男女共同参画会議(第25回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成19年2月14日(水)17:30~18:30
  2. 場所:総理大臣官邸3階南会議室
  3. 出席議員:
     
    安倍 晋三 内閣総理大臣
    議長
    塩崎 恭久 内閣官房長官
    議員
    高市 早苗 少子化・男女共同参画担当大臣
    長勢 甚遠 法務大臣(代理:水野賢一法務副大臣)
    麻生 太郎 外務大臣(代理:岩屋毅外務副大臣)
    尾身 幸次 財務大臣
    伊吹 文明 文部科学大臣(代理:池坊保子文部科学副大臣)
    柳澤 伯夫 厚生労働大臣
    松岡 利勝 農林水産大臣(代理:国井正幸農林水産副大臣)
    甘利  明 経済産業大臣(代理:渡辺道博経済産業副大臣)
    冬柴 鐵三 国土交通大臣
    若林 正俊 環境大臣(代理:土屋品子環境副大臣)
    溝手 顕正 国家公安委員会委員長
    岩田 喜美枝 株式会社資生堂取締役執行役員
    植本 眞砂子 日本労働組合総連合会副会長
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    鹿島 敬 実践女子大学教授
    勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役社長
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    神津 カンナ 作家
    佐藤 博樹 東京大学教授
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    橘木 俊詔 京都大学教授
    谷本 正憲 石川県知事
    出席者
    久間 章生 防衛大臣(代理:木村隆秀防衛副大臣)
    岩井 宣子 女性に対する暴力に関する専門調査会会長
  1. 開会
  2. 議題
    • (1)仕事と生活の調和の推進に関する調査審議について
    • (2)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る数値目標(「2020年30%」の目標)のフォローアップについて
    • (3)配偶者暴力防止法の施行状況について
    • (4)男女共同参画社会の形成の促進のための取組等について
  3. 閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画会議議員名簿 [PDF形式:11KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-1
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会報告書(概要)[PDF形式:140KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-2
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会報告書
    資料3-1
    仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会の設置について(案)[PDF形式:31KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-2
    参考資料 [PDF形式:126KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-3
    男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会提言(リーフレット)(厚生労働省提出資料)
    資料3-4
    男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会提言(パンフレット)(厚生労働省提出資料)
    資料4-1
    政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る数値目標(「2020年30%」の目標)のフォローアップについて [PDF形式:39KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-2
    政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に係る数値目標(「2020年30%」の目標)のフォローアップに関する意見(案)[PDF形式:16KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-1
    女性に対する暴力に関する専門調査会の審議状況 [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-2
    配偶者暴力防止法及び関連する施策に関して女性に対する暴力に関する専門調査会において検討中の課題 [PDF形式:30KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-3
    参考資料(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の概要) [PDF形式:28KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-4
    参考資料(STOP THE 暴力)[PDF形式:1,784KB] 別ウインドウで開きます
    資料6-1
    平成19年度男女共同参画推進関係予算政府案のポイント [PDF形式:21KB] 別ウインドウで開きます
    資料6-2
    平成19年度男女共同参画推進関係予算政府案(総括表)[PDF形式:40KB] 別ウインドウで開きます
    資料6-3
    平成19年度男女共同参画推進関係予算政府案(分野別内訳表)[PDF形式:123KB] 別ウインドウで開きます
    資料7-1
    女性の再チャレンジ支援プラン(改定)(概要)[PDF形式:198KB] 別ウインドウで開きます
    資料7-2
    女性の再チャレンジ支援プラン(改定) [PDF形式:60KB] 別ウインドウで開きます
    資料8
    国の審議会等における女性委員の参画状況調べ [PDF形式:258KB] 別ウインドウで開きます
    資料9
    女性の政策・方針決定参画状況調べ
    資料10
    地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成18年度)
    資料11
    男女共同参画会議(第24回)議事録(案)[PDF形式:56KB] 別ウインドウで開きます

    議事内容

    (プレス入室)

    内閣官房長官
    ただいまから、第25回男女共同参画会議を開催いたしたいと思います。 各議員の皆様方には、大変お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
    初めに、総理からごあいさつを申し上げたいと思います。
    内閣総理大臣
    男女共同参画会議は、本日より新たに7名の有識者を議員としてお迎えをし、新しい体制でスタートをいたします。この際、私の所信を申し述べたいと思います。
    私は、総理に就任して以来、安倍内閣の目指す我が国の姿は、活力とチャンスと優しさに満ちあふれる「美しい国、日本」であると述べてまいりました。この「美しい国、日本」では、国民一人ひとりの多様な力や視点が十分に活かされる社会、挑戦する意欲のある誰もが明日への希望に満ちて活躍できる社会を作っていかなければなりません。
    その前提として、家族の素晴らしさや価値を再認識することが必要であります。かかる観点から、仕事と生活の調和を実現していくことは、女性にとってだけではなく、男性にとっても重要であります。家族と触れ合う時間を大切にしつつ、仕事や地域での活動、学習など、さまざまな活動を自らの望む形で展開することができる社会が実現してはじめて、一人ひとりが、日々の生活に対して、誇り、生きがいや、充実感、明日への希望、そして豊かさを実感できるものと思っております。
    また、安心して、子どもを産み育てることができる日本にしていかなければなりません。子育ての多様なニーズへの対応を進めるとともに、働き方の見直しを通じて、仕事と生活のバランスのとれた、働く人に優しい社会の実現を目指してまいります。これらについては、先般、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議を設置したところであります。少子化対策の観点からも、抜本的に検討を進めてまいります。
    女性の活躍は、国の新たな活力の源であります。今後の我が国の社会経済において、女性の優れた能力や新たな視点、豊かな感性を十分に活かし、新たな可能性を切り拓いていかなければならないと考えております。
    平成17年末に策定された新しい男女共同参画基本計画では、2020年までにあらゆる分野で指導的地位に就く女性の割合を30%程度に引き上げるという目標を掲げたところであります。
    しかしながら、意欲と能力のある女性があらゆる分野でチャレンジし、希望に満ちて活躍できるようにするためには、依然として課題が残されているのは事実でございます。
    子育て、介護等を行いながら、女性がさまざまな分野で自己実現を図っていくことができるような環境は、必ずしも十分とは言えないと思います。また、いったん仕事を辞めた後の再就職も円滑ではありません。このような問題を克服し、女性が活躍できる基盤づくりを積極的に進めてまいります。
    働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、誰でも何度でもチャレンジ可能な社会を築いていかなければなりません。なかでも子育てなどで家庭に入った女性の再就職・起業の支援は重要であります。政府は、昨年末、「女性の再チャレンジ支援プラン」を改定し、施策の充実強化を図ったところであります。今後とも、マザーズハローワークでの就職支援をはじめとした支援を積極的に推進をしてまいります。
    男女共同参画会議では、これまでも仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスについて、重要性を指摘していただいたところであります。今後、さらに本格的な調査審議を進め、我が国全体が、どのように取組を進めていけばよいのか、その方向性を十分に検討していただきたいと思います。
    すべての男女が、どのような状況に置かれても、未来に夢や希望を持ち、安心して暮らせる社会を創ることは、政治の責務であります。さまざまな事情や困難を抱える人にも、常に光を当て続けてまいります。
    配偶者からの暴力や、母子家庭など、困難な状況に置かれている女性に対し、行き届いたケアや自立支援を進めてまいります。特に配偶者からの暴力の被害者の方々については、就職、住居、教育等についてのさまざまな不安を解消できるよう、関係府省が地方公共団体や民間とも連携をしながら、積極的に取り組む必要があります。現在、本会議の「女性に対する暴力に関する専門調査会」においても、配偶者暴力防止法の施行状況について検討が行われています。是非、施策の推進に向けての御提言をいただきたいと思います。
    男女が共に仕事と生活の調和を実現し、さまざまな分野で意欲と能力を十分に発揮することができる社会を実現していく上で、男女共同参画会議の役割は誠に大きなものがあります。重要政策会議としての機能をいかんなく発揮され、誰に対しても開かれ、誰もがチャレンジできる男女共同参画社会の実現に向け、お力添えを賜りますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。

    (プレス退室)

    内閣官房長官
    総理、ありがとうございました。
    ここで、事前に厚生労働大臣より発言の申出がありますので、厚生労働大臣からお願いをいたしたいと思います。
    厚生労働大臣
    委員の方々に大変恐縮ですが、私ごとと申しますか、議事に入る前に一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。
    私、先般1月27日に島根県の松江に講演に出掛けまして、その講演の一部におきまして人口推計の説明をする際、女性と人口との関係について、女性の皆様のみならず国民の皆様を傷つける不適切な発言をいたしました。誠に申し訳ないと存じ、この場をお借りしまして改めて深くおわびを申し上げます。
    今後は深い反省の上に立ちまして、安倍内閣の下で職務に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
    内閣官房長官
    総理は他の公務のためにここで退席をさせていただきますので、お許しいただければと思います。

    (内閣総理大臣退室)

    内閣官房長官
    それでは、議事に入りたいと思います。
    これからの議事進行は、高市大臣にお願いをいたしたいと思います。
    男女共同参画担当大臣
    それでは、御指示がございましたので、議事進行を務めさせていただきます。
    初めに、1月6日に任期満了に伴う議員の任命がございましたので御紹介いたします。 新たに、資生堂取締役執行役員の岩田喜美枝議員。
    日本労働組合総連合会副会長の植本眞砂子議員。
    インターアクト・ジャパン代表取締役の帯野久美子議員。
    全国地域婦人団体連絡協議会事務局長の加藤さゆり議員。
    作家の神津カンナ議員。
    東京大学教授の佐藤博樹議員。
    石川県知事の谷本正憲議員。
    7名の方に御就任をいただきました。
    また、昨年8月に御就任されました東京電力取締役社長の勝俣恒久議員も今回御出席をいただいております。皆様、よろしくお願い申し上げます。
    それでは、議事に入ります。初めに、少子化と男女共同参画に関する専門調査会が昨年末に取りまとめた報告書につきまして、会長をお務めいただいた佐藤議員より御報告をお願いいたします。
    佐藤議員
    それでは、お手元の資料2-1に沿って「両立支援・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進が企業等に与える影響に関する報告書」について御説明させていただければと思います。
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会は、平成16年10月にスタートしました。それ以来、資料1ページ目にありますように報告を2つ、「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書」、同じく「国内分析報告書」をまとめております。さらに、政策提案としまして「ワーク・ライフ・バランスを可能とする働き方の見直し」をまとめて、それぞれ参画会議に御報告させていただいております。これらの結果につきましては、この資料の後方、参考1ページから5ページにまとめております。今回は既に御報告させていただいていますので、説明は割愛させていただきます。
    本日は、昨年12月に公表しました調査会の最後の報告書について御説明させていただければと思います。資料2-1の2ページ目をご覧ください。
    一番上の囲みにありますように、最初に両立支援の推進や女性活用と企業活動との関係について既存研究を整理しました。こうした既存研究を踏まえて、本調査会では2つのアンケート調査を実施いたしました。
    1つ目が、資料2ページの中段左側の「管理職からみた両立支援の職場への影響」です。これは、部下が育児休業を取得した管理職に、そのことが職場にどういう影響があったかということを調査したものであります。
    簡単に結果を御紹介しますと、両立支援制度の利用は全体として職場にプラスか、マイナスかということを聞いたわけでありますけれども、最も多い回答は「どちらとも言えない」でしたが、プラスの影響の方が大きいと答えた方がマイナスと答えた方よりも多くなっております。では、具体的にどのような影響があったかといいますと、「仕事の進め方について見直すきっかけになった」、あるいは「仕事を引き継いだ人の能力が高まった」などが上位に挙げられています。
    ちなみに、そのような両立支援、施策を利用したことがプラスとなった職場の特徴ですけれども、残業が少ないですとか、女性が継続就業することが一般的であるとか、チームで連携して仕事を進めることができているとか、時間でなく成果で働きを評価するというような職場の特徴であったということがわかりました。
    2つ目は2ページの中段の右側ですが、個人を対象とした調査で、「男女の働き方とワーク・ライフ・バランス」の関係について調査をいたしました。その結果によりますと、子育てする人が働きやすく、かつ女性が男性と同じように昇進・昇格の機会がある職場、つまり均等が実現できている職場でありますけれども、そういう職場は既婚者、独身者を問わず、男女ともに仕事の満足度が高いという結果が得られました。同じく「仕事への意欲」や「ワーク・ライフ・バランス実現度」も、そのような職場ではプラスになるというような結果も得られました。
    このような2つの調査を踏まえまして、2ページ目の下のようにまとめさせていただきました。つまり、両立支援やワーク・ライフ・バランスが図れるような取組というのは、女性や子育てをしている人だけでなく、すべての男女の仕事の意欲や満足度を高める効果があるということであります。さらに、それだけではなく、仕事への意欲や効率意識、時間意識等が高まることで職場にもさまざまなメリットがあると言えると思います。
    ただ、こうしたメリットが自動的に実現できるわけではなくて、こういうメリットが実現できるためには日ごろから職場、チームで連携した仕事をするとか、サポートの仕組みをつくるとか、さまざまな人材育成のマネジメントが非常に大事です。そういう意味で、管理職がどういうマネジメントを職場でするかということが非常に鍵だろうと思います。しばしば企業経営者の方から、育児や介護というような時間制約がある社員、取り分け現状では女性が多いわけですけれども、そういう女性は非常に職場で使いにくいなどという議論はあるわけでありますが、男性もだんだん育児や介護で時間制限が出てくるわけでありまして、仕事以外でやらなければいけないことをやらないといけない。
    それは逆に言いますと、仕事に割ける時間を効率的に使う、無駄な仕事はないかを見直すきっかけにもなるということです。日本の企業はエネルギー戦略などさまざまな環境制約の中で仕事を効率化してきた。これからは働く人たちが仕事以外に必要な時間が出てくる、仕事に割ける時間が一定の時間になってくるということは、今までの仕事の仕方を効率的なものにしていく一つのきっかけになるのではないか。そういうことが調査からも得られるのではないかと思います。以上です。
    男女共同参画担当大臣
    佐藤議員、どうもありがとうございました。ワーク・ライフ・バランスはお一人おひとりが豊かさを実感できる社会を実現する上で不可欠だと思います。今回はデータに基づいて、仕事への意欲ですとか、満足を高めること、それから職場にもメリットがあるということをお示しいただきまして、この報告書は大変意義深いものだと思います。
    今後、本会議におきまして総理から御発言がありましたとおり、ワーク・ライフ・バランスの推進に関る調査審議を一層進めてまいりたいと存じております。
    資料3-1をご覧くださいませ。このとおり、少子化と男女共同参画に関する専門調査会の成果を踏まえまして、新たに専門委員及び専門調査会を置きまして調査審議を進めてはどうかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
    谷本議員
    専門調査会を設置されるということですけれども、基本的に私自身は賛成でございます。
    その中で、特に我々自治体もいろいろなことをやっているんですけれども、特に感じていますのは、企業の皆さん方にどうやってワーク・ライフ・バランスの理解を得て参画をしていただくのか。私は、そこが一番のポイントになるのではないかという思いがしております。
    若干世界が違うんですけれども、環境ISOというのは今ほとんどの企業が取得していますね。昔はああいうものを取得する企業はほとんどなかったんですけれども、今あれを取得しているのは、やはり取得をすることが社会的に高い評価にもつながるし、市場からも高い評価を得ることがわかったものですから、企業は皆それを取得されているということなので、そういった意味ではワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組まれる企業が社会的に高い評価を受ける。そして、市場からも高い評価を受けるような環境づくりを是非やっていく必要があるのではないかと思います。
    佐藤先生が今度会長になられるということでありますけれども、是非その辺のところは掘り下げて議論をいただきたいと思いますし、私ども現場を預かる自治体としては、例えば次世代育成支援対策推進法で行動計画の策定が義務付けられていますけれども、ただ、公表は義務付けられないということなんです。そこで、我々石川県内の企業でもあえて行動計画を公表される企業についてはワーク・ライフ・バランス企業ということで県のホームページで企業名を挙げてPRをさせていただいています。それから、特に積極的にワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業については不肖、私が顕彰させていただくとか、あるいは入札でも一定の優遇措置を講じさせていただくとか、企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むとこんな形で評価をされるんだという環境づくりが必要だと思います。
    我々は今年度の少子化白書でも取り上げていただきましたけれども、プレミアムパスポート制度というものを一昨年から始めました。これは、3人以上の子どもさんをお持ちの世帯に対して企業がいろいろなサービスを提供していただくというシステムを始めたんです。最初はどれほどの企業が参加してくれるかと思っていましたら、予想を超える1,600店舗の企業に参加していただいて、これは直接的には多子世帯の家庭の経済的な負担を多少なりとも軽減して差し上げるという側面もあるんですけれども、それ以上に企業の皆さん方に子育て支援に積極的に参加をしていただこうという思いが我々にはあったものですから、そういう意味では大変いいスタートを切ることができたという思いがしています。 我々はもう一歩進んで今度、議会で子どもに関わる総合条例を提案しようとしているんですけれども、その中で今、行動計画の策定が義務づけられているのは法律では300人以上でしたか。我々は条例でそれを100人以上の企業にまで拡大をしていこう。それを条例の中にしっかり盛り込んで、できれば平成20年度くらいから100人以上の従業員をお持ちの企業については全部行動計画を策定していただこうという取組を我々は進めていこうとしておりますので、専門調査会でも具体的な議論は是非していただきたいと思います。理念、哲学も大事なんですけれども、具体的な施策につながるような提案を是非していただきたいと思います。
    男女共同参画担当大臣
    企業のモチベーションということも含めて、佐藤会長しっかりテイクノートしていただいてよろしくお願いいたします。
    それでは、皆様の同意が得られましたので、ワーク・ライフ・バランスに関する専門調査会を設置いたしまして、ワーク・ライフ・バランスの意義、重要性、それから取組の大きな方向性に関する調査検討、ワーク・ライフ・バランスの推進に資する統計データや事例等の分析を行い、随時本会議に報告していただくことといたします。
    それでは、同専門調査会で検討すべき課題なども含めまして、ワーク・ライフ・バランスの推進に関しての意見交換を行いたいと思うのですけれども、先に私の方から本日の審議の参考としていただくために考え方を整理させていただきましたので述べさせていただきます。今の資料3-1を1枚おめくりくださいませ。
    「仕事と生活の調和」については、さまざまな捉え方があるかと思うのですけれども、議論の整理のために定義というんでしょうか、「男女がともに、人生の各段階において、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動を自らの希望に沿った形でバランスをとりながら展開できる状態のこと」と、このように位置付けました。
    次に、その実現によって何が変わるのかを整理いたしました。
    第一に、一人ひとりが豊かを実感できる社会になると考えます。また、企業等の組織、家庭、地域にもそれぞれ大きなプラスの影響があると思います。
    さらに2をご覧いただきたいのですが、調査審議の在り方といたしましては、企業における取組の推進を中心としつつも、幅広い角度から検討することが必要と考えております。具体的には、検討事項の例及び検討の視点について資料に整理しておりますので御参照くださいませ。
    それでは、今から皆様から御意見を承りたいと思いますので、挙手の上、御発言を願います。
    それでは、岩田議員お願いいたします。
    岩田議員
    今、谷本知事の方からもお話がありましたが、企業は具体的に何をやるかということなのですが、ワーク・ライフ・バランスを実現するために企業がやるべきことというのは労働時間をトータルでいかに短くできるかということと、多様な働き方のメニューを準備するということの2つしかないと思うんです。
    難しいのは前者の方で、長時間労働の是正をどうするかということなのですが、これを企業の競争力を落とさずに、具体的に言うと労働コストを上げることなく長時間労働をいかに圧縮するかということが難しいといいましょうか、例えばどの仕事は切り捨てられるかとか、あるいは仕事のやり方の見直しをするかとか、まさに労働生産性向上のための業務改革なんですね。
    昨今、ワーク・ライフ・バランスについて前向きな発言を産業界の多くの企業の方や団体がするようになりましたけれども、長時間労働の是正については真正面から取り組むことを躊躇していると見受けられるのではないかと私は思います。それは、その背景にある競争力を落とさないやり方で長時間労働の是正というのは具体的にどうすればいいのか。1時間当たりの労働生産性を上げるためには何をやればいいのかということに大変難しさがあるからだと思うんです。
    そこで、先ほど大臣の方から御提言がありました専門調査会の設置をしていただけますと、専門調査会の方で例えばそういう課題をどういうふうに乗り越えたらいいのかということについて調査審議していただいて、ガイドラインでも出していただければもう少し企業は躊躇することなく向き合えるのではないかと思います。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。
    では、鹿嶋議員お願いします。
    鹿嶋議員
    先ほどの知事の意見とも少し関係があるんですけれども、前回の参画会議で、昨年8月にワーク・ライフ・バランス推進会議を立ち上げたという報告をいたしました。その後、半年たってさまざまな活動を今、進めているのですが、今日の午後、代表幹事会というものがあって、今後更にどういうふうに進めるかという議論をしたんですけれども、一つの問題点としては中小企業の理解といいますか、ワーク・ライフ・バランスについてなかなかいかない。
    問題は、果たしてそういうものを推進することと生産性とはどういう関連があるかといったような大変難しい点も実はありまして、それについて私どもはいわゆるモデル的な事例をサイトを通して周知していくといったようなことと同時に、もう一つの装置が必要だろう。それは、社会全体でワーク・ライフ・バランス企業を育てていくといったようなことです。
    これは幾つか申し上げますと、例えばマーケットでもファミフレファンドなどというものが出ているんです。ファミリーフレンドリーファンド、ファミリーフレンドリー企業を集めて、株安の優良企業を集めてファンドができる。これは意外と売れたりしています。 それから、CSR調達というものが出ていまして、いわゆる取引先企業に対して親企業の企業理念を理解していただく。その大きなウェートは環境問題なんですが、このCSR調達の中に今後ワーク・ライフ・バランスといったような問題が入ってきていいのではないかということがあるんです。それから、さきほど出ました公契約の場面でもそういうような考え方があって、もう既に一部自治体がそれを先行しております。
    それから、ワーク・ライフ・バランスの日を私どもの民間運動では11月23日にしたんですけれども、更にもう少し広げてワーク・ライフ・バランスの日ではなくてワーク・ライフ・バランスウィーク辺りはどうかとか、さまざまな議論が出て、社会全体でそういう企業を育てよう。そして、ワーク・ライフ・バランスの企業であれば商品が多少高くても買ってあげようといったようなムードづくりといいますか、そういうものがあってこそかなり実効性を担保できるのかなというふうな議論を今日してきたんです。
    是非そういうことで私どももやりたいと思いますので、この専門調査会でもそういうことを踏まえた上で議論をしていきたいと思っております。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。
    では、植本議員どうぞ。
    植本議員
    ワーク・ライフ・バランスの検討をするときの視点なんですけれども、先ほど岩田議員の方から長時間労働の問題がございましたが、今は働き方そのものが二極化しているという問題は大きいと思うんです。男性、女性双方の仕事と生活の調和ということを考えるときに、男性並みの長時間労働を女性が行うということを前提にした両立支援そのものがバランスだとなったのでは、これはとてもやっていけないということになりますので、長時間労働か、それができなければ不安定な非正規雇用かの二者択一というような働き方に現在なっているのではないか。
    例えば、労働力調査で94年から2004年の10年間で35時間未満の労働が308万人増えた。その多くは女性で、週60時間以上の労働がまた99万人増えた。その多くは男性で、その中間の35時間以上60時間未満という労働実態は271万人減っている。いわば働き方そのものが二極化しているということを何とか解消していく。それが、先ほど岩田議員のおっしゃった、企業の中でどういう働き方の見直しの努力がされていくのか。そこのところが必要なのではないかと考えています。
    現状を冷静に見つめて、例えば男性の育児休業そのものの取得は徐々にではありますけれども、伸びているんですが、ただ、育休と言わなくても年次有給休暇の取得そのものが十分に取れていないというか、連合で行いました調査では80時間以上の時間外労働をする人の5人に1人が1日も年休を取っていないというような状況がございます。そういうところでいけば、男性の働き方モデルの見直しが重要になってくると考えていまして、やはり企業中心の働き方と、それと裏腹にある家族依存の介護や家事育児といういわば戦後システムの脱却が必要なのではないか。総理の言葉を借りると、戦後システムの脱却というのはこういうところからやっていかなければならないのではないかと考えていまして、税とか社会保障制度、働き方の基準などをしっかりと見直しをする。そういうところに役立つような専門調査会の議論が是非必要なのではないかと考えています。
    先ほど谷本知事の方から次世代育成支援対策の御紹介がございましたけれども、さまざまにこの間、施策が打ち出されているんです。そのことがどんなふうに有効に作用したのか。そして、有効でなかったものは何なのか。そこのところをしっかり評価することによって次の手立てが見えてくると思いますので、そういうところの部分で先ほど鹿嶋先生がおっしゃった公契約の問題、要するに企業をほめて育てるというところの手段としても公契約の問題というのは大変重要かと考えていまして、そういう自治体モデルを増やしていくということが進めていく大きな原動力になるのではないかと考えております。以上です。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。
    では、勝俣議員お願いします。
    勝俣議員
    先ほど岩田さんがおっしゃったとおり、時間外、いわば長時間労働をどうするかということが一番の課題でございますけれども、最近、労働基準監督署も猛烈に厳しいですし、もう一つはパソコンで家庭で仕事をするというのは最近私どもの会社でも特定の者でないと許さないとか、そういうことになってきて、逆に一生懸命働くことの条件整備がなかなかうまくできていないというようなことがあるんですが、いずれにせよ生産性を上げるということには大変苦慮しております。
    というのも、当直とか、そういう決まった労働時間のものはいいんですが、言ってみればホワイトカラー的な管理的な仕事をきちんと押さえるというのはなかなか正直難しいところがあると思っております。
    しかし、これをこれからやっていくというのは、今は過渡期だと思うので、さっきの労働基準監督署とかいろいろな問題も含めて難しいと思っているんですが、その前にワーク・ライフ・バランスという言葉がそのまま理解できる方というのは非常に少ない。ここには「仕事と生活の調和」と書いてあるからまだわかるのですが、現実は今はまだそんなところではないかということで、例えば私どもでこういうことを労務人事部等々で言いますと、突如として仕事のステップなどが決まっている日に休んで、ワーク・ライフ・バランスだからいいでしょうとか、そういうところの話までいくような問題が現実にあります。まず、管理職も含めて理解活動というものをしっかりやっていくというところくらいから取り組んでいく方がいいのかなと。私どもの会社は遅れているのかもしれませんけれども、そんなことで考えております。
    その中で、我々としては管理職への研修とか、あるいはファミリーディということでいろいろな現場のお店に家族と一緒にとか、そういうところからの理解活動等々が必要であるし、例えば産休制度等々を含めて少子化対策としてうちは制度が整っているのですが、言ってみればハード的な制度だけ整えてもだめで、そこに例えば毎月何らかの情報を提供するとか、パソコンで連絡できるようにしておくとかしないと、やはり長期間休むというのは不安を感じるとか、そういういろいろな課題があるので、ソフトも含めて体験的にいろいろなことを重ねていかないと、そう簡単に日本で仕事と生活の調和などということにならないのかなという気がしております。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。
    まだ御意見もあるかと思いますが、ここで、官房長官から一言お願いいたします。
    内閣官房長官
    いろいろな御意見が出て、現場のことも含めて、いろいろとありがとうございました。今の議論を踏まえ、専門調査会の方でも皆様方の御知見を生かして積極的に調査審議を進めたいと思っております。
    この会議のほかに、政府部内で少子化対策や労働市場改革の観点から関連する検討を進めているところでございます。相互に連携を図って検討内容を生かし合うことが大事ではないかと思っております。それにより政府全体として成果を大きくしていけるのではないかと思っております。我々としてもそのように努力したいと思いますので、議員の皆様方には御協力を賜われれば大変ありがたいと思います。
    男女共同参画担当大臣
    官房長官、どうもありがとうございます。
    それでは、この専門調査会で会長をお務めいただきます佐藤議員、それから植本議員、鹿嶋議員にも参加していただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    では、次の議題に移ります。基本問題専門調査会の報告につきまして、専門調査会会長代理の鹿嶋議員より御説明をお願いいたします。
    鹿嶋議員
    俗に言う2020年30%計画のフォローアップについてお話をしたいと思います。
    資料4-1をご覧ください。第2次男女共同参画基本計画には、「2020年までに、社会のあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待」するというような目標が盛り込まれております。また、各分野における指導的地位に占める者の範囲を確定し、定期的にフォローアップを行うことを通じて目標達成に向けて計画的に取組を進めるということになっております。
    活力ある経済・社会を創造していくには、政策・方針決定過程に多様な視点や新たな発想を取り入れていく必要がありますけれども、我が国の女性の政策・方針決定過程への参画状況は残念ながら国際的に見ても極めて不十分であります。そういう意味で、国が率先して女性の参画の促進について取組を進める必要があると思います。
    「2020年30%」という目標は、政策・方針決定過程への多様な視点を導入して新たな発想を取り入れていくことと同時に、社会の構成員の意思を公正に反映するという意味でも大変重要だと思っております。基本問題専門調査会では、このような状況を踏まえまして、社会の各分野における指導的地位に関する定義とフォローアップについて議論を重ね、報告を取りまとめました。
    報告では、「指導的地位」の定義として①議会議員、②法人・団体等における課長相当職以上の者、③専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者とすることが適当としております。これは、国際社会における定義ともほぼ共通したものであります。
    またフォローアップを行う分野及び項目を指標として別紙のとおりに選定いたしました。指標につきましては、①主要な分野の状況を示すことができること、②各分野において代表性があることなどに留意して、「国・地方公共団体」、「企業」、「農林水産」、「メディア」、「教育・研究等」、「国際」、「その他専門的職業」という7分野を立てましてそれぞれの項目を選んだものであります。
    なお、これらの分野及び項目については、資料4-1にありますとおり、あくまでも代表例・例示という位置付けでありまして、別紙に含まれないものにつきましては指導的地位への女性の参画が必要ではないなどということではありません。
    今後、これらの分野及び項目の女性の割合について、政府が毎年数値を調査して公表するというフォローアップを行っていただいて、「2020年30%」という目標に向けての取組を進めていただくよう期待しております。
    以上、報告につきまして簡単に説明させていただきました。どうぞよろしくお願いします。
    男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございました。
    ただいまの報告に関しまして御意見のある方、挙手をお願いいたします。
    では、加藤議員お願いいたします。
    加藤議員
    私から、数値目標のフォローアップについて少し意見を申し述べさせていただきたいと思います。
    私はすべての地域、すべての人々がその人らしさを生かして生き生きと暮らしていけるようにするために、男女共同参画は身近なところから、すなわち地域レベルから進めていかなければならないと考えております。地域社会において女性がリーダーになれることによって、市町村、都道府県、日本全体へとつながっていくと思っております。地域を大事にするという観点から、この数値目標のフォローアップについても身近な地域レベルの数値においても行うべきだと、かように考えております。
    具体的には最後のページの別紙の表の注2にありますように、自治会長等についても今後是非行っていただきたいと考えております。最初からすべての都道府県のデータがそろっている必要はないと思います。データのあるところから少しずつ始めればよろしいのではないかと思います。
    例えば、昨年までこの会議の議員をしておられた片山知事の鳥取県のホームページにおきましては、自治会長、副会長の男女比率の調査結果が公表されております。また、私ども全地婦連の加盟団体であります東京地婦連におきましても、毎年ではありませんが、東京における自治会、PTAなど、会長、副会長、書記、会計、監査、非常に幅広く男女比率の調査を行い、同様に東京地婦連のホームページ上で公表をいたしております。
    今年は10の県のデータ、翌年は20の県のデータというふうに公表していけばいいのではないかと思います。そして、こうした動きが少しずつを全国に広げながら取りまとめを行っていくということが、私は極めて大事なのではないかと考えております。
    それからまた、単に数値を取りまとめるというだけではなく、なぜ地域社会のリーダーで女性の比率が低いのか、何か障害になっていることはないか、どうすればもっと高めることができるかなどについて、是非、調査研究を行っていただきたいと考えております。
    なかなか簡単なことではないと思っておりますが、その中から施策としてできることがあれば少しずつでも実施していただきたいと、かように考えております。以上でございます。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。
    帯野議員、どうぞ。
    帯野議員
    意見というよりはお願いといった方がいいかもしれないのですが、ただいまの御意見の地域レベルでの指導的な女性を増やすことは大変大切なことだと思っております。世の中を変えるのはマスコミと政治と言われておりますので政治、特に身近な地方政治に女性議員の数をもう少し増やせないかとかねがね考えておりまして、調べますと残念ながら自由民主党の府議会、県議会レベルの女性の数は全体の1.6%でございます。我が大阪には一人の女性議員もおりません。
    ただ、では府議会の先生方がこの問題に関心が薄いのかというと決してそうではなくて、女性職員の登用数を増やせとか、あるいは女性の管理者数をもっと増やせないものかという意見はよく議会でも出ております。
    しかし、増やせという議員団に一人の女性もいないというのは非常に説得力に欠けるのかとも感じますし、増やせというところにどうしても男性の視点ではとどまってしまうと思うんです。どうすれば増えるのかということはやはり女性も一緒になって考えないとなかなか実現しないという意味で、是非地方政治、特に与党の女性議員数を増やしていただけたらと思っております。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。ほかにございませんか。
    それでは、本件につきまして資料4-2の案のとおり、内閣総理大臣及び関係各大臣に対しまして意見を述べることとしたいと存じますけれども、よろしゅうございますか。

    (「異議なし」と声あり)

    男女共同参画担当大臣
    御異議なしということで、ありがとうございます。内閣府におきましては、ただいまの決定を受けまして、年に1回フォローアップを行うことといたします。各府省におきましても、「2020年30%」の目標に向けて御協力をいただきますように今日出席の大臣、副大臣の皆様にお願いを申し上げます。
    それでは、次の議題に移ります。女性に対する暴力に関する専門調査会の岩井会長より、配偶者暴力防止法の施行状況に関する調査の審議状況について、御報告をお願いいたします。
    岩井専門調査会会長
    女性に対する暴力に関する専門調査会の会長を務めております岩井宣子でございます。現在の審議の状況について御報告いたします。資料5-1をご覧ください。平成16年に改正された配偶者暴力防止法の附則に、施行後3年を目途とした見直しの検討規定があることを受けて、本専門調査会では昨年6月から7回にわたり配偶者暴力防止法の施行状況等について調査・審議してきたところです。現在はヒアリング及び被害者の自立支援についての調査や、国民からの意見募集の結果等を踏まえて、配偶者暴力防止法の課題と今後の方向性について議論をしております。
    資料5-2をご覧ください。主なものとしまして、被害者からの申立てにより裁判所が加害者に対し発することができる「Ⅰ」の保護命令の関係では、現行では身体的暴力に限られている保護命令の対象となる暴力に脅迫行為も加えること、また、接近禁止命令により禁止される行為に電話やメール等による接触も加えること、さらに保護命令の対象を被害者本人のみならず、親族や支援者等に拡大することの必要性等について議論をしております。
    また、「Ⅱ」の被害者の保護・自立支援の関係では、被害者が抱えている、当面の生活費に困る、就職先が見つからない、適当な住居がないなどの困難への支援を充実すること、また、配偶者暴力相談支援センターにおける関係機関のコーディネート、さらに被害者に同伴する子どもに対する支援体制の充実や被害者のさらなる安全確保等について、議論をしているところでございます。
    このほか、配偶者暴力相談支援センターの体制整備、民間団体に対する援助・連携、加害者に対する対策等について議論をしております。
    審議の結果につきましては、本年度中を目途に報告書を取りまとめる予定でおります。 私からは以上です。
    男女共同参画担当大臣
    岩井会長、ありがとうございました。
    それでは、御意見のある方はどうぞ。
    では、神津議員お願いします。
    神津議員
    家庭の中に入っている法律というのは結構ありまして、この配偶者暴力防止法、DV法というのもそうなんですけれども、児童虐待防止法であるとか、高齢者虐待防止法であるとか、家庭内で起こったことは配偶者が殴られるだけではなくて子どもも、あるいはその配偶者が高齢者である場合もあるので、いろいろ法律がダブってかかってくるところもあるんです。主務官庁も内閣府だけではなくて厚生労働省や警察庁などいろいろなところが関わり合っておりますし、窓口も婦人相談所だったり、児童相談所だったり、福祉事務所だったりといろいろになっております。
    最近私は議員になりましたので勉強している最中なんですけれども、今はとても連携していろいろなことをやっているということはよくわかるのですが、やはりふかん的に見て全体を把握するというような視点をどこかが持つ。どこか新たにつくるということではないんですけれども、ふかん的に物を見て横断的に判断を下すことができないと、虐待であるとか、暴力であるとかは緊急を要することもあるので、その辺のところがうまくできるようになるといいと思っています。
    例えば保護命令が出ましても調査会社を使って調べてくるとか、人捜しの番組を使って相手を調べてくるとか、いろいろな事例があって、その後、悲惨な状態になることもあるものですから、その辺の命令が出た後、どのくらいの効力でどういうふうに対処していくかということも、やはり細かく詰めて考えていかなければいけないことが山積しているのではないかと感じています。
    それから、暴力とか虐待とかいじめの内容も随分多様になってきておりまして、子どもの例で変なんですけれども、前はいじめられている子は学校が休みになる前の日はすごく気持ちが楽になったらしいんですが、今はメールでものすごい攻撃と、それからネット上の書込みの攻撃が休みの日にあるものですから、休みになると怖くて学校に行っている方がまだいいというようなことを言う子どもにこの前会いました。
    そういうことを考えると、今までの感覚だけではなかなか把握できない暴力であるとか、虐待であるとか、いじめというものが存在するということもあるので、これから禁止命令とか保護命令というようなものは、柔軟な姿勢を持っていろいろなことを考えながら対処していくことが必要なのではないかと思いました。以上です。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
    それでは、袖井議員お願いいたします。
    袖井議員
    今の神津議員のお話に補足というか、追加させていただきたいのですが、今、日本ではいろいろな暴力がばらばら、法律もばらばら、それから担当部署もばらばらなのですが、私は2年くらい前に台北に行きました。あそこは家庭暴力防止センターと言って家庭暴力を全部一括して扱っているんです。児童虐待、高齢者虐待、それから配偶者暴力をまず窓口で一括して受けて、そこで振り分けるという形を取っておりまして、私も本当に日本の場合、縦割りというのはとても問題だと思うんです。
    例えば、高齢者虐待について見ますと、今は高齢者夫婦の介護というのがすごく増えているのですが、虐待も結構あるんです。これが夫婦虐待、配偶者による暴力なのか、高齢者虐待なのか、ちょっと区別がつかない。高齢者虐待について申しますと、息子からお母さんというのは一番多いんですが、意外に多いのが奥さんから夫というものがあるんです。それは要介護になった夫に対して待ってましたという感じで、訪問看護師さんとかヘルパーさんから聞きましたが、おむつを開けてみると爪できゅっとひねった跡があるとか、そういうことがありまして、できればトータルに扱っていただきたいと思います。
    それからもう一つ、是非暴力について申し上げたいのは、今いろいろ検討課題としてどんどん適用の範囲を拡大するというすばらしいお話がありましたが、これは起こってしまってからの対症療法なんですね。ですから、できれば予防ということも考えられないか。これも台北の家庭暴力防止センターでお話を聞いたり、いただいたりしたのですが、新婚のカップルとか婚約中のカップルにとてもかわいいイラストの書かれた小冊子を配っているんです。かわいい絵本みたいになっていて、あなた方は今はラブラブでしょうけれども、これから相手を傷つけることもあるかもしれません。お互いに傷つけないようにしましょうというようなことが書いてあって、実際にそういう暴力があったらここへ連絡しましょうとあるんです。このパンフレットにもいろいろ書いてあるのですが、あんな小さな字ではわからないわけです。
    それで、台湾の場合は短縮ダイヤルで110番とか119番のように全国どこからでも無料で掛けられるんですね。そういうものを日本でもやってほしいと思うんです。暴力防止センターなども本当は電話は無料にできないかと私は前から申し上げているんです。というのは、家から掛けると通話記録からどこへ掛けたかばれてしまうんですね。そういうことを考えると、本当は無料で掛けられるような電話も設けてほしいと思います。
    先ほど総理から、配偶者からの暴力を受けている、それから母子家庭など困難な状況に置かれている女性のケアや自立の支援を進めるというお話がございましたが、是非とも暴力の防止と並んで予防ということにもこれから気をつけていただきたいと思うんです。これもまた台湾ですけれども、台湾では文部省が中心になって結婚準備教育というようなものをやっているんだそうです。その中にもやはり配偶者暴力への予防といいますか、心構えみたいなものを入れているということを聞きましたので、是非この辺りも文部科学省、それから関係各府省でお考えいただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
    男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。よろしゅうございますか。
    それでは、最後の議題に移ります。資料6-1をご覧ください。平成19年度の男女共同参画推進関係予算案について、私から御報告いたします。
    男女共同参画の見地から、当面特に留意すべき事項の総額は約4兆7,000億円で、昨年度より約5%の増額となっております。主な新規拡充事項といたしましては、育児などで一たん退職した女性の再就職、起業等の再チャレンジ支援や、仕事と生活の調和の推進に関する事業を計上いたしております。このうち、女性の再チャレンジにつきましては昨年末、関係閣僚による検討会議におきまして「女性の再チャレンジ支援プラン」の改定を行い、さらなる支援策の強化を図りました。
    資料7-1をご覧ください。今回の改定では、再チャレンジに必要な子育て支援等の充実ですとか、学習能力開発支援の推進、きめ細かい再就職支援の推進など、施策の充実を図りまして、配偶者からの暴力の被害者ですとか母子家庭の母など、困難な状況に置かれた女性の自立支援についても新たにプランに盛り込みました。
    関係施策につきましては「再チャレンジ支援総合プラン」にも盛り込まれたところでございますけれども、関係閣僚の御協力をいただきまして女性が再チャレンジ可能な社会の実現に向けて一層取組を進めてまいりたいと考えております。
    以上をもちまして、本日の議題は終了でございます。
    既に御確認いただいております前回の議事録と本日の会議資料は従前どおり公開といたしまして、本日の議事要旨も後日公表をいたします。
    官房長官、以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。
    今日もまた盛りだくさんでありましたが、それぞれ皆様方から含蓄のある、また現場の声を聞かせていただきましてありがとうございました。
    今国会、労働関係法制はたくさん出てまいりますが、国会でもワーク・ライフ・バランスという言葉が頻繁に出てきております。よくわかっていない人もたくさんいるのかもわかりませんが、今国会が終わるころには大分変わっているのではないかという期待をしているわけでございますので、また皆様方にはそれぞれのお立場から御指導を賜って、男女共同参画の会議も充実させていただきたいと思います。
    それでは、今日は第25回目でありましたが、男女共同参画会議を終了いたします。ありがとうございました。

    (以上)