男女共同参画会議(第26回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成19年5月24日(水)17:00~17:45
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
 
安部 晋三 内閣総理大臣
議長
塩崎 恭久 内閣官房長官
議員
高市 早苗 少子化・男女共同参画担当大臣
菅 義偉 総務大臣(代理:大野松茂総務副大臣)
麻生 太郎 外務大臣(代理:岩屋毅外務副大臣)
尾身 幸次 財務大臣
伊吹 文明 文部科学大臣(代理:池坊保子文部科学副大臣)
松岡 利勝 農林水産大臣(代理:山本拓農林水産副大臣)
甘利  明 経済産業大臣(代理:渡辺博道経済産業副大臣)
冬柴 鐵三 国土交通大臣
若林 正俊 環境大臣(代理:土屋品子環境副大臣)
溝手 顕正 国家公安委員会委員長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員常務
植本 眞砂子 日本労働組合総連合会副会長
内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社技術顧問
鹿島 敬 実践女子大学教授
勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役社長
加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
神津 カンナ 作家
佐藤 博樹 東京大学教授
袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
橘木 俊詔 京都大学教授
谷本 正憲 石川県知事
出席者
久間 章生 防衛大臣(代理:木村隆秀防衛副大臣)
  1. 開会
  2. 議題
    • (1)政府が実施する施策の監視・影響調査について(多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策について)
    • (2)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の審議状況について
    • (3)配偶者暴力防止法の施行状況等について
    • (4)各専門調査会の今後の調査の進め方について
    • (5)その他
  3. 閉会

    (配布資料)

    資料1-1
    監視・影響調査専門調査会報告書(概要)[PDF形式:124KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-2
    監視・影響調査専門調査会報告書 [PDF形式:525KB] 別ウインドウで開きます
    資料1-3
    多様な選択を可能にする能力開 発・生涯学習施策についての意見(案)[PDF形式:54KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-1
    「ワーク・ライフ・バランス」 推進の基本的方向(ポイント)[PDF形式:200KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-2
    「ワーク・ライフ・バランス」 推進の基本的方向(中間報告)(案)[PDF形式:409KB] 別ウインドウで開きます
    資料3
    配偶者暴力防止法及び関連する施策に関する課題 [PDF形式:149KB] 別ウインドウで開きます
    配偶者暴力防止法の施行状況等について
    資料4
    各専門調査会の今後の調査の進め方 [PDF形式:28KB] 別ウインドウで開きます
    資料5
    防衛省における男女共同参画への取組 [PDF形式:82KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    男女共同参画会議(第25回)議事録(案)

    議事内容

    (報道関係者入室)

    塩崎内閣官房長官
    ただ今から第26回男女共同参画会議を開催をいたしたいと思います。本日は大変お忙しい中、御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。
     まず始めに総理からごあいさつをいただきます。
    安倍内閣総理大臣
    私は、総理大臣に就任して以来、安倍内閣の目指す日本の姿は活力とチャンスと優しさに満ちあふれる「美しい国、日本」であると述べてまいりました。この「美しい国」を実現するためには、一人ひとりが日々の生活に対して、誇り、生きがいや、充実感、明日への希望を感じられることが大切であると思います。
     そのためには、家族の素晴らしさや価値を再認識し、家族と触れ合う時間を大切にして、家庭生活が充実できるようにすることが重要であります。かかる観点から、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現していくことは、男性にとっても女性にとっても重要であり、仕事、家庭生活、地域生活、自己啓発など、さまざまな活動を自らの望むバランスで展開できる社会が実現してはじめて、一人ひとりが豊さを実感できるのではないだろうか、このように思います。また、仕事と生活の調和の実現は、家庭や地域の機能を高め、多様な人材の活用などにつながり、安定した活力ある社会づくりに寄与するものであると思います。
     本日の会議では、仕事と生活の調和に関する専門調査会より中間報告を受け、意見交換をされると聞いております。我が国が、どのように取組を進めていけばよいのか、その方向性を十分に御議論いただきたいと思います。
     女性の活躍は、国の新たな活力の源であります。今後の我が国の経済社会において、女性の優れた能力や新たな視点、豊かな感性を十分に活かし、新たな可能性を切り拓いていくことが必要であります。
     そのためには、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわち、チャンスにあふれ、だれもが何度でもチャレンジ可能な社会を築いていかなければなりません。意欲と能力のある女性が、あらゆる分野でチャレンジし、希望に満ちて活躍できる基盤づくりを積極的に進めてまいります。
     男女がともに仕事と生活の調和を実現し、様々な分野で意欲と能力を十分に発揮することができる社会を実現していく上で、男女共同参画会議は重要な役割を果たしていると考えております。各議員におかれましては、活発な御議論をいただきますようお願いを申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきたいと思います。

    (報道関係者退室)

    塩崎内閣官房長官
    総理、ありがとうございました。
     それでは、議事に入りたいと思います。これからの議事進行は高市大臣にお願いいたしたいと思います。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    それでは、御指示がございましたので、議事進行を務めさせていただきます。
     始めに監視・影響調査専門調査会が3月末に取りまとめました報告書につきまして、同専門調査会会長の鹿嶋議員より、御報告をお願いいたします。
    鹿嶋議員
    監視・影響調査専門調査会会長の鹿嶋でございます。
     資料1-1の報告書の概要版に沿って説明申し上げたいと思います。
     今回、監視・影響調査の問題意識を1ページの上段囲いの部分に記載しております。少子高齢化が進む中で多様な人材の育成が不可欠でありますが、特に女性の場合、子育て等による外出に制約が生じることも多いというような女性に特有な事情と相まって、男性に比べて能力開発の機会が得づらくなっているという特徴があります。そこで、男女共同参画会議では、多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策について、今後重点的に監視及び影響調査を行うとの方針を平成17年12月に決定いたしました。これを受けまして、監視・影響専門調査会で審議し、報告書を取りまとめました。
     男女ともに人生の各段階で多様な選択を可能にし、また、女性の更なる能力発揮を実現するために、効果的な能力開発・生涯学習の在り方や施策の今後の取組について、報告書の中からポイントとなる部分を御報告したいと思います。
     まず2ページをお開けいただきたいと思います。
     現状では、女性のライフステージごとのニーズに積極的に対応した取組はあまり多くはありませんので、青年期、結婚・出産・子育て期等、女性の多様な状況に即した能力開発・生涯学習施策の必要性を提言しております。具体的には、女性の就業・起業や地域活動への参画につながるよう、情報提供や能力開発施策の実施等を求めております。
     3ページでは、女性は子育て等により就業を中断することが多いため、就業中断期の女性のニーズを把握し、子育て等と両立しやすい時間や場所に配慮した柔軟な能力開発機会の提供を求めております。
     4ページでは、子育てや地域活動経験等を職業能力として活かすため、能力の判定方法等の検討を実施し、また、そこで得られた情報等を通じて企業も積極的な評価を行うようにする。同時に女性側も子育て等で培われた能力が有用なものであるということを自ら認識し、かつ評価するなど、本人の意識啓発を促す取組についても提言しております。
     5ページでは、目標となり得る女性管理者の育成や、先輩による助言制度、いわゆるメンター制度でありますが、そういった制度を導入するというように、女性の能力開発・能力発揮に向けて意欲を喚起するための取組の重要性を指摘しております。
     6ページでは、施策を取り巻く制度・環境の整備として、ハローワークや教育機関等との連携の推進等、能力開発を就業や再就業につなげる取組に着手するのと同時に、雇用形態にかかわらず能力開発機会が確保されることの必要性を求めております。
     この調査結果を踏まえまして、男女共同参画会議としても各府省において積極的な対応がとられるよう、御検討をよろしくお願い申し上げます。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございました。
     ただ今の報告につきまして、御意見のある方、挙手をお願いいたします。
    橘木委員
    3点申し上げたいと思います。
     まず第1番目は、女性が就業する前の段階、すなわち高校や大学においてもっと就業に役立つ専攻科目を勉強するように、早い段階から教育する必要があります。大学であれば、例えば工学・理学・農学・経済学といった分野。高校であれば、工業科、商業科といった分野です。教育の段階で基本的な技能が蓄積されていれば、何よりも就業に役立ちますし、たとえ就業後に出産・育児の中断があっても復帰はしやすいし、再訓練にもすんなり入ることができます。
     第2番目は、女性に能力開発の場を与えるのは実は男性であります。それは経営者の多くが男性であること、夫の理解が何よりも必要であることでわかります。男性の意識改革が何よりも重要ということになります。男女共同参画社会の達成は、ひとえに男性がどう行動するかにかかっているので、なおさら男性教育が肝要と考えます。もう中高年になっている男性には限界もありますので、小中学校、高校の男子生徒に男女共同参画社会の意義を教えることから始めねばならないと思います。
     第3番目に、女性の就業を促す手段の1つが、女性の勤労意欲を高めることにあります。そのためには男性と比較して差別のない世界が必要で、政策として次のようなものが考えられます。
     第1番目に、同一労働・同一賃金の原則になるべく近付くような政策を取ると。
     第2に、転職率の高い女性の労働者に能力開発・職業訓練を与えるインセンティブは、実は民間企業には余りありません。そういう意味で、民のできないことを補完するために、公的部門がもう少し前面に出てきて良いのではないかと思います。
     以上です。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。ほかに御意見ございませんか。
    神津委員
    短くちょっとだけ。
     多様な選択ということで農業のことを取り上げてみたいと思います。
     総理はこの前帯広にいらっしゃって農家の方々ともお会いになったと思いますけれども、今、農業に対して新しい形での参加意欲を持っている女性が結構います。いわゆる従来型の農業ということよりは、食の安全とか食育という側面から農業に入っていけないだろうかと模索をしている女性というのが結構多くて、NPOのようなものをつくったり、個人の活動としてやったりしている方がいらっしゃるのですけれども、農業人口が減っていることを考えると、そういうところにももう少し就労の可能性を広げても良いのではないかと思います。
     農業基本法や食糧管理法という古い法律が生まれ変わって、その後平成15年には大幅に改正され、色々な意味で新しくなってきてはいるのですけれども、もう一つ何か工夫をこらして、今の意識の高まっている女性、男性も含めてなんですけれども、それを農業の中に取り込めないかということもちょっと感じております。
     以上です。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     時間の関係で次に進ませていただきたいのですが、少子高齢化等が進む中で多様な人材の育成が不可欠でございます。子育てなどによる就業中断が存在するなど、女性に特徴的な事情ですとか、ライフステージごとのニーズを踏まえた効果的な能力開発、生涯学習施策を展開していくことが重要かと思います。
     本件につきましては、資料1-3のとおり、内閣総理大臣及び関係各大臣に対して意見を述べることとしたいのですが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
     

    (「はい」と声あり)

    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    それでは、そのように決定いたします。
     ここで官房長官より一言お願いいたします。
    塩崎内閣官房長官
    活力ある社会経済を構築するために、やはり意欲にあふれた女性が人生のそれぞれのステージで能力開発・生涯学習に参加でき、あらゆる分野でチャレンジできるように支援していくことは政策的にも極めて重要な課題だと思います。
     関係府省において、今決定されました意見を十分に踏まえまして、施策の一層の推進に努めていただくようお願いしたいと思います。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございます。
     次の議題に移ります。
     前回の会議で設置されました仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会においては、ワーク・ライフ・バランスの意義・重要性とか、取組の大きな方向性について調査審議を行っていただきました。本日は、同専門調査会会長の佐藤議員にこれまでの議論を中間的に整理していただきましたので、御説明をお願いいたします。
    佐藤議員
    「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の中間報告」について、お手元の資料2-1のポイントに即して御説明させていただければと思います。
     まず1枚目ですが、ワーク・ライフ・バランスの考え方を整理しております。これはワーク・ライフ・バランスについてまだ誤解があるということを踏まえたものです。ワーク・ライフ・バランスは、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、さまざまな活動について自ら希望するバランスで展開できる状態と定義しております。そういう意味で、ワーク・ライフ・バランスは第一に、男性も女性も、あらゆる世代のためのものであるということです。第二に、人生、ライフステージに応じて希望するバランスを決めることだということです。第三に、「仕事の充実」と、「仕事以外の生活の充実」の好循環をもたらすものです。ワーク・ライフ・バランスと言いますと、しばしばほどほどに仕事をするのではないかという議論がありますが、そうではなく、仕事に意欲的に取り組むためにも必要なものであるというふうに整理しております。
     では、なぜこういうワーク・ライフ・バランスへの取組が必要なのかという理由ですが、少子高齢化・人口減少など、時代の大きな流れの中で、これまでの働き方では個人も社会も、地域社会も個々の企業も持続可能でないという認識を示しております。
     具体的には、個人では仕事と家庭の両立、自己啓発や地域活動への参加が困難な状況にあります。経済社会では、労働力不足が深刻化し、生産性の低下や活力の衰退が起こりかねず、少子化が一層進行する可能性があります。個々の企業、組織では人材獲得競争が激しくなり、多様な人材を生かして競争力を強化することが不可欠となっています。つまりワーク・ライフ・バランスは企業から見ても、経営戦略の重要な柱で、明日への投資だと言えます。そういう意味では中小企業においても大きな意味を持つと考えております。
     これらを整理しますと、ワーク・ライフ・バランスを実現することで目指す社会の姿というのは、多様性を尊重した活力ある社会と言えると思います。
     2ページでは、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて社会全体として進めるための基盤づくりが必要であることを説明しております。そのために4つの戦略を掲げています。戦略1は、理解の浸透・推進力強化のための枠組みづくりで、社会全体の取組状況や成果を把握するために、「ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標」を開発すること、更に推進ネットワークづくりなどを挙げています。戦略2では、企業や組織の取組を社会全体で後押しするということで、取組企業の表彰、特に中小企業に対するきめ細かな支援などを挙げています。戦略3は、個人に対するものですけれとも、啓発・情報提供の推進等です。それによって個人の多様な選択を可能にする支援やサービスを展開するというものです。戦略4は、テレワークの推進等、イノベーションの推進です。
     最後ですけれども、社会全体でワーク・ライフ・バランスを推進する上では、やはり働き方の見直し、つまり、企業・組織の取組が鍵になります。そういう意味で「時間管理」の改革、「人材活用」の改革、「組織の在り方」の改革というマネージメントの改革が重要であるということを提案しています。そのためには、経営トップの方々や、管理職の意識改革、トップのリーダーシップが重要だと考えております。
     今後、本中間報告に対して広く一般から意見を募集し、それを踏まえながら更に検討を進め、ワーク・ライフ・バランス推進の基本的方向を取りまとめたいと考えております。
     ワーク・ライフ・バランスは働き方を変えるということでありますけれども、働き方を変えることを通じて日本の社会を変えていくということだろうと思います。働く人たちが家庭で子育てにも関われますし、地域の活動も担える。今、地域や家庭で、働く人が期待された役割を十分に担えないという状況があります。まさに日本の社会を変えていく第一歩につながるのではないかと考えています。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    佐藤議員、ありがとうございました。
     それでは、安倍総理はちょうど次の会議の時間となりましたので、ここで御退席されます。ありがとうございました。

    (安倍内閣総理大臣退室)

    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    それでは、ただ今の御報告につきまして、御意見のある方御挙手をいただけますか。
    植本議員
    今、佐藤議員の方から御報告がありましたワーク・ライフ・バランスについての、中間報告の「はじめに」のところにも明記をしていただき、また、佐藤議員の方から取りまとめとしておっしゃいました、これまでの「働き方の改革」ということ、これなくして社会全体の持続可能性がなくなるということを共通認識として議論を重ね、考え方が大筋でまとまったということについて、私自身も評価をしたいと思っています。
     その「働き方改革」を進めるためには、やはり人間らしい労働、人間を尊重した尊厳ある労働が確立されるという、いわゆるディーセント・ワークが保障されるということが、多様な働き方が働く側にとって選択可能なものになるという点で重要性があると考えています。
     性別役割分担の見直しということは当然のことでありますが、従来の男性働き方モデルと言われているような、戦後ずっと続けられてきた「働き方」からの脱却が求められているということについて、改めて申し上げておきたいと思います。
     その上で、どのようにワーク・ライフ・バランスを推進していくかということ、その枠組みづくり等についての取りまとめをしていますが、ワーク・ライフ・バランスを推進するためには、個々の政策だけではなくて、生活時間の確保と長時間労働の抑制や、多様な働き方を保障するための均等待遇などの法整備や、働き方に中立的な税、社会保障制度の充実や、また、育児・介護の社会基盤の拡充などの複合的な政策パッケージによらなければ実現はなかなか難しいと考えます。したがいまして、実現に向けて社会基盤づくりが大変重要ではないかと考えます。
     さらに、「終わりに」のところに今後の取組みとして、推進のための枠組みづくりの検討ということがございますが、経済財政諮問会議や「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議などでも検討されている中身を精査をしていただきながら、この男女共同参画会議で国や自治体、産業界、個別企業、労働組合、NPOなどの各組織ごとの課題を明らかにして、相互連携、役割分担を発揮できる仕組みづくりと、総合的な政策実施がやれるように早急に議論を進めていただきたいと考えています。
     担当大臣の推進力を期待するものでございます。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    了解いたしました。
    谷本議員
    今、佐藤会長の方から中間報告をいただいたわけですけれども、今の報告の中で企業から見ても、明日への投資という話がありました。私も基本的には賛同するものであります。
     前回申し上げましたけれども、企業の協力とか関わり方がワーク・ライフ・バランスの成否を左右するのではないかと思っております。そんな意味では、今回の報告の中で、そういった企業が社会的に、あるいは市場から高い評価を受ける環境づくりが必要だと、こんな方向性でおまとめいただいているのは、私は大変的を射たものではないかと思っております。その中で具体的に2つほど意見を申し上げたいのです。
     この中間報告の中であまり触れられておりません。企業がワーク・ライフ・バランスを進める際のよりどころになっております一般事業主行動計画です。次世代育成支援対策推進法にございます。この行動計画について、2点ほど意見を申し上げたいと思います。
     1つは、行動計画の公表です。これは次世代育成支援対策推進法では、大企業ですけれども、行動計画の策定が義務づけられております。ほぼ100 %策定済みだとお聞きをしているわけでありますけれども、公表に関する規定は法律上設けられていないということであります。しかし、行動計画を公表するということは、ある意味では企業間のワーク・ライフ・バランスの取組を良い意味で競い合う、私はそういう状況が生まれてくるのではないかと思いますし、また個々の企業においても、言った以上はきちんと取り組んでいかなければいけないというまさに有言実行の意識が育てられるのではないかと思います。これは別に予算が要るという話でもありません。そういった意味ではワーク・ライフ・バランスの推進には非常に有効な良い手だと思います。せっかく法律で定められた企業のほぼ100 %が行動計画の策定を終わっているという状況があるわけですから、次に取り組むべきは、せっかく作られた行動計画の公表だと思います。
     国の方でも公表を促すためにも、概要をホームページで掲載するということをやっておられますが、公表しておられる企業はまだ届出企業のわずか1%ということで、実際問題公表が進んでいないというのが実態であります。
     私ども石川県でもこの行動計画の概要を公表する企業をワーク・ライフ・バランス企業ということで県のホームページでPRをすると同時に、積極的な取組や成果のある企業に対して、知事が表彰するという制度を設けておるわけでございます。私どもこういった行動計画を公表する企業を増やすことができると同時に、これまで行動計画を策定しなかった企業が新たに計画を作成するという裾野の拡大につながっていくのではないかと思いますので、専門調査会ではこの計画の公表によりまして、期待される効果とか、実効性のある公表に関する仕組みづくりについて、掘り下げた議論をぜひお願いしたいと思います。
     もう一つは、中小企業の行動計画の策定。これは、今は法律では雇用者が301 人以上の大企業だけということになっています。圧倒的多数を占める中小企業は努力義務に止まっているということでございます。これも中小企業にまで拡大をしていくことが私はぜひ必要なのではないかと思うわけでございます。実際問題としては、経営者や管理職の皆さんの意識改革も必要でありますし、大企業に比べてハードルが高いというのも現実だと思いますけれども、行政の後押しとか、経済団体の指導的な役割が求められているように思いますので、この点も専門調査会で、更にこの行動計画が浸透していくように、掘り下げた議論を是非お願いしたい、このように思います。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。では、岩田議員お願いします。
    岩田議員
    今、政府の様々な会議体でワーク・ライフ・バランスについて議論がなされ、提案がされておりますが、佐藤会長がおまとめになりました中間報告を事前に全文拝見いたしましたけれども、私はこれまでの議論の中で最も論点が整理をされて、最も先進的、企業のマネージメント改革にまで踏み込んで提言をされているという意味で最も先進的な報告書であり、高く評価をしたいと思っております。
     その上で、個々の企業から見て、なぜワーク・ライフ・バランスに取り組むか、つまり企業の戦略上それを取り組む理由について2つ付け加えたいと思います。
     冒頭、佐藤先生がおっしゃいましたように、ワーク・ライフ・バランスというのは、すべての世代の男女の問題であるのですが、どうしても問題が女性の子育てとの両立の問題に矮小化されるのです。企業から見て、子育てとの両立以外の重要なニーズの1つは、社員の健康管理です。残念なことなのですが、メンタルに失調を来す方が本当に増えておりまして、このままで放置できない企業の経営上のリスクになってきていると思います。メンタルな疾患の理由は複合的ですが、明らかに長時間労働が原因になっているケースも少なからずございます。また、健康管理で重要な課題というのは、生活習慣病をいかに予防するかということです。そのためには、適度な運動が必要。その運動を社員の皆さんが自分で健康管理をするための時間が取れるような働き方にしないといけないという意味で、すなわち心身ともに社員が健康であるためにワーク・ライフ・バランスというのは必要であると思っております。
     もう一つ付け加えたいと思いますのは、人材育成との関係です。従来企業の人材育成というのは、研修とかOJTを通じて、企業が主導で結構うまくいってきたと思うんですが、これから企業の競争力を決定するのは、新しい価値創造力です。これは企業が教えることができない。社員が自ら自己啓発をするとか、あるいは社員が会社の外で様々な活動をしっかりする。そして、会社の中にないような情報や価値観や人と触れるということが、回り回って企業の新しい価値をもたらすのではないか。そのための時間が取れるような働き方にしてあげなければいけないということがあるように思います。
     ですから、ワーク・ライフ・バランスは、女性の活躍を中心とした人材確保のためでは、勿論あるんですが、それに加えて健康問題ですとか、人材育成問題というのが企業から見て、ワーク・ライフ・バランスに戦略的に取り組む理由であるということを強調していただければと思います。
    加藤議員
    私の立場からなぜ今ワーク・ライフ・バランスが必要かと言えば、例えば第2次の男女共同参画基本計画の中に新たな取組分野といたしまして、まちづくりや防災が挙げられております。現状ではこういった分野も高齢者や女性が主な担い手となっております。安全でより豊かな地域社会を創り上げる。すなわち持続可能な地域社会の形成のためには、男性もともに参加をすることが必要と考えております。
     また、次代を担う子どもたちのためにも、教育や子育ての問題、PTA活動も含めて父親の参加が不可欠と考えております。
     ワーク・ライフ・バランスが進展することは、女性の社会進出をより容易にすると思います。女性の社会進出が進むと、男性中心社会でも、これまでの働き方を変えることにつながり、更にワーク・ライフ・バランスが進展することにもなります。この好循環は男女を問わず、それぞれ個人、家庭、地域、企業、そして日本社会全体のバランスを保つ上でも好ましい影響をもたらすものと考えております。
     更に、深刻な長時間労働は報告書にもありますように、過労死や自殺の原因にもなります。長時間労働を是正してワーク・ライフ・バランスを実現するためには、それに取り組む企業を評価をし、応援することは勿論でございますが、法律による規制を含めて実効性のある政策を求めたいと考えております。
     以上でございます。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。また時間が押してまいりましたので、ここで官房長官から一言お願いします。
    塩崎内閣官房長官
    活発な御議論ありがとうございます。ワーク・ライフ・バランスの推進につきましては、経済財政諮問会議や「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議でも関連する検討が進められているところでございます。男女共同参画会議や、その他の会議の検討の成果を十分に生かして、政府としても、このワーク・ライフ・バランスの実現に大きく前進をしてまいりたいと考えております。
     また、専門調査会においては、本日の議論を踏まえていただいて、国民のニーズや現状についても広く把握をしていただいて、引き続き御検討の上で、夏頃を目途に報告をまとめていただくとありがたいと思っておりますので、お願いいたします。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     それでは、次に配偶者暴力防止法の施行状況等について、私の方から御説明いたします。資料3を御覧ください。
     平成16年に改正されました配偶者暴力防止法には、施行後3年を目途とした見直し検討規定があるということを踏まえまして、本会議では、女性に対する暴力に関する専門調査会におきまして、同法の課題と今後の方向性について調査検討を行い、本年3月、お手元にありますように、報告書を取りまとめていただいております。
     これは前回の会議で岩井会長よりポイントを説明していただいておりますので、内容の紹介は省略をさせていただきます。
     今後は、この報告書の内容も踏まえまして、「基本方針」の見直しを行うことなどによりまして、被害者のニーズに合致したきめ細かな保護・自立支援の充実など、施策の一層の推進を図る必要がございますので、今日、各大臣お見えでございますが、関係府省におかれまして、御協力をお願いいたします。
     なお、与野党におきましては、それぞれ配偶者暴力防止法の改正案について、現在検討が進められておりますので、その動向を注視してまいりたいと思います。
     それでは、次の議題に移らせていただきます。資料4をごらんください。
     現在、男女共同参画会議の下には、4つの専門調査会が設けられております。各専門調査会の今後の調査の進め方につきまして、始めに基本問題専門調査会について、袖井議員よりお話しいただき、続いて監視・影響調査専門調査会について鹿嶋議員より御説明を願います。袖井議員からどうぞ。
    袖井議員
    基本問題専門調査会会長を務めております袖井でございます。
     資料4の2枚目について御説明させていただきます。
     基本問題専門調査会は男女共同参画の基本的な考え方や、それに関して国民の関心の高い個別の重要課題について調査検討することとされております。基本問題専門調査会としては、男女共同参画の今後の地域レベルでの推進方策について今後調査・検討を進めていくこととしたいと考えております。
     男女共同参画社会の実現のためには、地方公共団体や身近な地域における取組が重要な鍵となっております。特に幅広い世代・立場の男女が男女共同参画社会の意義を身近なものとして理解し、それぞれが抱える課題を解決できる効果的な施策を進めていく必要があると思います。
     そのような問題意識に基づきまして、地方公共団体や地域における男女共同参画の取組を一層効果的に推進するため、地域レベルの男女共同参画施策の現状と課題を分析し、今後の施策の方向について検討したいと考えております。
     具体的には、世代別・性別ごとにそれぞれ抱える課題、例えば青年期における生涯設計の確立。
     壮年期における仕事と生活の調和、今お話にありましたワーク・ライフ・バランス、それから、女性のチャレンジ、あるいは再チャレンジという問題、退職後における地域活動への参加ということなどについて把握、分析するとともに、男女共同参画第二次基本計画に新たに加わりました項目である地域おこし、まちづくりなどにおいて、男女共同参画がどこまで進んでいるか、その状況を把握すること、あるいは地域における男女共同参画の推進体制などについて検討したいと考えております。
     私からの説明は以上でございます。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。鹿嶋議員お願いいたします。
    鹿嶋議員
    説明させていただきます。資料4の3枚目をお開けいただけばと思います。
     男女共同参画社会基本法第22条によりまして、参画会議は男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況を監視し、かつ、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査することとされております。
     監視・影響調査専門調査会として、今後、「高齢者の自立した生活に対する支援」を監視・影響調査の対象とすることをここで提案させていただきたいと思っております。
     高齢化が急速に進む中で、高齢男女がともに安定した生活基盤を持ち、健康に活力ある生活を送ることが重要ですが、このような社会を実現するため、高齢者ができるだけ長期にわたり健康で安定した生活を送るための自立支援施策をきめ細かに展開していくことが急務になっております。
     このことから、今回の監視・影響調査では、高齢者の所得保障や就業支援、介護予防、健康の保持増進、社会参画支援などの高齢者の自立支援をめぐる現状と課題について、男女の状況の違いや現役時のライフスタイルとの関連を踏まえながら分析して、効果的な取組の在り方についての提言を目指したいと思っております。なお、高齢期における男女の違いは、現役時の状況との関連も深いと考えられるため、本調査を行うことによって、現役時にどのような問題があるのかといったことを含めて広く示唆を導き出すことか可能になると考えております。
     私からの提案は以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、両専門調査会につきましては、今の御説明のとおりにさせていただいてよろしゅうございますか。

    (「はい」と声あり)

    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございます。それでは、そのように決定いたします。
     また、他の専門調査会につきましても、この資料の表のとおり、引き続きそれぞれの調査検討を進めていただくことにしたいと存じます。特に仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会につきましては、官房長官からも、夏頃までに報告をとりまとめるよう御指示がありましたので、佐藤議員を始め、御所属をいただいております議員各位には御協力をお願い申し上げます。
     それでは、最後に防衛省における男女共同参画への取組につきまして、木村防衛副大臣より発言の申出がありますので、お願いいたします。
    木村防衛副大臣
    防衛省におきます男女共同参画への取組について、御報告をさせていただきたいと思います。
     防衛省では女性職員、特に女性自衛官の増加や定着率の改善のための施策について、検討を進めておりまして、配布させていただきました資料のとおり、最近いくつかの施策を取りまとめたところであります。本日は時間の関係もございますので、防衛省の託児所の開設について、御報告をさせていただきたいたと思います。
     本年4月防衛省職員の子育て支援のため、世田谷区の三宿駐屯地内に託児施設を開設いたしました。この託児施設では、現在、0~5歳児32名を保育しておりますけれども、夜間保育や休日保育も実施しておるわけでございまして、勤務時間が大変不規則になることが多い自衛官の勤務の特性に対応したものとなっております。
     防衛省といたしましては、今後ともこのような施策を始め、男女共同参画への取組を積極的に推進してまいりたいと考えております。
     以上です。
    高市少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     以上で本日の議題は終了でございます。既に御確認いただいております前回の議事録と本日の会議資料は従前どおり公開としまして、本日の議事要旨も後日公表いたします。
     官房長官、以上です。
    塩崎内閣官房長官
    色々な問題につきまして、本日御議論いただきました。
     今後、各専門調査会で検討いただく課題は、男女がともに意欲と能力を十分に発揮できる社会を実現する上で重要なものばかりでございます。今後とも議員各位の御知見を大いに活用させていただきながら、効果的な政策の立案実施に努めてまいりたいと考えておりますので、御協力のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
     それでは、これをもちまして、第26回の男女共同参画会議を終了いたしたいと思います。
     ありがとうございました。

    (以上)