男女共同参画会議(第30回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成20年10月28日(火)18:45~19:20
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
     
    麻生 太郎 内閣総理大臣
    議長
    河村 建夫 内閣官房長官
    議員
    小渕 優子 内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)
    鳩山 邦夫 総務大臣
    森  英介 法務大臣
    中川 昭一 財務大臣(代理:竹下亘財務副大臣)
    塩谷  立 文部科学大臣
    舛添 要一 厚生労働大臣
    金子 一義 国土交通大臣
    佐藤  勉 国家公安委員会委員長
    岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員副社長
    植本 眞砂子 全日本自治団体労働組合副中央執行委員長
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役会長
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    佐藤 博樹 東京大学教授
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    出席者
    浜田 靖一 防衛大臣(代理:北村誠吾防衛副大臣)

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に関する取組について
    • (2)「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」最終報告について
    • (3)その他
  3. 閉会

    (配布資料)

    資料1-1
    政策・方針決定過程への女性の参画の拡大 [PDF形式:389KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-2
    各分野における「指導的地位」に女性が占める割合 [PDF形式:65KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-3
    女性の政策・方針決定参画状況調べ(平成20年度) [PDF形式:395KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-4
    国家公務員採用 I 種試験等による採用内定状況(平成21年度) [PDF形式:91KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-5
    女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果(総務大臣提出資料) [PDF形式:704KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-6
    国家公務員採用Ⅰ種試験の合格者・採用者に占める女性の割合の推移 [PDF形式:118KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-7
    「女性の参画加速プログラム」に基づく女性国家公務員の登用の拡大についてのフォローアップ調査について [PDF形式:201KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-8
    国の審議会等における女性委員の参画状況調べ(平成20年度) [PDF形式:875KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-9
    地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成20年度) [PDF形式:232KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-1
    「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」(最終報告)(概要) [PDF形式:302KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-2
    「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」(最終報告) [PDF形式:819KB] 別ウインドウで開きます
    資料3
    各専門調査会の今後の調査の進め方について [PDF形式:72KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-1
    平成21年度男女共同参画推進関係概算要求のポイント [PDF形式:110KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-2
    平成21年度男女共同参画推進関係概算要求額(総括表) [PDF形式:159KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-3
    平成21年度男女共同参画推進関係概算要求額(分野別内訳表) [PDF形式:284KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-4
    平成20年度男女共同参画推進関係補正予算額のポイント [PDF形式:95KB] 別ウインドウで開きます
    資料5
    男女共同参画会議(29回)議事録(案)[PDF形式:298KB] 別ウインドウで開きます

    議事内容

    河村内閣官房長官
    ただいまから、第30回「男女共同参画会議」を開催いたします。
     本日は、麻生内閣が発足して最初の男女共同参画会議です。皆様におかれましては、遅い時間の開催にもかかわらず、御参集いただき、誠にありがとうございます。
     本日は、麻生総理大臣にも御出席いただいております。
     初めに、総理より御挨拶をいただきます。
    麻生内閣総理大臣
    有識者の皆様に夕方遅くお集まりいただきまして、誠に恐縮に存じます。
     男女共同参画社会基本法というのは、たしか小渕総理のときに制定されたと記憶するんですが、時代が変わって、今やそのお子さんがこの担当ということになっておられるんですが、今、日本で随分時代が変わってきて、昔に比べていろんな分野で活躍しておられる女性が増えてきたことは間違いないと思うんですけれども、もっと有為な人材がいるのではないかというお話はよくあるところでもあります。
     したがいまして、そういった有為な人材が埋もれているのは、誠に人物経済上、甚だ損失でもありますので、いろんな意味で日本にとってこれから高齢化とか少子化とかいろんな表現がありますけれども、その中で高齢者と女性の活躍はものすごく大きな部分なんだと、私自身はそう思っております。この会議が牽引役みたいになって、ここまで来たんだと思いますので、是非いろいろな形で女性が働きやすいような環境という表現もあるでしょうし、いろいろあるんだとは思いますが、やはり意識の変革がないといけない。
     国会議員というのは意外と競争社会でもありますので、選挙に勝たないとどうにもならない。選挙に勝ち上がってくれば皆給料も同じ。そういった競争社会になっていますので、その意味では、意外と国会議員というのは、何回か当選をされてきた方がそれぞれ皆活躍できる条件というのは、むしろ女性の方が優位になっているかなと思うぐらいなんですけれども、いずれにしても、この男女共同参画会議は数えて30回になると思うんですが、皆様方の御活躍をお願い申し上げるとともに、小渕優子担当大臣への御支援とお力添えをお願い申し上げて、御挨拶に代えさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
    河村内閣官房長官
    それでは、議事に入ります。議事進行は小渕男女共同参画担当大臣にお願いします。なお総理は後の予定が入っておられますので、中座されます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    それでは、御指示がありましたので、議事進行を務めさせていただきます。
     初めに、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る取組につきまして、御報告いたします。
     資料1-1をごらんください。平成17年に閣議決定された第二次男女共同参画基本計画においては「2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」との目標が明記されております。しかし、社会のさまざまな分野における女性の参画状況を見ますと、全体として緩やかに伸びてはいるものの、2020年30%の目標達成には、まだまだ努力が必要です。現状に関する資料は、資料1-2、1-3としてお手元に配付しておりますので、ごらんください。
     こうした状況を踏まえ、更に戦略的に女性の参画を進めるため、本年4月には、男女共同参画推進本部において女性の参画加速プログラムを策定し、取組の重点分野として、医師、研究者、公務員をとりあげております。
     このうち、特に、率先した取組が求められる我々公務部門については、国家公務員の管理職の登用に関して、2010年までに5%という目標を新たに設定しております。また、国家公務員の採用については、基本計画において、国家公務員採用I種試験の事務系区分試験について30%程度という目標が設定され、既にこれに向けた取組が進められているところです。
     まず、この国家公務員に関する取組に関し、内閣官房長官より、平成21年度の国家公務員採用I種試験等による採用内定状況について、御説明をお願いいたします。
    河村内閣官房長官
    それでは、資料1-4をごらんいただきたいと思います。昨日公表いたしました国家公務員I種試験等による来年度の採用内定者に占める女性の比率は、内定者全体に占める女性の比率は25.6%でありますが、事務系区分については30.1%と昨年度から大きく増加し、過去最高となっております。
     各府省においては、今後とも、女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けて、更に積極的かつ広範な取組を進めていただきますようお願いいたします。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     続いて、総務大臣より、女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する取組状況等に関し、基本計画に基づくフォローアップの実施結果について、御説明をお願いいたします。
    鳩山総務大臣
    資料1-5として配付してありますけれども、昨日、女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等について、男女共同参画基本計画(第2次)に基づくフォローアップ結果を公表いたしました。
     資料1-6をごらんいただきたいと存じます。各府省においては女性の採用拡大に向けた努力をしていただいており、平成20年度の国家I種等事務系区分の女性採用者の割合は、24.2%となって、これは前年度に比べると0.9ポイント減少しているんですが、一昨年に比べれば1.8%の増加。そして、今、官房長官からお話がありましたように、平成21年度の採用内定者に占める女性の割合は、30%を超えるという形になっております。
     こうしたことから、女性の採用拡大の取組が着実に進んできていると考えられます。各府省におかれては、平成22年度ごろまでに国家I種事務系区分の女性採用者の割合を30%程度にするとの目標達成に向け、今後とも御尽力をいただきたいと存じます。
     他方、女性の登用状況については、資料1-5の1ページにありますけれども、平成19年1月現在の本府省幹部級の女性職員の人数は169人と、1年前に比べて14人増加しております。なお、その割合は1.9%となっておりまして、前年度比0.2ポイントの増加でございます。まだまだ低い数字です。
     各府省においては、具体的な登用目標の設定や、女性が就いたことのない、または就いたことの少ないポストへの登用などの取組を実施して努力していただいているところでございますが「2020年度までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という男女共同参画推進本部の決定も踏まえて、より一層の取組をお願いしたいと思います。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。引き続き、私より何点か御報告を申し上げます。
     資料1-7をごらんください。本資料は、女性の参画加速プログラムを受けた各府省の取組を紹介し、各府省の取組を促すことを目的として、フォローアップ調査を行い、その結果をまとめたものです。女性の参画加速プログラムを踏まえた取組の充実・強化が着実に図られております。
     次に、資料1-8をごらんください。現在の国の審議会等における女性委員の参画状況は、32.4%となっており、全体としては、昨年より0.1ポイント増加しています。各府省におかれましては、女性委員の登用につきまして、一層の取組をお願いいたします。
     また、地方公共団体における取組の状況につきましては、資料1-9のとおりとなっております。
     私からの報告は以上です。
     それでは、ここで各大臣より、本議題に関連した各府省の取組について、御紹介をいただきたいと存じます。挙手の上、御発言をお願いいたします。
     厚生労働大臣、お願いいたします。
    舛添厚生労働大臣
    医師の分野における女性の参画への取組について申し上げます。
     近年、医師国家試験の合格者に占める女性の割合が約3分の1にまで高まるなど、医療現場における女性の進出が進んでおり、出産や育児といったさまざまなライフステージに対応して、女性医師の方々が安心して業務に従事していただける環境の整備が重要であると考えております。今、産科も小児科も新人は、半分以上が女性の医師という状況です。
     このため、安心と希望の医療確保ビジョン、5つの安心プランにおいても、女性の参画加速プログラムを踏まえ、女性医師の離職防止・復職支援等に関する施策を盛り込んでおります。これを踏まえ、平成21年度予算概算要求において、女性医師を始めとした女性の医療従事者の支援のため、病院内保育所の運営を支援する事業の拡充。
     短時間正規雇用の導入による、女性医師の出産・育児と勤務との両立等の支援。
     退職した女性医師に対する復職のための研修を支援する事業や女性医師バンクへの支援のほか、病院勤務医の負担の軽減を図るため、事務作業を行う医師事務作業補助者、メディカルクラークと呼んでいますが、これを設置・養成する際に必要な経費の助成事業、院内助産所・助産師外来を設置・運営する病院に対する助成事業等を盛り込んでいるところでございます。
     今後とも、これらの取組を含め、女性医師の方々が、安心して就業の継続や復職ができるような環境の整備に努めてまいりたいと思っております。
     以上です。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     文部科学大臣、お願いいたします。
    塩谷文部科学大臣
    文部科学省における女性研究者への支援についてでございます。
     女性研究者の活躍は、今後、我が国が科学技術の分野において国際競争力を維持・強化する上でも、また、多様な視点・発想を取り入れた研究活動を活性化させる上でも重要であります。
     研究者に占める女性の割合が12.4%と、現在、欧米諸国に比べて著しく低い状況にありますので、第3期科学技術基本計画において、女性研究者の採用割合については、2010年度までの分野別数値目標を設定し、自然科学系全体で25%を目指すこととしておりますが、特に保健系以外、つまり理学系、工学系、農学系の分野においては、これを達成できないでおります。
     このため、文部科学省では、①女性研究者の出産・育児による研究中断からの復帰や研究継続を可能とするための支援、②大学や研究機関が行う、研究と出産・育児等との両立支援のための環境整備への支援、さらに、③女性が科学技術分野に進む上で参考となる情報の提供や女子中高生と女性研究者等との交流促進などの施策を講じてきております。
     平成21年度概算要求におきましては、これらの施策を引き続き推進するほか、特に女性研究者の採用割合が低い分野における採用・養成を加速させる等、大学等における女性研究者支援の総合的なシステム改革を目指しております。
     男女共同参画の観点はもとより、我が国の科学技術を支える人材を育成・確保するため、今後とも女性研究者の活躍促進に努めてまいりたいと思います。
     以上です。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     総務大臣、お願いいたします。
    鳩山総務大臣
    総務省においては、女性職員の採用・登用拡大計画を18年3月に策定して、女性職員の政策決定過程への参画の拡大に取り組んできました。去る9月19日には、この計画を改正し、より一層の女性職員の採用・登用の拡大を目指すことといたしております。
     今回のポイントは、①女性の参画加速プログラムに基づき、女性管理職の割合を3%程度増加させる数値目標を設定すること、②女性職員が心身ともに健康で安心できる職場環境を整備するための研修を充実すること、③テレワークの活用等、所管行政における関連施策を推進することの3点でございまして、今後も本計画に基づいて、女性職員が政策決定過程により多く参画できるよう、省を挙げて取り組んでまいりたいと思っておりますが、実は誠に申し訳ないことですが、総務省は女性の優秀な幹部級の方が各府省に相当出向しておりますものですから、総務省の数値を聞かれると、より悪いという情けないことになっておりますが、今後励んで頑張りますので、よろしくお願いします。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     国土交通大臣、よろしくお願いいたします。
    金子国土交通大臣
    私から、国土交通省における保育所の設置に向けました検討状況について御紹介をさせていただきます。
     男女共同参画社会の形成に向けた政府全体の方針を踏まえまして、他省庁に比べまして女性職員の登用という点で取組が遅れております国土交通省から先進的に取り組んでいこうということで、省内の保育所の設置について検討を進めてまいりました。本年7月に当時の冬柴大臣から事務方に検討の指示があったと聞いております。
     設置を検討中の保育所は、東京都の認証保育所として広く一般に開放されるものとして位置づけることによりまして、国土交通省及び周辺機関に勤務する国家公務員並びに、一般の方や日比谷公園周辺の民間企業の方も利用できるものとする予定であります。
     今後、必要な財政措置、千代田区、東京都との調整が必要ですけれども、関係の皆様方にも実現に向けた御協力を是非ともお願いをいたしたいと思います。
     以上です。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。なお、内閣府におきましては、本年7月に内閣府本府「女性職員の採用・登用拡大計画」を改正し、女性管理職員の割合を3%程度増加するという目標値を明記し、それに沿った登用を進めてきております。また、平成21年度の採用内定者は、12名中6名が女性となっております。
     それでは、ここで内閣官房長官より御発言をいただきたいと思います。
    河村内閣官房長官
    社会のあらゆる分野における女性の参画の拡大に向けた取組は、男女共同参画社会の実現に向けた、重要な柱の一つであります。
     特に、国家公務員につきましては、行政に多様な視点を取り入れるという観点からも、率先垂範した取組が求められております。各府省におかれましては、女性職員の採用・登用の拡大に向けた取組のほか、職員が働きやすい環境整備等についても、本日御紹介のあった府省における取組も参考にしながら、前向きに取組を進めていただきますようお願いいたします。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。
     それでは、次の議題に移ります。
     基本問題専門調査会においては、昨年7月より地域における男女共同参画について、調査審議を行ってまいりました。本年6月には中間報告を行い、その際にいただいた御指摘等を踏まえた最終報告を、先日、10月7日に公表したところです。本報告について、同専門調査会会長の袖井議員に、御説明をお願いいたします。
    袖井議員
    基本問題専門調査会会長の袖井でございます。
     基本問題専門調査会の「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」の最終報告の御報告をいたします。
     男女共同参画社会の実現には、身近な地域における取組が重要な鍵であるとの問題意識の下、基本問題専門調査会では、昨年7月から、地域における男女共同参画の現状と課題を分析し、地域における男女共同参画推進の今後のあり方について検討を重ねてまいりました。前回の男女共同参画会議におきまして、その中間報告をさせていただきました。
     その際に議員の方々からいただきました御意見を踏まえ、更に検討を重ねてとりまとめたものが、現在お手元にあります資料2-1と2-2でございます。2-1が概要版でございますので、こちらを見ていただきたいと思います。これは今月の7日に公表させていただいたものでございます。
     その内容ですけれども、従来の知識習得や意識啓発を中心とした取組から、地域の課題解決のための実践活動中心の取組への展開、すなわち、男女共同参画の取組の第2ステージへの移行を提唱するという基本的な枠組みは、中間報告とは変わっておりません。最終報告では、人材の確保・育成に関する記述や事例を中心に内容を充実しております。
     また、中間報告の段階におきまして、男女共同参画センターに関するデータがあまり十分ではないというような御指摘もございまして、7月に全国の男女共同参画センター等の職員の給与や研修への参加状況に関する実態調査を実施いたしました。これは男女共同参画センターに関する初めての広範にわたる調査ではないかと思いますが、その結果、指定管理者が運営する男女共同参画センター等は、地方公共団体直営の施設に比べて給与水準が低い職員が多い、また、非正規職員の割合が高い等の実態が明らかにになりました。
     この結果を踏まえまして、特に指定管理者が運営する男女共同参画センター等について、民間の視点や手法等を生かした運営ができるというプラスの効果を生み、住民サービスを向上させるためにも、優秀な人材の確保・育成ができるよう、職員の処遇に対する配慮が必要であるという記述を加えております。
     その他、わかりやすくするために、全体の構成や記述内容を再整理し、また、参考事例を多数加えました。その結果がお手元にあります最終報告でございます。
     この報告書に述べられておりますように、男女共同参画の視点を生かした地域の多様な主体の連携・協働は、地域の人々の意識を変え、男女共同参画を根づかせるとともに、地域社会を支え、新たな発展を生み出す原動力となると考えております。
     私からの報告は以上でございます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。男女共同参画社会に向けた取組を全国的に推進していく上では、国民生活に密着した地域における取組は極めて重要です。政府としては、今後、本報告書を踏まえて、地域レベルでの実践的な取組を効果的に支援できるよう、工夫を講じてまいりたいと考えております。
     それでは、ただいまの2つの議題に関し、御意見のある方は、挙手の上、御発言をお願いいたします。
     岩田議員、お願いいたします。
    岩田議員
    各大臣から国家公務員の問題について御発言があったんですけれども、確かに採用の入り口のところで30%を超えたということですとか、各省庁それぞれ取組をしていただいていることは高く評価できると思います。
     しかしながら、本省の室長、課長以上の比率が1.9%という御報告がありました。今日の配付された資料1-2を見ますと、民間企業の場合は9.7%です。ですから、国家公務員は女性は出産・育児期に辞めないで、仕事が続くということについては、民間企業より良い環境にあると思うんですが、管理職に登用するという面では民間企業よりも大きく遅れていると思います。
     したがって、やはり民間企業がどういう努力をしてきたかということを民間から学ぶことが大事だと思いますし、場合によっては中途採用ということで、民間の女性を思い切って国家公務員の本省の管理職として登用するという、そういう思い切った取組がないと、従来の延長ではとてもこの水準では行かないのではないかと思います。
     もう一つは、私自身も国家公務員制度改革の推進本部の顧問会議のメンバーをさせていただいているんですが、今日の女性医師の問題とか女性の研究者の問題もそうなんですが、それぞれの領域に大きな構造問題があると思うんです。例えば医療ですと医療現場の崩壊と言われているような問題。公務員ですと国家公務員制度改革問題があると思うので、それと切り離して、女性の参画だけの議論というのはあり得ないと思いますので、そういう構造的な問題を議論する中で、女性にもっと活躍してもらうという視点をいかに入れ込むかということが大切だと思います。
     ですから、この男女共同参画会議としても、そういった幾つかの大きな構造改革問題に男女共同参画会議として、どういうふうに発信していくかということも、これからはやっていかないといけないのではないかという感じがしております。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     加藤議員、お願いいたします。
    加藤議員
    地域における男女共同参画の推進ということにおきましては、総理大臣からも御発言がございましたように、意識という問題に関わってくる問題でございますので、極めて難しい課題を包含しているところでもございますけれども、地域にかける男女共同参画の推進というのは、我が国の男女共同参画の今後を占う上でも、推進する上でも極めて重要な分野だと考えております。
     さて、袖井先生から先ほど概要の御説明がございましたけれども、資料2-1の次には概要がとりまとめられておりますが、報告にございましたように、これからは地域における多様な主体な連携・協働に基づいて、男女共同参画を進めることが極めて重要だということが何度も出てまいります。
     この多様な主体の連携・協働につきましては、今後、定期的に評価をし、推進の阻害要因等を明らかにし、改善策を設けていただきたいと考えております。
     連携・協働のきっかけにつきましては、あるときは防災、あるときは観光、地産地消、あるいは医療や介護、消費者問題等々、きっかけはいろんな分野から入っていただいてよろしいのだろうと思いますけれども、そういう分野におきましても、必ずその男女共同参画の視点を横軸として差し込んでいくという意識を常に持って、取り組んでいく必要があると考えております。
     さらに、多くの地域の課題は、国や世界の動きと連動しているわけでございます。よって国の政策も男女共同参画の視点で、その効果を評価をして見直す。また、企画立案をしていく。それが地域における男女共同参画を加速させる上で、地域課題を解決する上からも重要だと考えております。
     参画会議の場ではございますけれども、政府におかれましては、消費者行政の充実・強化、並び消費者庁の設置を表明いただいているところでございますが、医療や介護の分野同様に、消費者問題でも消費者あるいは被害者というふうにひとくくりではなくて、男女共同参画の視点、性別による分析、評価を推進していただきたいと考えております。
     国民生活センターでは、寄せられる消費生活相談内容を年代だけではなく、性別での分析も行っておられます。他省庁でも可能なところからで結構でございますので、こういう国民生活センターで行われているような、性別による分析等を政策の中に取り入れていただきたいと考えております。
     最後でございますけれども、概要の中で男女共同参画センターの役割、国立女性教育会館も含めて、役割について触れられているところでございますが、高齢女性も含めて消費者被害が拡大している今日、男女共同参画センター並びに消費生活センターの連携・協働が大事だと考えております。
     そして、これら機関は女性の人権を始めといたしまして、消費者の権利を擁護促進させる上でも、言わば国民生活の安全・安心を確保するセーフティーネットとしての役割を担っているわけでございます。事業運営を効率性のみならず、豊かな評価指標をつくっていただきたいと考えているところでございます。
     以上です。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ほかに御意見はありますでしょうか。
     植本議員、お願いいたします。
    植本議員
    ありがとうございます。参画加速プログラムを具体的に実践をするということで進めていただいている点については、評価を申し上げたいと思います。
     ただ、今、御報告が各大臣からもございましたけれども、各省庁ごとに管理職の比率にかなりばらつきがございまして、やはり平均というよりは、それぞれが到達目標に達成できるように、なお一層の努力をしていただきたい。これは逆に労働組合サイドでも、なかなか進んでいないという自戒を込めて申し上げておきたいと思います。
     とりわけ女性医師の就業の継続支援ということについては、医師不足の解消に寄与することもございますので、是非総合的、具体的な対策を積極的に進めていただきたい。このように御要望を申し上げたいと思います。
     2番目に御報告がございました、地域における男女共同参画の在り方の最終報告、とりわけ問題解決型の実践活動を中心とする第2ステージへという、この方向性について、しっかりと受け止めをさせていただきたいと思っています。
     ただ、地方公共団体や男女共同参画センター等との地域の多様な主体との連携。このことが強調されているということについては、非常に心強く感じているところなんですけれども、この推進のために是非とも、男女共同参画センターの拡充やこのたび報告で付け加えられております人材育成の視点ということを、重要な観点として進めていっていただきたいと思います。
     そして、それを推進する推進体制の強化ということが、何より不可欠ではないかと考えております。特に町村レベルで男女共同参画に関する計画の策定。これは達成率のところで書かれているわけですが、31.9%にとどまっておりまして、各県においても管内での策定率が80%以上の府県数が12という形で、都道府県の官の格差も大きくなってきていると考えていますので、地域での男女共同参画を一層進めていくためにも、町村での計画策定の一層の支援を求めたいと考えています。
     同じように条令の策定比率についても、地区では40%ですが、町村では7.5%という低い率にとどまっておりますので、条令や計画というのは単に形ではなくて、男女共同参画の基盤づくりとして大変重要なことでなりますし、地域の意識改革そのものや連携強化という視点からも、是非とも条令や計画の具体的な策定の支援をお願いをしたいと思います。
     自治体の財政難で政策の優先度が、どうも後退しがちな自治体が多く見受けられるわけでございますけれども、地域活性化の視点からも男女共同参画が重要であるということについての発信を改めてやっていっていただきたいと御要望を申し上げたいと思います。
     以上です。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ほかに御意見はございますでしょうか。
     ありがとうございました。議員の皆様方の御意見をしっかり踏まえまして、今後とも男女共同参画社会に向けた取組を全力で進めてまいりたいと思っております。
     続きまして、資料3をごらんください。現在、男女共同参画会議の下には、4つの専門調査会が設けられております。これらの専門調査会につきましては、資料3のとおり、調査審議を進めていただきたいと考えております。
     続きまして、資料4-1をごらんください。平成21年度の男女共同参画推進関係予算の概算要求について、内閣府においてとりまとめました。総額は、約4兆4,000億円で、前年度予算に比べ、約2,400億円の増要求となっております。
     重点事項としては、まず子育て支援策の充実や仕事と生活の調和の推進のための経費の充実・強化が図られています。また、女性の参画加速プログラムにおいて重点的に取り組むべき分野とされた女性医師、女性研究者の活躍促進に関する経費についても、さらなる拡充に向けて、関係府省より要求が出されております。
     また、平成20年度の補正予算についても、資料4-4のとおりまとめましたので、御参照ください。
     以上で本日の議題は終了です。既に御確認いただいております前回の議事録と本日の会議資料は、従前のとおり公開とし、本日の議事要旨も後日公表いたします。
     官房長官、以上です。
    河村内閣官房長官
    ありがとうございました。
     それでは、これをもちまして、第30回男女共同参画会議を終わります。皆さん、誠にありがとうございました。

    (以上)