男女共同参画会議(第29回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成20年6月13日(金)17:30~18:18
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
    議長
    町村 信孝 内閣官房長官
    議員
    上川 陽子 内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)
    増田 寛也 総務大臣
    鳩山 邦夫 法務大臣(代理:河井克行法務副大臣)
    額賀 福志郎 財務大臣(代理:遠藤乙彦財務副大臣)
    渡海 紀三朗 文部科学大臣
    若林 正俊 農林水産大臣(代理:岩永浩美農林水産副大臣)
    甘利  明 経済産業大臣(代理:新藤義孝経済産業副大臣)
    冬柴 鐵三 国土交通大臣
    岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員副社長
    植本 眞砂子 全日本自治団体労働組合副中央執行委員長
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    鹿島 敬 実践女子大学教授
    勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役社長
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    神津 カンナ 作家
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    橘木 俊詔 同志社大学教授
    出席者
    石破 茂 防衛大臣(代理:江渡聡徳防衛副大臣)

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」最終報告及び意見について
    • (2)「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」(中間報告)について
    • (3)各専門調査会の今後の調査の進め方について
    • (4)その他
  3. 閉会

    (配布資料)

    資料1-1
    政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況及び今後の取組に向けての意見(高齢者の自立した生活に対する支援について) [PDF形式:422KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-2
    「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」報告書(概要)[PDF形式:386KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-3
    「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」報告書 [PDF形式:1,359KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-4
    高齢男女の自立した生活に関する調査結果(概要版)[PDF形式:393KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-1
    「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」(中間報告)(概要)[PDF形式:299KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-2
    「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」(中間報告)[PDF形式:895KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-1
    各専門調査会の今後の調査の進め方について [PDF形式:178KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-2
    「仕事と生活の調和」実現度指標 [PDF形式:800KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-3
    企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット [PDF形式:1,357KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-1
    「女性の参画加速プログラム」(平成20年4月8日男女共同参画推進本部決定)(概要)[PDF形式:199KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-2
    「女性の参画加速プログラム」(平成20年4月8日男女共同参画推進本部決定)[PDF形式:329KB] 別ウインドウで開きます
    資料5
    平成20年版男女共同参画白書(平成20年6月13日公表)(概要)[PDF形式:826KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    女子差別撤廃条約実施状況第6回報告(仮訳)[PDF形式:812KB] 別ウインドウで開きます
    資料7
    『カエル!ジャパン』キャンペーンについて [PDF形式:189KB] 別ウインドウで開きます
    資料8
    男女共同参画会議(28回 議事録(案))

    議事内容

    内閣官房長官
    ただいまから、第29回目の「男女共同参画会議」を開催いたします。お忙しい中、どうもありがとうございます。
     去る4月8日に男女共同参画推進本部で「女性の参画加速プログラム」を決定いたしました。このプログラムでは、重点分野の1つに公務員を挙げまして、現在1.7%程度の大変低い政府全体の女性管理職割合を平成22年度末までには5%程度に上げたいということを、数値目標として盛り込みました。
     また、先般成立いたしました、国家公務員制度改革基本法の中でも、男女共同参画社会の形成に資するということがうたわれているところでございます。
     今後、国家公務員をはじめとして、あらゆる分野における女性活躍推進法に向けて、政府を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
     また、福田内閣は全員参加の社会ということをスローガンに掲げて、いろいろな政策をやっておりますけれども、高齢期におきましても、男女がそれぞれの意欲や能力を最大限に発揮できる環境づくりが必要であると考えまして、高齢の男女の目線に立った、よりきめ細やかな支援を進めていきたいと考えているところでございます。
     今日の会議では、そういう観点からの報告について意見交換を行うこととしておりますので、各議員から忌憚のない御意見をいただきますように、よろしくお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    (報道関係者退室)

    内閣官房長官
    それでは、議事に入りますが、議事進行は、上川男女共同参画担当大臣にお願いいたします。
    上川男女共同参画担当大臣
    御指示がございましたので、議事進行を務めさせていただきます。
     高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査につきましては、監視・影響調査専門調査会において御議論いただき、最終報告がとりまとめられております。これにつきまして、本日、同専門調査会の鹿嶋会長から御報告がございます。それでは、鹿嶋会長、よろしくお願いいたします。
    鹿嶋議員
    監視・影響調査専門調査会会長の鹿嶋でございます。
     高齢者の自立した生活に対する支援について、監視・影響調査専門調査会において調査審議し、報告書並びに意見案をとりまとめましたので、御報告を申し上げます。
     資料1-2の報告書の概要の1ページを用いて、説明いたします。
     今回、監視・影響調査の問題意識を上段に示しています。国民の5人に1人が高齢者であり、その6割近くは女性が占めております。また、昨今は団塊世代の高齢期への移行、未婚や離婚の増加による家族ネットワークの弱化、非正規雇用の増加など、新たな変化も見られているところであります。
     今回の報告では、高齢者の自立支援に関わる状況や施策の在り方について、男女別や家族形態別の観点から分析し、課題をとりまとめました。高齢者施策についての男女別の検討は、従来、あまり行われてきませんでしたが、今回の分析によって、これまであまり見えていなかった政策課題も浮かび上がってまいりました。調査審議に当たっては、独自の実態調査も実施しましたが、調査の結果、高齢者の中でも特に単身世帯において厳しい状況が見られるとともに、男女それぞれに特徴的な課題があることも、明らかになりました。
     詳しくは資料1-4に示しておりますが、かいつまんで御説明しますと、高齢者女性の中でも特に離別女性が厳しい経済状況に置かれており、非正規雇用が多いなど、若い時期からの雇用状態が強く影響していることがわかりました。
     他方、単身の高齢男性について、地域において人づきあいがないなど、孤立の問題が際立つとともに、一部ではありますが、深刻な経済困窮を抱えている層も見られました。
     更に単身の高齢者の約4割が借家等に住み、その家賃等の負担が低所得層を中心に重くなっている実態もわかりました。
     このような調査で明らかになった男女の違いも踏まえながら、高齢者の自立支援に関わる施策の今後の取組につきまして、分野別に5つの柱立てで整理しております。具体的には資料1-2の1ページの下段をごらんください。
     まず第1でございますが「高齢男女の就業促進と社会参画」についてです。高齢女性を対象とした就業相談、能力開発等の充実、高齢女性が活躍できる職業領域の開拓等を求めております。
     第2は「高齢期の経済的自立につなげるための制度や環境」についてです。多様なライフスタイルに中立的な税制・社会保障制度の構築のほか、若い時期からの対策として就労における男女の均等な機会と公正な待遇の確保等を求めております。
     第3は「家庭・地域における支え合いの下での生活自立」についてです。急増する単身高齢者の自立生活をサポートする生活支援体制の整備、高齢者が安心して暮らせる住まいの確保等を求めております。
     第4は「性差に配慮した医療・介護予防」です。効果的な医療を実施するため、性差医療の推進等を求めています。
     第5は「良質な医療・介護基盤」についてです。女性の介護負担の軽減という観点も含めて、介護支援の充実と良質な介護基盤の構築等を求めております。
     以上でございますが、今回、監視・影響調査専門調査会での審議等を通じて痛感した点は、冒頭にも申し上げましたように、高齢期の男女間格差は若い時期からの男女の置かれた状況の違いが複合的に蓄積された結果だということであります。その意味で、均等な機会と公正な待遇の確保など、若い時期からの男女間の格差是正を推進すること、すなわち、男女共同参画を軸にした取組を各世代を通じて積極的に展開することが大切であると思っております。
     最後に本報告書を踏まえ、各府省において積極的な対応がとられるよう、男女共同参画会議としての御検討をよろしくお願い申し上げます。
    上川男女共同参画担当大臣
    それでは、ただいまの御報告に関しまして、皆様から御意見を賜りたいと存じます。挙手の上、発言をお願いいたします。
     橘木議員、お願いいたします。
    橘木議員
    高齢者に対する支援については、年齢に応じた対策が重要だと考えます。3つほど申し上げたいと思います。
     75歳以上の高齢単身者の約8割は女性です。こういう人は働くことがほとんど困難なものですから、セーフティーネットの充実が極めて重要になると思います。今回のとりまとめ意見では、住宅施策について提言していますが、高齢単身世帯で持ち家でない世帯は約4割を占め、特に所得の低い貧困層で住宅費の負担が生活を圧迫していることが、調査でも明らかになっています。
     ヨーロッパの住宅に関する公的補助の仕組みが日本よりも手厚いことはよく知られていますが、そのような海外の取組も参考にしながら、自分で働くことが困難な高齢の女性の低所得者層に対しての公的住宅の整備や民間賃貸住宅への補助の在り方等を検討していく必要があるかと思います。
     第2番目は、単身世帯の増加などで高齢者の介護施設への入所の需要が増える一方ですが、現在のように介護労働者不足が深刻化している状況では、介護施設もなかなか増えませんし、介護サービスの質の低下が懸念されます。結果的に女性が8割を占めている介護労働者の処遇について、低賃金の状況を改善し、男女ともに働きがいのある職場とすることで良質な介護人材の確保を図っていくことが、緊急の課題と考えています。
     第3番目は、まだ身体的にも元気で働く意欲のある高齢者については、就業や社会参画の場を増やしていく必要があります。高齢者にはこれまでの経験やそれによって培ってきた能力があるわけですから、それらを就業や地域で活かしていくための就業支援や、高齢者だからこそ適していると思われる職業領域の開拓が極めて重要です。
     更に、子育てや介護により就業を中断せざるを得ない女性が依然として多いのですが、一度退職すると、次のよい職がなかなか見つからないという現状を踏まえますと、そういう女性の子育てや地域、社会活動で培った経験を積極的に評価し、改めて働くことによって活躍の機会があるような仕組みづくりに、政府としては是非とも取り組んでいただきたいと希望いたしております。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     植本議員、お願いいたします。
    植本議員
    私からも3点申し上げたいと思います。
     1つは、今、御報告いただいた現状分析のところにも明記されているわけですが、公的年金の受給額は、正社員中心の働き方をした女性が男性の約半分になっている。また、正社員の中でも、勤続年数の男女差が受給額に反映されている状況が、年金受給者においてもあります。
     生活保護の被保護人員の4割が高齢者であり、その6割が高齢単身女性ということ、このたびの調査結果で改めて明らかになったわけです。一方、いわゆる「ワーキングプア」と言われている方々が約1,000万人を超えているわけですが、彼らが高齢期を迎えたときのことを想像していただきたいと思います。この解決のためには、やはり現役時代の働き方、働かされ方と言う方が適切かもしれませんが、その改革をしっかりやっていかなければならないのではないかと思います。
     報告の8ページの(2)にありますように、同一価値労働・同一賃金の原則を踏まえた均等待遇の実現が、現役時代の働き方改革においては不可欠だと考えております。しっかり働いて、しっかり税金を納めて、しっかり消費できる自立した男女労働者が、いきいきと暮らす地域社会が必要なのではないか。そして、それこそがワーク・ライフ・バランス社会の実現にもつながっていくと考えています。
     そのためには、働く場での均等待遇を実現するとともに、もう一つは、税と社会保障制度の問題が大きく関わってくると思います。配偶者控除の扶養控除への統合や児童手当の拡充、社会保険の雇用保険の全被用者への適用の問題、3号被保険者の見直しなど、税制、社会保障制度を見直して、性に中立的で、多様なライフスタイルに中立的な制度にしていくことが重要であると考えています。
     現在議論中でもあり、昨日中間報告の骨子が公表されております社会保障国民会議、更に社会保障審議会の場で、今申し上げた視点を含めて、早急に総合的に議論されるべきであると考えます。
     2点目は、3の「(2)高齢者の自己決定の尊重」に関してですが、多様な生き方をした高齢者がその地域で進められる高齢者に関する施策を自ら選択をして、推進するという仕組みも、早急に検討していただきたいと考えています。
     国外の先進事例として例示がされていますデンマークの高齢住民委員会は、自治体議会の社会福祉に関する委員会が政策や予算の審議に当たって、必ず高齢者委員の意見を聞くという仕組みになっており、委員の選出の方法も含めて法制化されていると聞いております。早急に検討いただき自立を促進し、そして、判断をしていく、そういう仕組みに組み込んでいっていただきたいと考えています。
     3点目は「(5)良質な医療・介護基盤の構築」であります。介護労働者の8割が女性であること。そして、就労している介護福祉士が20万人で、資格はあるが就労していない介護福祉士がほぼ同数かそれ以上の22万人という状況の中で、介護現場は慢性的な人手不足にあえいでいます。この原因としては、低賃金で過重労働ということが挙げられると考えております。介護従事者処遇改善法も踏まえた良質な介護サービス基盤の確保に向けた、介護労働者が安心して働き続けることができる環境づくりも早急に進めていっていただきたい。このように考えております。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
     ほかによろしいでしょうか。
     高齢化が急速に進む中におきまして、人生における高齢期の重要性が大変高まっております。男女がともに健康で安定した生活を送るための取組が重要となっております。高齢者の自立支援をより効果的に実施していくためには、従来の政策を絶えず検証し、その時代の男女の置かれた状況や意識の違いに十分配慮した政策にしていくことが重要であります。
     本報告は、こうした認識に基づき取組の方向性を示すものであり、今後、各省におかれても精力的な取組が求められることと考えております。本件につきましては、資料1-1のとおり、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し意見を述べることとしたいと存じますが、いかがでございましょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、そのように決定いたします。
     それでは、次の議題に移ります。男女共同参画の今後の地域レベルでの推進方策に関しまして、基本問題専門調査会の袖井会長に、同調査会におけるこれまでの調査検討状況等につきまして、御説明をお願い申し上げます。
    袖井議員
    基本問題専門調査会会長の袖井でございます。
     基本問題専門調査会の「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」と題する中間報告について、御報告いたします。
     資料2-1と2-2がございますが、主として資料2-1を見ていただきたいと思います。
     男女共同参画社会の実現には、身近な地域における取組が重要な鍵であるとの問題意識の下、昨年5月の男女共同参画会議におきまして、基本問題専門調査会における調査検討のテーマを、「男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について」とすることが決定されました。
     この決定を受けまして、基本問題専門調査会では、地方公共団体、男女共同参画センター及び関係団体等からヒアリングをいたしまして、地域における男女共同参画の現状と課題を分析し、地域における男女共同参画推進の今後の在り方について検討を重ねてまいりました。その検討結果に、本年4月から実施いたしましたパブリック・コメントの結果を盛り込んでとりまとめたものが、この中間報告でございます。中間報告の概要を図示したものが、資料2-1でございます。
     男女共同参画社会基本法の制定から9年が経ちまして、男女共同参画社会の実現のための取組は着実に進められつつありますが、地域においては人口減少、地域の活力の低下など、さまざまな課題が存在しております。また、地域に住む人々は就業・再就業、ワーク・ライフ・バランス、子育て等、さまざまな課題を抱えています。
     このように地域においてさまざまな課題がある中で、今後は課題解決型の実践的な活動中心の男女共同参画の推進が求められるという点が、この中間報告のポイントでございます。つまり、第1ステージが、従来の知識習得や意識啓発を中心とした取組と捉えられます。
     右側にあります第2ステージは、地域の課題解決のために多様な主体、この主体というのは、地域のさまざまな官民の団体・組織などを指しますが、そうした主体の連携や協働による実践的な活動を中心とした男女共同参画の取組へということで、いわば第2ステージへの移行が必要であるといった点が、この中間報告のポイントでございます。このような新たな段階の取組が地域の課題を解決し、地域を活性化し、個人の能力の発揮にもつながり、また地域における個人や組織のつながりを形成して、一人ひとりが尊重される男女共同参画社会の実現につながるものと考えられます。
     このような取組を推進するに当たって重視すべき点として、1番目は地域における多様な主体の参画の確保、2番目はワーク・ライフ・バランスへの配慮、3番目は地域の実情の考慮、4番目は国際的な活動との連携を挙げております。
     また、地域の男女共同参画の拠点としての男女共同参画センター等の役割の重要性、地方公共団体、NPO、地域団体、企業、大学等の地域における多様な主体の連携・協働、男女共同参画を推進する人材育成等についても取り上げております。
     ヒアリングや私自身が地方にまいりました経験などから、男女共同参画というものが単なるスローガンではなくて、着実に地域に根づき始めたという印象を持っております。
     本日の男女共同参画会議の議員の皆様からいただきました御意見を踏まえまして、基本問題専門調査会では、更に検討を深めて、本年秋に最終的な報告書をとりまとめる予定でございます。
     私からの報告は以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     それでは、ただいまの報告に関しまして、皆様から御意見を賜りたいと存じます。挙手の上、御発言をお願い申し上げます。
     神津議員、お願いいたします。
    神津議員
    この会議の議員になりましてから、さまざまな地域の男女共同参画関連のイベントなどに講師などで招かれることが多くなりまして、いろいろなところに伺っております。そうやっていろいろな地域に行ったときの印象として思っていることを、お話させていただきたいと思います。
     当たり前のことですけれども、地域といってもさまざまでございまして、都市部に遜色なく、むしろそれ以上に意識が高く、非常に高度なことに取り組んでいるところも勿論多いのです。一方、農村漁村などを含めて過疎化の進んだ地域などでは、管轄のセンターなどは頑張っていらっしゃいますし、地元の方たちの活動もありますが、正直言って、住民の中には男女共同参画が喫緊の問題だという感覚がないところも少なくないわけです。
     今までのお話の中にあったように、高齢化の中の介護の問題、施設でのケアの問題、単身世帯のケア、Uターンしてくる若者の働く場所のことなど、喫緊の課題ではないと思っているところこそ実は一番いろんな問題点を抱えているはずだと思うのですが、なかなかそこに住んでいる方たち自身は、それが問題だという意識にまだ至っていないところもあるのではないかと思いました。ですから、課題解決型の男女共同参画の第2ステージというのは非常に大切なポイントだと考えております。
     前に和紙作家の女性の方とお会いしたのですが、その方が、伝統には手入れが必要だということをおっしゃったのです。手すきの和紙の技術は伝統技術ですが、その当時、和紙の手すきの技術は最先端技術だった。それが今まで残っているということは、ずっと守ったのではなくて、絶えず適切な時期に適切な手入れをしていたというんです。
     例えば、手すきだけでは大量生産ができないと思ったときには、機械すきということに移行しているし、燃えにくいものにするということで、薬品の開発をして、いろいろな建材などに使えるようになってきたし、デザインを勉強することによって、さまざまなものに使ってもらえるように変化してきた。それゆえに和紙というものは残ってきたんだという話を聞きました。
     少し話が違ってしまったのですが、やはり地域によっては、伝統、習慣を重んじ、変化をためらう気持ちが強いところが多いと思うのですが、それを尊重しながら、今、必要な適切な手入れは何なのかということを探るのが、そういう過疎化をしている地域に一番必要なことなのではないかと思っています。
     ですから、課題解決の中で、男女共同参画の1つの広報として、PRとして、積極的にそういう地域の中の課題解決に入っていく段階にきているのではないかと感じたという御報告をさせていただきたいと思います。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。
     岩田議員、お願いいたします。
    岩田議員
    この報告書は、地域における男女共同参画推進のステージを、学習中心の第1ステージから、地域の課題解決のための実践的な活動のステージに進めようという中間報告だと思いますが、大変適切な方向性が示されたと思います。
     この中間報告であまり触れられていないところで、気になる点を1つ申し上げたいと思うのですが、それは、第2ステージの地域活動を担うのは誰か、ということです。これまでは子育てが一段落して、時間的に余裕のある専業主婦層が中心的となって担ってきたと思いますけれども、今は、子育て期も仕事を継続する女性が増えてきておりますし、子育てのために一旦仕事を辞めた方も、再就業の時期が早まっております。ですから、地域活動を担う専業主婦層は、これから大きく減少していくと思います。
     こういった主婦層と併せてこれから地域を担っていかないといけないのは、仕事を持っている現役の男性と女性、私ども団塊の世代を含む引退世代の男性と女性であると思います。これから担い手として期待される層が、実際に地域活動に関われるようにするためには、まず仕事を持っている現役の男性、女性が地域活動にもっと関われるように、企業がワーク・ライフ・バランスを実現できるような働き方の見直しをしなければいけないというのは当然だと思いますけれども、同時に、地域活動の在り方自体も変えていく必要があるのではないかと思います。
     PTA活動がよい事例なのですけれども、いまだに平日の昼間に活動しておりますので、仕事を持っている父親や仕事を持っている母親は参加することが非常に難しく、その結果として、仕事を持っている母親と仕事を持っていない母親が対立するという構造が地域にあるのは、大変残念なことだと思います。
     60代以降の退職世代については、これまでの経験と時間的なゆとりがあるということを考えると、地域活動をしていただくには大変貴重な資源だと思います。何かきっかけがあれば、この人たちは地域のために働いてくださると思いますので、そのきっかけをどういうふうにつくるかということ、それが、地域の課題解決型活動を盛り立てるために大変重要ではないかと思っております。
     袖井先生から、秋に最終報告をまとめるとのお話がございましたけれども、それまでの間に、誰がこれから地域活動を担っていくのか、その人々が地域活動を担いやすいような地域活動の在り方自体をどう見直すかという観点も、併せて検討していただければ、非常にありがたいと思います。
     以上です。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     帯野議員、どうぞ。
    帯野議員
    前回、私は普通の女性が活躍できるような社会実現のために、総合的な政策づくりをお願いしたいと申し上げましたが、その第一歩として、身近な地方自治体に女性の政策決定に責任を持つ人たちが増えることが大切だと考えます。今日は女性の地方公務員という点で、私がまいりました大阪府の例に基づきまして、お話をさせていただきたいと思います。
     現在、大阪府の知事部局での新規採用状況は、男性、女性、ほぼ半分ずつでございます。ただ、主査級が9.1%、課長級が3.3%にとどまっておりまして、これが全国の5.1に比べると非常に低いということです。このため、私が委員長を務めております人事委員会でいろいろ考えまして、大阪府の場合は、主査試験、管理者試験がございますので、これを、女性に受験しやすいように土曜日に受験日を変えたり、あるいは年齢の上限を上げたりした結果、今は女性の試験合格者の比率の方が、男性に比べて高いという結果が出ております。ということは、育児短時間勤務制度も含めて、ある程度制度は整いつつあると考えています。
     そうすると、次の一歩は、やはり任用です。女性の場合はどうしても文化とか青少年、共同参画、土木や建築といった、いわゆる官房機能への登用が少なくなっています。そこで、適材適所の登用ではなくて、やらせる、試してみる、鍛えるといった意識が必要ではないかと思います。しかし、一番難しいのが意識を変えるという点でございまして、他の自治体を見てみまして、誰かが具体的に引っ張っていかないと進まない。うちの人事委員会も毎年勧告で女性の管理者の比率を高めるよう申してきましたが、具体的なことは触れておりませんし、組合からも同じ要望がありながら、なかなか具体的なプランが出てきません。私も任期があと1年ですので、知事部局とうちの方とで研究グループをつくって、どういうところに最後の問題があるのかということを1年間見ていきたいと思っておりますので、今後、いろいろ御報告ができればと思っております。
     今日は、1つだけ御提案というかお願いがあるのですが、管理職の定義というものを、地方自治体の場合、もう少し緩和できないかということです。
     例えば大阪府で申しますと、今の主査級が10年後そのまま課長に上がったとしても、15%にしかなりません。一定ポストである経験年数を経て、という今までのシステムの上ですと、どんなに頑張っても15%。15%は余りにも寂しいので、20%ぐらいはいってほしいと思うのですが、いきなり30%というとなかなか現実的ではなくなります。そこで、目標のパーセンテージを下げるよりも、何か定義というものを変えられないものでしょうか。
     あとは、47都道府県の事情がばらばらでして、例えば都市部では、これから民間の方の採用が拡大されれば、女性の公務員への志望者が少なくなることも考えられます。また地方の方では、例えば北海道等でしたら、まだまだ女性の離職率が非常に高い上に、このように各県ばらばらの状況ですので、何とか目指せる目標を作るために、女性の管理職という定義を考えていただけたらと思います。目指せる目標を示すことで、おしりの重たい人事室の男性たちに頑張ってもらえたらいいと思っておりますので、御検討いただけたらと思います。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     加藤議員、お願いいたします。
    加藤議員
    本中間報告の中では、各所に男女共同参画の推進に当たって地域の多様な主体との連携・協働、また地方公共団体の内部における関係部局の横断的な連携・協働について記されているところでございますが、この連携・協働の部分につきましても、一定期間経過した後には、その進捗状況を検証いただきたいと考えております。また、連携・協働がうまくいかない部分があれば、なぜうまくいかないのかというところにつきましても、対策を講じていただきたいと考えております。
     それから、中間報告の2ページでも、現在の施策や活動の中で、男女共同参画の重要性は十分意識されているとは言えないと記されておりますけれども、この辺りも市区町村レベルを中心に現状把握をし、スピード感を持って対策を立てる必要があるだろうと考えております。
     最後に、私は地域における男女共同参画の推進は、我が国の男女共同参画推進の鍵を握っていると考えております。更に我が国のジェンダー・エンパワーメント指数は、現在、測定可能な93か国中54位でありますが、こうした点を改善していくためにも、地域は極めて重要だと考えております。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     男女共同参画社会の実現にとりまして、地域のレベルでの取組が極めて重要というお話がございました。基本問題専門調査会におきましては、最終報告に向けて、引き続き精力的な調査検討を進めていただきたいということで、秋までということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、次の議題に移ります。現在、男女共同参画会議の下には4つの専門調査会が設けられております。各専門調査会の役割、今後の進め方につきましては、資料3-1にその概要をまとめてございます。
     基本問題専門調査会におきましては、ただいま御報告をいただきました「地域における男女共同参画推進の今後のあり方」について、引き続き、調査検討を進める予定でございます。
     女性に対する暴力に関する専門調査会におきましては、女性に対する暴力は多岐にわたり、その課題もさまざまであることから、女性に対する暴力に関する課題とその対策につきまして、今後、調査検討を行っていく予定でございます。
     仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会においては、さまざまなニーズを抱えた男女が持てる能力を存分に発揮できる男女共同参画社会の実現のために、仕事への意欲向上や能力発揮を効果的に促す仕事と生活の調和の取組推進について、今後、調査検討を行っていく予定でございます。
     なお、同調査会におきまして、仕事と生活の調和実現度指標及び企業が仕事と生活の調和に取り組むメリットをそれぞれ3月と4月に作成し、公表いたしましたので、資料3-2及び資料3-3として、御参考までに配付しております。
     監視・影響調査専門調査会につきましては、同専門調査会の鹿嶋会長より、今後、調査検討を行う予定のテーマの概要につきまして、御説明をお願い申し上げます。
    鹿嶋議員
    それでは、説明させていただきます。資料3-1の2ページをごらんください。
     20年度のテーマ案は、「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」としております。
     「1.問題意識」としましては、離婚や未婚者の増加、雇用・就業をめぐる状況の変化、グローバル化・情報化など経済社会環境がそれぞれ大きく変化する中、一人親家庭、不安定雇用者、外国人等、生活に困難を抱える人々の状況は多様化かつ深刻化しております。また、そのような問題の背景には、男女共同参画をめぐる問題が潜む場合も少なくありません。
     こうした新たな生活困窮者の問題について、男女共同参画の観点から、その問題の所在を探るとともに、経済社会環境が変化している中で、生活困難者の実態に即した支援の在り方を検討することが求められております。
     「2.調査内容」としましては、こうした経済社会の変化がもたらす新たな生活困難者の層とはどのような層なのかを探り、同時に生活実態、支援策などの在り方について調査検討することを予定しております。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     それでは、各専門調査会につきましては、今後、以上のように進めさせていただくということで、よろしゅうございますか。

    (「異議なし」と声あり)

    上川男女共同参画担当大臣
    それでは、そのようにさせていただきます。また、他の専門調査会につきましては、資料3-1のとおり、引き続き、それぞれの調査検討を進めていただくことにしたいと存じます。
     それでは、最後に男女共同参画をめぐる最近の動きにつきまして、私から4点報告を申し上げます。
     1点目につきまして、資料4-1、資料4-2をごらんいただきたいと存じます。
     前回の参画会議の意見決定及び総理の御指示を踏まえまして、去る4月8日に男女共同参画推進本部を開催し、女性の参画加速プログラムを決定いたしました。同本部では、福田総理及び町村官房長官より、プログラムの策定を受けて、各大臣が率先してその着実な実施に向けて取り組むよう、御指示があったところでございます。先ほど官房長から、公務員に関して数値目標の言及がございましたが、そうした御指示があったところでございます。
     また、私も担当大臣として率先して、各界各層のトップへの働きかけを行っておりまして、今後も引き続きプログラムの内容や女性の登用の意義等の普及に努めてまいる所存でございます。
     次に2点目でございますが、本日、平成20年版男女共同参画白書を資料5のとおり閣議決定いたしましたので、御報告いたします。本年度は「地域における協働、進化する男女共同参画」と題して、特集を組んでおります。
     続きまして、3点目でございますが、資料6をごらんいただきたいと存じます。我が国は女子差別撤廃条約に基づき、条約の国内における実施状況に関する報告をこれまで5回にわたり国連に提出しておりますが、本年4月、第6回報告を国連に提出いたしましたので、お手元の資料を御参照いただきたいと存じます。
     最後に4点目でございますが、資料7をご覧いただきたいと思います。仕事と生活の調和の推進について、これまで展開してきた国民運動を一層効果的に推進するため、「カエル!ジャパン」というキーワードの下、シンボルマークとキャッチフレーズを作成いたしました。 このカエルには、現状を変えるということは難しいことではありますが、ユーモアを持って明るくくじけず、みんなで知恵を出し合ってやっていこうというメッセージと、ホップ・ステップ・ジャンプと跳躍する力にもあやかりたいという思いが込められております。まず働き方を変えるところから始めるということであります。このマーク等を活用して、「カエル!ジャパン」キャンペーンを展開し、仕事と生活の調和が実現した社会に向けて、その取組を加速してまいります。
     私からの報告事項は、以上4点でございます。
     以上で本日の議題は終了でございます。
     既に御確認いただいております、前回の議事録と本日の会議資料は、従前どおり公開とし、本日の議事要旨につきましても、後日、公表いたします。
     官房長官、以上でございます。
    内閣官房長官
    今日は、多様な議題について御報告・御議論いただき、ありがとうございました。まだまだ議論をし、またやらなければならないことが多くあるということを確認したわけでございますけれども、引き続き、議員各位のお知恵と指導力を発揮していただき進めていきたいと思いますし、また、政府の方も全力で取り組んでいきたいと思っております。
     公務員は5%を目標にしましたが、現実で見ると、先ほどの帯野議員のお話のとおり、それはなかなか厳しいですから、たとえば、各省ごとにこの人を局長にできないかとか、極端に言えばそういう形で具体的にお願いをしていかないと、なかなか管理職の幹部も増えていかないと思っております。最大限の努力をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
     省略したところもございましたが、これで今日の第29回目の「男女共同参画会議」を終了いたします。どうもありがとうございました。

    (以上)