男女共同参画会議(第19回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成17年7月25日(月)17:30~18:15
  2. 場所:総理大臣官邸2階小ホール
  3. 出席議員:
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    細田 博之 内閣官房長官 (男女共同参画担当大臣)
    議員
    麻生 太郎 総務大臣
    南野 知惠子 法務大臣
    谷垣 禎一 財務大臣 (代理 上田 勇 財務副大臣)
    中山 成彬 文部科学大臣 (代理 小島 敏男 文部科学副大臣)
    尾辻 秀久 厚生労働大臣
    島村 宜伸 農林水産大臣 (代理 常田 享詳 農林水産副大臣)
    北側 一雄 国土交通大臣
    大野 功統 防衛庁長官 (代理 今津 寛 防衛庁副長官)
    村田 吉隆 国家公安委員会委員長
    猪口 邦子 上智大学教授
    内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員
    大橋 光博 西京銀行頭取
    片山 善博 鳥取県知事
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    原  ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
    八代 尚宏 国際基督教大学客員教授
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
    (説明者)
    岩男 壽美子 男女共同参画基本計画に関する専門調査会会長
    (説明者)
    岩井 宜子 女性に対する暴力に関する専門調査会会長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)最近の男女共同参画社会の推進に関連する動きについて
      • 刑法等の一部を改正する法律の成立、施行について
      • 女性の再チャレンジ支援策検討会議の設置について
    • (2)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について
  3. 閉会

    (配布資料)※PDFファイルで開きます

    資料1
    女性の再チャレンジ支援策検討会議の設置について [PDF形式:13KB]別ウインドウで開きます
    資料2
    男女共同参画基本計画改定に当たっての基本的な考え方(ポイント)[PDF形式:1,073KB]別ウインドウで開きます
    資料3
    男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について(答申)(案)
    資料4
    男女共同参画社会実現に向けての提言 [PDF形式:19KB]別ウインドウで開きます
    資料5
    平成17年版男女共同参画白書 [PDF形式:14KB]別ウインドウで開きます
    資料6
    男女共同参画会議(第18回)議事録(案) [PDF形式:132KB]別ウインドウで開きます

    議事内容

    男女共同参画局長
    時間がまいりましたが、官房長官が国会の関係で遅れるそうで議事を進めるように御指示がありましたので、私からの資料1の御説明と、岩男先生、岩井先生の御報告とを始めさせていただいてよろしいでしょうか。

    (「はい」と声あり)

    男女共同参画局長
    ありがとうございます。それでは、私の方から資料1についての御説明をさせていただきます。資料1をご覧ください。本日付で「男女共同参画推進本部」の下に「女性の再チャレンジ支援策検討会議」が設置されましたので御報告いたします。出産・育児等を理由に退職した女性の再就職、起業等の再チャレンジのための支援につきましては、5月17日の参画会議におきまして、官房長官から御報告がございました。その後6月21日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」、骨太の方針2005において、関係閣僚による「女性の再チャレンジ支援策検討会議」を設置し、平成17年度中に女性の再チャレンジ応援プランをとりまとめると明記されました。これを受けまして同会議が設置された次第でございます。今後は、具体的な支援策について、関係省庁とともに検討を進め、年内を目途に女性の再チャレンジ応援プランをまとめる予定でございます。以上でございます。引き続きまして、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について、「男女共同参画基本計画に関する専門調査会」の会長でいらっしゃる岩男先生が本日お越しいただいておりますので、御報告いただいてよろしいでしょうか。
    岩男専門調査会長
    岩男でございます。それでは、御報告させていただきます。「男女共同参画基本計画に関する専門調査会」では、昨年7月に小泉総理から「男女共同参画会議」に諮問があったことを受けまして、本年7月までに13回にわたり審議を重ねてまいりました。5月13日には男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向についての中間整理を公表いたしまして、6月10日まで意見募集を行ったところ、5,941 件という大変たくさんの御意見をいただきました。また、5月25日から全国5か所、計6回にわたって地方公聴会を開催し、約千五百人の方々と意見交換をさせていただきました。御意見としては、男女共同参画社会基本法や現行基本計画の理念を踏まえ、男女共同参画の一層の推進を図るべきとの御意見を数多くいただきました。一方、ごく少数ではございましたが、男女共同参画の推進に反対の立場からの御意見もございました。これらの結果を踏まえて、専門調査会では更に調査・審議を進め、今般報告書をとりまとめました。報告書の概要を簡単に御説明いたします。お手元の資料2をご覧いただきたいと思います。「男女共同参画基本計画改定に当たっての基本的な考え方(ポイント)」でございます。報告書では、新しい計画で、特に重点的に取り組むべき事項及び新たに盛り込むべき事項として、この資料の1ページにある9点をお示ししております。まず1でございますが、我が国においては、指導的地位への女性の参画がまだまだ進んでおりません。このような状況を改善するために、2020年までに指導的地位に占める女性の割合が少なくとも30%程度になるように期待し、各分野の取組みを推進することを掲げております。 2はさまざまな分野において女性が希望を持って未来に向かってチャレンジできるよう、女性のチャレンジ支援策について記述しております。ただいま局長からもお話がございましたけれども、特に一旦家庭に入った女性の再就職や起業などを望む場合の再チャレンジ支援策が特に重要と考えております。4は仕事と家庭や地域生活との両立支援策を推進するため、男性も含めた働き方の見直しを大幅かつ具体的に進めることです。特に男性も含めた育児休業取得の促進や短時間正社員などの多様な働き方の導入が必要ですが、その普及を推進するためにも国が率先して、男性の育児休業取得を促進するとともに、常勤の公務員の短時間勤務制度の導入について、早急に御検討いただきたいと思います。5は科学技術、防災・災害復興、地域おこし、観光、環境など、新たに取組みを必要とする分野における男女共同参画の推進です。女性研究者の採用やプロジェクト参加機会の確保、両立支援策などが重要です。その他のポイントはご覧のとおりでございます。このほか重要な項目として、4ページをご覧いただきたいと思いますが、4ページに掲げた「2.男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」の(2)において、男女共同参画に関する認識を深め、社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に敏感な視点を定着させるための広報・啓発活動を積極的に展開するとしております。前回、参画会議でも御発言をいただきましたが、報告書においても引き続き、社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)の概念は重要との認識で記述しております。なお、この表現ぶりにつきましては、さまざまな議論がございますので、引き続き専門調査会において調査・検討を行いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 また、10ページをご覧ください。(2)で学校における性教育について、学習指導要領にのっとり、児童生徒の発達段階を踏まえて行うよう学校関係者等に対し周知徹底を図ることなどを追記してございます。 報告書のポイントは以上でございます。

    (内閣官房長官入室)

    内閣官房長官
    遅れまして申し訳ございません。このまま続けていいですか。それでは、続きまして基本計画のうち、女性に対する暴力に関する事項については「女性に対する暴力に関する専門調査会」において御検討いただきました。本日は岩井宜子会長にお越しいただいておりますので、よろしくお願いします。
    岩井専門調査会長
    岩井宜子でございます。私からは「女性に対する暴力に関する専門調査会」におきまして作成しました「女性に対する暴力に関する施策についての基本的な考え方」について御報告いたします。資料の9ページ目をご覧ください。今回の報告書におきましては、主な点としまして(1)の基盤づくりにおいて、女性に対する暴力の根絶に向けて新たに予防啓発プログラムの作成等を行うこと。(2)の配偶者等からの暴力において、法律と基本方針に沿って、被害者の保護のための施策を積極的に推進すること。(3)の性犯罪対策において、性犯罪者の再犯防止対策を総合的に進めること。(4)の売買春対策において、児童買春の取締りに今後とも積極的に取り組むこと等を記しております。(5)の人身取引対策につきましては、人道的観点等から重要な問題であるとの認識の下に、新たな独立した項目を設けて、人身取引の撲滅や被害女性の保護等の取組を進めること等を記しております。中間整理公表後の意見募集におきまして、約三百件の意見が寄せられました。それらの意見等を踏まえて、改めて検討した結果、(1)の基盤づくりにおきまして、女性に対する暴力を助長するおそれのあるわいせつな雑誌、コンピュータソフト等について、法令に基づいた厳正な取締りに努めることを追加することといたしました。ほかに、中間整理作成後の状況変化も踏まえて、若干の文言の修正等を行いましたが、説明は省略させていただきます。私からは以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは「男女共同参画会議」といたしましては、専門調査会報告を受けて、資料3のとおり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について答申したいと存じますが、よろしいでしょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは、御了解いただきましたので、後ほど総理がおいでになり次第、答申をいたします。政府は、本答申を踏まえ、これから新しい男女共同参画基本計画を策定していくこととなりますので、関係閣僚の皆様におかれましては、御協力をよろしくお願い申し上げます。それでは、新しい男女共同参画基本計画の策定に向けた自由討論の前に、法務大臣、最近の男女共同参画社会の推進に関連する動きについて、特に刑法等の一部を改正する法律の成立、施行について御報告をお願いします。
    法務大臣
    刑法等の一部を改正する法律の成立、施行につきまして、去る6月16日、人身取引対策を盛り込みました刑法等の一部を改正する法律が成立いたしました。一部の規定を除きまして、7月12日から施行されました。この法律は、政府が策定した人身取引対策行動計画の一環として、刑法を改正して人身売買罪等を新設するほか、出入国管理及び難民認定法を改正して、被害者の保護等に関する規定の整備を図るものでございます。法務省といたしましては、男女共同参画社会を実現させるためにも、新たな規定の積極的かつ適正な運用を通じ、加害者の厳正な処罰と被害者の保護の実現に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
    内閣官房長官
    それでは、自由討論を行いたいと思います。なお、恐縮ですが、本日は総理への答申がございますので、総理が来られた段階で議論を終了させていただきたいと思います。それでは、自由討論ですが、まず資料2「男女共同参画基本計画改定に当たっての基本的な考え方(ポイント)」の左側半分について自由討論を行いたいと思います。「1政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」から「4仕事と家庭・地域生活の両立支援と働き方の見直し」まで御意見がございましたらお願いします。
     まず、大橋議員。
    大橋議員
    では、私の方からは、1の点につきまして2つ御要望といいますか、お話しさせていただきたいと思います。1つは、まずこの文章に書いてあるのですが、2020年までに30%という数値目標が出ていますが、その下に2010年ごろまでにI種の女性採用割合、30%程度目安と。この期間が非常にラフな感じで出ていますので、このロードマップ、アクションプログラムをもう少しきめ細かく段階を踏んで数値の目標を立てていくということが非常に大事ではないかと思います。その点を是非御検討いただきたいと思います。これが1点でございます。もう1点は、実はこの資料の右下にページがありますが、3ページの左の方の半分に小さな数字で表が3つ入っておりますが、これは以前にもちょっとこの場でもお話しさせていただいたのですが、3つの表の中の真ん中の「国家公務員I種採用者に占める女性の割合」とは、12年度から16年度まで16から19ということで、これは大分上がってきています。採用は割とやりやすいのですが、問題はその下でして、登用状況、特に指定職となりますと、0.8 、0.8 と、要するにほとんど横ばいです。これは相当距離があり、国際的な水準からいきましても大きく乖離しております。諸外国と比べても非常に離れているわけですから、これについては相当なことをやらないとだめじゃないかと。以前にも申し上げたのですが、そのためには、中で登用されてもなかなか難しいので、むしろ国の方から率先垂範して、学も含めて官民学の人事交流、つまり人材の移入、外部からの人材登用というのを相当積極的にやっていただければと思います。そういうことでないと、なかなか数値目標の達成というのは難しいのではないかと思います。以上2点を私の方からの要望とお話とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
    内閣官房長官
    次に猪口議員。
    猪口議員
    補足的になんですけれども、日本は世界の他の先進民主主義国と共通の価値を推していかなければならないし、主導する立場にあると思います。ですから、男女共同参画、ジェンダー・イクオリティーの推進の実施を確実にしていかなければならないと思うのです。そして、私は、やはり日本が、例えば国連など、多国間外交の場において国際的なリーダーシップをもっと取る立場にあると思います。そのような場合において、整合性を持って推進しなければならず、世界が目指していく価値において日本が大きな成果を上げ、国際社会において日本が高い地位を得ていくということをもってリーダーシップを発揮する必要がありますので、前回もお話しいたしましたけれども、国際的な指標であるジェンダー・エンパワーメント指数によると日本は38位で非常に低い段階にあって、これを改善することから日本は国際的なリーダーシップを発揮でき、よりやりやすい立場になるだろうと思います。そして、ジェンダーということがいろいろと議論を呼んでいるようでありますが、ジェンダーという概念は社会的・文化的に形成された性別として、日本はこの用語を使う多くの国際文書の採択に参加しております。他の先進国と協力して強く支持して、その採択を可能にするために貢献をしておりますので、是非政府としてコミットした立場について広く認識を共有していただくようお願いしたいと思います。是非、このジェンダーの概念は、政府の立場として堅持していただきますようお願い申し上げます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。次に「2女性のチャレンジ支援」「4仕事と家庭・地域生活の両立支援と働き方の見直し」に関連して、八代議員お願いします。
    八代議員
    子育てのために仕事を離れた女性が、その能力を活かして再び質の高い仕事に就くということが、今の労働市場の極めて大きな課題になっております。そのための積極的な政策提案を厚生労働省のみならず、ほかの省庁からも是非よろしくお願いしたいと思います。今後は、性別や年齢にかかわりなく、個人の能力のみに注目して、有能な人材を積極的に登用しなければ官庁も企業も成り立たない時代になっております。このためには、従来専業主婦が家事、子育てに専念することを前提に、世帯主が長時間、官庁や会社のために働くことを当然としていた伝統的な慣行を見直し、男女にかかわらず、仕事と暮らしを両立することを可能とするような方向への制度改革、規制改革が何よりも必要であると考えます。こうした女性の再チャレンジ支援策は、これまで仕事を続けるためにやむを得ず子どもを持つことをあきらめていた人々に対して、仕事と子育てとの両立を可能とすることで、今、最も必要とされている少子化対策としても大きな意味を持っていると考えます。例えば、先ほど岩男先生がおっしゃいましたように、国家公務員への短時間勤務制度の導入は、非常に大きなインパクトを持つと思います。ただ、そのためには、部分休業した分の定員を半分程度にカウントするなど、具体的な制度改正が伴わないと、絵に描いた餅になりますので、是非総務省にこの点は速やかに実現してもらいたいと存じます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。「4仕事と家庭・地域生活の両立支援と働き方の見直し」について内永議員お願いします。
    内永議員
    国家公務員への短時間勤務制度導入については、専門調査会で大変前向きな議論がされて、人事院からも同様の提言がされていることも踏まえて、この制度導入に向けた検討というのを早急に行っていただきたいと思います。また、民間の例なども大変典型的ですけれども、こういったことを支える中で、評価システムが非常に大事であり、例えば女性が産休ですとか育休でお休みして、その結果、人事評価が下がってしまいますと、その後の昇進といったようなことに非常に大きな影響が出てくる。こういった評価システムの見直しを進めて、従来型のオフィスに長くいることが評価につながるのだといった、強いて言うと男性中心型のシステムの見直しを是非進めていただきたいと思います。ちなみに、私どもの場合、評価というのはその人のアウトプット、結果に対して評価するのでありオフィスに朝から晩までいたから評価が高いというわけではないということで、在宅勤務というのを進めておりまして、在宅勤務2,000 名ほどおりますが、そのうちの3分の2は実は男性が取っています。そういう意味で、ワーク・ライフ・バランス、仕事と暮らしのバランスを取るためには、ともかく会社に出ていって朝から夜遅くまで、土曜も日曜も会社に出ていくことが評価にいいのだということではなく、むしろ評価システムとしてどういった成果を出したのかをつなげることによって、時間が短くても高い評価をもらえるといった形に進めていただければと思っております。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。次に厚生労働大臣、この点に関してお願いします。
    厚生労働大臣
    出産とか子育て等で一旦仕事を中断した女性の再就職、再就業支援の充実は、私どもも極めて重要な課題であると認識いたしております。このため、厚生労働省におきましては、女性の再チャレンジ支援といたしまして、再就職を希望する女性が自らの適性でありますとか、職業経験を踏まえて再就職準備のための取組を計画的に行えるように支援いたしますとともに、両立支援ハローワークにおいて再就職の援助を行っているところであります。また、起業を目指す女性に対しては、起業のためのセミナー開催や個別相談、情報提供なども実施をしているところであります。そうした中で、このたび「女性の再チャレンジ支援策検討会議」が設置されたことは、大変有意義でございまして、より一層女性の再チャレンジ支援について力を入れてまいりたいと考えております。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。では、総務大臣。
    総務大臣
    私どもの方で所管しております部分で、国家公務員のI種、事務系の女性採用の割合の目標につきまして、政府としては平成22年度、西暦2010年度ごろまでに30%程度を目安とする旨の申合せを行い、既に取組を開始いたしております。ちなみに、平成17年度では女性採用の割合は21.7%になっております。2つ目、消防団につきまして、全国で消防団の団員が100 万人を切っているという事態になっているのですが、団員につきましては、女性団員の目標を10万人にしまして、これらの目標に向けて、積極的に取組を開始しております。女性団員については、ほぼゼロに近かったのですが、『火消し屋小町』という漫画を原作にしたテレビ番組が放映される等最近では関心を集めており、平成16年度には女性団員の割合が1.4%に達しております。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは次に資料2の右半分のうち、5から8について御意見をお願いします。最初に「5新たな分野への取組」につきまして、猪口議員お願いします。
    猪口議員
    科学技術の分野に女性がもっと参加していくということが可能になるような政策的な推進をお願いしたいと思います。科学技術の分野は、男女共同参画の観点から新たな取組を必要とする分野として、今回初めて計画の中に位置づけられています。私は科学者ではないですが、一女性の研究者として思いますのは、一般的に女性は論文を書いて業績を上げるべき20代、30代のときと、出産・育児が重なるわけです。ですから、教員への採用の年齢制限、あるいはその中で業績を上げていくという期間的な制限を緩和するなど、女性に特有の困難性が一時的にあるということを理解した上で、いろいろな支援策が必要ではないかと思います。両立支援策の一種となると思いますけれども、是非お願いしたいと思います。言うまでもなく、才能や個性は男女両方に宿るわけですから、双方を使って科学技術立国を目指す国は、片方しか使わないでやろうとする国に必ず勝つことになりますから、是非日本は双方の才能を使って、また多様性を容認しながら新しいクリエイティビィティー、創造力を発揮していただきたい。そして、文部科学省を始め、関係の各省においていろいろな両立支援策を是非早急に講じていただきたい。具体的には、例えば短時間勤務の導入、あるいは託児施設が研究所や大学にもう少しあってもよいのではないか、あるいは育児の期間の後の研究を再開するときの特別の支援策など、ジェンダーに視点を当てたことをお願いしたいと思います。もう一つ、内閣府の他の会議との連動性も是非お願いしたい。例えば、私も出ていますが総合科学技術会議の基本政策専門調査会で、先に「科学技術基本政策策定の基本方針」をまとめまして、官房長官はよく御存じだと思うんですが、その中の15ページに、「女性研究者の育成・活躍促進、活躍できる環境の整備」を初めて入れていただきました。是非内閣府としてこのような横の連動性と整合性を強化していただいて、是非早急に施策を講じていただきたい。
    内閣官房長官
    次に内永議員。
    内永議員
    女性研究者の場合には、ロールモデルが非常に少なくて、女子中学生、高校生が、例えば物理、数学といった科学技術の分野に進んだときの自分の将来の展望が、非常に見えにくいという状態にあります。また、そういったこともあって、親とか教師からの期待が低いと感じている女子生徒の割合も結構高いと聞いております。そういった観点から、女子学生が科学技術分野に進めるように、教育やイベントを通じて是非啓蒙活動を進めていただきたい。私どものIBMの中でも、今週から女子中学生を私どもの研究所に招待いたしまして、全部女子のエンジニアの人が一週間ずっと科学やコンピュータはこんなものだということを女子中学生30名に講義をしております。これをやった理由は、同じことを男子学生と女子学生を一緒にしてやりますと、大体男の子が前に出てきて、女の子が後ろに行ってしまうのです。ですから、中身は男性、女性関係ないのですが、女子を中心にしませんと、どうしても男の子が前に来てしまって、女子は後ろに下がってしまうということもあるものですから、こういった非常にわずかな運動をしており、大変高い評価をいただいております。是非この点を進めていただいて、何らかの施策を考えていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
    内閣官房長官
    次に「8男女平等を推進する教育・学習の充実」につきまして、袖井議員お願いします。
    袖井議員
    袖井でございます。
     女性学とか、ジェンダー学は、広い視野から男女の違いや、性による差ということを見ていこうというものです。最近ここ十数年は、女性学という名が付いていなくても、ジェンダー史学、ジェンダー社会学、ジェンダー法学など既存の学問においてもジェンダーに敏感な視点というものが入ってきました。ジェンダーに敏感な視点というのは物事を相対的に見る見方ではないかと思います。例えば、今まで男の視点から見ていたものを女の視点から見たら違った絵が見える。あるいは東京中心の視点と鳥取県の視点では違う図が見えるとか、そういうことであって、決して女性だけの権利を主張するものではないということを是非御理解いただきたい。ジェンダーということを考えてみますと、女だけが損しているわけではなく、男性も気の毒な面もあるわけです。例えば有名な日本の男性の過労死です。これは「Karoshi 」と英語の辞書に載っているぐらい有名で、圧倒的に男性に多いです。また、自殺者も圧倒的に男性が多い。子どもの自殺も、男の子の方が多く自殺しています。このことからも現在の社会システムが男性にとってとても大きなプレッシャーになっていることがわかります。男女共同参画というのは、男女でともにそういうプレッシャーも、あるいは重荷も背負っていく、分け合っていく、共生していくという視点でございますので、是非ともこうした女性学、ジェンダー学の推進について御理解をいただきたいし、文部科学省では是非御協力いただきたいとお願い申し上げます。
    内閣官房長官
    原議員。
    原議員
    今、袖井議員がおっしゃいましたように、女性学とか、ジェンダー学というのは、女であるか、男であるかではなくて、人間の多様性に配慮して、柔軟に実態に研究として迫り、問題を具体的に解決しようとするものです。例えば、法学の世界で、女性に対する暴力に対する考察が進むことなどが男女共同参画社会の形成にとっても有意義でありまして、今後もその種の分野の充実を促す必要がある。これは理論的、実証的にそれらの研究が進まなければならないということでございます。これは、ほかのいろいろな領域についても同じことで文部科学省関連の研究のみでなく、さまざまな省庁における研究の視点におきましても、ジェンダー学の視点、女性学の視点を取り込んだアプローチを進めていただきたいと思っております。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。関連して住田議員。
    住田議員
    先ほどからジェンダーという言葉が各議員から出ておりますが、資料2で言いますと、4ページの左の(2)の方にジェンダーという言葉について幾つかの説明が入ってございます。この言葉自体「社会的・文化的に形成された性別」、4ページの左下の方ですけれども、その概念につきましては、国際機関でも各地で使われていまして、極めて定着した言葉でありますし、我が国の平成12年の基本計画にも既に使われている言葉でありますので、これは今後男女共同参画を進める上で非常に重要な概念だと思っています。ところが、ジェンダーにつきましては、フリーセックスを勧めるとか、過激な性教育をするものであるとか、男女の生物的な差すら否定するものであるとか、一部に誤解があることは残念でございまして、私どもはそのような誤解をなくしていくように努力を惜しまないつもりでございます。ただし、この言葉につきましては、今後もどのような形で御説明すればよろしいか引き続き専門調査会でも検討を続けるということになっておりますので、よろしくお願いします。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。文部科学副大臣。
    文部科学副大臣
    文部科学副大臣の小島敏男です。科学技術分野に、女性が参加することということで、新しくその項目が設けられました。今日はちょうど毎日新聞の『私のスタイル』という記事に、「向井さんの宇宙飛行に感動」という見出しで、羽田空港にあるANAの格納庫中で働いている方のことが載っていました。整備士が総勢で2,100 人いる中の女性は約20人で、1%にすぎないということでこんなに少ないのかと実感しました。彼女は向井さんという宇宙飛行士を見て、何としても航空の関係をやりたいと整備士になったのですが、現在、入社6年目で現場の整備責任者となるために必要な一等航空整備士の国家資格を取るまで、あと一歩のところだそうです。日本ではANAの女性整備士を取得した女性はまだ一人もいないそうです。ただ、その中で不安なのは女性整備士が現場にいながら出産したケースはまだないことです。しばらく現場から離れると国家資格は消えないものの整備するための社内資格がなくなってしまうという悩みを打ち明けており、2,100 人の中の20人が頑張っている中で、こういう状態では困るなということを今日の新聞を見て感じたところです。今、日本には83万人の研究者がいますが、その中で女性研究者は9万6,000 人と11.6%にとどまっています。比較してアメリカの場合は全体の研究者が126 万人、その中で41万人が女性研究者、32.5%を占めています。日本の11.6%というのが非常に低いということが裏づけられます。ただ、フランス、イギリス、ドイツは、基準になる科学者とは何かというところが、まだ同じテーブルに載っていませんので、この辺の比較はできない部分もあります。しかし、全体として日本がまだ少ないということは言えると思います。文部科学省としては、理科離れをしないように、これからも教育分野では頑張っていくということと同時に、研究と出産・育児等の両立支援の促進という形で、現在検討を進めているということでありまして、女性の進出に対しては、私どもは全面的にバックアップする所存でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。農業の家族経営協定につきまして、山口議員お願いします。
    山口議員
    大臣方の大方の選挙区では、農業の関係者の方が多いと思いますけれども、依然として農業は母ちゃん農業と言われて、これは古くて変わらない状況です。60%が女性を占めています。一方で高齢化や、後継者がいないという大きな問題を抱えているのですが、今、日本の農業というのは、家族ぐるみの経営でございまして、仕事と生活する場だとか、家計と農業経営の区別が付けられていません。こういうことで、家庭内での不満だとか、確執が生まれていることは御承知だと思います。これを改善するために、家族経営協定が全国的に取り組まれています。この内容については御承知かと思いますが、家族で取り組む農業について、経営方針や一人ひとりの役割、働きやすい環境づくり等をみんなで話し合って取り決めるというのが家族経営協定です。平成17年の調査によりますと、協定の中身は方針決定が85.9%、労働時間、休日が83.3%、簿記・記帳が74.9%、以下報酬額といった内容を協定しています。これは今から10年前の平成7年に農林水産省の構造改善局長と園芸局長の通達で進んでおり、今や3万2,120の農家が協定を結んでいるということです。協定した農家では、所得の向上になっている、やる気が起きた、責任感が発生したなど近代的合理化になってきたという声が上がっています。この家族経営協定こそ、女性の地位向上、農業者の後継者問題の解決にもつながることですので、是非、基本計画に位置づけてしっかりと推進していただきたいと願っております。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは、計画改定の進め方及び暴力の根絶について、片山議員。
    片山議員
    ありがとうございます。お手元に資料4があると思いますが、先般全国知事会で「男女共同参画社会実現に向けての提言」を決議いたしました。2つありまして、1つは、地方団体の意見を十分に反映していただきたいということであります。もう一つは、具体的な問題ですが、ドメスティック・バイオレンスについて、これは広域的な連携が必要です。実は、鳥取県が全国に先駆けていろんな施策をやっていますと、この分野で先進県と言われるのはいいのですが、逃げるなら鳥取県ということで、全国から逃げて来られます。それはそれでいいのですが、逆に私たちの県から逃げる場合は持参金付きで逃げている。県外から来られた人は鳥取県が面倒を見る。是非全国共通の連携が取れるように取り計らいをお願い申し上げたい。

    (総理入室)

    内閣官房長官
    やはり優しい知事さんのところには集まってきますね。
     それでは、ほかに御意見等もございましょうが、時間となりましたので、自由討論を終了させていただきます。ありがとうございました。

    (報道関係者入室)

    内閣官房長官
    それでは、総理から平成16年7月に諮問をいただきました「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方法について」は、資料3のとおり答申することといたします。ここで、総理からごあいさつをお願いします。
    内閣総理大臣
    いつもありがとうございます。今日は、官房長官に提言をまとめていただきありがとうございます。男女共同参画は国内においても、また海外においても重要なことです。男性も女性も自分の能力を家庭でも、社会でも、あるいは会社でも発揮したいという気持ちは同じだと思います。女性はこう、男性はこうではなくて、同じ人間だということが最近はだんだんわかってきたのではないでしょうか。これから、お互い助け合いながら、補い合いながら、男も女も、様々な面において能力を発揮しやすいような環境を整えていくために、今までも御努力いただきましたけれども、これからもより積極的な御助言、御提言、御支援をお願いしたいと思います。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは、プレスは退室されます。国会でも質問がありましたが、ジェンダーについては、誤解があるようなことは当然避けなければならないのですが、社会的・文化的に形成された性別、ジェンダーはきちっとやっていかなければならないという議員の皆さんの御意見がありました。また、今日は非常に広範な計画策定に当たってのポイントについての議論がありましたことを紹介します。
    内閣総理大臣
    よろしくお願いいたします。

    (内閣総理大臣退室)

    (報道関係者退室)

    内閣官房長官
    それでは、本日の議題は終了でございますが、既に皆様に御確認いただいております、前回の会議議事録と本日の会議の資料は従前どおり公開とし、本日の議事要旨も後日公表いたします。なお、議事要旨が公表されるまでの間は、自らの発言を除き対外的な公表は慎重にお願い申し上げます。それでは、これをもちまして、第19回「男女共同参画会議」を終了いたします。本日は、ありがとうございました。

    (以上)