男女共同参画会議(第24回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成18年10月31日(火)17:34~18:18
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
     
    安倍 晋三 内閣総理大臣
    議長
    塩崎 恭久 内閣官房長官
    議員
    高市 早苗 少子化・男女共同参画担当大臣
    菅  義偉 総務大臣
    長勢 甚遠 法務大臣
    尾身 幸次 財務大臣
    伊吹 文明 文部科学大臣(代理:池坊保子文部科学副大臣)
    柳澤 伯夫 厚生労働大臣
    松岡 利勝 農林水産大臣(代理:国井正幸農林水産副大臣)
    甘利  明 経済産業大臣(代理:渡辺道博経済産業副大臣)
    冬柴 鐵三 国土交通大臣
    若林 正俊 環境大臣(代理:土屋品子環境副大臣)
    溝手 顕正 国家公安委員会委員長
    内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    片山 善博 鳥取県知事
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    林 誠子 日本労働組合総連合会参与
    原 ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
    出席者
    久間 章生 防衛庁長官(代理:木村隆秀防衛庁副長官)
     
    岩男 壽美子 少子化と男女共同参画に関する専門調査会会長代理
  1. 開会
  2. 議題
    • (1)男女共同参画社会の形成に向けた取組等について
      • 平成19年度男女共同参画推進関係予算概算要求
      • 女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等
      • 少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書
    • (2)政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(都道府県・政令指定都市における審議会の委員についての国の法令に基づく職務指定について)
    • (3)男女共同参画会議の進め方
  3. 閉会

    (配布資料)※PDFファイルで開きます

    資料1-1
    平成19年度男女共同参画推進関係概算要求のポイント [PDF形式:70KB]別ウインドウで開きます
    資料1-2
    平成19年度男女共同参画推進関係概算要求額(総括表)[PDF形式:1,171KB]別ウインドウで開きます
    資料1-3
    平成18年度男女共同参画推進関係概算要求額(分野別内訳表)[PDF形式:120KB]別ウインドウで開きます
    資料2
    女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果 [PDF形式:121KB]別ウインドウで開きます
    資料3
    国家公務員採用Ⅰ種試験等による採用内定状況 [PDF形式:341KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-1
    少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書(概要)[PDF形式:13KB]別ウインドウで開きます
    資料4-2
    少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書 [PDF形式:70KB]別ウインドウで開きます
    資料5-1
    都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定について(概要) [PDF形式:1,171KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-2
    都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定に関する調査検討結果について [PDF形式:74KB]別ウインドウで開きます
    資料5-3
    政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(案)(都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定について)[PDF形式:260KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    男女共同参画会議の進め方 [PDF形式:53KB]別ウインドウで開きます
    資料7
    男女共同参画会議の進め方関連資料(有識者議員提出資料)[PDF形式:143KB]別ウインドウで開きます
    資料8
    男女共同参画会議(第23回)議事録(案)[PDF形式:51KB]別ウインドウで開きます

    議事内容

    (プレス入室)

    内閣官房長官
    ただいまから、第24回男女共同参画会議を開催いたします。本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。初めに、総理よりごあいさつを申し上げたいと思います。
    内閣総理大臣
    それでは、私の内閣になりましてから第1回目の男女共同参画会議に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。私は新内閣の発足以来、活力とチャンスと優しさに満ちあふれた国を目指すと、このように申し上げてまいりました。人口減少の局面でも活力に満ちた経済社会を実現をしていくことは可能である。このように考えています。男性も女性も意欲と能力に応じて、様々な活動に参画できる環境が、新たな活力を生むと考えています。私はこれまでも出産、育児等により、退職した女性に希望に沿った再チャレンジの道を開き、その能力を十分に発揮できるよう、支援策の推進に努めてまいりました。今後とも誰に対しても開かれ、誰もがチャレンジできる男女共同参画社会の実現を目指してまいりたいと考えております。具体的には女性の再チャレンジ支援策、そして働き方の見直し、テレワークの拡充などによる仕事と家庭の両立支援策、また出産・子育て期の医療ニーズに対応する体制等を充実・強化するなどし、昨年末に改めて策定した男女共同参画基本計画を一層推進をしてまいります。そのためには、この会議の機能を十分に発揮させる必要があります。御出席の皆様の御努力に大いに期待をいたしております。特に本日は、私の内閣においての初めての会合であります。今後、どのような点に力を入れていくべきか、活発な御議論をいただきますようにお願いをしたいと思います。どうぞまたよろしくお願いをいたします。

    (プレス退室)

    内閣官房長官
    それでは、私も本会議の議長として、男女共同参画社会の実現に向け努力をしてまいりたいと思いますので、議員各位の御協力をお願いいたしたいと思います。それでは議事に入りたいと思います。議事進行は高市内閣府特命担当大臣にお願いいたします。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    御指示がございましたので、議事進行を務めさせていただきます。初めに男女共同参画社会形成の促進のための取組等について御報告がございます。まず資料1-1をごらんください。男女共同参画推進関係予算の概算要求について、私より説明申し上げます。総額は当面特に留意すべき事項として約4兆8,000 億円となっており、前年度予算に比べ約3,000 億円の増要求となっております。このうち、男女共同参画基本計画の重点分野6の「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」が全体の約65%を占めています。また、主な新規拡充要求として、育児等で一旦退職した女性の再就職・起業等の再チャレンジ支援や仕事と生活の調和の推進等のための事業が要求されております。各府省におかれましては、関係施策の充実強化のため、今後とも御努力いただきますようにお願い申し上げます。次に「女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果」について、総務大臣より御報告願います。
    総務大臣
    御報告します。去る10月25日女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等について、男女共同参画基本計画に基づくフォローアップ結果を公表しました。本フォローアップ結果は、昨年に続き2回目のものであります。同計画では、平成22年度ごろまでの政府全体としての採用者に占める女性の割合の目安は、国家Ⅰ種試験の事務系区分で30%程度としております。平成18年度の実績は22.4%であり、平成17年度21.5%に比べ、0.9 ポイント増加しているところであります。また、本府省幹部職員に占める女性の割合は1.6 %となっております。同区分における女性の採用率は、合格率に比べ高くなっており、各府省における取組の成果があらわれているものと考えられます。また、各府省においては、先般改定された女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針を踏まえ、新たな女性職員の採用・登用拡大計画を策定するなど、採用・登用の拡大に向けた各種取組も実施しているところであります。引き続き人事院、各府省と連携して、女性国家公務員の採用・登用の拡大に取り組んでまいりたいと思います。以上です。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。関連して官房長官よりお願いいたします。
    内閣官房長官
    資料3でございますが、本日記者会見でも発表いたしましたけれども、国家公務員Ⅰ種試験等による来年度の採用内定者に占める女性の比率については、内定者全体で21.8%、事務系区分では24.7%となっております。各府省においては、今後とも女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けて、さらに広範な取組を進めていただくようにお願いいたしたいと思います。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。続いて先般少子化と男女共同参画に関する専門調査会がとりまとめられました国内分析報告書につきまして、同専門調査会の岩男会長代理より御説明をお願いいたします。
    岩男壽美子専門調査会会長代理
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会では、昨年少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書をとりまとめ、引き続き本年は都道府県データを用い、出生率、女性有業率、子育てと就業を両立させる社会環境の動向と相互関係について分析をいたしました。資料の4-1をごらんください。1枚めくっていただきまして、1ページ目のグラフです。一つ一つの点が47の都道府県の出生率と女性有業率の状況を示しております。有業率が横軸に合計特殊出生率が縦軸になっております。1971年の時点では、女性有業率と合計特殊出生率に相関は見られておりませんが、87年と2002年の時点では、女性有業率の高い都道府県の方が合計特殊出生率が高いという正の相関関係が見られております。なお、昨年御報告した国際比較においては、出生率が回復してきている国があったのに対して、日本ではすべての都道府県において、出生率が低下傾向にあります。2枚目の表をごらんください。47都道府県を類型化したところ、大きく2つのグループに分かれました。ピンクに塗ってあるのがタイプ1でございまして、タイプ1のように出生率の低下割合が小さく、出生率が比較的高く維持されている地域の多くは女性有業率も高く、逆にブルーに塗ってありますタイプ7のように、出生率の低下割合が大きく、出生率が低い地域の多くは女性有業率も低いことがわかりました。次のページの3枚目のレーダーグラフをごらんください。出生率・女性有業率が共に低いタイプ7、これはブルーの破線になっておりますが、「適正な労働時間」や子育て支援といった社会環境全般について、47都道府県の平均、灰色の点線ですけれども、この平均よりも低くなっています。また、「適正な労働時間」、「家族による支援」、「社会の多様性寛容度」については、特に出生率との相関の高い分野で、タイプ7の中でも、最も出生率の低い東京都、これは緑の実線であらわしてありますが、これらの分野のスコアが特に低くなっております。次のページをごらんください。日本の社会環境の時系列変化に中には、図表4のように両立がしやすくなる方向に推移している項目があります。しかし、国際的に依然低い水準にあることを踏まえ、今後も着実に環境整備を進める必要があります。下の図表5は両立を難しくする方向に推移している項目を挙げております。例えば、三世代同居率の減少などにより、世代間支援が低下しており、地域における社会的な支援体制の必要が増しています。また、特に日本が問題を抱える適正な労働時間や女性や若者の非正規化による雇用の不安定化への対応が強く求められていることがわかります。次ページ以降には、参考として国際比較報告書の概要を付けております。以上でございます。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、次の議題に移ります。「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について」監視・影響調査専門調査会会長の鹿嶋議員より御説明願います。
    鹿嶋議員
    監視・影響調査専門調査会長の鹿嶋でございます。本日は地方公共団体の重要な方針決定を担う審議会等において、職務指定が女性の登用を困難にしている点をお話ししたいと思います。資料5-1と5-2を合わせてごらんいただければと思います。5-2の方は今回の報告書の詳細、5-1は概要です。地方公共団体の審議会等の委員につきましては、国の法令に中に何々機関の長とするというように職務を指定する規定があるケースがありますが、現状においては、機関・団体・施設の長の多くは男性であるために、女性の委員登用に当たっては、その職務指定がハードルを高いものにしています。そこで男女共同参画会議では、都道府県・政令指定都市における審議会等の委員につきまして、国の決定に基づく職務指定について重点的に監視するという方針を昨年12月に決定いたしました。これを受けて監視・影響調査専門調査会で審議し、報告書がそろいましたので内容を御報告いたします。各都道府県・政令指定都市に対して調査を行ったところ、法令による職務指定があるという審議会は26ございました。これらの審議会等における女性の登用率は、19.7%と職務指定のない審議会等の31.1%に比較しまして、10ポイント以上低くなっておりました。そのほかにも法令による職務指定ではなく、国の通知に基づいたり、慣例的に職務指定されている例も見受けられました。このような調査結果を踏まえまして、本報告書では三つの提言にまとめております。まず第一に法令や通知等による職務指定については、例えば、「何々機関の長」から「何々機関の職員」といったような緩やかな規定緩和を行う。また、「何々に関し知識または経験を有する者」というような、「職務指定委員以外の委員の新設」を行うほかに、「職務指定委員会全体に占める割合の縮小」等、見直しを積極的に検討していただく必要がある旨の指摘をしております。第二に審議会等の法令を所管する各府省から、都道府県・政令指定都市に対して助言・支援を行うことの重要性を指摘しています。職務指定でも「何々機関の職員」といった比較的緩やかな規定等の活用や慣例による職務指定を見直すことで、女性登用の促進を助言すること。また、女性人材の掘り起こし、育成についての助言や国や地方公共団体の取組の情報提供を行うことなどを提言しています。第三に国の取組として、高度な専門性を持ち、審議会等において国民の意見を的確に反映できるような女性人材の育成について、積極的に施策を講じることを提言しております。これらの提言につきましては、国内すべての地域における男女共同参画社会の形成の促進に大変重要と考えられますので、この調査結果を踏まえまして、男女共同参画会議としても、各府省において積極的な対応がとられるよう、御検討をよろしくお願い申し上げます。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ただいまの報告につきまして、議員の御意見をお伺いいたします。片山議員。
    片山議員
    ありがとうございます。この問題は以前のこの会議で、私の方から問題提起させていただいたことでありますが、早速に取り上げていただきましてありがとうございます。問題意識を持ちましたのは、法律で決められております防災会議のメンバーなんですけれども、災害が起きましたときに、例えば、避難所で誰が一番困るかというと、乳飲み子を抱えた母親が困るんですけれども、そういう災害時の対応を考える防災会議が、私が知事に就任しました時には、ものの見事にみんな男性でした。全部役職が指定されていますから、32人委員がいて全員男性でした。これではいけないというので、女性にも委員になってもらおうといろいろ工夫をしたんですが、せいぜい8人でした。看護協会を入れるとか、県職員を女性にするとか、日銀に頼んで、支店長ではなくて女性の職員にするとか、そういう創意工夫をしてやっと8人でした。それが限界でした。ですから、今お話がありましたように、法律の規定を緩和をして、女性委員を増やすことができる、そのような手立てを講じていただくことが必要だろうと思います。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ほかにございませんか。それでは男女共同参画会議といたしまして、本報告を踏まえ、皆様のお手元では資料5-3この資料のとおり施策の実施状況を監視し、内閣総理大臣及び関係各大臣に対して、今後の取組に向けての意見を述べることとしてはどうかと思いますけれども、よろしいでしょうか。それでは、御異議がないようでございますので、ありがとうございました。官房長官より御発言をお願いいたします。
    内閣官房長官
    各府省におかれましては、本意見に基づいて、職務指定の在り方について積極的に御検討をいただくとともに、地方公共団体への助言・支援、そして女性人材の育成施策の推進について御協力をお願いいたしたいと思います。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    それでは最後の議題に移らせていただきます。資料6をごらんください。政府は昨年12月に第2次男女共同参画基本計画を閣議決定いたしました。男女共同参画会議におきましては、同計画に基づき、男女共同参画社会の実現に向けた改革を加速していくため、専門調査会の機能を活用しつつ、機動的に調査審議を進めていく必要があると考えています。この会議には、4つの専門調査会が置かれており、御参考として各専門調査会の当面の調査予定を掲載しております。それでは議員各位より、今後どのような点に力を入れて取組を進めていくべきかなど、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと思います。それでは私の方から指名をさせていただきます。住田議員よろしくお願いいたします。
    住田議員
    資料6の基本問題専門調査会資料、そしてあわせまして、資料7の1ページ目の国際比較の方をお手元に開いていただけますでしょうか。小泉内閣では、基本問題専門調査会の議論を経て3つのチャレンジという方針が打ち出されました。上へのチャレンジ、横へのチャレンジ、再チャレンジの3つです。いずれにも深く関係しているんですが、それを数値目標にしようということで、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にしようということを打ち出しました。30%にした理由ですが、実は国際的には1995年までに達成しようという目標でございまして、多くの国では既に達成され、さらに50%を目標としているところもございます。日本はどうかといいますと、そういう国に大きく遅れてしまい、女性の活躍度は、資料7の1ページ目にございますように、なんと43位でございます。言うまでもなく、日本の男性、女性の知力、体力、経済力などの基本的な力は常にベストテン、この前後にありますにもかかわらず、現実に女性の活躍はその程度だということですので、それに向けて数値目標達成のために一層努力していこうということになったわけです。先ほど職務指定に関してのおまとめがございましたが、今後更に、その指導的地位に占めるものの範囲の確定と、指標の作成というものを細かく取り決めた上で、具体的に推進してまいりたいと存じます。各大臣におかれましても御理解と御協力のほどをお願いいたします。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、林議員にお願いいたします。
    林議員
    私は5月の参画会議においても、若者や女性を中心に非正規雇用が大幅に増加している現状を踏まえまして、雇用形態間の均等待遇の必要性について意見を申し上げたところでございます。安倍総理は過日の所信表明演説でも、歴代総理大臣の中では初めてではないかと思いますが、均等待遇の取組を進める決意を述べられ、私は大変心強く思っているところでございます。今日提出しました資料の3ページをごらんいただきたいと思います。「女性の雇用形態と男女の賃金格差」でございます。30代からは正社員が減り、パートが増えていく実態が明確になります。また、右の方に移りますと、パートの女性の1時間当たりの賃金は、男性一般労働者の半分以下となっております。パート女性の仕事の価値は、それほど低いものばかりなのか、いや決してそうではないと思います。かつての正社員の男女の仕事をパートが担っているという職場はたくさんございます。また、2ページに戻っていただきたいと思いますが、夫婦の就業形態別の世帯年収比較をごらんください。例えば、共働きの場合の左の方の30代の夫婦を見ていただきたいと思いますが、ともにパートの場合は年収は300 万円弱、283 万円、ともにフルタイムである場合には約900 万円で、パートはその3分の1の収入にしかなっていないわけです。右の方の片働きの場合の30代は、さらに悲惨とさえ言える低収入で120 万円レベルのところもございます。私は格差の全面否定をするものではないわけですが、これほどの格差というのは、経済活性化の力となる個人の消費を促す意味からも少子化対策の側面からもライフステージに応じた働き方を選択して、仕事と暮らしのバランスある生活をより多くの人々ができるようにパートなど、有期契約や非正規労働者の均等待遇確保の制度を国際基準に合わせて早急に策定するよう努力をお願いしたいと思います。以上でございます。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。次に鹿嶋議員お願いいたします。
    鹿嶋議員
    私は資料7の6ページ、7ページをごらんいただければと思います。6ページのグラフですが、共働き世帯を見ていただきたいのですけれども、仕事時間は7時間45分、妻4時間54分と格差があるのですが、家事・育児・介護の無報酬労働ですね。これまで入れますと、妻は9時間6分、夫の方は8時間10分と1時間近い格差が生じます。それから睡眠時間ですが、夫の方が睡眠時間が長くなっています。NHK放送文化研究所が以前行った生活時間の国際比較調査でも、西欧先進国との比較で、フルタイムの女性が仕事時間の他に家事時間まで含めますと、日本の女性が一番長く働いていました。また西欧先進国は夫の睡眠時間は、妻より短いというのが一般的ですが、この点も日本はちょっと特異性があるような感じがします。つまり、女性より男性の方が睡眠時間が長いというのは、フルタイム同士で比較すると日本ぐらいでありまして、このあたりも、結婚しても女性にかかる負担が多いと女性が考える一因になっている可能性があり、結婚の魅力を失わせる原因になっているのかもしれません。男性は昼間仕事で疲れ切っているかもしれませんが、仕事と家庭生活が両立できるような働き方が大切で、ひいてはそれが少子化の克服につながる可能性があると考えています。7ページをごらんいただきたいのですが、8月1日に「次世代のための民間運動~ワーク・ライフ・バランス推進会議」を立ち上げました。新しい時代に合った暮らし方、働き方の創造をテーマに、建前ではないワーク・ライフ・バランス社会の実現を目指します。私も代表幹事として、この運動に関わります。運動の推進母体は、5人の代表幹事と代表幹事も含めた11人の委員で構成する推進委員会、それに学識経験者や経済界、労働界の代表ら役100人からなる民間会議です。経済団体のトップにも名を連ねていただいて、トップダウンで中間管理職、あるいは一般社員の理解を促したいと思っております。もう一つのイベントとしては、11月23日は勤労感謝の日ですが、勤労だけに感謝するのではなく、ワーク・ライフ・バランス、すなわち仕事以外の生活の重みを認識して、バランスのとれた生活を送ることも重要だということで、23日をワーク・ライフ・バランスの日と位置づけることを提唱する予定です。前日の22日は企業のトップ講演とか、私ども代表幹事5人のメッセージの発信等々のイベントもありますので、どうぞご注目ください。ワーク・ライフ・バランスでもう一つ強調しておきたいのは、この運動は、女性だけが仕事と家庭の両立がしやすくなることを目指すものではないということです。男性も家庭参画をすることが大切で、これは女性だけを対象にした運動ではないという理解、そういう意味では、ワーク・ライフ・バランスの推進に当たっては、男女共同参画の理念をしっかり根底に据えた上での取組が必要だと痛感しております。どうぞ皆様方の御理解をお願いいたします。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、内永議員お願いいたします。
    内永議員
    私は産業界の方からの御報告とお願いということでお話をしたいと思います。最近、ここ一、二年ですが、日本の企業は女性の活用ということに対して非常に活発になられているんですけれども、そういう中で、資料の4ぺージを見ていただきたいと思います。これは21世紀職業財団の方から出されている資料なんですけれども、結論から言いますと、女性を非常に活発に活用している企業が、やはり収益性ですとか、成長性ですとか、そういったことに対して高い評価、高い結果を出している。それからこの中では課長における女性が占める比率、それが1~3%とあるんですけれども、もう一つは管理職の比率が「大幅に増えた」、ないしは「やや増えた」、「現状維持」とそれぞれありますが、このそれぞれの企業ごとに見ますと、収益性の指標においても、成長性の指標においても、非常に大きな変化が出てきているということで、やはり女性を活用するということが、何らかの形で企業の活性化に役に立っている。次のぺージを見ていただきたいんですが、これは経済産業省の方から出された報告の絵ですが、基本的には同じことを言っているわけですけれども、女性が活躍できるから、即それが企業の利益に直結するということではなくて、それは結果として、そういうことは言えるんですが、女性が活躍できるということは、人事とか、労務管理ですとか、いろんなところで本当にワーク・ライフ・バランスですとか、人材の活用ですとか、そういったことが非常に積極的に行われている。結果的に企業の活性化が行われるということだと。こういう報告をしているわけですが、いずれをとっても女性の活用ということが非常に 大事であるということが言えると思います。これはある知り合いからの情報なんですが、私、インベストメントファンドの社長を何人か知っているんですが、日本の企業がこれから世界の中で本当にもっともっと強くなっていくために、3つ大きなことをやらなければいけない。そのうちの1つはフィナンシャルに健全になる。それからもう一つはコーポレートガバナンス、ここまでは過去10年間十分にやってきた。でも、一番大事なところでもう一つ残っているのはワークフォース・ダイバーシティだと。やはり人材が男性だけのモノカルチャーで、そういう中では、政府が推進しようとしているイノベーションということに対して、やはり考え方が同じ考え方、同じ価値観、同じ環境の中でやってきた人たちだけの中だけでイノベーションを推進するということは難しいし、さらに言うと、女性まで広げて優秀な人材を活用するということがないと、新しい発想は出てこないということが言われています。私は全くそのとおりだと思いますが、最近、企業が生き残るために、トップの方々の理解が非常に高いんですけれども、やはり、なんと言っても社会のしきたりですとか、先ほどお話のありました働き方の問題ですとか、こういった点は、是非国が先頭に立って進めていただくことによって、日本の経済の活性化が行われるだろうと思います。よろしくお願いいたします。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。袖井議員お願いします。
    袖井議員
    私は「地域における女性活躍推進法」ということについて申し上げたいと思います。資料の8ぺージ以降でございますが、過疎、高齢化の進行とか、経済の苦境のために、一部の大都市を除いては地域社会が衰退しております。ここにいらっしゃる国会議員の方々の選挙区にも、多分、シャッター通りというのがいっぱいあるかと思います。衰退した地域を活性化する上で、今後女性のパワーが大いに期待されると思います。そこの8ぺージにありますのは、各地において女性が活躍しているという例でございまして、新しい分野で、女性が新しいコミニティービジネスを立ち上げたとか、高齢化の進む農村で、民宿や農産物の販売を行って地域の活性化を図ったとか、歴史のあるまちの再生を図ったとか、そんな例が挙がっております。新しい分野につきましては、こういうふうに女性が活躍しているんですが、農協とか、漁協とか、町内会、自治会といった伝統的な団体では、どうしても男性がリーダーで女性はフォロワーというか、男性優位の姿勢が見られますので、伝統的な団体の活動においても女性の能力が活用されることを期待しています。第二次男女共同参画基本計画に新しい項目として、地域おこし、まちづくり、観光というようなテーマが取り上げられておりますので、政府が女性のチャレンジ支援に一層力を入れてくださいますようお願いいたします。それから、もう一つ新しい分野へのチャレンジに加えまして、再チャレンジ、先ほど総理からもお話がありましたが、子育てのために一旦退職をした女性が再就職したり、再チャレンジする。これが日本ではまだかなり難しくて、その次の資料9ぺージを見ていただきますと、御存じのように、日本女性の就労パターンはM字型になっているんですが、働いていない人の中に就職したい、働きたいという女性が非常に多いんですね。ところが一番最後の13ぺージを見ていただきたいんですが、再就職女性の採用状況ですが、女性を中途採用した企業は2割弱というような非常に驚く状況なんですね。しかも、こういう企業におきましても、35歳までといった年齢制限を設けているということが多いので、なかなか難しいという状況がございます。安倍内閣の重要課題である再チャレンジを推進する上で、関係各府省が連携をして取り組んでいただきたいというふうに切にお願い申し上げます。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。では原議員お願いいたします。
    原議員
    資料6にお戻りになっていただきまして、1枚めくっていただいて、「これまでの男女共同参画社会の実現に向けた取組」(別紙1)というところをごらんくださいませ。緑のような帯びになっている右側の部分です。2001年に「配偶者暴力防止法」が施行されまして、2004年に3年後の見直しが行われまして、改正法が施行されました。その後、また3年目を迎えておりますので、再検討を加えるという時期に来ており、現在、女性に対する暴力に関する専門調査会では、配偶者暴力防止法の施行状況につきまして、現状と課題の把握に努めております。データに関しまして、地域によって多様な状況も見られるということもございますので、現状を把握するということが非常に大事です。例えば、被害者からの相談件数とか、一時保護件数というのは、全体として見ると年々増加傾向でございますが、被害者の保護、支援の取組などにつきましては、いろいろ自治体により差があるというようなことも聞かれます。NGOなどからは、私ども専門調査会に対しまして、対策の一層の充実に向けて様々な要望が寄せられているところでございます。「配偶者暴力防止法」ですが、フィリピンなどは女性及びその子どもたちに対する暴力を防止する法律というふうになっているのに対しまして、日本のこの法律は、男性被害者も保護するということで、しっかり男女共同参画になっておりますので、この部分は世界に誇ることができるかと思っております。大臣の皆様の今後の御理解と御支援を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。片山議員お願いいたします。
    片山議員
    私の方からは現場の実情について2点お話を申し上げたいんですが、一つは、今お話のありましたDV被害なんですけれども、施策はだんだん進んでいますけれども、実態はかなりひどいものであります。鳥取県は全国で一番被害者支援を充実させているということになっておりまして、逃げるなら鳥取県ということで、全国から被害者の方を民間シェルターなどを中心にしてお受けをしております。そこの実情について関係者からお話を伺っていて一つ気になりますのは、格差がすごく拡大しているということです。今までも所得の格差はありましたけれども、それとは違った視点で、例えば施設に入ってくる、鳥取県に逃げてくる、その前にどういう生活をしていたかというと、野宿とか、車上生活というのがあるんです。結構あるんです。この世の中で。支援の仕組みはあるんですけれども、そこにアクセスする情報とか、機会とか、そういうものがない。これはかなりゆゆしい問題でありまして、我々自治体も改善に向けて努力しますけれども、実際そういう救済しなければいけない被害者の人たちに、支援へのアクセス情報が届いていないという実態があるということを是非御認識いただきたいと思うんです。もう一つは、このDV被害者も母子家庭もそうなんですけれども、ハンディキャップを持った皆さんが再チャレンジをし、自立をしなければいけないというときに、行政もこの自立を支援するんですけれども、ポイントは2つです。住宅問題と就労です。それぞれ優遇するような制度はあります。制度はありますけれども、実は空振りに終わっているケースがほとんどなんです。制度はあっても、実質的には住宅への入居や就労の機会はない。例えば、住宅は公営住宅で入居優先枠があるんですけれども、優先枠はあっても提供される住宅がほとんどないんです。公営住宅はたくさんあるんですけれども、新規に入居募集するのが余りないんですね。そうすると、わずかばかりの限定的な入居募集の中で優先したって余り意味がない。私はこの際、本当に公営住宅の制度を見直す必要があるのではないかなと思います。ずっと入っておられる方よりも、今自立の支援をしてあげなければいけない人たちの入居の方を優先すべきではないでしょうか。そうすると、公営住宅の在り方について、今までとは発想を変えて、自立支援型の制度に見直すということも必要なのではないかということが一つです。それから、就労の問題もハローワークで一応受け付けることになっているんですけれども、実質的には余り機能していません。と言いますのは、例えばハンディキャップを持った人に対しては求人がありません。そうすると、就労のためにはきめ細かいマッチングが必要になります。今、鳥取県ではハローワークとか、企業とかと組んで、そういうきめ細かい就労のマッチングをやろうとしていますので、これは是非全国的な取組にしていただければと思うんです。それから、就職活動をしようとしたときに子どもがいますと、保育所に預けなきゃいけない。ところが保育所は現に職についていて保育に欠ける人を対象にしますから、休職中の人は実は対象にならないんです。本当は一番福祉の対象として自立の支援をしてあげなければいけない人たちが、実は冷遇されている。ちょっと逆転しているんです。保育所に子供を預けられるほとんどの人は、実際は福祉の対象ではないんです。仕事を持っている人は保育所に預けられるのに、仕事がなくて、これから探さなければいけない、訓練を受けなければいけない、資格をとらなければいけない人が保育所に入れないで右往左往しているという、こういう逆転現象があるんです。ですから、保育所行政なんかも真に福祉の対象にしなければいけない人を優先するという、こういうことにしなければいけないと思うんです。以上、母子とか、DV被害者とか、ハンディキャップを持った人の再チャレンジを支援しようと思ったときには、今までの施策を少し根本から見直す必要があるんではないでしょうか、ということを現場にいて痛感するものですから申し上げさせていただきました。ありがとうございました。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    山口議員お願いします。
    山口議員
    資料の6の別紙1をごらんいただきたいんですが、1985年に女子差別撤廃条約批准のところを見ましたときに、安倍総理の父上が外務大臣をされておられて、これの寄託式にデ・クエアル事務総長が来られて、私ども民間人を外務大臣がお招きくださったことを大変意義深く思い出しております。今日、私は推進体制のことをお話ししたいと思いますけれども、男女共同参画社会形成に向けて、ナショナルマシナリー推進体制が必要なんだということを多くの女性団体や、有識者が政府にお願いをしてきたんですけれども、それが当会議を含めて現在実現して、男女共同参画社会基本法と基本計画の策定、それから男女共同参画局が設置されました。日本における男女共同参画は着実に取り組んでおりますので、これらの推進体制は国連および、国際会議で高く評価されているところです。今年の6月から7月にかけまして、東京で東アジア男女共同参画大臣会合がありまして、前の猪口男女共同参画担当大臣が議長になられました。そこでイニシアチブを発揮されたんですが、参加の18の国だとか、国際機関の代表のうち、閣僚級が14名出席されました。それでインドは女性・児童開発大臣、韓国は女性家族部長官、カンボジアは女性大臣と言っています。役職名で男女共同参画に取り組んでいます。先般、安倍内閣の閣僚に高市大臣が就任をされて、沖縄及び北方対策、科学技術政策、イノベーション、少子化、男女共同参画、食品安全、このように御担当されていますが、いずれも焦眉の重要な事項であると思います。これまでの女性閣僚の方より非常に広い範囲で御担当されておるので、大変なお役目だと思っております。ただ問題は、私が心配していますのは、こんなに6つの要職を持っていらっしゃると、男女共同参画施策に十分な力を発揮することが難しいんじゃないかと懸念しております。男女共同参画社会というのは、社会の活性化に不可欠であるということが社会にひろがりつつありますので、この男女共同参画社会基本法のもとに、一層諸施策を進めていただきたいし、ここにお出ましの大臣の方々にも高市大臣を支えて、是非推進していただきたいとお願いする次第です。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。過労死する覚悟で頑張りますので、よろしくお願いいたします。それでは、ほかの先生方からも御意見を賜りたかったんですが、時間をオーバーしてしまいましたが、特にということがございますでしょうか。
    厚生労働大臣
    厚生労働大臣の柳澤でございます。パートの方の均等処遇の問題につきまして、先ほど御発言いただきましたけれども、これは法的な整備をしまして、その実現に向けて取り組みたいということでございます。今、検討中でございます。それから片山議員から今お話がありました雇用の掘り起こし、子どもを持っているマザー、お母さんの再就業の問題については、マザーズハローワークというところでは、雇用の掘り起こし、それから保育サービス情報の提供、こういったことにも取り組んでいますが、何しろ数がまだ少ないということで、この拡大にこれから取り組みたいと、このように思っております。以上御報告です。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは申し訳ございませんが、お時間もまいりましたので、最後に官房長官より御発言をお願いします。
    内閣官房長官
    本日はワーク・ライフ・バランスの推進や女性の再チャレンジの促進など、今後の重要な課題について貴重な御意見をたくさん伺うことができました。男女共同参画会議においては、本日お伺いをいたしました御意見を踏まえまして、引き続き積極的な検討を行ってまいりたいと思います。高市大臣には大変お忙しいと思いますが、少し睡眠時間を削って頑張ってもらいたいと思います。改めて議員各位の御協力をお願いをいたしたいと思います。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございました。私も担当大臣としまして、議員各位の御意見も踏まえまして、積極的に施策の推進を図ってまいりますので、believe me、信じてください。頑張ります。以上で本日の議題は終了でございます。既に皆様に御確認いただいております前回の議事録と本日の会議資料でございますが、従前どおり公開とさせていただきます。また、本日の議事要旨も後日公表させていただきます。官房長官以上でございます。
    内閣官房長官
    それでは、これをもちまして第24回男女共同参画会議を終了いたしたいと思います。本日は誠にお忙しいところをありがとうございました。

    (以上)