男女共同参画会議(第14回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:平成16年7月28日(水)17:00~17:45
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    福田 康夫 内閣官房長官
    議員
    麻生 太郎 総務大臣(代理 山口 俊一 総務副大臣)
    野沢 太三 法務大臣
    川口 順子 外務大臣(代理 阿部 正俊 外務副大臣)
    河村 建夫 文部科学大臣(代理 原田 義昭 文部科学副大臣)
    坂口 力 厚生労働大臣(代理 谷畑 孝 厚生労働副大臣)
    亀井 善之 農林水産大臣
    中川 昭一 経済産業大臣(代理 泉 信也 経済産業副大臣)
    小池 百合子 環境大臣 (代理 加藤 修一 環境副大臣)
    石破 茂 防衛庁長官(代理 浜田 靖一 防衛庁副長官)
    小野 清子 国家公安委員会委員長
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
    神田 道子 独立行政法人国立女性教育会館理事長
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    平山 征夫 新潟県知事
    福原 義春 株式会社資生堂名誉会長
    古橋 源六郎 財団法人日本交通安全教育普及協会会長
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
    (説明者)
    島野 穹子 女性に対する暴力に関する専門調査会会長
    (説明者)
    大澤 眞理 影響調査専門調査会会長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について
    • (2)女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策
    • (3)「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての論点整理
    • (4)男女共同参画と少子化問題について
    • (5)その他
      • チャレンジ支援関係
      • 平成16年度農林水産省男女共同参画推進本部活動計画
  3. 閉会

    (配布資料)

    資料1-1
    男女共同参画の視点に立った政府開発援助(ODA)の推進について
    資料1-2
    政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(案)
    資料2
    女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策
    資料3
    「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての論点整理
    資料4-1
    男女共同参画と少子化問題について [PDF形式:10KB]別ウインドウで開きます
    参考1
    女性のチャレンジ支援策の推進に向けた意見(抜粋)[PDF形式:771KB]別ウインドウで開きます
    参考2
    男女共同参画と少子化(最近の分析の動き)[PDF形式:709KB]別ウインドウで開きます
    資料4-2
    少子化社会対策大綱の検討状況について [PDF形式:619KB]別ウインドウで開きます
    資料4-3
    次世代育成支援対策について [PDF形式:572KB]別ウインドウで開きます
    資料5-1
    チャレンジ支援ネットワーク検討会報告書
    資料5-2
    チャレンジ・サイト
    資料5-3
    女性のチャレンジ支援事例集2004
    資料5-4
    平成15年度チャレンジ・キャンペーン実施状況
    資料6
    平成16年度農林水産省男女共同参画推進本部活動計画 [PDF形式:10KB]別ウインドウで開きます
    資料7
    男女共同参画会議(第13回)議事録(案)

    議事内容

    内閣官房長官
    それでは、ただいまから第14回男女共同参画会議を開催いたします。本日は、総理は後ほど御出席予定でございます。早速、議事に入らせていただきます。
    初めに、苦情処理・監視専門調査会からの報告です。この専門調査会では、「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視」として、男女共同参画の視点に立った政府開発援助、ODAの推進について取りまとめていただいたところでございます。
    それでは、苦情処理・監視専門調査会の古橋会長より御報告をお願いいたします。
    古橋議員
    苦情処理・監視専門調査会の会長の古橋でございます。
    本専門調査会におきましては、平成14年7月の第11回男女共同参画会議において決定されました男女共同参画基本計画の地球社会の平等・開発・平和への貢献に関わります施策の監視につきまして、計10回会合を開催いたしまして、今後の取組みに向けて重要であると考えられる事項につきまして検討をいたしたところでございます。このうち、政府開発援助についての調査検討結果につきまして今回報告をさせていただくことといたしました。国際規範、基準の国内への取入れ浸透につきましては、次の会議で報告をさせていただくことといたしております。
    本報告は、男女共同参画社会基本法施行後、我が国で初めて男女共同参画の視点から政府開発援助について総合的見直しを行ったという点で、私は意義があるものと考えております。調査検討結果につきましてはお手元の方に本文が入っておりますけれども、時間の都合上、その中に入っております色刷りのもので御説明をさせていただきたいと思います。資料1-1のポイントというものが全体を概観するために作ったものでございまして、その次に1枚めくっていただきまして「男女共同参画の視点に立った政府開発援助の推進について(概要)」によって御説明をいたしたいと思います。
    大きな構成は、1ページにございます「政府開発援助における男女共同参画の視点の重要性」ということと、2枚飛びまして3ページの2の「男女共同参画の視点から見た関係施策の現状及び問題点と対応策」ということから成り立っております。 第1に「政府開発援助における男女共同参画の視点の重要性」でございますけれども、まず政府開発援助の目的は新ODA大綱にもございますように、国際社会の平和及び発展に貢献するとともに、これを通じて我が国の安全及び繁栄の確保に資することとされております。
    政府開発援助が対応すべき問題は、いずれも途上国における男女共同参画に関する課題と不可分なものでございます。また、政府開発援助におきましても男女共同参画の視点が重要になっているということは、そのページの下段の左側にございますようにWID、GAD、ジェンダー主流化という国際潮流ということからも明らかになっているところでございますけれども、政府開発援助を公平に有効的に、かつ効率的に推進する見地からも、男女共同参画の視点が重要でございます。すなわち、下段右側にございますように、公平性の点からは途上国の男性が有するニーズをもって途上国全体のニーズとみなしてしまうのではなくて、男女の異なるニーズを把握することにより、女性の状況が男性の状況に比べて改善されなかったりすることを避けることができ、援助の公平性が確保されることにつながるのでございます。
    また、有効性及び効率性の点からは、途上国の男性の労働実態のみをとらえて途上国全体の労働実態ととらえてしまうのではなくて、性別役割分業等の現状を把握することによりまして女性の有する知見も男性の有する知見と同様に生かすことができ、そして援助の有効性及び効率性の確保につながるのでございます。
    なお、本報告及び参考資料におきましては、男女共同参画の視点を取り入れたことによります具体的な成功例、あるいはそれを配慮しなかったことに伴います失敗例等も示しておるところでございます。
    更に次のページをめくっていただきますと、国際協力における男女共同参画の視点の必要性というものは「男女共同参画社会基本法及び男女共同参画基本計画」においても記述がございまして、この基本計画の実施状況は参考資料等に挙げられているところでございます。
    加えまして、国連、OECD、世銀、アジア開発銀行等の国際機関及び先進援助国が、すべての開発援助案件にジェンダー主流化の観点から事前評価、計画、実施及びモニターを行うなど、男女共同参画に関する先駆的な取組みを行っているということにつきましても留意する必要があると存じます。
    第2に、次のページをめくっていただきまして「男女共同参画の視点から見た関係施策の現状及び問題点と対応策」でございます。これは、そのページにございます「政府開発援助に関する主要な枠組み」ということ、それから次の4ページにございます「形態別援助の内容の現状及び問題点」、それからその次が5ページにございます「政府開発援助の推進体制の現状及び問題点」という3つの部分から構成されているところでございます。
    まず、3ページの「政府開発援助政策に関する主要な枠組み」から御説明させていただきます。政府開発援助政策の根幹をなします政府開発援助大綱につきましては、平成15年8月29日の閣議決定をもって改正されておりますが、改正後の大綱におきましてはその最も重要な考え方を示す基本方針の中で、男女共同参画の視点を政策作成から実施に至るまでのあらゆる段階において常に考慮していくことが明確にうたわれたところでございます。今後は、新大綱の方針を中期政策、国別援助計画、その他の個別施策に具体的に反映させていくことが課題であると考えております。
    また、1995年に北京で開催されました第4回世界女性会議で発表されました「WIDイニシアティブ」は、我が国政府の開発途上国の女性支援に関する基本的な考え方と重点課題を初めて具体的に明らかにした文章でございまして、特に教育、健康及び経済・社会活動への参加の3分野を重点分野とする方針をうたっておりますが、3つの分野にとらわれず、あらゆる分野に男女共同参画を促進することを盛り込んだ内容に改正すること、WID担当官制度を活性化すること、国際機関への資金提供におけるWIDジェンダー分野の用途指定等、有効な実施監視体制を検討することが必要があるという指摘をしているところでございます。
    更に、「南南協力に対する支援」につきまして、途上国の専門家、研究機関、NGOの知見を活用して事業実施、調査研究、研修・人材交流等を一層推進する必要があることとしております。
    加えて、途上国におきます「ジェンダー統計の整備に対する支援」について、政府統計機関、国際機関、国内本部機構、実際の統計使用者等との連携をより強化して、これらに対する支援を行う必要があること等を指摘しております。
    最後にOECD/DACによる平成11年の審査報告書には、日本は男女平等を特に実現せずに発展してきた国である。日本の開発援助の中でこの分野の優先順位が低いのも、そこに起因しているのであろうという厳しい意見が述べられたところでございまして、このような国際的評価があったことに留意してOECD/DAC等への情報発信を行う必要があること等を指摘いたしております。
    続きまして、次ページの「形態別援助の内容の現状及び問題点」等と対応策について御説明をさせていただきます。
    「無償資金協力」につきましては、事前審査、計画決定及び事後評価において、男女共同参画の視点を取り入れた案件内容とするべきであること等を指摘いたしております。
    「技術協力」につきましては、女性が主たる対象者となるWID案件の数を更に増加させますとともに、男女共同参画の推進と関連しているにもかかわらず、対象とされていない案件について事例分析、評価研究等を行い、ジェンダーの平等案件の対象とすること等が重要であることといたしております。
    「有償資金協力」につきましては、インフラ案件において適切な調査機関の設定、専門家の配置等により事前調査を強化しますとともに、男女共同参画の視点から案件の内容及び審査観点の改善に努め、開発の効果をより確実かつ公平なものとすべきであること等を指摘いたしております。
    「多国間援助」につきましては、国際機関等への拠出金に関して事業の規模及び評価を踏まえて戦略的にその額を決定することが必要であり、特にUNDPの日本WID基金につきましてはこれまでの事業に対する評価が高いことから、統合されましたパートナーシップ基金においてWIDジェンダー案件に重点的に配分されるよう努める必要があることを指摘いたしております。
    最後に、次ページの「政府開発援助の推進体制の現状及び問題点」と対応策について御説明させていただきます。
    まず「援助実施機関内における推進体制」につきましては、政府開発援助におきます男女共同参画担当部署を明確化するとともに、当該部署が自主的に総合調整を行えるものとなるようにすること。在外公館及び在外事務所への権限の委譲等により、開発途上国のニーズにより近い援助の現場で男女共同参画推進機能の強化を図る体制を確立すること。政府開発援助におきます男女共同参画に関する理解及び能力の向上が図られるような研修の内容を充実させること等が重要であると指摘いたしております。
    また、「政府機関の間の連携及び調整」につきまして、外務省及び関係府省間の総合的な連携調整を強化すること。各府省及び援助実施機関が共通の基準を用いて援助実績を把握すること。被援助国のジェンダー統計を整備すること。外務省と内閣府男女共同参画局との連携を強化するとともに、男女共同参画会議苦情処理・監視専門調査会による監視を引き続き行うこと等が必要であるという指摘をいたしております。
    更に、「政府機関等と内外NGOとの連携及び調整」につきまして、外務省及び実施機関との協議会におきまして男女共同参画の重要性に関する理解の促進及び情報の共有化が、必ずしも十分に行われていないこと等を問題点として指摘しており、対応策といたしまして国別援助計画の策定、現地調査及びコンサルティング業務において、さまざまな主体がそれぞれの特性を踏まえて参画することが可能となるような仕組みを検討すること等が必要であるとしております。
    私からの説明は以上でございます。この調査検討結果を踏まえ、関係施策の一層の推進をお願い申し上げますとともに、報告の作成に当たりまして御協力をいただきました関係府省及び実施機関に心からこの席を借りて感謝を申し上げたいと存じます。ありがとうございました。
    内閣官房長官
    取りまとめ御苦労様でございました。ただいまの御報告に関連して外務副大臣からどうぞ。
    阿部議員代理
    外務副大臣の阿部でございます。本日は、川口外務大臣は体調不良のため、私が代わりに出てまいりました。よろしくお願いします。
    まず初めに今、古橋先生からお話がありましたように、苦情処理・監視専門調査会として御熱心に御討議いただきまして、専門的な視点から調査指導をまとめていただきましたことについて、大変ありがたく思っております。当然のことですが、男女共同参画の視点に立ったODAの推進というようなことがこれから非常に大事な視点だと思っておりますので、いただきました報告書をより子細に見ながらこれから進めていきたいと思っております。
    今日は幾つかの視点でもって触れてみたいと思いますが、まず今般の報告書の中でも御評価いただいておりますけれども、昨年改定いたしましたODA大綱におきまして、政策の立案から実施に至るあらゆる段階において配慮すべき重要事項ということでございます基本方針の中に、男女共同参画の視点は重要であるということを明確に盛り込んだということでございます。新たなODA大綱を着実に実施するためには、今般の報告書における御提言を含めまして、各方面の御意見と御提案を踏まえつつ、男女共同参画の視点に立ったODAの推進についてしっかり取り組んでまいりたいと思っています。
    例えばよく聞くのですが、ちょっと質が違うかもしれませんけれども、子どものために何かやってくれと男の親にお金を渡すと飲んでしまう。母親に渡せばちゃんと役に立った使い方をしてくれるというような話も、半分冗談な話かもしれませんけれども、よく聞く話でございますので、その辺も含めて注意してまいりたいと思っております。外務省として体制の上で指摘がございますWID担当官制度については正直申しまして少しおざなりになっていた点がございますので、もう一度活性化させたいということで在外公館に再確認いたしまして、いわば再配置という形で徹底させるようにしたところでございます。今後はこの担当官を先頭に活動いたしまして、ODA政策の立案実施に際しまして男女共同参画の視点を十分に反映させていくようにしたいと思っております。
    またもう一点申し上げますと、古橋先生の御指摘にもございましたように、ODAというのは外務省が一番多いのでございますが、他省庁も当然実施しておりますが、それの連携がうまくいっていないのではないか、特に他省庁の推進分についてはその辺はちゃんと承知しているのかという御指摘でございます。これにつきましては、先立って3月に開催いたしましたODAに関係する関係府省の連携のための会議の一つでございます技術協力連絡会議というものがございますが、ここにおきましては今回の報告書の内容を詳細に紹介するとともに、関係府省が一体となったODAの推進、その中で男女共同参画の視点に配慮するように提案したところでございますので、御報告申し上げておきたいと思います。今後もこのように今、持っているメカニズムを通じまして各府省一体になってやっていきたいと思っております。
    以上、簡単でございますけれども報告申し上げますが、ODA改革というのはいわば発展途上国対象でございますので、どちらかといいますと男女共同参画というような形から見るとなかなか遠い距離にある国が多いものでございますので、その辺も頭に入れながらでございますけれども、一歩でも前に進めるように働きかけをしていきたいと思っておりますので、どうかこれからも御指導方よろしくお願い申し上げたいと思っております。以上でございます。
    内閣官房長官
    それでは、本件につきまして議員の方からどうぞ。では、原先生どうぞ。
    原議員
    原でございます。ありがとうございます。今、外務副大臣から心強いお話をいただいてうれしく思っております。
    ただ、途上国の中にも日本よりもずっと男女共同参画が進んでいる国もございます。特にこの報告書の最後のところにございます「政府機関等と内外NGOとの連携及び調整」の部分でございますが、NGOなどによる援助活動の中でも、しっかりやっているNGOの場合、現地に密着したきめ細かい効果的な援助が可能で、迅速かつ柔軟な対応ができる場合がございます。ですから、ドイツにしてもノルウェーにしても国際社会においてはNGOは一般に非常に重要視されています。このため、日本の外務省におきましてもNGO・外務省定期協議会といったようなものが開かれておりますし、援助実施機関においてもそういうものが開かれておりまして、例えばNGO・JICA協議会とか、NGO・JBIC協議会など、その他、外務省はとてもいろいろNGOとの連携をなさっております。
    しかし、これらのほとんどの協議会におきまして男女共同参画の重要性に関する理解の促進及び情報の共有化が行われているとは言えない。これは何も官庁の方々のことだけではなくて、NGOの側の問題もございます。今後はこれらの協議会で、男女共同参画の重要性について議論が行われるようにお努めいただきたい。そして、関係省庁や援助実施機関、NGO、有識者等が一堂に集まる何かの機会(国際協力デーでも何でもいいんですけれども)が積極的に設けられていくこと、そしてこれを積み重ねていくことを御検討いただきたいと思います。ありがとうございました。
    阿部議員代理
    わかりました。NGOがODAに果たす役割というのは大変重要だし、非常に身近なことだと思いますので、そうした方々についてもいろいろ連絡しながら今、言ったようなことを、会議を1回やって終わりということではなくて、実際の場面で徹底していくように努力したいと思います。原先生、どうもありがとうございました。
    内閣官房長官
    山口議員、どうぞ。
    山口議員
    人間の安全保障、人間中心の視点というのは随分広く理解されるようになりました。やはり、それを一番具体化するのが政府開発援助でありまして、一体幾らの拠出金額にするのか、援助の在り方というのが一番問題になっているのではないかと思います。それで、ODAというのは社会基盤だとか民間の支援にわたりまして広く多様化してきました。そういう中で、ODAによる事業の評価というのもさまざまであり、いろいろなことを聞かされております。私も関係しております民間女性団体では、1993年に全く自主的に政府に先駆けてUNIFEMと申しますが、国連婦人開発基金日本国内委員会を立ち上げました。ジュリー・アンドリュースさんなども呼びまして、それで立ち上げたことがあるんですが、自ら資金づくりにも苦労しておりますけれども、同時に政府開発援助も毎年外務省から年々増やしていただいて、非常に途上国の女性たちの草の根の自立に効果が上がっているということで、私どもも勇気を持って今も取り組んでおります。
    こういう草の根の援助に関しましては、一定の評価を得ております。それで、ODA予算が年々縮小されて、特に削減されているんですが、これ以上削減されないように願っておりますけれども、草の根のような小さな額の事業でも高い評価があるんですから、ODA予算を含めて非常に国の財政が厳しいということを私どもは承知しておりますけれども、その中でこの援助額の決定に際しましては、やはりこの事業の規模だとか、その評価をきめ細かく考慮してこれからも取り組んでいく必要があるのではないかと思いますし、是非皆様方の御協力なしには進まないと思いますので、お願いいたします。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。男女共同参画会議といたしまして、今回の報告を踏まえ、資料1-2にございます男女共同参画の視点に立った政府開発援助の推進に関しまして、平成14年度までの実施状況を監視し、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、今後の取組みに向けての意見を述べることとしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    内閣官房長官
    ありがとうございました。関係各府省庁におかれては本意見に基づき、施策の充実に努めていただきたいと思います。
    続きまして、女性に対する暴力に関する専門調査会からの報告でございます。本専門調査会では、3月に「女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策」について報告を取りまとめていただいたところでございます。それでは、女性に対する暴力に関する専門調査会の島野会長から御報告をお願いいたします。
    島野会長
    女性に対する暴力に関する専門調査会会長の島野穹子でございます。私からは、この専門調査会において作成した「女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策」について御報告いたします。
    本報告書は、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等について調査審議を行った結果を取りまとめたものです。それでは、お手元の概要に沿って御説明いたします。資料2でございます。
    まず「1.性犯罪」では、強姦罪の法定刑を2年以上の懲役から3年以上に引き上げること、家庭内における児童に対する性的虐待について、刑法(強姦罪)や児童福祉法による加害者の厳正な処罰と被害者の保護を強化するとともに、こうした事案の顕在化を促すこと、盗撮について、女性の性的尊厳やプライバシー保護の観点を考慮しつつ、加害者を厳正に処罰するための法整備を行うこと、最近、女性を略取したり監禁したりする事件が多発しているため、性犯罪の観点から加害者をより厳正に処罰することなどを提言しました。
    次に、「2.売買春・児童買春・人身取引(トラフィッキング)」では、売買春対策として厳正な取締りと被害者の保護及び自立支援の強化、児童買春対策として加害者の厳正な取締り、児童による売春や出会い系サイトの利用を防止するための指導啓発、国境を超えて途上国から人を連れてくるような人身取引、いわゆるトラフィッキング対策として、加害者の処罰の強化、被害者の保護、人身取引議定書の早期締結などを提言しました。
    「3.セクシュアル・ハラスメント」では、セクシュアル・ハラスメントは継続的な人間関係において優位な力関係を背景に相手の意思に反して行われる性的な言動であります。これには直接身体に触れるなどの「対価型」のものも、職場の環境を悪くする「環境型」のものも含まれるとした上で、これが組織運営上の重要な課題であることの啓発活動の推進、精神的ケア等の被害者の救済、懲戒処分を含む加害者への厳正な対応、企業への是正指導等を通じた男女雇用機会均等法上の事業主の配慮義務の徹底、学生や保護者等を含めた防止対策の徹底、大学内の相談体制の整備、教育関係者への服務規律の徹底、被害者からの相談や苦情に適切に対処できる体制の整備などを提言しました。
    「4.ストーカー行為等」では、ストーカーに当たる行為、警察の取締りや対応についての広報及び被害者に対するわかりやすい説明、警察の迅速な対応や関係者間の緊密な連携、配偶者暴力防止法の対象にならない被害者の親族、友人や支援者等の効果的な保護などを提言しました。
    まとめといたしまして、女性に対する暴力の克服を行政のみならず国民一人ひとりが全力で取り組まねばならない最優先課題の一つと位置付けて提言を締めくくりました。
    私からは以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告に関連して国家公安委員長から御発言があるようでございます。
    小野議員
    女性に対する暴力の根絶に向けた警察の取組みについて御報告申し上げます。
    ただいま御報告をいただきましてありがとうございました。警察におきましても、女性に対する暴力の根絶に向けた取組みを進めているところでございます。ストーカー対策等に関しましては、昨年はストーカー規制法に基づきまして1,169件の警告を行いまして、192件を検挙いたしております。平成12年の法制定後に毎年増加しているという現状でございます。また、昨年9月にいわゆる「出会い系サイト規制法」が施行されまして、これに基づいた検挙等の取組みを進めております。
    体制の面では、警察には約1万名の女性警察官がおりますけれども、そのうち約4,000名の女性警察官が性犯罪捜査員として指定をされておりまして、被害女性への事情聴取等に当たっております。また、女性警察職員を配置いたしました相談窓口の設置あるいは警察施設外の相談スペースの借上げなど、被害者が相談しやすい環境整備に努めているところでございます。
    警察といたしましても、今回の御提言の趣旨を踏まえまして、女性に対する暴力の根絶に向け、一層取組みを強化してまいりたいと思っております。ありがとうございました。
    内閣官房長官
    次に、法務大臣からも御発言があるようでございます。
    野沢議員
    ただいま、女性に対する暴力に関する専門調査会から、取り組むべき課題とその対策について御報告がありました。女性に対する暴力は、男女共同参画社会を実現していく上で克服しなければならない最も基本的な課題の一つであり、法務省におきましてもその撲滅に向けてさまざまな取組みを行っております。以下、御報告に関連して幾つかの取組みを紹介させていただきます。
    まず、性犯罪の法定刑の引上げにつきましては、国民の規範意識の変化や昨年12月、犯罪対策閣僚会議で策定された「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」において、凶悪犯罪等に関する罰則を整備すべきであるとの方針が示されたこと等を踏まえ、強制わいせつ罪、強姦罪及び強姦致死傷罪の法定刑の引上げ等に関し、既に本年2月10日、法制審議会に対し、他の凶悪・重大犯罪に関するものとともに、諮問を行ったところであり、今後法制審議会の審議及び答申を踏まえ、必要な法整備を図ってまいりたいと考えております。この答申は、本年9月ごろ予定をいたしております。
    また、人身取引に関する取組みにつきましても、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」において取り上げられたところであり、人身取引の処罰を確実なものとするための法整備を早期に図るべく検討を行っております。
    さらに、本日の御報告のその他の御提言につきましても、その趣旨を踏まえつつ、男女共同参画推進のための取組みを一層進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
    内閣官房長官
    それでは議員の方からで、住田議員どうぞ。
    住田議員
    先ほどの報告書でもございましたような近時、女性を略取、誘拐、監禁した事件というものが頻発しておりまして、この被害者というのは体だけではなく心も大きな傷を負っております。これらの犯罪につきましても、性犯罪の視点から厳正な処罰をお願いしますとともに、是非、刑法改正審議の中でもこの視点を取り入れていただきたいと考えております。以上です。
    内閣官房長官
    林議員、どうぞ。
    林議員
    私は、セクシュアル・ハラスメントの定義に関わって発言をさせていただきたいと思います。
    セクシュアル・ハラスメントは先ほどの御報告の中では、雇用関係にある者の間だけではなく、広く社会全体の中で起こり得るものだということが示されており、とりわけ教育現場のことなどは強調されておりましたが、例えばセクシュアル・ハラスメントは住民同士の間でも起こり得るし、示されていますように大学、高校あるいは専門学校といった教育の場でも起こり得るわけでありまして、これは指導をする者とされる者との関係や、学生間等でも行われることでございます。また、ポスター等、一見だれに対するということはわかりにくいようなものでも環境型のセクシュアル・ハラスメントというふうに受け止められるものもあると思っております。
    したがいまして、これらのことは表現の自由に配慮する必要もあると思いますけれども、特にここで定義が示されていましたが、そこに継続的な人間関係と優位な力関係ということが書かれていますけれども、とりわけ継続的な人間関係ということにあまりに限定し過ぎるとセクシュアル・ハラスメントとして認めるものを除外するものがかなり出てくるのではないかという懸念もございます。したがって、これらの定義についてはできるだけ弾力的に解釈していくということも必要なことではないかと私は思っております。以上です。
    内閣官房長官
    島野会長には御苦労様でございました。この報告をもちまして、「女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策」についての専門調査会の調査は終了いたしましたけれども、今後も女性に対する暴力についての検討を進めていただきたいと思っております。
    それでは、次の議題の「『ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行』についての論点整理」について、影響調査専門調査会の大澤会長より御報告をお願いいたします。どうぞ。
    大澤会長
    大澤でございます。「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」について、専門調査会で行ってきた議論の論点整理を行いましたので御報告申し上げます。色の付いた1枚紙のポイントもごらんいただければと思います。
    まず「現状と課題」についてです。サービス産業化、知識集約産業化が女性の活躍を促し、合わせて女性の社会進出が進んで共稼ぎ世帯が増加し、就業形態も多様化しています。この中で、従来の世帯単位を基本とした社会制度・慣行は機能せず、かえって女性の就業の選択に関する中立性を阻害していると指摘しております。
    進学に関連して、資料-10ページをごらんいただければと思います。ポイントは、日本ではOECDの諸外国に比べても15歳時点での国語以外の男女の学力差は非常に小さいということが図に示されております。このことは、日本の義務教育の機会均等のパフォーマンスのよさを示すとも言えましょう。
    しかし、4年制大学及び大学院への進学率については、御承知のように女性は男性をかなり下回り、大学進学における学部選択でも男女の偏りがあります。特に工学系専攻卒業者に占める女性の割合はOECD加盟国の中でも低くなっています。
    内閣官房長官
    すみませんが、資料はどこでしょう。
    大澤会長
    資料-10というページでございます。最初が本文で、途中にピンクの挟みがあって、その後が資料のページになっております。日本の義務教育のパフォーマンスのよさを示している図でございますので、御注目いただければと思いますが、問題は中等高等教育にあるということでございます。
    それから、「現状と課題」の総論的なことといたしまして、女性の多くが仕事を続けることを希望しながら、実際には妊娠・出産時に退職する女性が多いということも指摘しております。
    次に、ポイントの方の下段に移りますけれども、今後の「政策の方向性」でございます。総論として3点ほど提言しております。
    第1に、就業に関する中立性の観点からは、男性雇用者の片稼ぎを前提とした世帯単位の制度から個人単位の制度あるいは制度運用を行う必要があること。
    第2に、労働法制や社会保障制度については多様な就業形態の選択、移動に中立的な制度とし、特に社会保障制度については現状では職域ごとに異なる給付・負担について中立性を確保していく必要があること。
    第3に、総論の「現状と課題」とも関連いたしますが、女性の理工系進学を促すことや社会人教育の充実等、個人の能力を伸ばす教育、能力開発が必要であること。
    各論にまいりますと、まず雇用について、「現状と課題」として男女雇用機会均等法等、積極的に男女共同参画社会の形成の促進策がとられていても、継続就業の希望がかなわず、結婚出産退職する女性が多いこと、男女間賃金格差が大きいこと、育児後の再就職先はパートしかないことが多く、処遇も低いことなどを指摘しています。
    そこで、多様な就業形態を選択し、働きに応じた処遇を実現する提言として、短時間正社員制度の普及、同一労働同一賃金の実施、パートタイム労働法のルールの検討等を挙げております。また、賃金格差解消や配偶者手当の廃止等、諸手当の見直し、両立支援策の充実を掲げております。
    次の各論、自営でございますけれども、女性起業家、在宅ワーク、NPO等及び最近増加しつつある雇用と自営の中間的な形態の就業者に分けて検討を行っています。
    主な提言は4つでございまして、第1の起業については創業塾等の相談窓口を充実し、起業後の成長段階もフォローして協力ネットワークを構築すること。投資、融資機関での女性の登用を進め、女性起業家が構築するビジネスモデルへの理解を進めることを掲げています。
    提言の2番目では、在宅ワークについて、不利な契約や健康面での悪影響が懸念されることから、厚生労働省が定めたガイドラインを周知徹底し、法的な整備も検討すべきとしております。また、能力開発やデータベース等による仕事の情報整備が重要としております。
    提言の3番目で、NPO等につきまして、有給の雇用者とボランティアが混在し、考え方にも相違がある中で、雇用者には労働法制を遵守すること、またNPO等による雇用創出が重要と指摘しています。
    提言の4番目では、雇用と自営の中間的な形態の就業者について、就業に関するガイドラインの制定や、実態が雇用であれば当局が指導を行うべきと述べております。 各論の3番目としまして公務員、主として国家公務員について述べております。民間に比べて就業形態の多様化が遅れていることから、短時間勤務、フレックスタイムの一般公務員への導入、採用試験の受験年齢制限を廃止すること、配偶者手当の廃止等、諸手当の見直し、育児のための部分休業取得者の代替要員の確保等、両立支援策の充実を掲げております。
    この論点整理につきましては、現在国民への意見募集を行っております。本日、御議論いただいた結果も踏まえて、本年6月ごろに報告書にまとめ、次回の参画会議に報告させていただきたいと考えております。以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。議員から御意見がございます。神田議員、どうぞ。
    神田議員
    今、論点整理で指摘されましたとおり、実は男女で学力の差がないのでございます。これは国立教育政策研究所の調査でございます。
    ところが、女性の4年制大学、それから大学院への進学がこのところ増加しておりますけれども、男性をかなり下回っております。大学院では男性13.2%に対しまして、女性は6.4%という状況でございます。また、OECDの調査ですが、我が国の4年制大学以上の高等教育卒業者に占める女性の割合はOECD諸国中、最も低いということでございます。とりわけ理工系専攻者に占める女性の割合は大変低い傾向が見られるようです。
    また、学歴が高いほど、実は再就職している人の割合が低いという逆の相関関係がございまして、高学歴女性ほど再就職が難しいという指摘がなされております。日本は女性の能力を十分に活用していないということになるのではないかと思います。
    女子学生の進学の啓発、それから女性の再就業のための能力開発、その他の支援を積極的に各省庁にお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
    内閣官房長官
    どうもありがとうございました。
    原田議員代理
    数字を踏まえて女性の特に学歴、進学等についてお話があったと思うのでございますけれども、そのこと自体はそういうことだろうと思いますので、しっかり改善していかなければいけないと思います。
    ただ、少なくとも大学進学の中で日本の場合、例えば短大、専門学校、専修学校等、やはり日本独自の従来の高等教育が存在したことも事実でございまして、短大と4大を合わせれば女性も男性も47、48%の進学率という意味では、男女差は決してないとは言いませんけれども、そういうような実態が今まであったということで、諸外国との間で、先ほど申し上げましたように日本の独自性ということもあったかと思います。
    いずれにしましても、職業も含めてどうあるべきかという、ラインに無理やり押し込んでいくというよりも、今の情勢の中でそれぞれの個性をしっかり伸ばす。それを求めるときにそれをバックアップするしっかりとしたインフラ制度があるということが大事だろうと思いまして、ここで御指摘いただきましたことを踏まえてこれからの高等教育に是非活かしていきたいと思っております。
    内閣官房長官
    大澤会長には「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての論点整理をまとめていただきました。影響調査専門調査会におかれては、本日の意見も踏まえまして最終報告を取りまとめていただきたいと思っております。
    それでは、次に「男女共同参画と少子化問題について」を、基本問題専門調査会の岩男会長より御説明をお願いいたします。どうぞ。 ○岩男議員 前回の男女共同参画会議において、少子化への対応と男女共同参画は密接な関係があるとの議論がされたことを受けて、基本問題専門調査会で議論を行った、その概要について御報告をいたします。
    資料4-1の1ページ目をごらんください。まず1で総論として議論の方向性をまとめております。最初に、少子化問題を解決する上で男女共同参画の視点が必要不可欠であるとした上で、仕事と子育ての両立支援に関する施策を充実させることで女性の労働力率が高まるとともに、出生率を回復することにつながるものと期待できる。すなわち、働きながら安心して子育てができるような環境づくりを進めることは、少子化への対応策として大きな意義があると指摘しております。
    また、2では各論として基本問題専門調査会で出された個々の意見を整理して紹介しております。
    (1)の「全般的事項」として、女性が働くと少子化が進むという誤った認識がございますけれども、働く女性の方が実際に生む子どもの数も、それから理想の子どもの数も多いというデータがございます。また、OECD各国のデータでは、女性の労働力率が高い国は出生率も高く、その要因として仕事と子育ての両立支援が挙げられております。
    なお、国内の県別データでも同様の相関関係が得られております。
    次に、(2)の「就業環境の整備」として、だれでも育児休業を柔軟な形で取得できるようにするという点を挙げ、またこのほかにも(3)(4)で生活環境の整備、子育ての経済的負担の軽減等の議論もしております。
    ほかに参考資料を2つお付けしておりますけれども、後ほどごらんいただければと思います。私からは以上でございます。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。時間が大分過ぎてしまいましたので、文部科学副大臣、厚生労働副大臣から少し短縮してよろしくお願いします。
    原田議員代理
    今、少子化問題から教育の側には数が少なくなってきますと、子どもの生きる力が昔と大分変わってまいりました。そういう意味で、学校、家庭はもちろんでありますが、地域社会と合わせて、数が少なくなっている子どもたちに生きる力を付けさせようと、今年度の一番新しい政策といたしまして、居場所づくり新プランというものを今回打ち出したところであります。これは学校が終わっても公民館とか、そういうところで地域の大人の力を結集して、心身ともにたくましい次世代を担う子供たちを社会全体で育む環境の整備に努め、これに対して年間70億円の予算を用意して、それぞれコミュニティ活動を力づけようということでございます。
    以上、いろいろな角度から少子化に対応しているというところでございます。
    内閣官房長官
    では、厚生労働副大臣お願いします。
    谷畑議員代理
    副大臣の谷畑です。今、岩男先生の方からも指摘されましたように、男女共同社会で共に働いている配偶者の方が出生率が非常に高い。これは非常に意外な感じがしますけれども、平成15年の厚生労働白書にもはっきりとそれが表れております。そういうことから申し上げましても、やはり仕事と家庭の両立を支援をしていくということが少子化対策で非常に大事だということでございます。
    そういうことで、厚生労働省といたしましても次世代育成支援の関連3法案ということで児童手当法、児童福祉法、育児・介護休業法等の改正案ということで、今国会に出しているところであります。これからは、是非ひとつ女性だけでもなくて男性の方も育児休暇を取っていただくようなこともしているところでございます。
    また、企業も、それぞれの役所におきましても、仕事と家庭の両立支援ということで自らの行動計画を検討することになっておりますので、厚生労働省としましても両立支援をしていけるような行動計画を今、策定をしておりまして、是非モデル的な立派なものをつくっていかなければならないと思っておりますのでよろしくお願いします。また、各省庁の皆さんにもよろしく御支援のほどをお願い申し上げまして報告に代えさせていただきます。ありがとうございました。
    内閣官房長官
    議員の方から御発言ございますか。
    では、古橋議員どうぞ。
    古橋議員
    活力ある福祉社会の建設のためには、女性の就業が必要です。しかし、仮に就業化を進めるとそれに伴って出生率が低下する可能性もあるところでございまして、それをできる限り避けていかければなりません。仕事と子育ての両立支援というのは、それによってM字カーブを直していくとか、それによって個人能力の発揮であるとか、実質的な男女平等というものを実現することができることのほかに、具体的な少子化対策にもなるという点を認識する必要があります。この点は岩男会長が強調されたとおりでございます。
    OECD各国におきましても、過去において1970年から1980年の前半におきまして労働力率と合計特殊出生率がマイナスの相関、いわゆる労働力率が上がっていくと出生率が下がっていくということがあったのでありますけれども、現在は先ほど岩男会長が言われましたように、女性の労働力率の高い国は合計特殊出生率も高い傾向にあるように変化してきたわけでございます。そういう歴史的な事実がございます。
    それはなぜかと言えば、これらの北欧諸国におきまして両立支援策を充実したということによって、女性の社会的進出を進めながら少子化問題を解決したということであったと思うのでございます。この少子化対策につきましては、少子化社会対策会議等においていろいろ御検討のようでございますけれども、少子化問題と男女共同参画社会の実現ということは非常に密接な関係を持っているということと、この2つの問題というのは非常に裾野が広い対策であるということに留意する必要があります。したがって、これから検討されます少子化社会対策大綱におきまして、変化に対応した総合性を確保すること、効率性を確保すること、それと同時に政治と行政に対する国民の信頼性を確保するという見地から、総理が言われておりますように、目に見える形で実効性のある対策を取りまとめていただきたいということを特にお願いをいたしたいと存じます。ありがとうございました。
    内閣官房長官
    ほかにございますか。
    では、福原議員どうぞ。
    福原議員
    ただいまの平成13年度に閣議決定されました仕事と子育ての両立支援策についての初めての参画会議の意見決定でございまして、少子化問題解決のためには大変役に立つと私たちは考えております。
    具体的なことをお話しした方かわかりやすいと思いますので、私たちの会社の状態を申し上げますと、私どもの社員1万5,000人のうち7割が女性であります。それで、早くから仕事と子育ての両立支援策を講じるということをやってまいりました。例えば、フレックスタイム義務制度を1988年に始めています。これで従業員の方からは、子どもと朝一緒に食事ができるというような喜ばしい声が挙がってきました。
    それから、育児休業制度を1990年からやっていますが、子どもが満3歳になるまで本人が希望する期間、取得できます。2回以上休業する場合は、通算で5年取得できます。今、360人がこの適用を受けております。
    それから育児時間でございますが、子どもが小学校に入学する日まで、従業員の希望によって1日2時間まで取得できる。今グループ内で350人取得しております。 それから、ウイウイというインターネットプログラムがありまして、育児休業中の方々に社内情報あるいは育児のノウハウ、それから職場復帰のためのスキルを自宅で習得していただくというシステムをやっております。これは実は他の会社でも利用していただいていますので、現在57社が使っておられます。
    最後にカンガルーム汐留と、汐留に移りましたので、ここに育児と仕事の両立を目指すというようなことを考える男女従業員を応援する事業所内保育施設を昨年9月から開設しております。常設の責任者、看護師、インターネットカメラの配置等によりまして、安心・安全に配慮しておりまして、同時に近隣の日本IBM、電通、ニチレイ、こういった社員の方々にも利用していただいております。
    以上のような結果、私どもの株式会社資生堂の女性の勤続年数は2004年4月現在18.5年に伸びております。男性は20.8年ですから、ほとんど差がないというところまでまいりました。
    小泉内閣総理大臣
    過去は何年なんですか。
    福原議員
    ここのところ、急にそこに上がってきました。過去は、例えば本社の場合ですと98年男性19.6年、女性13.9年、2004年は男性21.2年、女性14.5年へと伸長して来ています。2004年4月現在、グループ全体では女性が14.0年、男性が23.0年ですが、これは間もなくかなり変わってくると思います。
    内閣官房長官
    どうもいろいろ御意見等を伺いましてありがとうございました。
    前回の第13回男女共同参画会議の際に、岩男議員から御依頼のございました少子化社会対策大綱の検討状況について事務局から簡単に御報告を申し上げます。
    事務局
    資料4-2に書いてございます。少子化社会対策大綱検討会はこれまで2回開催されておりまして、大綱策定に向けた議論を行っており、本日18時10分から第3回の検討会が開催されることとなっております。以上でございます。
    内閣官房長官
    それでは次に女性のチャレンジ支援関係でございますけれども、これは資料がございますので後ほどお読みいただきたいと思います。内閣府では、平成16年度におきまして地域におけるチャレンジネットワークの構築の推進や活躍する女性等を顕彰する女性のチャレンジ賞の表彰を実施することといたしております。関係各府省におかれましても、今後とも女性のチャレンジ支援関連施策の推進に努めていただきたいと思います。
    続きまして、平成16年度農林水産省男女共同参画推進本部活動計画について、農林水産大臣から御報告を願います。
    亀井議員
    それでは、資料6に「平成16年度農林水産省男女共同参画推進本部活動計画」がございます。女性は農業就業人口の約6割を占めるなど、農林水産業や地域社会の重要な担い手でありました。そういう中で、お手元の資料6の16年度におきましては4つの柱を推進本部活動の計画としております。
    第1に、農山漁村における男女共同参画社会の推進を図っていくわけでありますが、特に今年度は女性認定農業者の倍増キャンペーンを進めております。認定農業者とは、自ら経営を計画的に改善しようとする農業者を市町村が認定しているものでありまして、今後こうした農業者を重点的に支援し、農業構造改革を加速化してまいります。昨年6月に女性農業者もパートナーとともに認定農業者になることができるような制度にしたわけでありまして、現在3,000人の方がおられます。これを6,000人に倍増しようということが当面の目標であります。
    第2に、男女共同参画に関する情報提供体制の充実でありまして、施策制度に関しまして農山漁村女性から意見を直接受ける提案窓口の設置でございます。県、市町村や普及センターなど、女性に接する現場担当者に対しまして、直接メールによる情報提供を行う草の根運動を展開することにいたしておりまして、提案窓口につきましては一昨日開設したばかりでありますが、今後さまざまな提案が寄せられると期待をしております。
    なお、第3、第4につきましては昨年に引き続き、農林水産省の職員に対する意識啓発や、全国7か所の地方農政局の男女共同参画推進本部におきまして取組みを推進してまいりたいと考えております。以上であります。
    内閣官房長官
    ありがとうございました。それでは、総理大臣からごあいさつをお願いいたします。

    (報道陣入室)

    小泉内閣総理大臣
    資生堂のフレックスタイムは何時から何時までですか。
    福原議員
    標準勤務パターンとなる始業の標準時間帯は8時30分からですが、始業時刻については、8時から10時までの始業時間帯のなかで従業員が自主的に決定できることになっています。
    小泉内閣総理大臣
    終わりは。
    福原議員
    標準勤務パターンとなる終業の標準時間帯は17時15分ですが、10時から14時45分までを必ず勤務しなければならない「コアタイム」として設定しており、この14時45分から18時45分までの終業時間帯のなかで従業員が自主的に決定できることになっています。
    フレックスタイムを利用するような方はどちらかというと朝8時ではなくて10時から来るという方を選択する方の方が多いことはもちろんです。それで、10時から来るということになると子どもさんと一緒に食事をして出られるということもあるわけです。
    小泉内閣総理大臣
    そうすると、7時までいなきゃいけないのですか。
    福原議員
    それは、トータル時間を自主的に決めればいいわけですから必ずしもその必要はありません。
    小泉内閣総理大臣
    この会議での御提言も受け、政府は女性の消防士が現場で活躍できるよう制度運用を改善し、農山漁村における女性の経営参画を促すなど、「女性のチャレンジ支援策」を積極的に進めてまいりました。
    しかし、2020年までに、女性が、社会のあらゆる分野において、指導的地位の30%を占めるという目標を実現するためには、未だ十分でない分野も多くあります。我が国の高等教育卒業者に占める女性の割合は、先ほど言いましたようにOECD24か国中最も低い状況にあり、より多くの女子学生、生徒がチャレンジするようになることが期待されます。
    また、少子化対策など、関連する施策との両立を図り、世代や性別を超えて広く国民の理解を得ながら男女共同参画を推進する必要があります。仕事と子育ての両立支援を通じて、女性の社会進出を進めつつ、少子化問題を解決したという北欧諸国の経験なども大いに学ぶべきものと考えます。
    今後とも政府が進める女性のチャレンジ支援について、皆様の一層の御協力をお願いいたします。ありがとうございました。

    (報道陣退室)

    内閣官房長官
    どうもありがとうございました。以上で本日の議題は終了でございますが、既に皆様に御確認いただいております前回の会議議事録と本日の会議資料は従前どおり公開といたします。本日の議事要旨も後日、公表します。
    なお、議事要旨が公表されるまでの間は、自らの発言を除き、対外的な公表は慎重にお願いいたします。
    それでは、御苦労様でございました。これをもちまして本日は終了いたします。

    (以上)