男女共同参画会議(第16回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成16年10月7日(木)17:00~17:45
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
    議長
    細田 博之 内閣官房長官
    議員
    麻生 太郎 総務大臣
    南野 知惠子 法務大臣
    町村 信孝 外務大臣  (代理 谷川 秀善   外務副大臣)
    谷垣 禎一 財務大臣
    中山 成彬 文部科学大臣
    尾辻 秀久 厚生労働大臣
    島村 宜伸 農林水産大臣
    中川 昭一 経済産業大臣(代理 保坂 三蔵   経済産業副大臣)
    北側 一雄 国土交通大臣
    小池 百合子 環境大臣(代理 高野 博師   環境副大臣)
    大野 功統 防衛庁長官
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
    神田 道子 独立行政法人国立女性教育会館理事長
    君和田 正夫 株式会社朝日新聞社代表取締役専務編集担当
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    林  誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    原  ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    平山 征夫 新潟県知事
    (説明者)
    古橋 源六郎 財団法人日本交通安全教育普及協会会長
    (説明者)
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)平成17年度 男女共同参画推進関係予算(概算要求)について
    • (2)新しい男女共同参画基本計画に関する論点について
    • (3)その他
      • 少子化と男女共同参画に関する専門調査会及び監視・影響調査専門調査会の委員について
  3. 閉会

    (配布資料)

    資料1-1
    平成17年度 男女共同参画推進関係予算概算要求額(総括表)[PDF形式:180KB]別ウインドウで開きます
    資料1-2
    平成17年度 男女共同参画推進関係予算概算要求額(分野別内訳表)[Excel形式:180KB]別ウインドウで開きます
    資料2
    男女共同参画基本計画に関する専門調査会委員名簿 [PDF形式:8KB]別ウインドウで開きます
    資料3
    男女共同参画基本計画(リーフレット)[PDF形式:750KB]別ウインドウで開きます
    資料4
    男女共同参画基本計画改定に係る審議スケジュール(案)[PDF形式:332KB]別ウインドウで開きます
    資料5
    新しい男女共同参画基本計画に関する当面の論点について(有識者議員提出資料)[PDF形式:70KB]別ウインドウで開きます
    資料6
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会委員名簿 [PDF形式:8KB]別ウインドウで開きます
    資料7
    監視・影響調査専門調査会委員名簿 [PDF形式:8KB]別ウインドウで開きます
    資料8
    女性の政策・方針決定参画状況調べ
    資料9
    地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成16年度)
    資料10
    男女共同参画会議(15回)議事録(案)

    議事内容

    (報道陣入室)

    内閣官房長官
    ただいまから、第16回男女共同参画会議を開催いたします。
    本日は、新たな男女共同参画基本計画の策定に関する論点について自由討議を行うこととしております。
    政府は、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国の在り方を決定する最重要課題の一つと位置付け、現行の基本計画の下、「仕事と子育ての両立支援策」や「女性のチャレンジ支援策」を取りまとめるなど関連施策の推進を図ってまいりました。その取組は一定の成果を上げてまいりましたが、世界的に見ると我が国の女性の社会進出はまだまだ遅れております。このため、この度これまでの施策の進捗状況を評価した上で、今後取り組むべき施策を体系的に整理し、新たな基本計画を策定することが、大変重要な意義を持っています。
    本日は、新たな基本計画に関する論点につきまして、各議員から、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと思います。

    (報道陣退室)

    内閣官房長官
    それでは、早速、議事に入らせていただきます。
    まず、「平成17年度男女共同参画推進関係予算(概算要求)について」事務局より説明願います。
    名取局長
    それでは御説明いたします。
    男女共同参画推進関連予算につきましては、本年1月の参画会議で、平成16年度予算の政府案ベースの予算額を整理した資料を御説明させていただいたところです。今般、去る 8月31日に各府省から財務省に提出された平成17年度概算要求ベースのものを取りまと めましたので、その概要を御説明いたします。資料の1-1の総括表と1-2の分野別内訳表の2種類をお配りしております。
    分野別内訳表を御覧いただきますと、基本計画の11の重点目標中の項目毎に各府省の施策・事業、その概算要求額等が御確認できますが、本日は時間の関係もございますので、資料1-1の総括表によりまして、平成17年度概算要求の全体像を御説明させていただきたいと思います。始めに総額でございますが、総括表の3ページ目をお開きください。表の一番下に「総合計」欄がございますが、真ん中の17年度概算要求の括弧なしの数字が一般会計分で3兆1,584億円、丸括弧付き数字の特別会計分が7兆4,703億円、二重括弧付きの数字の財政投融資分が3億円で、総額10兆6,290億円となっております。総額9兆9,210億円の16年度当初予算から7,080億円の増額となっております。
    増額の主な要因でございますが、欄外の「注3」と「注4」にございますように、一般会計では重点目標「6 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」の中の「6(1) 「高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築」の増額分2,839億円が太宗を占めており、その内訳は「介護給付国庫負担金」が1,740億円、「地域介護・福祉空間整備等交付金」が1,090億円の増額となっております。また、特別会計では、同じく重点目標「6 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」の中の「6(2) 高齢期の所得保障」の増額分3,395億円が太宗を占めており、その内訳は、「国民年金国庫負担」が1,997億円、「厚生年金保険国庫負担」が1,398億円の増額となっております。これらは何れも高齢化の進展に伴う対象者数の増加等による増であると聞いております。
    続きまして、総額の10兆6,290億円の主な内訳でございますが、1ページめくっていただきますと資料の最後に「参考」といたしまして円グラフがございます。「基本計画重点目標別の予算割合」のグラフでございますので、これを御覧いただければと思います。主な増減要因と同様に重点目標の「6 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」が一般会計、特別会計及び財政投融資分を全て合わせて8兆9,547億円となっており、全体の約84%を占めております。さらにその内訳としましては8兆1,303億円を「介護給付費」「厚生年金」「国民年金」の国庫負担が占めております。
    続きまして予算の多い重点目標は「5 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援」です。総額で1兆4,334億円、全体の約13%を占めております。
    以上で総額10兆3,881億円、全体の約98%を占めており、他の9つの重点目標及び何れの重点目標にも整理されない「調査研究」「行政研修」等、「その他」の合計が残りの約2%、2,409億円を占めております。これらの重点目標等につきましては、概ね対前年度同額程度の要求ということになっており、現下の厳しい財政事情の中で継続施策・事業を見直しつつ、新たに必要な施策・事業を盛り込み、全体として重点化、効率化が図られて きたものと考えられます。
    なお、新規事業につきましては、資料1-2の分野別内訳表におきまして「新」の文字を付しておりますので、後ほど御覧いただければありがたく思います。以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。「平成17年度男女共同参画推進関係予算(概算要求)について」はただいま説明のあったとおりでございます。10兆円と言われるとピンとこないところがありますけれども、関連予算という額でございます。各府省におかれましては、施策の実現に向けて今後とも御尽力いただきますようお願い申し上げます。
    続きまして、「新しい男女共同参画基本計画に関する論点について」であります。まず、基本計画策定に関して、前回の会議において、男女共同参画基本計画に関する専門調査会の設置が決定され、専門調査会の委員の人選については私に御一任いただいておりましたが、資料2のとおり委員を決定いたしましたので御報告いたします。なお、基本計画のうち、女性に対する暴力に関する事項については、女性に対する暴力に関する専門調査会において御検討いただくこととしております。
    次に、事務局より現行計画及び計画の審議スケジュール(案)について説明願います。○名取局長 それでは、資料3を御覧いただければと思います。現行の男女共同参画基本計画の概要について御説明いたします。
    現行計画は、平成12年に閣議決定され、平成17年度末までに実施する具体的施策等を記述しているものでございまして、今般、基本計画策定後初めての改定を行うことを予定しております。
    1ページ開けていただきますと2ページ目の上の方に現行の男女共同参画基本計画がございますが、第1部で「基本的考え方」、第2部で「施策の基本的方向と具体的施策」として11の重点目標を掲げ、第3部で「計画の推進」のための体制について記述しております。
    続きましてスケジュールにつきまして御説明いたします。資料4に「男女共同参画基本計画改定に係る審議スケジュール(案)」というものがございます。右側に「男女共同参画会議」がございまして、本日論点を御議論いただきました後、左端に記載されております「男女共同参画基本計画に関する専門調査会」での検討が明日10月8日から開始される予定になっております。この専門調査会では、重点目標に関する各府省からのヒアリングを年内に行い、その後、起草委員会での検討によって論点を整理します。
    また、官房長官からお話のございましたとおり、重点目標のうち、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」につきましては、真ん中にございます「女性に対する暴力に関する専門調査会」において検討を行う予定にしております。このように、両専門調査会において検討を進め、論点を整理し、合同で国民からの意見募集、意見交換会を行った上で、17年7月頃に報告書を取りまとめ、男女共同参画会議に御報告する予定となっております。その後、参画会議より総理大臣に答申を行うことになります。以上でございます。
    内閣官房長官
    続きまして、基本計画の策定に関しまして、前回、岩男議員より「策定に向けて各省庁からこれを是非盛り込みたいというような目玉となる事項をお示しいただきたい」との御発言をいただきました。これを受けまして、まず各大臣から基本計画策定に向けての決意を伺いたいと思います。
    始めに、文部科学大臣お願いします。
    文部科学大臣
    男女共同参画社会の実現のため、男女平等の理念に基づく教育が学校、家庭、地域など社会のあらゆる分野において行われることが重要であり、基本計画の改定に当たっても、文部科学省の果たす役割は極めて大きいと認識しております。このため、文部科学省では、学校教育全体を通じた人権の尊重、男女の平等、相互理解・協力についての指導の充実や、男女が各人の個性と能力を十分に発揮し、社会のあらゆる分野に参画していくための学習機会の充実等、今後とも学校教育及び社会教育において関係施策を推進していく所存でございます。また、平成15年4月に本会議から提言いただきました「女性のチャレンジ支援策」等を踏まえ、文部科学省では、女性が社会で十分能力を発揮し、多様なキャリアを形成するための支援策、女性が男性と共に地域社会の方針決定の場へ参画するための資質や能力の向上を図るための支援策等を行い、女性教育を推進しているところであります。特に独立行政法人国立女性教育会館では、我が国唯一の女性教育のナショナルセンターとして、国内外の官民の指導者等に対する研修や専門的な調査研究等を行うことにより、男女共同参画社会の形成の一翼を担ってまいりました。現在までに国立女性教育会館において蓄積された先駆的・専門的な知見及び国内外の関係機関とのネットワークは、我が国における男女共同参画の更なる発展に必要不可欠であります。このため、文部科学省としては、国と地方の役割分担を踏まえつつ、国立女性教育会館が行う女性教育関係事業の一層の振興に努めてまいります。以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。次に、厚生労働大臣お願いします。
    厚生労働大臣
    現行の「男女共同参画基本計画」におきましても、厚生労働省の所管施策が数多く掲げられているところでございまして、男女共同参画社会の形成に向けまして我が省の果たす役割は極めて大きいものと考えております。
    従いまして、この度の男女共同参画基本計画の改定に当たりましては、1つ目には「待機児童ゼロ作戦」の推進や育児休業の取得促進など、子育て支援や仕事と家庭の両立支援の推進、2つ目には、男女雇用機会均等対策の推進、3つ目には、男性を含めた働き方の見直し、多様な働き方の実現、4つ目に、生涯を通じた女性の健康支援の推進、4点申し上げましたけれども、これらを始めとする厚生労働省の関係施策について、専門調査会等の御議論を踏まえ、様々な課題に適切に対処できるよう、積極的に検討を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
    内閣官房長官
    次に、農林水産大臣お願いします。
    農林水産大臣
    農林水産省より、男女共同参画基本計画策定に向けての決意表明を述べさせていただきます。
    女性は、農業就業人口の約6割を占める等、農林水産業の重要な担い手としてその貢献するところは極めて大きく、また、起業活動など地域の活性化にも重要な役割を果たしており、女性の参画に関する期待は益々大きくなっています。
    このため、農林水産省では、食料・農業・農村基本計画及び男女共同参画基本計画を踏まえ、「女性の社会参画の促進」「女性の経営参画の促進」「女性が住みやすく活動しやすい環境づくり」の3つを柱として、農山漁村における男女共同参画を推進しているところです。現在、本年度末を目途に、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた検討が行われており、8月には食料・農業・農村政策審議会において中間論点整理が報告されたところです。今後、さらに議論を深め、次の世代に向けてどのような姿の食料・農業・農村を残していくべきかという大きな視点に立って、農政の改革に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。こうした中で「食」と「農」、都市と農村との「交流」などを支える女性の積極的な参画が、今後展開しようとしている農政改革の成否の鍵を握っており、女性の一層の社会参画、経営参画なくして、農山漁村の発展はないと認識しているところです。このような観点から、農山漁村の男女共同参画社会の確立を図り、やる気のある女性が十分に能力を発揮できる農業の実現に向けて、新たな食料・農業・農村基本計画の検討方向を踏まえつつ、次期男女共同参画基本計画の策定のための議論を深めてまいりたいと考えております。以上です。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。次に、経済産業副大臣からお願いします。
    経済産業副大臣
    経済産業省の意見を申し上げます。
    まず女性の支援でございますが、我が国の経済の活性化のためには女性がその能力を十分に発揮していくことが不可欠だと考えております。産業界におきましても自ら創業する女性や経営に携わる女性の割合が現実的に増えてきております。
    ちなみに具体的な数字を申し上げますと、一人で頑張っている自営業者は125万人、そして従業員をお持ちの女性自営業者は32万人、合わせて157万人が確認されておりまして、全体の22%に及ぶところまできております。経済産業省といたしましては、さらに女性向けの創業塾や低利融資等による創業の支援などを通じまして、引き続き、女性の活動を支援してまいりたいと思っております。
    次にもう一点でございますが、男女共同参画基本計画に関する諮問につきまして一言意見を申し上げさせていただきます。
    新男女共同参画基本計画策定に当たりましては、性別による数値目標などで規制する方向ではなく、女性が活躍できるような環境整備をしていく方向で議論が進むことを望んでおります。また、国民生活に大きな影響を与える可能性のある新計画でありますから、関係者・国民各層の意見を十分に聞いて検討を進めていただきたいと考えております。以上です。○内閣官房長官 ありがとうございました。閣僚の御発言に対する御意見もおありかと思いますが、後ほど自由討議の中で御発言願いたいと思います。
    私からも、策定に向けまして一言申し述べさせていただきます。男女共同参画担当大臣として、世界的に見て女性の活躍度が低い我が国の現状を踏まえますと、さまざまな分野への女性のチャレンジを強力に支援していくことに重点的に取り組む必要があると考えております。昨年4月には、小泉総理からの指示を受けまして、本会議におきまして女性のチャレンジ支援策を取りまとめました。政府は、これを受けて「社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度」という目標を掲げて、支援策に積極的に取り組んでいるところであり、実際にその成果が上がるまでには時間がかかりますので、目標達成のため、今後は、内閣府と各省がこれまで以上に緊密に連携・協力して支援策を推進してまいりたいと考えております。各閣僚におかれましてもリーダーシップを発揮して御協力いただきますようお願い申し上げます。
    また、私は先日の内閣改造で引き続き男女共同参画担当を拝命しましたが、その際に小泉総理から次のように御指示をいただきました。「男女共同参画については、少子化対策等関連の問題も視野に入れて広く国民の理解を得られる施策を推進せよ。」ということでございます。少子化対策が政府としての緊急の課題となっている中、男女共同参画と少子化対策を軌を一にして進めていけるよう、新たに「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」を設置して検討を行い、このような観点に立って、新たな内容を次期基本計画に積極的に盛り込んで行きたいと考えております。
    それでは、次に基本計画策定に関しまして有識者議員から資料が提出されておりますので、代表して岩男議員から御説明をお願い申し上げます。
    岩男議員
    それでは、新しい男女共同参画基本計画に関する論点について御説明させていただきます。
    資料の5を御覧下さい。先ほど事務局からも御説明がありましたとおり、前回の会議での総理からの諮問を受け、参画会議においては、政府が男女共同参画基本計画を策定する際の基本的考え方の検討を開始いたします。その際踏まえるべき論点について、私ども有識者議員としての見解をお示しいたしたく、この資料を提出させていただいている次第でございます。
    男女共同参画の推進において重要な論点は非常に多岐にわたっており、ここにお示しできない論点も数多くございますが、今後検討の過程でまた議論の場はあると思いますので、当面考えられる論点について、現時点での概略をまとめたものであると御理解いただければ幸いでございます。そもそも男女共同参画社会の実現は、男女共同参画社会基本法の前文に規定されているように21世紀の我が国の最重要課題であり、総合的な構造改革を進める上で極めて重要な位置を占めるものです。また、ただいまお話もありましたが、少子化対応や男女がお互いにその人権を尊重しつつ生涯にわたって安心して暮らすためにも不可欠なものです。
    しかしながら、女性の社会進出度を国連が毎年発表しているジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)で見ても、我が国は78か国中38位と国際的にも低いばかりでなく、そしてまたこの順位が下がっておりますのは、他の国々が日本以上に努力をされているということの結果でございます。また、4年制大学以上の高等教育卒業者に占める女性の割合はOECD加盟の24か国中最も低い状況にあるなど、男女共同参画社会の実現に向けた取組を一層進める必要があることは明らかでございます。
    このような最重要施策の推進において根幹となる新たな男女共同参画基本計画は、現行計画策定後の経済社会情勢の変化に対応するとともに、これまでの参画会議決定や関連提言の内容を基本計画に位置付け、施策の前進を図るもの、また、より実効性が上がるようなものでなければなりません。そのため、達成目標や実施期間について可能な限り定量的に記述するとともに、内閣府及び関係省庁において評価や影響調査を行うなど、施策の遂行を担保する方策について検討する必要があります。以下では、これらを念頭に、基本的考え方の検討に当たって特に踏まえるべき論点を提示しております。
    まず1は、ポジティブ・アクションを強力に推進する必要があること、女性のチャレンジ支援策を充実・強化し、社会のあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合を2020年までに30%にするという閣議決定の着実な達成を図ることです。
    次に2は、ジェンダーに敏感な視点、つまり男女共同参画の視点と言い換えてもよいわけですが、これを定着させることが施策の推進の重要な基盤であり、これを明確化すること、またジェンダーに関する誤った認識を是正することについてです。
    1ページおめくりいただいて3ですが、これは現行計画の11の重点目標に限らない新たな分野への取組の重要性についてであります。
    次に4は、パートを始め多様な就業形態の者が増加しておりますが、パート等の均等待遇の確保と働き方を見直すことについてです。
    最後に5では、今後は地域活動、NPO活動等の様々なネットワークを構築することがさらに重要になってくるものと思われ、それについて検討が必要だとしています。
    以上、概略ではありますが、新しい男女共同参画基本計画に関する当面の論点について御説明をさせていただきました。どうか皆様の活発な御議論をお願いいたします。以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。
    それでは、ただいまの岩男議員の御説明を踏まえ、基本計画策定に関して、時間の許す限り自由討議を行いたいと思います。このペーパーに5点記されておりますので、それぞれについて討議をいたしたいと思います。
    初めに1の「女性のチャレンジ支援の推進」につきまして御意見をどうぞ。
    古橋議員
    第1の「女性のチャレンジ支援の推進」について意見を申し上げたいと存じます。
    先ほど官房長官及び今、岩男議員からお話がございましたように、昨年4月に参画会議で決定いたしました社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%とするという意見がございますけれども、このときの考え方は1990年に国連ナイロビ将来戦略勧告というものが示されておりますけれども、その中で既に期限が過ぎているのでありますが、「1995年までにその割合を30%にする」という国際的な目標数値、さらに、諸外国の概況を踏まえて30%という数字を決定したところでございます。
    女性の管理的職業従事者の割合は、アメリカ45.9%、ドイツ34.5%、スウェーデン30.5%なのに対しまして、日本は民主主義国として国際的には恥ずかしいとも言うべき9.7%という低い水準でございます。先ほど岩男委員が言われましたように、我が国のジェンダー・エンパワーメント指数が78か国中38位に留まっているというのも、これが大きな要因になっているところでございます。最近内閣府が発表いたしました「女性の政策・方針決定過程への参画状況調べ」を見ますと、いずれの分野におきましてもその状況は遅々として改善されておりません。2020年に30%という目標の達成のためには、次期基本計画におきましてこの「チャレンジ支援策」の中でも積極的改善措置、いわゆるポジティブ・アクションを重点施策として位置付けまして、目標達成のための有効な施策を具体的に策定する必要があると考えております。
    特に民間に先行・率先して実施すべき政府のお膝元の女性国家公務員の目標達成が重要でございます。登用の対象となる現職の女性国家公務員の割合が現在低いので、目標達成の基礎条件を整備しますために1種事務系の採用割合を2004年の21.3%から2010年までに30%とするという目標が申し合わされましたことは評価できるところでございますけれども、これを基礎とした今後の女性国家公務員の登用が問題なのであります。2003年1月現在、その管理職の割合は1.3%でございまして、2020年30%という目標を達成するためには計画的な取組と発想の転換が必要であると考えております。
    各府省の男女共同参画推進本部におかれましては、現状分析、目標年次に向けた計画達成のための年次別シミュレーションの作成及び計画的な取組に一層努力をされますとともに、必要な場合においては外部からの有為な人材の登用などの追加的措置をとることが必要であると考えております。なお、先に述べました昨年4月の男女共同参画会議意見におきましては、各府省の2005年度までの取組を評価した上で諸外国における取組を参考としつつ、必要に応じて立法措置も視野に入れて検討を行うということといたしております。各大臣におかれましては、30%目標のためにリーダーシップを十分に発揮されますことを心からお願い申し上げます。以上であります。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。では、住田議員どうぞ。
    住田議員
    先ほどの1番に関しまして、私は別の観点から意見を述べさせていただきたいと存じます。
    指導的地位に30%ということに関しまして、先ほど経済産業省の副大臣から数値目標の規制の方向ではないようにとおっしゃいました。まさにそのとおりで、これはあくまで も期待をするという目標でございまして、これで無理矢理割り当てるというような規制をするという趣旨では全くございません。あくまでも目標を掲げ、その期限を設けて関係者の自主的な取組を促進するという自発的なものを待つものでありまして、結果の規制ではないということは御理解いただきたいと存じます。ところで、先ほど古橋議員から国家公務員についてお話が出ましたが、実は今、経団連を始め、日本の企業は男女共同参画の必要性を単に法律の遵守、法令遵守(コンプライアンス)というだけではなく、積極的な企業の経営戦略として捉えるようになっております。昨年、当時の平沼大臣が報告書としてまとめられたものをこの会議でもお出しになられましたが、そのときに女性が活躍できる風土を持つ企業は利益率が高いという調査結果を御紹介いただきました。要するに、女性が活躍できるような人事・労務管理を行っている企業は経営成果も良好な傾向である。先ほど経済産業省は創業者について御支援をしておられるとのことですが、通常の一般の企業の中でも女性が活躍しますと、その企業については非常によい業績・結果が出ているということについても是非御理解いただきまして、自主的な取組を促進する方向で積極的な形で御支援いただければと存じます。どうもありがとうございました。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。小泉内閣も発足当初5人の女性閣僚がいて30%だったのですが、今は減りましたけれども、南野法務大臣も、そして今日は沖縄出張のためお休みですが、小池環境大臣もそれぞれ2人力、3人力の大臣でございますので御紹介申し上げます。
    それでは、第2の「ジェンダーに敏感な視点の定着」について御意見をお願いします。○原議員 ジェンダーに敏感な視点という第2の項目に関してでございますが、男女共同参画社会を実現する上での大きな障壁の一つが固定的な社会通念であり、通念に根差した制度や慣行の見直しが必要です。さらに意識を改革していくことが非常に大事なこととなっております。その際、一人一人の人間としての尊厳と基本的人権の尊重が前提となります。社会的・文化的に形成された性別を示す概念であるジェンダーに敏感な視点を定着させることは、現行の基本計画全体においても軸として重要な要素の一つと既になってございます。これを今後さらに進めることが必要だということでございます。なお、ジェンダーに関しましては、誤解と思われる認識が現在の日本の言論界に時に見られます。しかし、このジェンダーに敏感な視点というのは、男と女の違いを全部なくすということではなく、一人一人の人間がそれぞれにその人らしく個性を活かすということであって、一人一人が違うことを大事にするということなのでございます。しかも、それでその人らしく個性と能力が発揮できるように、選択肢の豊かな環境で、充実した生活を営むことが大事だということなのでございます。
    このように重要な概念でございますジェンダーに敏感な視点というのは、あらゆる分野に必要な制度や意識の見直しの鍵となるものでして、新たな基本計画におきましては計画全体に関わる横断的な視点として明確に位置付けることは重要だと考えております。先ほど文部科学大臣が御指摘になりました独立行政法人国立女性教育会館に関してでございますが、現在、政府の有識者会議等におきまして、独立行政法人の合理化等が議論されているようでございますが、この国立女性教育会館も見直し対象の法人として検討のまな板の上に載っております。現行の基本計画にも明記されているように、男女共同参画の推進のためには国立女性教育会館の役割は不可欠であり、かつ一層の整備充実が求められるものでございます。これは、国内的にも国際的にもそのようなことなのです。
    この国立女性教育会館はアジア地域における最初の女性の社会教育及び生涯学習のナショナルセンターとして設置されまして、中国や韓国等のモデルとなり、さらにアジア以外の地域、世界の色々な国で注目されてまいりました。さらに、開発途上国の女性のエンパワーメントを支援する中核的な役割を担ってきておりまして、今後とも国際的に非常に重要な役割を外務省、JICAとの関連におきましても果たしていくような場所でございます。
    このような国立女性教育会館が、青少年関係の諸法人と統合されるということがあっては困るということでございます。単独の独立行政法人として積極的な活動が展開できることを全ての女性が願っておりますし、外国からもそういう声が聞こえてまいっております。これらを踏まえまして、この改革に関しまして前向きに見直しの検討を行っていただきたいとお願いする次第でございます。よろしくお願いいたします。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。
    それでは、3の「新たな分野への取組」につきまして御意見をお願いします。
    山口議員
    現在の基本計画には男女共同参画に非常に関連の深い分野が11の重点目標として挙げられております。これはこれからも実効性を上げるように努力をしなければいけないと思いますが、向こう5年間というのは経済社会の急速な変化が予想されると思います。
    一方、国連の世界女性会議では、あらゆる分野への女性の全面参加と参画とが提唱されております。したがって、あらゆる政策にジェンダーの視点が要請されているわけですから、今後のことにつきましては基本計画の11の重点目標に新たに加えたい事項を4つほど提案したいと思います。
    1つは女性研究者の登用です。大学院その他オーバードクターが多数いるということですけれども、そういう人たちの能力をもっと活用できるように、是非ともその学識を発揮できる場を確保をしなければならないのではないか。最近は科学技術、工学といった面でも女性が増えておりますので、斬新なアイデアを入れるというところで女性の登用を考えたいということです。
    第2に観光の分野です。最近日本に外国人旅行者が減っているということは皆様御承知のとおりだと思いますが、もっと観光行政に女性の進出を図っていけば観光産業の活性化につながると思います。韓国に旅をいたしましたときに、私も外国人として観光バスに乗りましたが、そこのバスガイドというのは大学院で国際政治を勉強して語学も達者ですし、言ってみれば民間外交の役割をしているのです。非常にレベルが高く、今までのバスガイドのイメージと全然違うわけです。特に観光政策の企画立案に是非とも女性を登用してほしいと思います。
    第3に、まちづくりと地域おこしです。今、多くの自治体で男女共同参画条例ができておりますが、ようやく女性たちは、男女共同参画というのは結局まちづくりなのだということに気が付いております。そういうことで女性は貢献をしなければなりませんが、よく新聞に出ている浅草商店街のおかみさんパワーですね。これは一例ですが、佐賀市のシャッター通りでは、女性たちが途上国の女性のつくったものを売るとか、中古品やレストランを開いてランチタイムだけ営業するとか、NPOの認可をとって子どもたちの専門の図書店を開くといったようなことで、全く自分たちの創意で商店を開いているんです。
    そういうことから、やはり地域に暮らす女性は全日制市民というふうにいわれますように、まちづくりに女性のアイデアを生かすということで、地域おこしに女性の参画を推進してほしいと思います。特に旧建設省ではまちづくりフォーラムなどをやってとてもいい仕事をしていましたが、今は一体どうなってしまったのかと私は思っております。
    第4に、環境問題です。特に地方議会の女性議員などは、福祉と教育が好きねと言われてしまうのですが、最近ランキングから言いますと環境に取り組む女性議員が多くなっています。もっと環境問題に女性が参画できるようにしなければいけないと思います。
    1992年にリオで採択された環境と開発に関する国連会議で「アジェンダ21」が採択されました。これには、生態系管理と環境劣化の抑制への女性の参加・参画が明記されております。環境と開発というのはリンクして益々重要になっておりますし、ここで日本も遅れないように取り組むべきと思います。
    以上、4項目に関しましては今後の男女共同参画社会の形成の礎となるようなものでございますので、是非ともこの基本計画の中に新たに入れ、明確に記述してほしいと思います。今日は今、私が述べたことは関係あります文部科学省、経済産業省、国土交通省、環境省もいらしているので、よろしくお願いいたします。
    内閣官房長官
    具体的な御提言をありがとうございました。
    次に、4の「パート等の均等待遇の確保と働き方の見直し」について、林議員からお願いします。
    林議員
    4について少し意見を述べたいと思います。
    最近、パートを始めとします非正規という雇用の社員が大変増えております。また、女性の短時間雇用者数だけを見ましても、女性雇用者に占める割合が1985年の22.0%から2003年には40.7%に増加をしております。この短時間労働者に加えて契約労働者なども含めてまいりますと、女性の雇用者の51.1%は非正規雇用になっておりまして、男性の16.2%という非正規雇用の割合と比べますと大変多くなっております。これらの非正社員の中には、正社員としての採用希望が果たされず、非正社員になったという方も多く、正社員と非正社員の処遇の格差の拡大は深刻な問題となっております。
    この格差の一例を申し上げますと、時間給で見てみますと一般の男性労働者が1時間2,000円強に対して女性のパートの時間給は800円弱、これほどの大きな格差がございます。加えまして、非正規の社員の多くは厚生年金などの重要な社会保障制度が適用されていないのが現状です。このために、パートを始めとする多様な就労形態の労働者に対する均等待遇を確保し、自分が希望する雇用形態で就業することを可能にすること、加えて持続可能な社会保障制度の構築につなげていくことが喫緊の課題であると考えております。
    また、労働時間の短縮によって仕事と生活のバランス、つまりワークライフバランスとよくこのごろ言われますけれども、そういうバランスを図って男性が家庭生活や地域生活に参画できるようにしていくことも重要であり、こうした取組が結果として子どもを産み、育てやすい環境を整えることにつながるのではないかと思っております。
    実際にOECDの諸国におきましては、女性の労働力率が高い国ほど合計特殊出生率も高い傾向にあり、日本で女性が働くと子どもを産めないというのはうそであるということも証明されております。「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」におきましては、我が国における少子化と男女共同参画推進策との関係を分析することとしておりますが、ここでの成果につきまして是非とも次の基本計画に適切に反映していただきたいと思います。以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。
    それでは、第5の「さまざまなネットワークづくりの推進」につきまして、神田議員からお願いします。
    神田議員
    では、一言だけ申し上げます。様々な人が色々な能力を発揮しながらつながりを持って安心して生きていくことができる男女共同参画社会を実現する一番基本になるのはやはりネットワークだと思っております。ネットワークづくりを是非推進していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。
    君和田議員、平山議員、いかがですか。特にございましたらどうぞ。
    平山議員
    この10月24日で任期満了となり、知事を退任しますので、この議員としての役割も今日が最後かと思います。
    この計画が有効にワークするといいましょうか、働くようにするにはどうやればいいかということが一番大きな問題だと思います。国が色々な計画をつくりますと、それを踏まえて県が次に計画をつくる。男女共同参画について県として啓発から含めてどういうことをやろうかということです。それを受けて、今度は市町村で実際の行動的な計画を立てようということになるわけですけれども、これまでの動きを見ますと数千人という規模の町村ではほとんどそれができてこなかったわけです。市というレベルならば何とかできる。
    今度、自治体における合併が進んで、新潟県の場合ですと112のうち20が市で92が町村でした。それが、21の市と13の町村になろうかと思います。そういうことは、ほとんどの自治体で市というレベルで男女共同参画の担当者を置いてしっかりした推進ができる自治体になっていくんだろうと思いますので、この問題についても中央で色々なことを考えて出されたものを地方なり地域で実践していくという体制をどう組んでいくかということは一つの大きなポイントになろうかと思いますので、そのことに視点を置いていただきたい。
    併せて次世代の問題について一言申し上げたいと思います。知事会の中の研究会をフェミニスト男性4人の知事と女性4人の知事の8人でやっており、時々御報告させていただきました。本当は今日間に合えば御報告したかったのですが、ちょっと間に合っておりませんので、次のメンバーなりどこかで発表になると思いますが、47都道府県の調査は終わりました。そして、28の県の1,910という非常に大きな市町村が今、この次世代のための推進に関する調査に協力しております。30数項目のアンケートを今、集計しています。1,900という数の町村がこの問題についてアンケートに答えるというのは画期的だと思いますが、この結果から実際にこの次世代問題について一番悩み、一番困っているのは実は過疎に悩んでいる地域であります。本当に3,000人とか4,000人という市町村においては子どもが少ないということで地域の活性化が失われている。したがって、国全体としての次世代問題と地域間における過疎を含むアンバランスの問題、このことは一つの社会問題として国で政策的に考えなければいけないことだと思いますので、全体の次世代問題と合わせて東京への一極集中も含めて、地域からさらに子どもたちが働く場がなくて出て行くという問題も含めて、社会問題として考えていただきたい。
    一定の人口を割ったときに地域がぱたっと力が弱まるということを考えますと、そのことは重要であり、かつ今回の次世代についてもそうした過疎に悩む市町村では相当色々な対策をこれまでもやってきたのですけれども、今のところ必要条件はある程度わかったけれども、十分条件ではないというのが現在の状況だと思いますので、是非今回の調査を踏まえた有効な対策を考えていただくようお願い申し上げて私の任を終わらせていただきたいと思います。
    内閣官房長官
    ありがとうございます。では、君和田議員どうぞ。
    君和田議員
    指導的地位に占める女性を30%というのは全く異論のない数値目標なのですが、これらは採用が30%という前提がないと、もっとはっきり言いますと全社員の30%が女性でないと人事制度、それから評価制度が極めてゆがんでしまうことになるわけなので、この目標だけ達成すればいいということではなくて、来年からでも女性の採用を30%最低確保しなければいけないことだというふうに是非御理解いただきたいということが1点です。
    2点目は、私の会社では今、記者の35%くらいが女性になってきておりますが、この比率が高まるほど現場では大変な問題が起きてきておりまして、解決しなければいけない課題があります。
    一番わかりやすいのは転勤、とりわけ引っ越しを伴う転勤、特に相手が異業種他社というような場合の転勤は極めて複雑です。そうしますと、35%が女性ですと65%の男性の転勤回転率が極めて高くなる恐れがある。これは人事制度上大変な問題で、なおかつ女性の間でも既婚者と未婚者、それから既婚者の中でも子どものいる既婚者とそうでない既婚者、ここで女性間の差別感が生まれる可能性があります。これを今どのように解決するかというのは、私たちの会社の中で大きな問題になっております。今、バクダッドにも女性記者を送っていますし、南極にも1年以上にわたる越冬隊員を送っています。こうした人事を今後もどんどんやっていきたいのですが、出しやすい環境をどうつくっていくか大きな課題です。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。他にどなたかございますか。
    文部科学大臣
    2点申し上げます。
    1つは、先ほど岩男議員から高等教育卒業者に占める女性の割合がOECDの中で日本が一番女性の進学率が低いというお話がございましたが、日本の場合には御承知のように短大とか専修学校とか、そういったところに行く女性の割合が特に多いものですから、ちなみに申し上げますと、平成15年におきまして短大への進学率を合わせますと女性が48.3%、男性が49.6%ということで余り遜色ないと考えておりまして、そういった日本独特の事情もあるということも御理解いただきたいと思っています。
    もう一点は今、原議員におっしゃっていただきましたが、独立行政法人、国立女性教育会館の理事長がここにいらっしゃいますけれども、御自分でなかなかおっしゃりにくいと思いますが、まさに内外にわたる非常に高い評価を得ているわけでございます。今度行革ということで、例えば青少年関係の法人と一緒にという話もありますけれども、非常に男女共同参画という意味ではいい仕事をやっていらっしゃいますので、そういう点はどうか御理解いただきたいと思っております。以上でございます。
    防衛庁長官
    先ほど林先生から女性の社会進出と、それから出生率の相関関係についてお話がありました。私もなるほどと思って伺っていたのでありますけれども、少子化問題というのは年金の問題のみならず日本の将来の経済活動の問題に関わりますし、実は防衛の問題にも関わってくるわけで、若い人たちが少なくなってくるのは大変なことだと思っております。例えば女性の社会進出と出生率との関係で、先進国の中では日本とドイツとイタリア、スペインが大変低いのです。それで、軍人の中に占める女性軍人の割合をちょっと見てみますと、日本の場合は自衛隊といいますけれども、日本の自衛隊では女性の割合は4.6%です。ところが、アメリカは13.9%、オーストラリア12.5%、ドイツは何と2.4%、イタリアになりますと統計がないくらいなのです。なるほどと思って伺っておりましたので、官房長官のお話にもありましたようにで少子化と男女共同参画のお話をこれから専門的にやって、是非ともこれを精力的にお願いしたいと思います。
    同時に、ちょっと角度が違うのですけれども、3世代同居という問題があって、日本の例で見てみますと一番3世代同居の比率が高いのは福井県なのです。福井県の女性が職を持っている率が一番日本では高い。それから、同居率が一番低いのが大阪で、女性が働いている率が一番少ない。こういう問題をやはり議論していただいて、国として同居しろというわけにはいかないんですけれども、いろいろな観点から是非とも女性の社会進出と少子化問題、あるいは出生率を高めていって、年金とかいろいろな問題を日本は抱えていますので、よろしくお願いします。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。関連で言うと私は島根県でしょう。島根県は合計特殊出生率がうんと高いし、女性が職業を持っている比率もうんと高いのです。では、いいかというと過疎化している。
    なぜかというと、都会に出た人のうち、帰ってくる人は結婚をして職を持つということで帰ってくる。しかし、そうでない人は都会で独身を謳歌している人もいれば、帰らない意思を持っている人もいます。だから、統計の結果だけ見ていると間違いで、平山知事はよく御存じだと思いますけれども、過疎がどのように発生しているかというと出生率でも職業比率でもないのです。それは表面的なことで、結婚して地元で職を持つ人は帰ってくることが多いという話ですので、そういう分析もお願いしたいと思います。
    総務大臣
    全く似たようなことですけれども、岩男議員が話された基本計画に対する当面の論点についてのところで、前文のところと、それから4番のところにも書いてあり、先ほど官房長官からも少子化の話が出ていたのですが、私ども総務省というのは行政評価局というものを持っているものですから、過日の7月に総務省において「少子化対策に関する政策評価」をまとめ、文部省、厚生省、国土交通省にそれぞれ評価の結果及び意見書を通知しているのですが、御存じのとおり新エンゼルプランについての評価をやっております。これをよく見ると、子育てに伴う経済的な負担感の緩和とか、それから子育ての中に示す専業主婦家庭の負担感の緩和という問題が出て、働いている人の話ばかり出ますけれども、専業主婦の話をしていただかないと、これは少子化対策にならないと私は思うんです。この話も非常に大事なところだと思いますし、ものすごく難しいところだと思っています。
    それから、君和田さんの言われた新聞社の話ですけれども、一番転勤が少ない役所はどこだか御存じですか。経企庁です。私は元いましたが、転勤がない。だから、やたらと女性の比率が高い。それで、コンピュータの普及率はやたらと高い。私は何でこんなにコンピュータを1人3台も持ってやっているのか、これは皆、役所で買っているのかと聞いたら、皆、自前で持ってきていますと、ものすごい能力です。大臣になるといろいろな方々からどさっと花屋が開けるくらいいっぱい花が来るのですが、置いておいてもしようがない。眺めていてもしようがないので、女性職員に全部やれと言ったら足りないわけです。そんなにいるのかというほど経企庁の女性の比率は高いんです。やはり転勤という話はおっしゃるとおり非常に難しい問題だと正直思いますので、中山大臣のところは、夫は国会議員で、妻は四国とか、宮崎と四国というのではえらいことになりますので、やはりなかなか難しいと正直に実感としては本当にそう思います。
    内閣官房長官
    いろいろ御意見がございますが、時間となりましたので自由討議を終了させていただきます。本日の議論も踏まえまして、今後男女共同参画基本計画に関する専門調査会及び女性に関する暴力に関する専門調査会におきまして基本計画について調査検討していただきます。各省庁におかれましては、御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
    続いて、「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」及び「監視・影響調査専門調査会」の委員について、前回の会議においてこれらの専門調査会の設置が決定され、専門調査会の委員の人選については私に御一任いただいておりましたが、資料6及び資料7のとおり委員を決定いたしましたので御報告いたします。
    以上で本日の議題は終了でございますが、既に皆様に御確認いただいております前回の会議議事録と本日の会議資料は従前どおり公開とし、本日の議事要旨も後日公表いたします。
    なお、議事要旨が公表されるまでの間は、自らの御発言を除き、対外的な公表は慎重にお願い申し上げます。
    それでは、これをもちまして第16回男女共同参画会議を終了いたします。本日はありがとうございました。

    (以上)