男女共同参画会議(第22回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成18年3月8日(水)17:15~18:00
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    安倍 晋三 内閣官房長官
    議員
    猪口 邦子 少子化・男女共同参画担当大臣
    杉浦 正健 法務大臣
    麻生 太郎 外務大臣(代理:塩崎外務副大臣)
    谷垣 禎一 財務大臣(代理:赤羽財務副大臣)
    小坂 憲次 文部科学大臣(代理:馳文部科学副大臣)
    川崎 二郎 厚生労働大臣(代理:中野厚生労働副大臣)
    中川 昭一 農林水産大臣(代理:三浦農林水産副大臣)
    二階 俊博 経済産業大臣(代理:松経済産業副大臣)
    北側 一雄 国土交通大臣(代理:松村国土交通副大臣)
    小池 百合子 環境大臣(代理:江田環境副大臣)
    沓掛 哲男 国家公安委員会委員長
    大橋 光博 西京銀行頭取
    鹿島 敬 実践女子大学教授
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    橘木 俊詔 京都大学教授
    林  誠子 日本労働組合総連合会参与
    八代 尚宏 国際基督教大学客員教授
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
    出席者
    額賀 福志郎 防衛庁長官(代理:今津防衛庁副長官)
     
    岩男 壽美子 少子化と男女共同参画に関する専門調査会会長代理

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)国の審議会等における女性委員の割合の新たな目標設定に関する検討状況について
    • (2)少子化と男女共同参画に関する提案について
  3. 閉会

    (配布資料)※PDFファイルで開きます

    資料1
    国の審議会等における女性委員の割合の新たな目標設定に関する検討状況について [PDF形式:50KB]別ウインドウで開きます
    資料2-1
    少子化と男女共同参画に関する提案(少子化と男女共同参画に関する専門調査会委員)[PDF形式:46KB]別ウインドウで開きます
    資料2-2
    男女共同参画基本計画(第2次)における関連施策 [PDF形式:43KB]別ウインドウで開きます
    資料2-3
    参考資料 [PDF形式:349KB]別ウインドウで開きます
    資料2-4
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会委員名簿 [PDF形式:13KB] 別ウインドウで開きます
    資料3
    少子化と男女共同参画について(有識者議員提出資料)[PDF形式:349KB]別ウインドウで開きます
    資料4
    女性の政策・方針決定過程参画状況調べ
    資料5
    地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成17年度)[PDF形式:63KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    男女共同参画会議(第21回)議事録(案)[PDF形式:185KB]別ウインドウで開きます

    議事内容

    少子化・男女共同参画担当大臣
    それでは、本日は議長であります安倍官房長官が国会対応のため、遅れて出席の御予定とのことですので、御指示によりまして第22回男女共同参画会議の開催をいたします。本日は、お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。それでは、早速議事に入ります。まず議題1でございます。「国の審議会等における女性委員の割合の新たな目標設定に関する検討状況について」説明申し上げます。資料1をご覧いただきたいと思います。国の審議会等における女性委員の登用につきましては、平成17年度末までのできるだけ早い時期に30%を達成することを目指してまいりましたが、各省の格段なる御尽力によりまして、平成17年9月末、30.9%と30%の目標を達成いたしました。昨年末に閣議決定されました第2次男女共同参画基本計画におきましては、この国の審議会等委員への女性の参画の拡大について新たな目標設定を検討する、30%を達成しましたので新たな目標設定を検討するとされていますことから、現在基本問題専門調査会において新たな目標設定について御検討いただいているところでございます。資料の2ページを見ていただきますと、審議会等の本委員につきましては、長期目標として2020年までに40%を目指してはどうかという御意見などがあります。また、現在は数値目標を設定していない専門委員等について目標値を設定することを検討すべきという御意見などがありました。今後は、更にこの専門調査会において御議論いただきまして、各省庁とも調整しました上で、3月中を目途に男女共同参画推進本部において新たな目標を決定したいと考えております。資料3ページ以降は参考資料でございます。女性委員の割合の新たな目標設定についての検討状況につきまして、私からは以上でございます。議長がまだ出席されていませんので、僣越ながら私から、各府省におかれまして、今後とも女性委員登用に積極的に取り組んでいただきたいとお願い申し上げます。それでは、議題2でございます。少子化対策は非常に重要な課題となってきておりますけれども、議題2は「少子化と男女共同参画に関する提案」ということでございます。この内容につきまして、少子化と男女共同参画に関する専門調査会の橘木先生及び岩男会長代理より是非御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。まず橘木先生から御説明をお願いいたします。
    橘木議員
    では、御説明いたします。本調査会では昨年9月に報告書を取りまとめまして、10月の参画会議において出された意見を踏まえて専門調査会委員の中で3つの提案を取りまとめました。本日、提案者10名を代表して御報告させていただきます。資料2-1をご覧ください。1枚目に共通の考え方を整理してあります。1つ目に、「男女共同参画社会の実現にとって重要な施策であり、結果として、少子化対策にも資する施策であること」としており、下の2つはこのことを更に具体的に表したものです。提案分野は、先の報告書で設定した分野に基づいております。1番目は「仕事と生活の調和が可能な雇用環境整備」、2番目は「多様なライフスタイルに応じた男女共同参画型子育て支援システムの構築」、3番目は「女性の就業選択等に中立な経済的支援の総合的検討」です。2ページをお開きください。右肩に提案者を示しております。「現状と課題」に関して言いますと、まず出産を機に仕事を辞める女性が7割という状況を挙げております。次に、正社員男性の中で長時間働く人が増えている一方で、短時間働く女性を中心にして非正規労働者が増えているというように、子育て世代の働き方が二極化している状況でございます。3番目に、子育て世代だけではなく未婚者・中高年層にも生活時間を確保したいという希望が多いという状況を挙げております。このことから、「子育て世代の両立支援を契機とするすべての労働者を対象とした仕事と生活の調和」施策の推進を御提案しています。施策としては、モデル事業の実施、調査研究と情報提供が第1の提案でございます。また、短時間労働者が公的年金制度に加入できるような制度改革を進めていただきたいということ。更に、男性の働き過ぎの是正や、男性の子育て参加に向けての意識啓発が重要と考えております。再チャレンジ支援については、昨年末に政府で支援プランを作成しておりますが、ワーク・ライフ・バランスの観点からも重要な課題でありますので、一層の推進を図ることを御提案しております。3ページをお開きください。保育サービスも不足しておりますが、保育以外の子育て支援サービスが圧倒的に不足しているという現状、保育から学童へ、地域子育て支援や再チャレンジ支援などのサービスの連携や情報提供が不十分であること、子育て支援者に男女共同参画の視点が不足しているということが挙げられます。「基本方針」としては、男女のライフステージに応じた切れ目ない支援、就労選択に応じた支援の必要性などを挙げております。施策としては、子育て支援と男女共同参画のネットワークのリンクを図る。情報提供・サービスコーディネーターあるいは女性センターなどを活用した人材の育成、男性の地域活動促進などを挙げております。4ページをお開きください。4ページは経済的支援の総合的検討です。夫婦が理想の子どもの数を持てない理由として、常に「子育ての経済的負担」がトップとなるわけですが、この経済的負担には子育てに直接かかる費用と、子育てなどにより仕事を辞めることによって収入が減ってしまうという機会費用ということがあります。「基本的方針」ですが、この提案と先の2つの提案は関連しておりますので、相互の関連性を十分に考慮していただきたいということです。また、支援策として、一定の資金投入をした場合に、どのような方法が効果が大きいかということも調査検討する必要がございます。経済支援の方法としては手当、税控除、サービスの利用補助などのほかに、例えば家庭における教育負担をこれ以上増やさないために、義務教育における公的教育の質を向上させることでコストパフォーマンスを上げるという考え方もございます。こうした手法を総合的に検討していただきたいと思います。最後の2枚は、昨年9月の報告書より今回の提案分野を示すグラフなどを添付しております。また、資料2-2は第2次男女共同参画基本計画から今回の提案に対応する部分を抜粋しております。資料2-3は参考データとなっております。小泉首相のリーダーシップの下、少子化と男女共同参画を担当する専任の大臣が誕生したことは非常に喜ばしいことであり、この2つの問題は同時に取り組むことで大きな効果が得られると考えております。そうした観点で検討していただきました本日の提案につきまして御考慮いただけるようお願い申し上げます。以上でございます。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、岩男会長代理よりよろしくお願いいたします。
    岩男専門調査会会長代理
    岩男でございます。提案者の一人として、本提案の趣旨について発言をさせていただきます。本提案は、第2次男女共同参画基本計画や、子ども・子育て応援プランを踏まえて男女共同参画の視点から特に重点化して推進すべき分野に絞って新規施策を御提案しているものでございます。男女共同参画を推進するに当たっては、重点化すべき分野、あるいは講じるべき新規施策というものはたくさんございますけれども、私は現時点でのポイントはやはり働き方の見直し、男女の働き方の見直しであるというふうに考えております。男性を含めた働き方が変わらなければ、女性の仕事と生活の両立も継続就労も極めて困難でございます。この問題は、少子化対策においてもこれまで重要な課題とされながら、具体的な取組が特に遅れている領域でございます。第2次基本計画でも、実際に雇用環境を大幅に改善する具体的な取組が求められております。この問題を最重要課題としつつ、両立支援の一方の柱である子育て支援についても男性の参画の促進の観点などから提案を申し上げております。また、3番目の提案はこうした仕事と生活の調和が可能な両立支援の仕組みと、経済的な支援のための施策の方法に齟齬が生じないように御留意いただきたいという趣旨でございます。ここに御提案したような男女共同参画施策を推進することが、結果として少子化対策になる。また、少子化対策には男女共同参画施策が不可欠であるということが、本専門調査会における共通認識でございます。また、柔軟な働き方が可能な雇用環境を整備することは、個人にとってプラスであると同時に、企業にとっても優秀な人材確保や生産性の向上など、さまざまな経営面でのプラスの効果があります。少子化対策というと、企業や子育て層以外の人に負担を課すようなイメージが先行しがちですけれども、このようにさまざまな立場の人々、社会全体にとってプラスの施策であるということを広く周知しながら、また実際にそうであるように施策を進めていく必要があると思います。以上でございます。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございます。働き方の見直しにつきまして、少子化対策の中でも国民運動のように官民一体となってやっていかなければならないという認識を深めております。どうもありがとうございました。

    (内閣官房長官入室)

    少子化・男女共同参画担当大臣
    それでは、仕事と家庭の両立支援につきまして、まず検討していただきますことを感謝申し上げます。それでは、御提案につきまして議員各位の御意見をこれからお伺いいたします。まず資料1の2ページの提案内容につきまして、八代先生からお願いできますでしょうか。
    八代議員
    今、男女共同参画、少子化対策というのは非常に重要なのですが、これがなかなか進まない。この進まない最大の理由というのは、これを阻害する要因があるからでありまして、それを明確にするということが大事ではないかと思います。これには日本的雇用慣行というものがあるわけで、これが高い経済成長を機に形成され、しかもそれが夫は仕事、妻は家事、子育てという夫婦の固定的な役割分担に基づいている。これが、実は一番大きなポイントではないかと考えております。ですから、女性や子育て世代に限った両立支援というものを、それにとどまらず、すべての人を対象としたワーク・ライフ・バランスの推進という観点から多様な就労形態に応じた処遇制度を可能とするためには、労働市場の規制改革を更に進める必要があるのではないかということであります。それから、ワーク・ライフ・バランスを推進するためには、勤務時間の長さという現行のインプットで労働者を評価するのではなくて、例えば仕事に対する成果、アウトプットでの評価をより一般的なものにする必要があるのではないか。就労形態が多様であり、かつ柔軟に選択できるような弾力的な労働市場を目指し、その結果、一般企業を退職した場合でも再就職が可能な環境を整えるということが重要であります。女性の就業機会の拡大と、安心して子育てを行えるような社会をつくることが、この2つの問題を解決するための基本と考えております。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございます。では、大橋議員お願いいたします。
    大橋議員
    実は私は民間企業に10年前に転じまして、日銀から転じたのですが、安倍さんと同じ山口県で地銀の頭取をやっているのですが、民間に転じまして盛んに問題になるのが、ともかく女性を活用すると企業業績が落ちる、女性を増やすと企業にとっては成績が悪くなるという非常に大きな誤解があるということです。資料2-3の5ページをご覧いただきたいと思います。「女性の活用度と企業の経営パフォーマンスの間には概ね密接な関係」というタイトルがあります。要するに、女性を活用すると企業の経営はよくなるという非常にわかりやすい表なんです。左側に「女性が占める比率「課長」」というのと、その下に「女性管理職の比率の増減」というものがあるんですが、右側に3つありまして、「総合経営判断指標」、「成長性指標」、「収益性指標」、下に定義がいろいろ書いてありますが、一言で言いますと女性が占める課長の比率が高くなればなるほど、この3つの指標とも全部よくなるという数字なんです。3%以上になりますと、0%のところよりはるかに数字がいいんです。もっと顕著なのは、女性管理職率の増減というのが減ったというところは、例えば成長性指標と収益性指標というのは5年前が100なんですが、100よりも落ちているんです。5年間で売上げも落ち、利益も落ちる。ところが、女性の管理職を増やせば売上げは1.7倍に増え、利益に至っては2.9倍に増えるんです。女性を増やすと企業にとっては業績が悪くなるということは日本の大いなる誤解なんです。これを民間企業の経営者の人は余りわかっていないんです。銀行なんか一番わかっていない。私が銀行に行って感じているんです。私のすぐ下は女性なんですけれども、こんなことは日本で1行しかない。このことを話しましたら、日本はよほど野蛮な国だと言われました。
    内閣総理大臣
    銀行は女性は多いじゃないですか。
    大橋議員
    銀行は女性はいっぱいいます。ところが一般職で補助的なこととかお茶くみにしか使っていない。それで、ボードメンバーには全然いないんです。常勤でうちは1人だけです。こういう異常な国であることをまず認識してほしいということが第1点です。 それからもう一つ、是非お願いしたいのは次のページですが、これは「経営と労働の課題」で「人口減社会・高齢化社会への対応」ということで、初めてワーク・ライフ・バランスという言葉を経団連が使ったんです。その下のところに、まさにこれは昨年の暮れに出したものなんですけれども、女性のみならず男性、高齢者など、こういう人すべての従業員を対象にワーク・ライフ・バランスの考え方を企業戦略の一環として組み入れることが長期的に高い行動力と人材を育成し、競争力の高い企業の基盤をつくることになるということを経団連は初めて言ったんです。これも非常に大きなことだと思います。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。では、林議員お願いいたします。
    林議員
    先ほど説明されましたように、少子化対策を目的とした働き方の見直しあるいは施策というものは、ともすれば子育てをする人に限定されがちですが、今回の提案のように基本的に全労働者を対象に、かつ公正であるべきという考え方は私は非常に重要であると考え、賛同するものです。ただ、提案施策の書きぶりのところを見ますと、正社員を中心とした働き方などの問題を言っているように受け止められる懸念がございます。日本では労働時間の長い、短いが正規あるいは非正規などの処遇格差がある雇用形態の差につながっていることが問題だと思っております。パートは女性たちが全体の33.7%です。賃金は男性の100に対してパートの女性は45%です。このようなパート、アルバイトの待遇とか、雇用条件というものをそのままにしておくと、非正規化が進めば進むほど納税者にも、社会保障の担い手にもなれない人が増えていくということです。そして、若い人が展望を持って人生を描けないというふうになると私は思います。正規職員の中で多様な働き方が選択できるようになっても、女性で過半数を占める非正規雇用労働者というのは取り残されるのではないか。提案には、短時間労働者への年金適用が取り上げられております。是非合わせましてパートタイム労働者と正社員との均衡処遇、そして仕事の価値に応じた処遇の法的整備についても検討し、施策に加え、示していただきたいと思います。パートの処遇改善をはじめ、同等の仕事の価値には同等の処遇という雇用条件のベースが整備されることよりまして、正規、非正規を含めた形で本当に多様な就業の選択というものが可能な就業環境になると思っておりますので、是非御検討ください。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございました。それでは、鹿嶋議員お願いいたします。
    鹿嶋議員
    未婚者の問題について、少し発言したいと思います。今まで少子化の原因は結婚年齢が遅くなっているからだと言われていたんですけれども、それが結婚しても子どもを生まないんだということがわかって、男性の働き方の見直しなど、少子化対策プラスワンといった施策につながるのですが、晩婚化は依然進行しておりまして、その克服は依然として課題であります。同時に、最近は結婚という選択をしない非婚者も増えるだろうという指摘もあります。これらの未婚者と結婚した人への支援が異なるわけではないと思うんです。仕事と生活の調和が可能な雇用環境の改善なども共通の対策だと思っております。柔軟な働き方が選択できる対象を子育てする人に限定しますと未婚者の就労環境が更に悪化しますので、晩婚化を一層助長しかねないということもあります。結婚しない理由としては、適当な相手にめぐり合わないという答えが実は一番多いんです。これは後で参考資料を見ていただきたいんですけれども、どうやら男女間に理想のミスマッチがあって職場の出会いの機会も減っている。職場の女性はかつては男性社員のお嫁さん候補だという側面もあったと思うんですが、今は労働力ですので、そういうこともあって出会いのチャンスがないと思うんですが、そうだとすれば職場の内外での出会いの場の設定というものが必要でありまして、そのための基本的な社会的支援としては仕事以外の時間を持つことができるような働き方など、ゆとり創出の環境整備をする必要があると思っております。もう一つは、未婚者が結婚しようと思っても共働きをしている人が余りにも疲れていて、どうもあんなふうになるのは大変だなと思う。それもまた非婚に走る原因かもしれませんので、両立できるような環境を整える。そうしたら、そういう人たちを見ることによって結婚しようという気になるかもしれませんので、それは間接的な晩婚化対策になるというふうにも思っております。どうぞよろしくお願いします。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。では、住田先生お願いいたします。
    住田議員
    私は、仕事と子育て支援の2つをまとめて申し上げます。まず1つ目に関しましては、第一子出産の際に約7割の女性が仕事を辞めているという我が国の現実があり、また昨年人口減少社会に突入し、今後も減少が続くという中で意欲と能力をお持ちの女性が再就業したいということに対しては十分にこたえられるような政策が大事だと思いますので、今回再チャレンジ支援プランが出されましたが、是非効果が上がるようにしていただきたい。とりわけ企業側が女性の再就職のときに年齢制限をしております。あれが非常に大きな壁になっておりますので、解決に向けて働きかけていただきたい。また、女性側にとっても育児期に再就職のためのリカレント教育ができるような場を更に拡充していただきたいと思います。2点目として、子育て支援です。基本法にも男女の協力とともに社会が支援するということをうたっておりまして、介護はそれが進んでいるわけですが、いかんせん保育の方は多様なサービスがまだまだ足りない。小泉内閣の最初の数値目標であります待機児童ゼロ作戦、これは更に更に進めていただきたいです。地方に行ってもその声が強うございます。また、専業主婦のお母様に育児不安が強いという統計も出ておりますので、共働き、専業主婦にかかわらず、広く子育てに対しての不安などに対応する相談、サービス、一時預かりサービス、いろいろなものを充実していただきたいと思います。以上です。
    少子化男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、山口先生、資料2-1の3ページのところに関連してどうぞお願いします。
    山口議員
    第二次男女共同基本計画では男性の参画というのを呼び掛けているのが特色ですが、特に私は子育ての問題ですけれども、地域ではサービスの受け手だとか提供側というのは女性比率がほとんどだということで、男性は一体いるのかということで存在が希薄なわけです。子どもの育つ環境だとか発達段階を考えましても、大人の男性が身近にいるということはとても重要だと思います。それで保育士ですけれども、男性保育士の割合を調べてみますとわずか1.3%と非常に低いんです。保育士をしたいという男性も増えていて、実際に働いている男性は大変評判がいいんです。しかし、志望していて入りたいけれども、やはり保育所というのは女性の職域だという考え方が社会だとか職場の中にもありまして非常に志望しにくい。これは最も男女共同参画が具体的になる場所なので、男性保育士の増加というのを奨励したいと思います。それからもう一つですけれども、NPOが盛んになってきましたが、こういう市民活動団体でも児童の分野を見てみますとやはりそこを組織しているのは女性だけとか、女性が7割という数字が出ているんです。これから男性の地域活動促進だとか、そういうことを奨励されているわけですが、男子学生といった人たちのボランティアの奨励だとか育成ということは必要があると思うんです。非常に意義があると思います。最後に団塊の世代ですが、定年期がどっと来年辺りから出てきますけれども、これは大変貴重な活力なので、是非団塊の世代の男の方たちには男女共同参画の視点というのは何なのか。現在の子育てで家庭の置かれた状況というのを十分理解していただくように、そういう方たちに情報を提供したり、また研修を踏まえた上で団塊の世代に活躍していただきたいと思います。それを提案したいと思います。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    どうもありがとうございました。それでは、最後に資料2-1の4ページの提案内容につきまして袖井議員の方からよろしくお願いいたします。
    袖井議員
    生みたいのに子どもを生めない最大の理由というのは、子育てにお金がかかるということで、どの調査を見ましてもそういう回答が7割以上になるんです。ですから、子育て費用の軽減ということをする必要があると思うんです。ただ、注意していただきたいのは、経済的支援をすることで子育ては家庭で母親だけが担うという方向性をとらないように御注意いただきたい。やはり男女が共に職場にも家庭にも参加できるような配慮が必要だと思います。それから、出産・子育てによって女性のキャリアが中断されたり、そのために生涯賃金が低下することのないような配慮も必要かと思います。これは参考資料の2-3の20ページ辺りにありますけれども、仕事を中断するとどうしても生涯所得が低くなってしまうということがございますので、そういうことのないように就業継続のためのいろいろな支援策、それから再就職のための支援策、これは再就職の機会の拡大とか、研修、訓練ということが必要かと思います。更に出産、子育てによる機会費用ということを考えて、税や社会保障制度上の配慮ということも是非考慮していただきたいと思います。現在、育児休業中の社会保険料の免除とか所得保障というものがございますが、これはほぼ正規職員だけに限られているんです。私が4、5年に育児休業に関する調査をしたんですけれども、育児休業制度を利用して元の職に戻れた人は出産した女性のうちの1割くらいしかいないんです。ですから、こういう制度も一部の人にだけ適用されるのではなくて、パートにも適用できるようにしていただきたい。それからもう一つ、日本では子育てにもお金がかかりますけれども、特に高等教育に非常にお金がかかる。高等教育に対する親の負担が一番大きいのが日本と韓国ですが、こういうことを考えますと育児手当、あるいは児童手当だけではなくて、やはり高等教育に対する奨学金の拡充あるいはスチューデントローンみたいな制度をつくるということも是非やっていただきたいと思っております。以上でございます。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    数々の御発言、ありがとうございました。それでは、これまでの御意見も踏まえまして馳文部科学副大臣によろしくお願いいたします。
    文部科学副大臣
    子どもを生みたい、2人目、3人目を生みたいと思っても、教育費に金がかかる。ここでブレーキがかかるという意見が大変多うございまして、文部科学省は就園奨励費補助金とか私学助成奨学金事業などを拡充してきておりますし、予算でも配慮いただいておりますが、小中高大学、各段階で、ではどういう負担を和らげてあげればいいのかと言うことは、より一層検討していかなければいけない課題だと考えております。 ただ、私も思うのですが、塾に行かせるから教育費が必要だとか、私学に行かせなければいかぬから金が必要だとか、そういう考え方がまかり通っているのも、また私は世の中はおかしいと思っています。基本的に小中学校は義務教育で充実した教育がなされていれば、それで十分ではないか。むしろそういった公教育に対する充実といったことをもうちょっと世の中の皆さんに御理解いただくことも必要ではないかと考えております。以上です。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    大変ありがとうございました。ほかに何か御意見ございますか。よろしいですか。
    内閣総理大臣
    女性が増えた方が企業の業績は上がるんですか。
    大橋議員
    業績は上がるんです。これは間違いないんです。これは自信を持って申し上げます。
    内閣総理大臣
    経営者は、女性は出産をするから、採らない方が業績が上がると思いがちですね。妊娠して赤ちゃんができると辞めてくれと暗に勧めるとか。
    大橋議員
    暗に勧めて辞めてくれと言うんです。だから、女性のロイヤリティも低くなるし、キャリアも中断してしまうんです。
    内閣総理大臣
    それでも、実際に女性が多い方が業績が上がるんですか。
    大橋議員
    それは間違いなくそうなっているんです。しかも、管理職に登用すればするほど伸びるんです。日本の元気な代表企業は例えばIBM、内永さんもこの会議のメンバーですけれども、IBMは元気ですよね。資生堂は元気ですよね。それから日産のゴーンさんは女性を使っていて元気ですよね。それから、伊藤忠も今度はだんだん女性を使おうとしている。それからベネッセとか、イトーヨーカドーは水越常務というのが女性常務で、一番元気な流通の企業です。例がいっぱいあるんですが、全然誤解しているんです。
    内閣総理大臣
    さっきの保育士で、男がかなり好評だと。考えると、女性の方が度胸があるね。男というのは女性の社会に飛び込みにくい。僕なんか高校時代に8クラスあって、男女組というのはたった2組で、50、60人いる男性の中で女性は10人いないんです。そのころ、女性は大したものだと思った。男の中に混じって平気でしょう。女性ばかりの学校に男が入る勇気はないですね。
    内閣官房長官
    人によるでしょうけれども。
    山口議員
    男性の保育士は人数が少ないだけに注目されているし、頑張っていますからとても評判がいいんです。だから、もっと広げていったらいいと思います。
    内閣総理大臣
    家事は女性と言いながら調理師は男性の方が多いでしょう。あまり偏見を持たない方がいいんですね。
    内閣官房長官
    西京銀行も大変元気がいいですね。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    そうですね。女性の副頭取で。
    大橋委員
    そうですね。役員のボードメンバーの10人のうち3人が女性です。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    男性保育士の世界でカリスマ保育士というものが誕生しているんですね。この間、視察に行きました。
    内閣総理大臣
    政党も女性が多い方がこれから伸びるかもしれない。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    お時間もまいりましたので意見交換はこれにてよろしいでしょうか。
     それでは、総理と官房長官にごあいさつをいただきたいと思います。

    (報道陣入室)

    少子化・男女共同参画担当大臣
    それでは、総理からごあいさつをお願いいたします。
    内閣総理大臣
    今日はいい意見を聞かせていただきましてありがとうございました。 男女共同参画と少子化対策は関連がありますから、男女が共に働く社会と同時に、子どもにとって何が大事かということも大事だと思うんです。男も女も常に子どもを見守っていく。働く大人の男と女の立場も大事だけれども、同じようにもっと大事なのは子どもを常に見守っている大人が身近にいることです。そういう点も共通してこれからもいい案を考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     それでは、続きまして安倍官房長官よろしくお願いいたします。
    内閣官房長官
    第2次男女共同参画基本計画におきましても、仕事と家庭の両立支援策の推進や、特に男性を含め働き方の見直しを大幅かつ具体的に進めること等を重点事項の一つに位置付けています。
     本日、これらの施策について活発な意見交換ができたことは極めて有意義だと思います。閣僚議員の各位におかれましても、今後とも基本計画の実施に積極的に取り組んでいただきますようによろしくお願いいたします。

    (報道陣退室)

    少子化・男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、本日の議論を踏まえまして、少子化と男女共同参画に関する専門調査会につきましては引き続き検討を続けていただくことを考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上で本日の議事は終了でございます。既に皆様に確認していただいておりますとおり、前回の議事録と本日の会議資料は従前どおり公開とします。本日の議事要旨も後日公開いたします。以上でございます。
    内閣官房長官
    それでは、これをもちまして第22回男女共同参画会議を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。

    (以上)