男女共同参画会議(第27回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成19年 10月30日(火)17:30~18:20
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
 
福田 康夫 内閣総理大臣
議長
町村 信孝 内閣官房長官
議員
上川 陽子 少子化対策、男女共同参画担当大臣
増田 寛也 総務大臣(代理:谷口隆義総務副大臣)
鳩山 邦夫 法務大臣
額賀 福志郎 財務大臣
渡海 紀三朗 文部科学大臣
舛添 要一 厚生労働大臣(代理:岸宏一厚生労働副大臣)
若林 正俊 農林水産大臣(代理:岩永浩美農林水産副大臣)
甘利  明 経済産業大臣(代理:中野正志経済産業副大臣)
冬柴 鐵三 国土交通大臣
鴨下 一郎 環境大臣(代理:桜井郁三環境副大臣)
泉  信也 国家公安委員会委員長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員常務
植本 眞砂子 全日本自治団体労働組合副中央執行委員長
内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社技術顧問
帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
鹿島 敬 実践女子大学教授
加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
神津 カンナ 作家
佐藤 博樹 東京大学教授
袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
橘木 俊詔 同志社大学教授
出席者
石破 茂 防衛大臣(代理:江渡 聡防衛副大臣)
  1. 開会
  2. 議題
    • (1)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る取組(「2020年30%」の目標に向けての取組)
    • (2)ワーク・ライフ・バランスの推進について
    • (3)その他
  3. 閉会

    (配布資料)※PDFファイルで開きます

    資料1
    政策・方針決定過程への女性の参画の拡大(「2020年30%」の目標について)[PDF形式:27KB] 別ウインドウで開きます
    資料2
    各分野における「指導的地位」に女性が占める割合 [PDF形式:149KB] 別ウインドウで開きます
    資料3
    国の審議会等における女性委員の参画状況調べ(概要)[PDF形式:63KB] 別ウインドウで開きます
    資料4
    地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成19年度)[PDF形式:27KB] 別ウインドウで開きます
    資料5
    女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等の フォローアップの実施結果(総務副大臣提出資料)[PDF形式:598KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    ワーク・ライフ・バランス憲章※及び行動指針 ※の検討体制 ※いずれも仮称 [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
    資料7
    ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の考え方 [PDF形式:245KB] 別ウインドウで開きます
    資料8
    「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向 報告 [PDF形式:78KB] 別ウインドウで開きます
    資料9
    各専門調査会の今後の調査について [PDF形式:407KB] 別ウインドウで開きます
    資料10
    平成20年度男女共同参画推進関係概算要求のポイント [PDF形式:76KB] 別ウインドウで開きます
    資料11-1
    平成20年度男女共同参画推進関係概算要求額(総括表)[PDF形式:26KB] 別ウインドウで開きます
    資料11-2
    平成20年度男女共同参画推進関係概算要求額(分野別内訳表)[PDF形式:36KB] 別ウインドウで開きます
    資料11-3
    男女共同参画社会に関する世論調査(平成19年8月調査)[PDF形式:93KB] 別ウインドウで開きます
    資料12
    自衛官への育児休業代替要員制度の導入(防衛副大臣提出資料)[PDF形式:76KB] 別ウインドウで開きます
    資料13
    自衛官への育児休業代替要員制度の導入(防衛副大臣提出資料)[PDF形式:52KB] 別ウインドウで開きます
    資料14
    男女共同参画会議(第26回)議事録(案)

    議事内容

    (報道関係者入室)

    町村内閣官房長官
    それでは、ただいまから第27回男女共同参画会議を開催いたします。本日は、お忙しい中、御多忙の皆さん方にお集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。
     それでは、総理から最初にごあいさつをいただきます。
    福田内閣総理大臣
    私は、総理になってから初めての男女共同参画会議なんですけれども、実は平成12年から3年半、内閣官房長官兼男女共同参画担当大臣として、男女共同参画社会基本法に基づく初の基本計画の策定に携わりまして、この会議の初代議長でございました。仕事と子育ての両立支援策の方針の決定などに当たらせていただいたわけでございます。この会議が、議員各位の御協力を得まして、大きな役割を果たしていることに大変うれしく思っているところでございます。
     この数年間、我が国を取り巻く社会情勢は大きく変化しております。少子高齢化でございますし、それとともに人口減少という新しい時代に入りました。また、グローバル化が進んで国際競争が激しくなっている状況でございまして、女性も男性もすべての個人が喜びや責任を分かち合い、個性や能力を発揮できる男女共同参画社会の実現は、ますます重要でございます。
     意欲ある女性の活躍は、先の見えない不安定な状況にある社会に新しい風をもたらします。私の提唱しております「希望と安心」の国づくりのためには、女性の優れた能力や新しい視点、豊かな感性を生かして現状を打破することが必要でございます。社会のあらゆる分野におきまして、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度、これは実は私が設定したんですけれども、そういうことを目指しまして、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に取り組んでまいりたいと思います。
     現在は、出産を機に約7割の女性が離職しておりますけれども、十分な育児休業を取り、その後の仕事を継続できるようにするなど、仕事を続けながら安心して子どもを産み育てることのできる環境を整備してまいりたいと思っております。
     そのためにも、ワーク・ライフ・バランスの実現は極めて重要な課題でございます。仕事、家庭生活、地域生活など、さまざまな活動について自ら希望するバランスで展開できる状態は、仕事と家庭生活との両立を実現して、子育て期の男女が安心して子どもを育てることを可能とするだけでなく、その他の世代にとっても仕事の充実と仕事以外の生活の充実の好循環をもたらすものでございまして、多様性に富んだ活力ある社会を創出する基盤として、必要なものと考えます。
     このために、年内を目途に「ワーク・ライフ・バランス憲章」また「働き方を変える、日本を変える行動指針」を策定しまして、社会全体で働き方の改革を進めるべく、政府を挙げて取り組んでまいります。
     本日の会議が、実りあるものとなるような活発な御議論をお願いするとともに、本会議が男女共同参画の牽引役として、ますます重要な役割を果たすことを期待いたしまして、私のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

    (報道関係者退室)

    町村内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは、議事に入ります。議事進行は、上川男女共同参画担当大臣にお願いいたします。
    上川男女共同参画担当大臣
    御指示がございましたので、議事進行を務めさせていただきます。
     初めに、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る取組につきまして、御報告をいたします。資料1を御覧ください。平成17年に閣議決定されました、第2次男女共同参画基本計画におきましては、「2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」、いわゆる「2020年30%」の目標が明記されております。
     本年2月、男女共同参画会議におきまして、毎年この目標のフォローアップが意見決定され、これを受けて本年9月、初めてフォローアップを行いました。
     資料2のとおり、全体として政策・方針決定過程への女性の参画の拡大は緩やかであり、各分野において「2020年30%」の目標達成には、更なる努力が必要です。また、国の審議会等における女性委員の割合は、平成17年に30%の目標を達成したことから、平成18年4月の男女共同参画推進本部決定により、平成22年度末までに、少なくとも33.3%、平成32年までに男女のいずれかが10分の4未満にならない状態を達成するよう努めるという新しい目標を設定しております。
     資料3を御覧ください。現在の国の審議会等における女性委員の参画状況は、32.4%※となっており、全体としては昨年より1.1ポイント上昇しております。女性委員の登用につきましては、各府省の一層の取組をお願いいたします。なお、全体は後日公表いたします。
     地方公共団体の取組状況は、資料4のとおりでございます。全体に計画や条例の策定率は上昇し、女性の登用比率も上がってきてはおりますが、依然として女性登用が進んでいないところもあり、地方公共団体間の開きが大きくなっております。
     私からの報告は以上でございます。
     続きまして、女性国家公務員の採用・登用の拡大状況につきまして、谷口総務副大臣より御報告願います。
    谷口総務副大臣
    総務副大臣の谷口でございます。私の方からは、資料5の「女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果」について申し上げます。
     去る24日、女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等について、第2次男女共同参画基本計画に基づくフォローアップ結果を公表いたしました。同計画では、平成22年ごろまでの政府全体としての採用者に占める女性の割合の目安を、国家I種事務系区分では30%程度としております。同区分の女性採用者の割合は、年々増加傾向にあるところ、今年度の実績は25.1%となり、昨年度に比べ2.7ポイント増加いたしております。この25.1%という採用率は、合格率の21.8%に比べて高くなっておりまして、各府省における御努力の成果が表れているものと考えております。
     

    ※ 平成19年11月20日に公表された「国の審議会等における女性委員の参画状況調べ」により、平成19年度の国の審議会等における女性委員の割合は、32.3%で確定した。
     他方、女性の登用状況については、本府省幹部級職員に占める女性の割合は1.7%となっており、昨年度調査に比べ微増いたしております。各府省においては、「女性職員の採用・登用拡大計画」に基づき、多様な職務経験の付与、研修参加機会の確保などの取組を実施しているところでございます。
     また、本年8月からは、仕事と家庭生活の両立支援策の一つとして、育児のための短時間勤務制度を導入したところであり、各府省におかれましてはこうした制度の利用促進を含め、女性国家公務員の採用・登用の拡大に向け、一層の取組をお願いいたします。
     以上でございます。

    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     関連して、官房長官よりお願いいたします。
    町村内閣官房長官
    本日公表いたしました、国家公務員採用I種試験等による来年度(平成20年度)の採用内定者に占める女性の比率でございますけれども、内定者全体で21.8%と、昨年度と同じ程度でありますけれども、事務系区分では24.3%となり、昨年度より少々下回っているわけでございます。
     各府省において、今後とも女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けて、更に積極的かつ広範な取組を進めていただきますように、お願いいたします。
    上川男女共同参画担当大臣
    それでは、ただ今の報告に関しまして、皆様から御意見を賜りたいと存じます。挙手の上、御発言を願います。
     加藤議員、どうぞ。
    加藤議員
    まず初めに総理におかれましては、所信表明演説におきまして、男女共同参画の重要性につきましてお触れいただきまして、誠にありがとうございます。心から感謝申し上げております。それでは、私の意見を述べさせていただきたいと存じます。
     30%の目標というのは、単なる期待ではなく、それを達成するための政策的取組をスピード感を持って進める必要があると考えております。具体的に3つ述べさせていただきたいと存じます。
     1つ目、審議会の委員のように、政策的にコントロールできる分野につきましては、着実に女性比率を上げていくとともに、特に国のレベルにおきましては、40%、50%と更に上を目指していくことが大切だと考えております。
     更に政策的にコントロールできる分野につきましては、平均値だけを公表するのではなく、目標値を達成していない、あるいは進展が遅い省庁、自治体名、審議会名等を具体的に公表することが必要ではないかと考えております。大臣や首長さん方には、問題意識を持っていただくために、特に目標値を下回っている省庁はワースト3、都道府県はワースト10、市町村はワースト100を公表するといったことも必要だと考えております。
     最後に、政策的にコントロールできない分野につきましては、それを妨げている要因は何かを分野ごとに細かく分析して、その要因を政策的に取り除くことが重要だと考えております。
     女性を登用したいけれども育っていないといった御発言をされる方もいらっしゃいますが、本当にそのとおりなのでしょうか。親の介護などが要因の1つとして考えられる場合には、介護に対する福祉政策の充実あるいは保育サービスの充実、また資料5にもございましたけれども、超過勤務の縮減の項目もございますが、社会全体で長時間労働の慣行の見直しなどを、早急に行っていくべきと考えております。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     神津議員、お願いします。
    神津議員
    数をきちんと確保するというのは本当に大切で、それを前提の上に申し上げるんですけれども、数にごまかされないということも非常に大切でございまして、「2020年30%」を達成するために、何か水増しのように女性が入れられるのも不愉快だと思ったりするところもあるんですが、そういうことではなくてもう少し精査する必要があると思っております。
     それは、例えばメディアを例に取りましても、新聞では記者の数がどのぐらいかということよりも、解説委員、論説委員、編集委員というようなところに、どのぐらい女性が登用されているのか。
     テレビでも、アナウンサーがどのぐらいいるかということよりも、ディレクターやプロデューサー、番組制作の決定をするところにどのぐらい女性が登用されているのか。
     審議会でも、審議会の委員だけではなくて、審議会長、分科会長、小委員会の会長、あるいはワーキンググループの主導的な立場を担っているところに、どのぐらいの人がいるのかというような、もう少し丁寧な調査をしないと、数だけが合っているというような形で終わらせてしまうのは、私はとても不安に思いますので、その辺りは私たちの方でもきちんと精査をしてやっていきたいと思っております。
     以上です。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     内永議員、お願いします。
    内永議員
    30%という目標値があるということは、大変心強くて、それなりに進んでいるということはすばらしいと思うんですけれども、民間の企業において、ダイバーシティというか、女性活用というのは本当にどういう意味があるのかというメッセージをもっと出すべきだと思うんです。私どもの場合には、女性活用というよりはむしろダイバーシティ、今、イノベーションとか言われていますけれども、本当にイノベーションをやろうとしたときに、日本の男性ばかりでイノベーションができるとは、できなくはないでしょうけれども、確率的には非常に低い。
     そういう中で、諸外国は本当に世界中の優秀な人材をかき集めて、多種多様なバックグラウンドの人たちを集めてやっているわけです。そういう意味では、日本の企業そのものがダイバーシティ、ひいては日本でいうと女性活用ということになると思うんですが、そのことを進めなくして、日本企業の競争力は上がってこない。
     これは、アメリカのインベスターの人の話ですけれども、日本にインベストしようとしたときに、日本の企業には3つ問題があった。そのうちの2つは大体解けている。1つはコンプライアンス、もう一つはフィナンシャルな健全性、ここは何とか解ける。最後の1つは、やはりダイバーシティ、相変わらず日本の男性ばかりを対象に人材、人材と言っている。ですから、ここの問題をもっと大きく目を開けて、日本の中にいる女性、ひいては外国人、こういった方々が活躍できるような土台を持ってこないと、日本の企業は強くならないと思うんです。
     そういう意味では、数値目標はあるんですが、そういったメッセージそのものも是非強く出していただきたいと思いますし、私はそのためのNPOを立ち上げたんですけれども、基本的には約85社がこれに賛同して入っていただいて、日本の企業もそういう思いになってきていますので、是非御支援いただければと思っています。
     以上です。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     帯野議員、お願いします。
    帯野議員
    私の方は、せっかくの機会ですので、意見というより御報告をさせていただきたいと思います。
     この6月25日~27日まで、APECの女性指導者ネットワークという会議に出席してまいりました。女性指導者ネットワーク、WLN(ウーマンズ・リーダーズ・ネットワーク)という会議ですが、これは1996年、フィリピンで開催されて以来、毎年APEC開催国で行われております、女性リーダーによる非公式会議でございます。
     本年はオーストラリア政府から、高市前大臣に招聘があったようでございますが、公務のため御出席できないということで、かわりに、私が参加してまいりました。
     ただ、ショートノーティスだったことと、そもそもこのWLNという会議に向けて、今まで余り日本が積極的に参加してこなかったため情報がなかったということ、また、私自身も新米議員であったため、準備不足でした。しかし、行けば何とかなるのかなという気持ちで行ってまいりました。
     結果的には、行って良かったと思っております。とにかく、世界から集まる女性たち400人、大臣、閣僚、学者、起業家、本当に輝く人たちで、帰りの飛行機の中で、なぜ彼女たちがあんなに美しく輝いているのかと考えてみましたが、恐らく自分に自信がある。それから、自分の社会、自分の地域に対して誇りと自信を持っている。それが彼女たちをあれほど輝かせているのかと思うと、私自身も目からうろこの思いでございました。
     ただ、残念なのは、日本からの出席が、私と随行してくれました内閣府の職員と2名だけであったことで、やはりこれでは大国日本としての責任は果たせないのではないかと思いました。私の役割は2日目のワークショップで、女性の生涯学習に対する施策についてスピーチをするということでした。又スピーチのあと、突然オーストラリアの文部大臣と一緒にパネルディスカッションをしろということになって、あわてましたが、とにかく400分の2、400分の1であっても、この10分で日本のプレゼンスを示そうと、精一杯抑揚を付けて発表したつもりです。結果、本当に皆さん喜んでくれました。それは別に私の英語力もなく、内容も内閣府が用意したものですから特別のものではなかったと思うんですが、何よりも日本が意見を言う、日本がどう考えているか、どんなことを悩んでいるかということを発表したことが、皆さんに喜んでいただけたのではないかと思います。APECは来年はペルー、再来年はシンガポールで、2010年は日本です。是非2010年の開催のときには、日本がAPECエコノミーのリーダー国としてこの会議を仕切れるように、本当に明日からでも準備を始めていただけたらと思います。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
     それでは、官房長官から御発言をお願いいたしたいと存じます。
    町村内閣官房長官
    今、それぞれ、なるほどなと聞いていて、誠にうなずくばかりであったと思います。ただ、なかなか現実として難しいところもあるし、今まで皆さん方が大変な御努力をしてこられた。そういう意味で、この2020年30%の目標に向けて一層の努力が必要だろうし、今、委員からお話のあった国際会議への参加等々も、大いにやらなければいけないだろうと思っております。
     一層の女性の参画拡大に向けて、施策の推進に努めていただきますように、特に各府省の皆さん方にはお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ここで、総理は御公務のため退席されるということでございます。
    福田内閣総理大臣
    それでは、申し訳ないけれども、失礼させていただきます。また参加させていただきますので、よろしくお願いいたします。

    (福田内閣総理大臣退室)

    上川男女共同参画担当大臣
    それでは、次の議題に移りたいと存じます。ワーク・ライフ・バランスの推進についてでございますが、本年6月に閣議決定されました、「経済財政改革の基本方針2007」におきまして、年内をめどに「ワーク・ライフ・バランス憲章」及び「働き方を変える、日本を変える行動指針」を策定することとされました。
     現在、官房長官が議長を務められる「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」及び「『働き方を変える、日本を変える行動指針』(仮称)策定作業部会」におきまして、憲章と行動指針の策定に向けて、検討が行われているところでございます。
     そしてトップ会議等における検討には、この男女共同参画会議に設置されております、仕事と生活の調和に関する専門調査会における調査審議も生かしていきたいと考えております。本日は、同専門調査会会長の佐藤議員に、専門調査会におけるこれまでの調査検討状況等につきまして御説明を願います。
    佐藤議員
    それでは、専門調査会の調査検討状況について御説明させていただければと思います。
     まず、お手元の資料9の冊子ですけれども「『ワーク・ライフ・バランス』推進の基本的方向」についてです。前回の参画会議で中間報告させていただいた後、一般の方々への意見募集を行いまして、7月にお手元の報告書として取りまとめ公表させていただきました。
     前回の参画会議での御意見等を踏まえまして、一つは働き方をめぐる現状が厳しくなり、ワーク・ライフ・バランス実現の必要性が高まっている状況について、もう一つはワーク・ライフ・バランス実現による、働く人々の心身の健康維持が企業にとっても重大な問題であることなどについて趣旨を明確化したという形で公表させていただいております。
     次に、現在、専門調査会で重点的に調査審議を行っています、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の考え方について、その検討状況を御報告させていただきたいと思います。お手元の資料8を御覧いただければと思います。
     ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標とは、仕事や家庭生活等幾つかの視点から、我が国の社会全体で見たワーク・ライフ・バランスの実現状況や、ワーク・ライフ・バランスを実現するための官民の取組状況を数量的に測定し評価するものです。
     ワーク・ライフ・バランスの形は、個人によってさまざまですが、やはり働く人全体で見ますと、現状の働き方がワーク・ライフ・バランスの妨げになっていることが多いと認識されております。
     このため、個人の総体としての社会全体では、多様な主体による柔軟な働き方が実現され、仕事以外のさまざまな活動がより充実し、かつ、健康が確保されるとともに、関連する官民の取組が進むことで、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度が高まったものと考え、その上で今、手法を作成中であります。
     専門調査会では、この実現度指標をワーク・ライフ・バランス憲章や、先ほど大臣から御説明のあった行動指針の策定に資するものになるよう、検討していきたいと思います。
     以上が経過の御報告です。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見のある議員の皆様、挙手の上、御発言を願いたいと存じます。
     袖井議員、お願いいたします。
    袖井議員
    私は、ワーク・ライフ・バランスについて意見を申し上げたいと思うんですが、ワーク・ライフ・バランスというととかく育児期の問題としてとらえられがちで、今はどうやって男性の育児休業取得率を上げるかとか、そういうことになりがちですが、仕事と生活の調和が必要なのはあらゆる世代、あるいは生涯にわたって、あらゆる時期において調和の取れた生活をすることが望ましいと思うんです。
     私が気になっておりますのは、介護休業の取得率が余り進まないということです。最近の調査を見ましても、有給休暇を充てる人が大部分で、あまり取ってないんです。実は、私は介護休業制度ができる前に旧労働省でガイドラインづくりの作成に携わったことがございますが、その際、一時的に3か月という休業取得期間を設定いたしました。そのときも、労使双方とも代表の方が1年と主張なさったんですが、その当時はまだまだ日本の社会の状況が厳しいので、中小企業のことを考えて、とりあえずは3か月という時期を設定した。
     ところが、それがずっとそのまま固定して、最低3か月というふうに決めたはずなのに、今は最高3か月で、この3か月というのは余りにも短いということです。ですから、なかなか利用できない。
     もう一つは、育児休業と違って、休業中の社会保険料免除ができないということです。ですから、もうちょっと介護休業に配慮していただきたい。
     長寿時代を迎えて、親の介護に直面する労働者がどんどん増えてきておりますし、これから是非とも育児休業だけでなくて介護休業の利用促進に向けて、各省庁、とりわけ厚生労働省の方に制度をより使いやすいものに変えるとか、あるいは企業に介護休業の取得を推進するように御尽力願いたいと思っております。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     岩田議員、お願いします。
    岩田議員
    2つ申し上げたいと思います。まず1つは、ワーク・ライフ・バランスを実現するに当たっての課題は何かということを議論するときに、柔軟な働き方、働き方におけるフレキシビリティーをいかに上げるかということが議論されがちなんですが、それはそれで大変大事だと思いますけれども、今の日本の現状を考えたときに、最優先の課題はやはり正社員の長時間労働など、正社員の働き方の問題であると思います。したがいまして、ワーク・ライフ・バランスについての行動指針を策定されたり、実現度指標の策定に当たっては、是非この問題を真正面から逃げないで取り組んでほしいと思います。
     2つ目は、行動指針に数値目標を盛り込むことについて、産業界から懸念の声が上がっているやに漏れ聞いておりますが、なぜだろうかと心配しています。指針とか指標というのは、個別の企業を拘束するものではなくて、どういう社会づくりをやっていきたいか、また、どの程度それが実現したかという、社会全体の状況を把握するものであって、個別の企業を拘束するものではないという説明をもっと十分する必要があるのではないかと思う点がございます。
     経営者が反対する背景には、ワーク・ライフ・バランスを推進するとコストに跳ね返るという、これは誤った認識だと思いますが、そういう思い込みがあるように思います。例えば育児休業や育児時間は、ノーワーク・ノーペイでいいわけですから、コストになるということはありませんし、長時間残業の是正についても、1時間当たりの生産性を高める働き方の改革によって、コストを上げずに、むしろ企業の体力を強くする方向でワーク・ライフ・バランスは実現できると思っております。
     ですから、そういった誤解を解きながら、産業界の理解を十分得ていただきたいと思っております。
     以上です。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     植本議員、お願いします。
    植本議員
    今ほど、ワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針及び実現度指標の考え方についての御説明があったわけですが、私ども働く立場として、連合としてもワーク・ライフ・バランスの実現のために、今、岩田議員からありましたように、働き方の改革ということが重要であるという認識の下に、今後、労使で働き方改革の宣言をしていくような取組をしていきたいとも考えています。
     そのためのお互いの点検指標などについても、今、議論をしている最中ですけれども、実はこの憲章、行動指針、そして実現度指標、この3つが密接不可分に働いていると考えています。これをどう具体化していくのか、どういうプロセスを踏むのかということが、実効性を確保していく上には大変重要であると考えています。
     それぞれ行動指針の議論もされているわけでありますので、そこの中での短期及び中期の行動計画を政府、自治体、企業、労働組合がそれぞれに策定していくようなことも重要になってくるのではないかと考えています。そのためのスキームをつくっていく必要があると考えています。
     例えば次世代育成支援対策推進法のスキームなども、この課題に広げていくことの検討が必要ではないかと考えています。そのことによって、マクロの指標が意味を持ってくるのではないかとも考えます。
     実現度指標を、単なる評価指標だけにとどめずに、具体的な改革につながるような目標値の設定ということについても、今後の議論の中で深めていっていただきたいと考えています。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     鹿嶋議員、お願いします。
    鹿嶋議員
    私は、ワーク・ライフ・バランス推進会議という社会経済生産性本部に事務局を置く運動に関わっております。11月18日~24日をワーク・ライフ・バランス週間として、19日にはカンファレンスをして、推進企業を表彰するということを企画しているのですが、今日の午前中、推進企業を選ぶ作業をいたしました。
     先ほどの袖井議員の話とも絡みますが、どちらかというと、ワーク・ライフというよりは、ワーク・ファミリーといいますか、家事、育児に関するサポート体制の充実に力を入れる企業がまだまだ多いなという感じがいたします。勿論、ワーク・ライフ・バランスのコアの部分は、ワーク・ファミリー・バランスと言われるもの、すなわち家事や育児支援なのですが、そのための対応例としては現状では、男性社員に育児参加を積極的に呼びかけるポスターを社内に張るとか、時間外労働の削減をといったことにとどまっています。
     この問題は、ややもすると、家事、育児が今まで女性にかなり重くのしかかってきたので、女性が働きやすいような、家事、育児と仕事が両立させやすいような職場環境をつくればいいんだという議論にも流れかねません。ここはやはり家庭生活は男女相互の協力で、という男女共同参画の視点、言葉を変えれば男性の家庭、地域参画がワーク・ライフ・バランス推進の上では大変大事だと思いますので、そのことをワーク・ライフ・バランス推進会議の中でも、折りあるごとに発言しているわけです。
     女性にとって両立しやすい社会で止まってしまった場合は、結局、性別役割分担の固定化にもつながりかねませんので、この点は大切なポイントであろうと思っております。
     先日、スウェーデンと日本のジョイントシンポジウムがありまして、そこで私も発言者として参加させていただいたのですけれども、スウェーデンも必ずしも男性も男女平等型になっているかというと、そうではなくて、大変面白かったのは、スウェーデンのマッチョ志向型の男性はすしを食べないという話がありました。すしでは力が出ないようなんです。肉が好きらしいとまでは言わなかったんですが、私の勝手な推測でした。
     では、そういう環境の中でどうしているかというと、これも大変印象に残ったのは、ジェンダー・イクオリティの委員長が、男女平等は知識からだということをおっしゃっていました。ですから、多分そういう教育が繰り返しなされているんだろうと思います。その上に、スウェーデンもワーク・ライフ・バランスという花が咲くんであろうということを考えますと、ワーク・ライフ・バランスという花を咲かせるには、男女共同参画という"肥料"を使わないとだめだろうと思っております。その点を強調しておきます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     橘木議員、お願いいたします。
    橘木議員
    近年、日本の労働市場では、パートタイム労働や期限付き労働者など、いわゆる非正規労働者の数が増大しています。家庭の事情などによって、パートタイムでの働き方を望む女性や、体力的な面で短時間の勤務を望む高齢者もおり、こうした人々のさまざまなニーズに応じ、多様な働き方を選択できるように改革することが、ワーク・ライフ・バランスの実現につながると考えます。
     とはいえ、本来フルタイムでの就業を望みながら、非正規労働に甘んじている人もいますので、こういう人をフルタイム労働に転換する努力も肝要だと考えます。
     人々が多様な働き方を実際に選択するかどうかを決める際には、処遇面の問題がハードルになることも考えられます。ワーク・ライフ・バランスを推進するには、例えば同一労働、同一賃金の原則をできるだけ達成するような、公平性の高い処遇がなされることも重要な課題と考えます。
     以上です。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。
     大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。ワーク・ライフ・バランスの実現は、働き方の改革は勿論でございますが、個人の生活の在り方や社会基盤にも関わる大変大事な政策課題でございます。
     実現度指標の策定に当たりましては、社会全体を見渡すことのできるものとなるように、仕事と生活の調和に関する専門調査会におきまして、引き続き、議論を重ねていただきたいと存じます。
     佐藤先生、よろしくお願いいたします。
    佐藤議員
    はい。
    上川男女共同参画担当大臣
    それでは、次の議題でございます。資料10を御覧いただきたいと思います。
     現在、男女共同参画会議の下には、4つの専門調査会が設けられております。各専門調査会の今後の調査の進め方につきまして、私から御報告をいたします。
     まず基本問題専門調査会につきましては、前回の参画会議で御決定いただきましたとおり、地域レベルの男女共同参画施策の現状評価と今後の方向性について、現在検討していただいております。
     女性に対する暴力に関する専門調査会につきましては、本年7月に配偶者暴力防止法の一部改正法が成立いたしまして、来年の1月11日に施行されることを踏まえ、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」の改定を視野に入れた、今後の施策の在り方等についての調査検討を行っております。
     改正法の内容につきましては、資料10の2枚目を御覧いただきたいと存じます。
     仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会につきましては、先ほど佐藤議員からの御報告にありましたとおり、鋭意検討を進めてまいります。
     監視・影響調査専門調査会につきましては、前回の参画会議で御決定いただいたとおり、「高齢者の自立した生活に対する支援」を調査検討しているところでございます。
     これに加え、第2次男女共同参画基本計画の中間的なフォローアップを行い、年度内をめどに、その結果を取りまとめていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    上川男女共同参画担当大臣
    御異議ございませんでしたら、そのように進めさせていただきます。
     続きまして、資料11-1を御覧いただきたいと存じます。男女共同参画推進関係予算概算要求につきまして、御説明をいたします。
     総額約4兆8,000億となっておりまして、前年度予算に比べ、約2,000億円の増額要求となっております。このうち、男女共同参画基本計画の重点分野6の「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」が、全体の約65.2%を占めております。
     また「2.主な新規・拡充要求」といたしまして、ワーク・ライフ・バランスの推進等のための事業や女性に対するあらゆる暴力の根絶に係る事業、生涯を通じた女性の健康支援のための事業が要求されております。
     各府省におきましては、関連施策の充実・強化のため、今後とも御努力いただくようお願いを申し上げます。
     続きまして、資料12を御覧ください。「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果が本年9月に公表されましたので、御報告を申し上げます。4ページの(2)を御覧ください。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という固定的性別役割分担意識につきまして、「反対」が、平成16年の前回調査より更に上回り、初めて過半数を超えております。6ページを御覧ください。ワーク・ライフ・バランス社会の実現に関連し、「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の関わり方について、今回初めて調査をいたしました。男性の希望は「仕事と家庭生活をともに優先したい」が多くなっておりますが、現実は「仕事を優先している」が多く、一方、女性の希望は「家庭生活を優先したい」に加えて「仕事と家庭生活をともに優先したい」、「仕事と家庭生活と地域・個人の生活をともに優先したい」が多くなっておりますが、現実は「家庭生活を優先している」が希望に比べて多くなっております。このように、男女ともに希望と現実との間にギャップが生じていることがわかりました。
     それでは、最後でございますが、自衛官への育児休業代替要員制度の導入につきまして、江渡防衛副大臣より発言の申出がございますので、お願いをいたします。
    江渡防衛副大臣
    防衛副大臣の江渡でございます。資料13を見ていただきたいと思います。
     前回、第26回の会議で防衛省から配付いたしました資料におきまして、女性自衛官の定着率改善のための施策といたしまして、自衛官への育児休業代替要員制度の整備を挙げさせていただいたところでありますけれども、防衛省内の関連規則の整備を行いまして、9月1日より本制度を導入いたしました。
     具体的には、育児休業を請求した自衛官の業務を処理するための代替要員として、元自衛官であって勤務成績が良好な者の中から選考により採用いたしまして、育児休業期間を任用の期間の限度として、任期付自衛官として勤務させるものであります。
     防衛省としては、今後ともこのような施策を始め、男女共同参画への取組を積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
     以上でございます。
    上川男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     それでは、以上で本日の議題は終了でございますが、既に御確認をいただいております前回の議事録と本日の会議資料は、従前どおり公開とし、本日の議事要旨も後日公表いたします。
     官房長官、以上でございます。
    町村内閣官房長官
    どうもありがとうございました。
     以上をもちまして、第27回目の男女共同参画会議を終了いたします。
     福田首相は、大変この問題に熱心でございますからと御自分でも強調しておられましたので、一つ今後とも総理のリーダーシップもいただきながら、皆さん方とともに頑張ってまいりたいと思います。
     今日はどうもありがとうございました。

    (以上)