものは、国民生活の中での非常に大事な視点として、関わっていかなければならないものである。このように思っておりますし、特に鳩山内閣におきましては「コンクリートから人へ」ということで、国民の皆様方の一人ひとりにそういう状態をつくっていく。特に男女共同参画ということを中心にやっていきたい。こういうことでございます。
今後とも、そういう考え方の下に、大胆に取組みをしてまいりたい。このように思っておりますので、これからも、この本会議につきましては適宜開催をいたしまして、各議員の皆様方の貴重なる御意見を拝聴したい。そのことを踏まえて、内閣としてそれぞれ実行していきたい。このように考えておりますので、どうぞよろしくお願いし、今日のお礼に代えたいと思います。
ありがとうございました。

(以上)