男女共同参画会議(第23回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:開催日時:平成18年5月29日(月)17:20~18:00
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    安倍 晋三 内閣官房長官
    議員
    猪口 邦子 少子化・男女共同参画担当大臣
    杉浦 正健 法務大臣
    麻生 太郎 外務大臣(代理:塩崎外務副大臣)
    谷垣 禎一 財務大臣(代理:赤羽財務副大臣)
    小坂 憲次 文部科学大臣
    川崎 二郎 厚生労働大臣(代理:中野厚生労働副大臣)
    中川 昭一 農林水産大臣(代理:三浦農林水産副大臣)
    北側 一雄 国土交通大臣(代理:松村国土交通副大臣)
    小池 百合子 環境大臣(代理:江田環境副大臣)
    沓掛 哲男 国家公安委員会委員長
    内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員
    鹿島 敬 実践女子大学教授
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    林  誠子 日本労働組合総連合会参与
    原  ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
    古川 貞二郎 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会理事長
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
    出席者
    額賀 福志郎 防衛庁長官(代理:今津防衛庁副長官)
    出席者
    岩男 壽美子 少子化と男女共同参画に関する専門調査会会長代理

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)男女共同参画社会の形成の促進のための取組等について
      • 大臣による男女共同参画研修会の実施
      • 平成18年度男女共同参画推進関係予算
      • 東アジア男女共同参画担当大臣会合
      • 国の審議会等における女性委員の登用の促進
    • (2)少子化と男女共同参画に関する提案について
    • (3)閉会
  3. 閉会

    (配布資料)※PDFファイルで開きます

    資料1
    大臣による男女共同参画研修会の実施)[PDF形式:135KB]別ウインドウで開きます
    資料2-1
    平成18年度男女共同参画推進関係予算(概要)[PDF形式:19KB]別ウインドウで開きます
    資料2-2
    平成18年度男女共同参画推進関係予算(総括表)[PDF形式:19KB]別ウインドウで開きます
    資料2-3
    平成18年度男女共同参画推進関係予算(分野別内訳表)[PDF形式:91KB]別ウインドウで開きます
    資料3
    東アジア男女共同参画担当大臣会合について [PDF形式:21KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-1
    国の審議会等における女性委員の登用の促進について(男女共同参画推進本部決定の概要)[PDF形式:13KB]別ウインドウで開きます
    資料4-2
    国の審議会等における女性委員の登用の促進について(平成18年4月4日男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:13KB]別ウインドウで開きます
    資料4-3
    国の審議会等委員への女性の参画の拡大について(平成18年3月24日基本問題専門調査会) [PDF形式:24KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-1
    少子化と男女共同参画に関する提案(概要)[PDF形式:90KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-2
    少子化と男女共同参画に関する提案(少子化と男女共同参画に関する専門調査会)[PDF形式:31KB] 別ウインドウで開きます
    資料5-3
    少子化と男女共同参画に関する提案(参考資料) [PDF形式:117KB]別ウインドウで開きます
    資料6
    男女共同参画会議(第22回)議事録(案)[PDF形式:41KB]別ウインドウで開きます

議事内容

内閣官房長官
それでは、ただいまから第23回「男女共同参画会議」を開催いたします。本日は、お忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、早速議事に入ります。議事進行は、猪口内閣府特命担当大臣にお願いをいたします。
少子化・男女共同参画担当大臣
それでは、安倍内閣官房長官から御指示がございましたので、議事進行を務めさせていただきます。初めに、男女共同参画社会の形成の促進のための取組みについて、私から報告申し上げます。
資料1でございます。これは「大臣による男女共同参画研修会の実施」ということで、それについて説明申し上げます。
この研修会は、自治体の担当者、地方議員等を対象に、本年1月から開催してきたもので、今月、全国10ブロックの研修会をすべて終了いたしました。各ブロックとも週末の開催であったにもかかわらず、合計約三千人という非常に多くの関係者に御参加いただくことができました。第2次基本計画を着実に推進していくためには、各自治体の現場において男女共同参画を正しく理解し、国と地方とが協力しながら取組みを進める必要があります。
そのような認識の下、私自ら全国各地を訪問し説明を行うことにより、男女共同参画の理念や社会的性別、ジェンダーの視点の定義について、関係者の正確な理解を深めることが必要であり実施したわけでございますけれども、一定の成果を上げることができたと考えております。
また、参加者から非常に熱心な質疑が行われ、今後の取組みに対する大きな期待が寄せられるなど、自治体関係者の男女共同参画に対する熱い思いにも接することができまして、担当大臣として改めて意を強くしたところでございます。
次に資料2-1でございます。「平成18年度男女共同参画推進関係予算(概要)」についてでございます。これまで基本計画に則しまして、網羅的に集計を行ってきたわけですけれども、第2次基本計画においては、男女共同参画施策の充実度をより把握しやすくするため、当面特に留意すべき事項と、それ以外の事項に区分いたしまして、とりまとめを行うこととされました。これを受けて、今年度の関係予算をとりまとめてきたわけでございます。
総額は、当面、特に留意すべき事項として約四兆四千億円となっております。主な内訳でございますけれども、基本計画の重点分野6の「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」、この中には、例えば介護給付費、国庫負担金が約九千億円ぐらいでございます。障害福祉サービスが約四千億円ぐらいございますけれども、その推進等を含めまして、約二兆九千億円で、全体の67%をこれが占めております。
次に、重点分野5の「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」が約一兆二千億円となっております。このほか、他の重点分野及び計画の推進に関する予算の合計が約二千四百億円です。
資料2-2には、当面、特に留意すべき事項について、第2次基本計画の項目ごとの予算額が出ております。
資料2-3には、それ以外の事項も含めまして、施策ごとにその予算額を掲載しております。このように非常に細かく予算額について資料を用意させていただいております。
各府省におきましては、それぞれの施策の着実な実施、そして男女共同参画社会の形成の促進に努めていただきますよう、改めてお願い申し上げます。
続いて資料3でございます。これは、国際会議の東京におけます開催についてでございます。6月30日、そして7月1日に東アジア男女共同参画担当大臣会合というものを開催する予定でおりますので、そのことについて説明申し上げます。
この会合では、東アジアにおけるジェンダーの平等を目指してをテーマとして、東アジア諸国の担当大臣を東京にお招きし、男女共同参画の重要性、そして男女共同参画の取組みや推進に当たっての課題等について意見交換を行うとともに、国内外に男女共同参画の重要性をアピールしていきたいと考えております。
参加国としましては、中国、韓国、ASEAN諸国、オーストラリア、ニュージーランド、インド等の15か国、2国際機関に声をかけておりまして、現時点で13の国、機関からは大臣クラスの出席のお返事をいただいております。この会合によって、東アジア地域全体の男女共同参画が一層推進されることを期待しているところでございます。
最後に資料4-1でございます。これは、国の審議会等における女性委員の登用促進に関する新しい目標について、基本問題専門調査会の報告を踏まえ、男女共同参画推進本部で決定いたしました。新たな目標の内容につきまして、資料で御参照いただければと思います。
審議会等への女性委員の登用は、国の政策、方針決定過程への多様な視点の導入、そして行政への国民参加の確保等に資するものであります。今後、この新たな目標の達成を目指して、国として率先垂範し一層の取組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
議題1は、以上でございます。
それでは、次の議題であります「(2)少子化と男女共同参画に関する提案について」に移ります。
前回の会議では、専門委員の方々の提案について、各議員の御意見を承りました。これを受けまして、今般、専門調査会として政策提案をおとりまとめいただきましたので、岩男会長代理より御説明をお願いしたく思います。
それでは、岩男先生、よろしくお願いいたします。
岩男専門調査会会長代理
それでは「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を可能とする働き方の見直し」について、資料5-1に沿って御提案申し上げます。基本的な考え方としては、資料の右端にありますように、子育て世代の両立支援を契機とするすべての人を対象とした仕事と生活の調和施策の推進というものでございます。この提案は、男女共同参画の推進にとって極めて重要なものであり、また結果として少子化対策に大いに資する取組みでございます。
本提案は、資料5-1にあるように「背景」「施策の方向性」「具体的施策」から成っております。
「背景」といたしましては、まず女性の就業継続や再就業が困難な状況がございます。資料5-3というのが、本提案に関する参考データでございますので、こちらの2ページをごらんいただきたいと思います。これは、結婚年次別に出産前後の女性の就業状況を示しております。一番下の灰色の部分が、育児休業を利用して就業を継続している割合。その上の黄色い部分が、育児休業を利用せずに継続している割合で、ピンクから上は仕事を辞めております。
このデータを見ますと、育児休業を利用する人の割合は増えておりますが、就業を継続している人の割合は増えていないことがわかります。
背景の2つ目としましては、雇用形態・就業形態別の労働時間や賃金収入における格差があります。子育て期の男性、正規社員を中心に、長時間働く人が増えております。一方、男女ともに非正規化が進み、賃金収入の低い層も拡大しています。正社員で収入はあっても時間がない、非正規で時間はあっても収入がないなど、極端なパターンに分かれており、どちらも結婚、出産、子育てが困難な状況にあります。
背景の3つ目としましては、子育て世代だけでなく出会いの機会が必要な未婚者や、親の介護をする中高年層なども、さまざまな理由から生活の時間を必要としていることです。 次に「施策の方向性」といたしましては、まず生活の質を高める働き方の実現です。仕事だけではなく、家庭や地域などでさまざまな活動に参加したり、人的ネットワークを広げる、時間的余裕が持てる社会の実現を図る必要があります。例えば、朝晩家族で食卓を囲むという、当たり前で大事なことができるようにするということです。
そのために、仕事のやり方や時間管理の効率化を進めるとともに、短時間勤務、フレックスなどの多様な就業時間、就業場所を選べる仕組みを整備するだけでなく、ニーズに応じて実際に選択できる柔軟な就業環境を実現する必要があります。
ライフステージに則して働き方を選択できる環境の実現です。長い人生の中で、仕事、家事や子育て、学習などを、希望や必要に応じて力を注ぐ重点を変えられるような社会を目指します。そのためには、労働市場への退出入のハードルが低くなり、労働市場が柔軟化することが必要です。
3つ目は、正規社員の働き方の柔軟性確保と非正規社員の処遇の改善です。我が国の現状から、正規社員にとっては時間などの柔軟性の確保が大きな課題であり、非正規社員にとっては処遇の改善が大きな課題であると考えられます。正規と非正規の両方にとって、制度が働き方の選択を制約することがないような仕組みづくりを進める必要があります。 4つ目に挙げましたのは、この取組みは個人、組織の双方にメリットがあるということです。これまで組織における両立支援策は、組織の負担増と受け止められる傾向がありました。しかし、労働力不足時代の到来を控え、女性を含め多様で優秀な人材を確保できること、仕事への意欲を引き出せること、生活者としての視点を仕事に生かせることなど、組織にとっても大きなメリットがあります。
最後に国民の認識の改革です。企業への働き方も重要ですが、ワーク・ライフ・バランスの取組みは、個々人の希望に沿って進められるものです。国民が、これまでの固定的な働き方や家庭内の役割分担にとらわれず、生き方を自ら選択できるよう意識改革に取り組むことが必要です。
「具体的施策」としましては、3つの領域に分けて示しております。
個人の意識啓発・能力開発にかかる施策では、男性を中心に家庭・地域への参画に関する意識啓発や、再就職などの多様な就労類型に応じた能力開発支援です。
組織の雇用環境整備に係る施策は、組織の幹部の意識啓発、マネージメントや評価システムの開発支援、正規社員と非正規社員との均衡処遇に取り組む事業主に対する国の支援であります。
関連する法・制度の整備に係る施策等は、第2次男女共同参画基本計画でも取り上げられている課題であって、公正な処遇が図られた多様な働き方の導入、育児休業中の所得保障の在り方、時間外労働の削減、女性の再チャレンジ支援の一層の推進などです。
既存の制度及び今後整備される柔軟な働き方のための制度が、実際に多くの人に利用され、例外的な働き方ではなく、働き方の主流となるようにすることで、今回の提案が実を結ぶと思っております。
以上でございます。
少子化・男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
それでは、議員の先生方から御意見をお伺いしたく思います。
まず、袖井議員、よろしくお願いいたします。
袖井議員
ワーク・ライフ・バランスと申しますと、専ら少子化対策とか、子育て支援というような観点からとらえられることが多いのですが、生活の質、クォリティー・オブ・ライフを高めるという観点からも、非常に重要な取組みかと思われます。
仕事と家庭の両立ということだけではなくて、地域におけるボランティア活動であるとか、人的ネットワークを広げるとか、あるいは趣味や余暇生活を楽しむとか、そういうことも含めて多様な生活スタイルの実現を目指すものというふうに考えております。
日本の男性サラリーマンというのは、在職中は仕事ばかり、退職したら暇ばかりみたいになってしまって、非常に偏った生活ですけれども、やはり家庭も仕事も地域もバランスの取れた生活をすることが、質の高い生活を維持することではないかと思います。
家庭生活におきましても、子育てのためだけではなくて、資料5-3の17ページにありますように、短時間正社員を希望する人の中で、男女とも介護のために必要という人が7割ぐらいいます。こういうことも考えて、子育て世代だけではなくて介護も含めて、男女ともあらゆる世代の働き方の見直しが必要かと思われます。
今日、結婚も出産も遅れておりますので、子育てと介護に同時に直面する、いわゆるサンドイッチ世代といわれる人も増えております。したがって、あらゆる世代が柔軟な働き方ができるような施策、あるいは働き方の見直しが必要かと思われます。
以上でございます。
少子化・男女共同参画担当大臣
大変ありがとうございました。
それでは、山口議員、よろしくお願いいたします。
山口議員
団塊の世代が大量に定年時代を迎えますけれども、この方たちが地域活動に参加されることが大いに期待されております。しかし、定年後の生き方を考えるゆとりもない会社人間というか仕事人間で生きていた人たちが、これからどう過ごしていいか悩んでいるという声をよく聞かされます。
企業内では、そういうことへの対応として、定年後のボランティア活動だとか、どういうライフプランを立てたらいいかということを研修しているそうですが、いきなり定年直前にそういう研修を受けても、すぐに役立たないということを聞かされております。
この表の中で、7ページをごらんいただきますと、週60時間以上働く人の割合というのは、30代、40代、それから20代という男性なんです。これでは非常に仕事と家庭の生活の両立は困難でして、子どもの養育どころか子どもの教育も関われないという状況が出ております。
また、8ページをごらんいただきますと、有給休暇の取得日数ですけれども、これも非常に減少しているデータが出ております。
こういったような働き方では、やはり地域活動だとか、まして家庭生活に参加する余裕がありませんので、やはり団塊の世代の生き方の問題を含めまして、今、働いている世代の長時間労働の解消策というのは早急に進めなければならないというふうに考えております。
以上です。
少子化・男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
続きまして、原議員、よろしくお願いいたします。
原議員
ありがとうございます。同じく資料5-3の5ページのグラフをごらんくださいませ。1982年から2000年の間の20年間で、子どものいる女性の有業率の山、すなわち緑色の部分は大きくなっておりません。20代、30代の有業率のラインがむしろ下がっているわけです。よくM字型カーブの底が上がってきたと申しますが、このグラフを見ると上がっているのは主として、配偶者も子どももいない未婚者の増加分だということがわかります。
こういう現象は、晩婚化とも深く関係しているのではないかと思いますが、山口議員がただいま指摘なさいましたように、男性を中心とした長時間労働や休みの取れない働き方の問題がベースにあって、この基礎的な働き方の部分をしっかり見直さないと両立支援策は効果が発揮できない。
更に少子化の問題と絡めますと、特に女性の健康の問題は今回の御報告では入ってこなかったわけでございますが、今後政府におかれましては、是非女性の健康の問題に関する対応の強化にも力を入れていただきたいと思います。
例えば、産婦人科のお医者さんとか助産婦さんがいないから、もう臨月になっても御産が難しいといったような地域が全国的に随分出てきております。だから、「産めよ増やせよ」といっても、「産めないよ、産みにくいよ」といったような状態をなくす方向での総合的施策が必要です。もう一つは、性感染症その他の病気に若いころにかかれば、それだけ妊娠しにくくなるわけで、こういう観点からの今後の御検討も期待しております。
少子化・男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
続きまして、林議員、よろしくお願いいたします。
林議員
中間報告に対して意見を申し上げましたが、それを本文の方では4ページの(3)辺りから十分に反映をして報告書をまとめられたことを、大変うれしく思っております。女性の有業率のM字カーブの内訳について言うならば、お手元の資料5-3の10ページのグラフを見ていただきたいと思います。就業形態別のグラフがございますが、これも2002年のものを見ますと、20年前よりもはるかに多く非正規が拡大していることがおわかりだと思います。緑の部分です。30代の子育て世代の正規の割合が増えていないことも問題です。また、若年層の正規の山が崩れているということも大きな問題です。
次の11ページのグラフを見ていただきますと、子どもの年齢別のグラフでも、子どものいる女性の非正規雇用が拡大していることがわかります。男性で非正規が進んでおりますし、非正規男性の方が正規男性よりも未婚率が高くなっています。この非正規雇用問題は、子育て期の女性の問題だけではなく、対象となる層が広がり、より深刻な問題となっています。働き方の見直しと多様性の確保のためには、雇用形態や職種の違いを超えて、同一価値の労働に対しては同等の報酬をという国際条約の趣旨を具体化することが不可欠であると思っています。
この正規・非正規の格差是正と均等待遇問題については、官房長官を中心に再チャレンジ支援の視点からも対策が検討されているという報道がございまして、抜本的な取組みを期待いたしております。よろしくお願いいたします。
少子化・男女共同参画担当大臣
どうもありがとうございました。
それでは、住田議員、よろしくお願いいたします。
住田議員
同じく資料5-3の6ページをごらん下さい。女性が子どもを持っても働き続けた方がよいか、それとも子どもができたら仕事を一旦辞め、大きくなったら再び職業を持つ方がよいかという形で、アンケート調査がされております。世論調査の結果、平成14年に、男性の方は子どもができてもずっと職業を続ける方がよいが多数派になり、一旦辞めるという意見を上回ることになりました。
女性の場合は、14年から16年で転換期を迎え、性別役割分業意識も転換したように、この数年国民の中で大きな意識変革があることがこの表からもおわかりいただけると存じます。
にもかかわらず、希望はそうであるにもかかわらず、実際には第一子出産を機に辞めている女性が、現実には日本では7割にのぼります。希望がかなえられていないというのは本当に残念です。
今回の施策の方向性にライフステージに則して働き方を選択できる環境の実現ということが掲げられましたが、まずは継続就労が可能となる環境の整備を一層進めていただくことが重要です。現在、一旦退職した女性がたくさんいらっしゃいます。私の世代は非常にたくさんいらっしゃいます。子育て等を終えて、また頑張りたいと思われている方々の再チャレンジ支援が非常に重要ですが、その取組みのためには企業の雇用ニーズをよく調査していただいた上、女性の仕事をしたいという気持ちとうまくマッチすることが大きな課題と考えます。
その意味でも、企業のニーズを把握して、そのニーズに則した女性の子育て期、その他のステージに即した女性の能力開発に力を入れていただきたいと思います。女性に希望が持てる選択肢がさまざま用意できるような社会の実現を期待したいです。
以上です。
少子化・男女共同参画担当大臣
どうもありがとうございました。
それが、鹿嶋議員、よろしくお願いいたします。
鹿嶋議員
年間の労働時間から見れば、アメリカの方が大体100 時間ぐらい長時間労働国だったはずです。働き方の柔軟性という点では、日本は大変課題が残っております。これまで、私たちは会社の都合に自分の生活を合わせるという形で働いてきたわけですけれども、今後は短時間勤務とかフレックスなどの就業形態の柔軟化、更には育児休業制度の充実などを通じて、働き方にどれぐらい自分の都合を加味できるかということが課題になります。
そうした制度面では、大企業は進んでいるとは言われるんですけれども、一方で利用しにくいなどの声もございます。
例えば、成績評価がAクラスの非常に優秀な社員が育児休業を取るとCとかDとか、非常に低いランクになってしまうと。そのために結婚しない、更には結婚しても子どもを生まないといったようなDINKs、そういう選択をするケースもあるということもありますので、その辺運用に大企業はまだ問題があると思っております。
その点、最近発表された今年度の『中小企業白書』ですが、女性社員1人当たりの子どもの数は実は中小企業の方が多いんです。それに、中小企業ほど勤務時間の短縮やフレックスなどの両立支援に関して、柔軟に対応している割合が高いという結果も出ております。 働き方の柔軟性という点では、こうした中小企業の取組みを支援すると同時に、大企業の場合は制度が整っておりますので、更に風土が伴うような働き方、制度から風土へといったような転換が必要になってくると思っております。
少子化・男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。
最後になりましたけれども、内永議員、よろしくお願いいたします。
内永議員
今、ワーク・ライフ・バランスということで、いろいろなお話がありましたけれども、この取組みを子育ての女性だけではなくて、むしろ全従業員を対象にするということが、今いろいろな企業の中で非常に注目されています。特にこのことが、多様な人材確保を必要とする、これからの企業経営においては必須の課題であろうと理解しております。
ワーク・ライフ・バランスそのものを子育て世代だけに限定するということは、周りの人は今までのままの働き方をするわけですから、ある意味では燃え尽き症候群ということになりかねないということで、企業が健全な発展をするためにも、すべての人を対象としたワーク・ライフ・バランスを考えていただきたいと思います。
1つの例ですけれども、これは私どもの会社のことで大変僣越なんですけれども、実は企業の中で非常に大きな問題になっていますが、エグゼクティブや中間管理職の人たちのワーク・ライフ・バランスなんです。この方々が今、本当に非常に競争が激しいということで、この人たちのワーク・ライフ・バランスをどうするかということが、非常に大きな課題になっております。
1つの例ですと、私どものところでコンサルタントをしている人間が、私の下におりましたけれども、3か月半必死になって働いて、その後2週間休みを取らないと自分はもう燃え尽きてしまうと。そういうめり張りをかけていかないと、この競争の激しい中では生き残れないんだということを明確に言っておりまして、ですから、このワーク・ライフ・バランスというのは、企業にとっても非常に大きな施策になると思っております。
女性の管理者の登用ということを進めていく中で、これまでと同じように男性の働き方をそのまま女性に対して求めるということは、子育て等いろいろなことがその上に乗ってきますので、登用した女性自身が逆に無理をし過ぎてつぶれてしまうというようなことも出てくるわけです。
そういった観点から、基本となる男性の働き方そのものを、やはり仕事と生活とがうまくバランス取れるような形を両方並行して考えることによって、女性の登用も進んでくるだろうと思っております。
女性の管理職が増えますと、実際に自分でワーク・ライフ・バランスをやっておりますので、男性管理職よりも働き方にきちっとした目配りがなされてきています。そういう観点でも、女性の管理職登用とワーク・ライフ・バランスというのは、両方セットにして是非進めていただきたいと思っております。
これは、単に女性だけの問題ではなくて、企業の競争力という観点からも大変大事なことだと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。
少子化・男女共同参画担当大臣
どうもありがとうございました。大変貴重な御意見をいただいたと思います。
ほかに、特段御意見がございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、専門調査会において、非常に貴重な点をとりまとめていただき、誠にありがとうございました。また、これを受けて貴重な御議論をいただいたところでございます。 仕事と生活の調和を図る働き方の見直しは、あらゆる世代で広く進めることは、男女共同参画を推進するための重要な施策でありますと同時に、少子化対策にも資するものであることが、今の御議論を伺っていても明らかでありますので、各府省におかれましては、本日の提案を踏まえ、関連施策の推進に一層御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、小泉総理にごあいさついただきますが、もし何かお言葉がありますれば、プレスが入る前にお願いしたいと思いますが、プレスを入れてよろしいですか。
内閣総理大臣
入れていいです。
少子化・男女共同参画担当大臣
それでは、よろしくお願いいたします。

(報道関係者入室)

内閣総理大臣
この前の会議でも、ある会社の社長さんが女性が多い方が業績が上がる。みんな知らないようだけれども、そう言っていました。実際そうだという何人かの社長がおりました。今日の資料でも随分変わってきたね。女性が子どもを持って働き続けた方がよいという意見が、男も多くなっている。随分、意識が変わってきたんじゃないですか。
住田議員
変わってきたんです。この2、3年の大きな変化です。
内閣総理大臣
だから、もう一つ進めて、辞めてもまた働きやすい環境をつくった方がいいと思います。辞めたくない人は辞めなくてもいいけれども、辞めたい人は辞めて、また戻りやすい環境を会社がつくる。
こういう形で、更に一層取組みを進めていただければいいと思います。よろしくお願いいたします。
少子化・男女共同参画担当大臣
ありがとうございます。
議長の安倍官房長官からも一言お願いいたします。
内閣官房長官
今日は主にワーク・ライフ・バランスについて御議論をいただいたんですが、こちら側に座っている政治家、または後ろにいる役人の人たちは皆さん、極めてアンバランスな人たちが多いのではないかと思うわけでありますが、しかし、やはり長い人生の中で、仕事だけで終わったのではなかなかむなしいのではないかという意思がかなり芽生えてきたのではないかと思います。また、人生単線化から複線化に多様な生き方、多様な働き方が生かせる社会に変えていった方がいいのではないかという意思もだんだん高まってきているのではないかと思います。
先般、札幌におきまして、再チャレンジについて若者と意見交換をいたしました際にも、参加者から女性が働きやすく、また結婚や出産により一旦退職しても再就職等によって、再び活躍することができる社会の実現を求める声があったわけでございまして、本日御報告をいただいた政策提案とも関係の深い女性の再チャレンジ支援も一層推進していきたいと考えております。
各閣僚におかれましては、本日の議論を踏まえ、具体的な方策を検討し今後の施策に盛り込んでいただけますようにお願いをいたします。
少子化・男女共同参画担当大臣
ありがとうございました。

(報道関係者退室)

内閣総理大臣
この資料は知りませんでした。
少子化・男女共同参画担当大臣
非常にはっきりと出ているところが、しかも男女ともにでございますので、重要な資料でございますので、お示ししてございます。
それでは、どうもありがとうございました。以上で本日の議題は終了でございます。既に皆様に御確認いただいております、前回の議事録と本日の会議資料は、従前どおり公開とし、本日の議事要旨も後日公開いたします。
官房長官、以上でございます。
内閣官房長官
それでは、これをもちまして、第23回「男女共同参画会議」を終了いたします。
本日は、どうもありがとうございました。

(以上)