男女共同参画会議(第12回)議事録

  1. 開催日時:平成15年9月10日(水)14:45~15:30
  2. 場所:官総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    福田 康夫 内閣官房長官
    議員
    片山 虎之助 総務大臣
    森山 眞弓 法務大臣
    川口 順子 外務大臣 (代理 茂木 敏充 外務副大臣)
    塩川 正十郎 財務大臣 (代理 小林 興起 財務副大臣)
    遠山 敦子 文部科学大臣(代理 河村 建夫 文部科学副大臣)
    坂口 力 厚生労働大臣
    亀井 善之 農林水産大臣 (代理 北村 直人 農林水産副大臣)
    平沼 赳夫 経済産業大臣 (代理 高市 早苗 経済産業副大臣)
    扇 千景 国土交通大臣
    鈴木 俊一 環境大臣 (代理 弘友 和夫 環境副大臣)
    石破 茂 防衛庁長官 (代理 赤城 徳彦 防衛庁副長官)
    谷垣 禎一 国家公安委員会委員長
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶応義塾大学名誉教授
    内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社常務執行役員
    神田 道子 東洋大学長
    住田 裕子 弁護士
    橘木 俊詔 京都大学教授
    林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    平山 征夫 新潟県知事
    福原 義春 株式会社資生堂名誉会長
    古橋 源六郎 財団法人ソルト・サイエンス研究財団理事長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)平成16年度予算概算要求について
    • (2)女子差別撤廃条約実施状況第4回・5回報告に対する最終コメントについて
    • (3)女性国家公務員の採用・登用等の促進について
  3. 閉会

(配布資料)

資料1-1
平成16年度厚生労働省男女共同参画関係予算主な事項の概要 [PDF形式:17.6KB] 別ウインドウで開きます
資料1-2
平成15年度税制改正に関連した「少子化対策の施策」の概要 [PDF形式:415KB] 別ウインドウで開きます
資料2
平成16年度男女共同参画関連施策予算(概算要求) [PDF形式:144KB] 別ウインドウで開きます
資料3
平成16年度文部科学省男女共同参画推進関係予算における主要施策 [PDF形式:154KB] 別ウインドウで開きます
資料4
平成16年度農山漁村男女共同参画関係予算概算要求の概要 [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます
資料5
平成16年度経済産業省男女共同参画推進関係施策の概要(概算要求) [PDF形式:152KB] 別ウインドウで開きます
資料6
平成16年度男女共同参画推進関係予算概算要求(内閣府) [PDF形式:13.7KB] 別ウインドウで開きます
資料7
我が国の女子差別撤廃条約実施状況報告に対する最終コメントについて [PDF形式:336KB] 別ウインドウで開きます
資料8
内閣府本府「女性職員の採用・登用拡大計画」の改正について [PDF形式:529KB] 別ウインドウで開きます
資料9
女性の政策・方針決定参画状況調べ
資料10
地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況について
資料11
男女共同参画会議(第11回)議事録(案)

議事内容

内閣官房長官
ただいまから、第12回男女共同参画会議を開催いたします。本日は、総理は後ほど御出席の予定で す。
 議事に入る前に、新任の議員でございます内永ゆか子日本アイ・ビー・エム株式会社常務執行役員から、一言ごあいさ つをお願いいたします。
内永議員
ただいま御紹介にあずかりました、日本アイ・ビー・エムの内永でございます。
 樋口議員の後任ということで、任命いただいたのですが、ちょっとスケジュールが合わなくて、今回初めて参加させてい ただきます。よろしくお願いいたします。
 私は、アイ・ビー・エムの中で本業の仕事はあるのですが、それに加えてウィメンズ・カウンシルという、企業の中で女性 が活躍できるようにということを'98年からやっていまして、お陰様で何とか女性の役員候補というのは増えてまいりまし た。私、日本の社会は、女性が活躍できるということでとても元気になると思いますので、微力ながら頑張らせていただき たいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
内閣官房長官
ありがとうございました。それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきます。
 初めに、平成16年度予算概算要求についてでございます。本件は、前回の会議での議論を踏まえまして、各府省の概 算要求について御報告をいただくことになっております。各府省からの説明の後に質疑を行います。
 それでは、坂口議員からお願いいたします。
坂口議員
では、トップバッターでやらせていただきますが、お手元の資料は、男女共同参画基本計画に沿って、16年 度の新規に要求する施策などを中心に整理したものでございます。
 主なものとして御説明申し上げますと、まず第1の柱であります雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対 策としまして、男女間の賃金格差解消に向けた支援等を行いますとともに、8月25日に告示いたしました、改正パートタイ ム労働指針に基づきまして、パートタイム労働者と正社員の均衡処遇の推進等に取り組んでまいりたいと思っておりま す。
 第2の柱であります男女の仕事と家庭生活の両立支援策としまして、次世代育成支援対策推進法の制定等を踏まえま して、地域社会全体で子育てを支援していく仕組みづくりを進めるほか、保育所の待機児童ゼロ作戦をはじめとする多様 な保育サービスや母子家庭等の自立支援対策を推進してまいりたいと思っております。
 育児休業制度につきましては、女性80%、男性10%という目標を掲げておりまして、これに集中的な取り組みを行って いきたいと考えているところでございます。
 平成15年度税制改正に関連しましては、昨年末の与党合意に基づきまして、平成16年度は総額2,500億円の枠内 で、児童手当支給対象年齢等の見直しを柱としました少子化対策の施策を行うところでございます。
 児童手当支給対象年齢等の見直しを行いますほか、その他、少子化対策としまして、地域における子育て支援事業、児 童虐待防止対策、不妊治療の経済的支援、新たな小児慢性特定疾患対策の確立、こうしたことを概算要求しているところ でございます。
 以上です。
内閣官房長官
次に、外務副大臣。
茂木議員代理
それでは、外務省の男女共同参画関連の平成16年度の予算概算要求につきまして御説明をいたしま す。
 お手元の資料2、1ページ目に表が出ている3ページものを御覧ください。
 外務省が、男女共同参画関連施策予算として概算要求しているものは、大きく分けまして、1ページ目にもありますよう に、I として国際機関を通じた支援、II としてJICAによる途上国の女性支援、III として草の根無償資金協力、一般無償資 金協力等による男女共同参画、いわゆるジェンダー関連支援の拡充の3つがあります。
 まず最初にI の国際機関を通じた支援には、国連開発計画パートナーシップ基金、それからアジア工科大学院WID講 座支援、国連婦人開発基金拠出金、女性に対する暴力撤廃のための国連婦人開発基金信託基金拠出金の4つがござ います。各支援の概要につきましては、2ページ目を御覧いただきたいと思います。
 8,688万5千円、アジア工科大学院WID講座支援は488万円から来年度は472万円、国連婦人開発基金拠出金は 9,935万7千円から9,609万9千円と、いずれも邦貨では3.3%減となっておりますが、外貨建てで見ますと、全て前 年度と同額となっております。
 他方、女性に対する暴力撤廃のための国連婦人開発基金信託基金拠出金につきましては、事務局に対しまして、同拠 出金の資金管理状況の改善を促す意味からも、我が国として必要な削減を行い、2,810万9千円から2,175万円と 22.6%の減としております。
 次にII のJICAによります途上国の女性支援と、IIIの無償資金協力等によるジェンダー関連支援の拡充についてであり ますが、資料の3枚目に移ります。
 JICAの関連でのジェンダー・WID懇談会の開催、技術協力分野ではジェンダー関連研修員の受入れ、専門家派遣な どの実績を3ページ目に示してございます。
 また、無償資金協力の分野では、平成14年度実績でジェンダー関連案件が、一般無償で64件、これが全体の41% を占めます。また、草の根無償では358件、全体の25%に達しております。
 外務省といたしましては、新たに閣議決定されたODA大綱の基本方針を踏まえて、JICAによる技術協力、無償資金協 力等の実施に際しては、WID/ジェンダーの視点に配慮しつつ、今後もジェンダー関連案件を積極的に実施していく所存 でございます。
 以上です。
内閣官房長官
次に、文部科学省、お願いします。
河村議員代理
それでは、文部科学省から御説明申し上げます。
 資料3でございますが、男女共同参画基本計画の中でも、「男女共同参画社会を推進し多様な選択を可能にする教育・ 学習の充実」が、特に強調されておりまして、文部科学省の役割は非常に大きいという認識の下に施策を実施しておりま す。
 特に学校教育、それから社会教育全般を通じて、関係施策を推進する必要があると考えております。
 具体的には、まず一つは、社会全体で子育てを支援していく、どうしても子育てというものが母親に偏り過ぎているという 面がございます、これを男女共同参画の基本でございます男女が共に子育ての責任を果たすと、そこへ戻していくという ことが大事でございますし、そういう形で、具体的にはこの資料にもございますが、新しい幼児教育の在り方を更に考えて いこうということで、特に構造改革特区でも幼保一元化の問題等がございまして、そういう総合施設を検討する等々、新し い取組についても検討していくこととしています。
 それから、幼稚園においても、預かり保育を今、進めておりますが、それを更に拡充していくことが必要であります。
 また、最近の人たちを取り巻くいろいろな難しい問題、どのように取り組めば良いかという指針と言いますか、新家庭教 育手帳をつくって、それを各家庭に配布する、あるいは企業に対しても家庭教育の理解、また家庭教育支援の取組を促 進するということが必要だろうということを考えて、この手帳をつくっているわけでございます。
 第2点としては、女性が生涯にわたって学習機会を充実していく必要があるということで、特に女性のキャリア形成支援 プラン、これは新規事業でございます。
 あるいは、最近はいわゆるフリーター現象がございますが、そういうことに対する勤労観等々、女性においてもこういう 意識を持ってもらうということで、そうした新キャリア教育プランの事業というものも考えております。
 更に女性を取り巻く健康、人権等の問題への支援という形でございまして、特に昨今問題になっております、性教育の実 践調査研究、これを新規に取り組もうということでございますし、また青少年を取り巻く有害環境対策も進める必要がある ということで、計画を出しております。
 その他といたしまして、特にお母さん方が安心して活動できる、社会活動、ボランティア活動、そのために地域の大人の 教育力を結集する意味で、学校の空き教室等を利用して、子どもたちに放課後や週末におけるスポーツ、文化活動、こう いうものの体験活動とか、地域住民との触れ合いを増やすということを緊急計画的にやろうということで、子どもたちの居 場所、活動拠点を整備しようということで、125億の予算を要求いたしております。これは新しい事業としてそういうことも 考えておるような次第でございます。
 以上が、主たる文部科学省の施策でございます。
内閣官房長官
次に農林水産省、お願いします。
北村議員代理
皆さんのお手元の資料4、4枚つづりのものを御覧になっていただきたいと思いますが、農林水産省は 農林水産業並びに農山漁村の維持発展を図る上で、女性がその意欲と能力を十分発揮し、活躍できることが大変重要で あると考えております。このために女性の社会参画の推進、女性の経営参画の推進、女性が住みやすく活動しやすい環 境づくり、この3つを柱として、農山漁村における男女共同参画を推進しているところでございます。
 資料4に従って、主なものを紹介いたしますと、まず1番目の社会参画の推進について、資料4の1ページのIの「<1>農 業・農村男女共同参画チャレンジ支援事業」でございますが、この事業は地域段階での男女共同参画目標の策定や普 及を図るための会議、広報活動への助成をする、男女共同参画アドバイザーとして認定しました、女性農業者の活動費 の助成等を行いまして、女性の地域社会への一層の参画を進めることとしております。
 次に、経営参画の推進については、この事業で女性農業者に対する農業技術や経営管理に関する研修、あるいは起 業活動を支援するための講座開催費などの助成を行うほか、1ページのIIの「<1>アグリ・チャレンジャー支援事業」にお いては、起業活動に必要な機械、あるいは施設等の整備を行うこととしております。
 3つ目の環境づくりについては、2ページのIIIの「<1>出産・育児期農業経営サポート活動支援事業」でございますが、こ の事業は本年の7月に成立いたしました少子化社会対策基本法及び次世代育成支援対策推進法を踏まえたものでござ います。具体的には、女性農業者の代替労働力のあっせんや相談活動に係る事務費などへの助成を行う、あるいは女性農業者が安心して出産・育児できる環境づくりを進めることとしております。
 本事業につきましては、少子化関連の政策群に登録をして、厚生労働省などと連携して推進していくこととしております。
 以上でございます。
内閣官房長官
次に、経済産業省、お願いします。
高市議員代理
経済産業省といたしましては、新たに事業主体を増やすことによりまして、新たな需要と雇用を創出す るということを目指しまして、積極的に起業、それから市民活動を行う女性の支援を行っているところでございます。
 ところが、依然として我が国では女性による起業というのは低迷している状況にあると言わざるを得ません。
 この資料ですが、1ページの上の方に「創業塾」というのが出てまいります。これは、全国商工会連合会、それから日本 商工会議所に対する補助を通じまして、創業に向けて具体的なアクションを起こそうとする者を対象に事業計画を完成さ せて、それから創業に必要な実践的な能力を大体10日間(約30時間)程度で修得させるという創業塾を実施いたしてお ります。
 この中で、特に女性向けの創業塾というのも実施しておりまして、昨年度は全国で32か所、1,065名が受講されまし た。今年度は全国で54か所、大体2,160名の受講を見込んでおります。
 特に講座の内容が全然違うというものではなく、カリキュラムは同じなのですが、創業に至るまでに直面するいろいろな ハードルにつきまして、女性の経営者の方が来て相談に乗ってくださったり、また女性同士ですと割と質問もしやすいとい うことで、御好評であるということでございます。
 それから、来年度につきましては、創業予定者、それから既に事業を営んでいらっしゃる方を対象にした創業塾につい て、必要な経費13億円を要求しております。
 11年の4月に、女性が起業する際に必要な設備資金などを、中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫を通じまして、 低利で貸し付ける制度を創設いたしました。ここまでの約4年5か月の間に1万件、総額600億円を超えます融資実績を 挙げております。女性による起業を積極的に支援するものでございます。
 平成16年度につきましても、創業予定者や若手後継者の能力開発支援のための創業塾、それから女性・高齢者起業 家を支援するための低利融資、それから、2ページの下の段から3ページの始めにかけて書かせていただいております、 商店街の空き店舗を利用して活動するNPO法人などへの改装費、家賃補助、それから市民ベンチャー事業への支援な どを行ってまいります。
 以上でございます。
内閣官房長官
次に、内閣府でありますが、事務局から説明をお願いします。
事務局
それでは、お手元の資料6を御覧ください。
 新規要求に係る主な事項でございますが、資料を1ページおめくりいただきたく思います。まず、男女共同参画基本計画 改定経費といたしまして、約4,000万円を要求しております。基本計画は、平成17年度末までに改定を行うこととなって おりますが、平成16年度においては、改定作業に向けての情報収集等を行うこととしております。
 次に、チャレンジ支援推進事業経費といたしまして、約5,800万円を要求しております。従来女性の進出が少なかった 分野や指導的地位での活躍、更には再就職といった女性の挑戦を支援する枠組みを地域において構築するため、チャレ ンジ支援ネットワークモデル事業等を開始することとしております。
 更に、女性に対する暴力の被害者の対応に当たる関係者に情報を提供しております、ホームページの拡充を図る経費 といたしまして、約1,800万円を要求しております。
 このほか、毎年11月12日~25日までの2週間実施しております「女性に対する暴力をなくす運動」を始めとする広報 啓発活動経費といたしまして、約1,700万円を要求しております。
 以上です。
内閣官房長官
それでは、各省からの説明がございましたが、御意見がございましたら、御発言願いたいと思います。
 岩男議員、どうぞ。
岩男議員
ただいまの男女共同参画基本計画の見直しというのは、男女共同参画社会の形成を促進していくという上 でも極めて重要な作業でございまして、これまでの進捗状況をしっかり把握して、今後どういうところを重点的に取り組む べきかということを見極めた上で進めていただきたいと思います。
 その際に、各省の男女共同参画関係予算が、基本計画のどの分野に対応しているかができるだけ見えるような形に、 例えば高齢者関連予算は全て男女共同参画関係予算になってしまうようなところがございますので、男女共同参画関係 とできるだけはっきり分かるような形で進めていただきたいとお願いしておきたいと思います。
内閣官房長官
ありがとうございました。
 それでは、内永議員、どうぞ。
内永議員
チャレンジ支援策に関してですが、女性が雇用とか起業、NPO、農林水産、まちづくりとか、いろいろな各種 分野における活動に積極的に参加していくために、ポジティブ・アクションですとか、あとそれに伴う関連情報への効率的 なアクセス手段として、情報のネットワーク化、ワンストップ化というのを、是非進めていただきたいと思うわけです。
 加えて女性が本当にその能力を発揮する上で、ITというのは大変重要な武器になると思っております。ですから、例え ば自宅からでもITを使ったら仕事ができるとか、それからITを駆使することによって男性・女性という区別がほとんどなく なってくるとか、そういったことから、グラスシーリングと今よく言われているものが、ITを駆使することによってかなり緩和 されてくるのではないかと思っておりますので、女性がITスキルをうまく使えるように、そういった講座の受講の機会や環 境整備といったことに是非力を入れていただきたいとお願いしたいと思います。
内閣官房長官
ありがとうございました。
 橘木議員、どうぞ。
橘木議員
配偶者特別控除上乗せ分が廃止されることになっておりますが、これが単なる増税となってはいけないとい う意見を我々の専門調査会でも出しております。
 2,500億円を児童手当の充実等の少子化対策に充てるという点は評価できますが、引き続き、この点に配慮して少子 化対策、あるいは子育て支援をやっていただきたいという希望を申し上げたいと思います。
内閣官房長官
ありがとうございました。
 住田議員、どうぞ。
住田議員
まず、仕事と子育ての両立支援に関してのお願いですが、この両立支援といいますのは、少子化のために も、もちろん男女共同参画社会の実現のためにも、非常に重要なものだと思いますが、一番の難題は子どもが病気のと きです。また、病み上がりのときなのですが、それに対して今回もいろいろな施策が出されておりますが、更に次代を担う 子どもたちのために万全の体制を取れますように、きめ細かい政策をお願いしたいと思います。
内閣官房長官
ありがとうございました。
 ほかに、古橋議員、どうぞ。
古橋議員
国際協力の関係について若干御要望を申し上げたいと思います。
 私はこれから日本が長期的に考えていく課題といたしまして、活力ある福祉社会の建設ということと、国際社会への積極 的貢献が重要であると考えております。これは、国民的合意が得られる政策課題であり、それを実現するために、男女共 同参画社会の形成というのは極めて重要な役割を果たすと考えております。
 そのうち、活力ある福祉社会の建設に男女共同参画社会が必要であるということにつきましては、政府部内におきまし ても、行政機関の関係者に大分理解をいただいているのでありますが、国際社会への積極的貢献に男女共同参画の視 点が必要であるということについては、まだ、私はそれほど深く御理解いただいていないと認識をしておりました。
 今回、8月29日に政府の方で政府開発援助の大綱というものが見直されまして、その中に基本方針といたしまして、公 平性の確保という観点から、男女共同参画の視点が重要であるということが閣議決定されたわけでございます。これは男 女共同参画社会基本法の第19条で、国は、「男女共同参画社会の形成に関する国際的な相互協力の円滑な推進を図 るために必要な措置を講ずるように努めるものとする」ということを行政レベルにおいて初めて規定したということにおい て、私は非常に評価できると考えております。
 その大綱におきましては、公平性の見地からと書いてありますが、私は今、予算がだんだん少なくなっていく中で、国民 が合意できる国際社会への積極的貢献という見地からすれば、費用対効果のある、効率性のあるODAの推進、あるい はODAの目的に対する有効性の見地からの男女共同参画の視点というのは極めて重要であると私は考えておりまし て、今、苦情処理・監視専門調査会におきまして、男女共同参画の視点からのODAの現状と問題点、そして、来年の1月 にはこの会議にその点を報告をするということで検討をしているところでございます。
 この16年度予算につきましては、その頃、政府案ができて国会で審議されていると思いますが、外務省が先ほど説明さ れましたWIDとかジェンダーの男女共同参画の直接的な予算ということのほかに、無償資金協力、有償資金協力という、 その中で有償資金協力は外務省以外も関係するわけでありますが、すべてのODA関係予算について、男女共同参画の 視点というものが常に配慮されて、被援助国の住民に直接裨益するようなODA予算が執行されるというように、各般の 御努力を賜りたいとお願いをする次第でございます。
内閣官房長官
ただいま有識者議員の方々から御意見がございましたが、坂口議員、何か御意見ありますか。
坂口議員
住田議員から病児保育のお話をいただきまして、これにはかなり力を入れておりまして、各地域でかなり増 えてまいりました。先日も病児保育のことをされている先生方の会議に出させていただいたのでずか、中には、20年も前 からされているところがございまして、大変感動した次第でございます。それはそれでまたいろいろな問題点もあるようで ございますが、各地域と言いましても、第二次医療圏と申しますか、それくらいは早くつくっていくということに是非していけ たらと思っているところでございます。今、地方の都市からもかなり手を挙げてきていただいておりますので、良いことだと 思っております。
内閣官房長官
ただいま、古橋議員からODA関係がございましたが、外務省、何か御意見ありますか。
茂木議員代理
先ほど申し上げましたが、8月29日の大綱の中で、御趣旨のような点が明記をされたわけでありまし て、これはJICAの案件、それから技協、先ほど申し上げた無償の関連でも、一般無償で今41%、それから草の根で 25%、これがジェンダーの関連ということでありまして、これは14年の数字を申し上げたのは、案件がなかなか出てこな いと決まっていかないということがありますので、外務省としては、良い案件は効率的に進めていく、そういう中で、でき得 れば男女共同参画に資するもの、特に途上国におきましては、これから国づくりの観点でも、女性の役割は極めて大きく なってくる、こういうことも重視して取り組んでいきたいと思っております。
内閣官房長官
ありがとうございました。各議員から建設的な御意見等を伺いまして、ありがとうございました。本日、報 告をいただかなった省におきましても、様々な施策に取り組んでいただいておりますが、各府省におかれましては、ただい まの御意見等を踏まえまして、施策の実現に向けて御尽力をいただきますようお願いをいたします。
 また、財務省におかれましては、本日の審議を踏まえた予算編成作業を行っていただくようお願いいたします。
 次の議題は国連の女子差別撤廃条約実施状況報告に対する最終コメントにつきまして、事務局から報告をお願いしま す。
事務局
それでは、お手元の資料7を御覧ください。
 本年7月に、我が国の報告が国連の女子差別撤廃委員会において審議され、現地時間の8月7日に、同委員会から最 終コメントが公表されました。
 このコメントでは、基本法の制定や基本計画の策定、男女共同参画会議、内閣府男女共同参画局の設置による国内本 部機構の強化など、体制、法整備の大きな進展を高く評価する一方で、政策決定過程への女性の参画の遅れなどにつ いて、更なる取組の必要性が指摘されております。
 本最終コメントは、各省庁の担当部局に配布したほか、ホームページに掲載するなど、広く周知を図っているところで す。
 以上です。
内閣官房長官
関係各府省におかれましても、本コメントの内容を精査して、前向きに取り組んでいただきたいと思いま す。また、政府全体としても、しかるべき時期にフォローアップを行うということが必要と考えております。
 最後の議題でありますが、女性国家公務員の採用・登用等の促進について、私から申し上げます。
 政府の男女共同参画推進本部では、意欲と能力のある女性の社会進出を支援するために、「2020年までに、指導的 地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度に」という目標を定めましたが、まず、政府の足元から、すなわち女性 の国家公務員の採用・登用の拡大から率先垂範して取り組む必要がございます。
 そこで、内閣府では、資料8にございますとおり「女性職員の採用・登用拡大計画」をこのたび改正いたしました。
 具体的には、まず、採用に関して30%という数値目標を設定するとともに、役職者に占める女性の割合の向上、任期付 き任用や各省からの出向についての女性の登用に努めることといたしました。また、育児休業につきましては、男性職員 も、希望者全員が取得できるよう、勤務環境の整備を図るということにいたしました。
 2020年までの政府目標でありますが、実現するためには、今から取り組む必要がございますので、各大臣におかれ ましても指導力を発揮していただき、具体的な数値目標を設定するなどの積極的対応をお願いしたいと思います。
 なお、関連する資料9、10につきましては、後ほど御覧いただきたいと思います。
 片山議員から何かございますか。
片山議員
内閣府は模範でやっていただいているのですが、内閣府だけではなくて、中央の全部の省庁、あるいは地 方公共団体も女性の採用・登用拡大の数値目標をつくって、それに努力するということは必要だと思うのです。私どもの 方が国家公務員や地方公務員の人事管理などをやっていますから、内閣府男女共同参画局と共同して、進めたいと思っ ております。みんなやらなければ内閣府だけやってもしようがない。それを一言申し上げます。
内閣官房長官
それでは、以上の議論につきまして、御意見ございましたら、どうぞ御発言をいただきます。
高市議員代理
内閣府の「女性職員の採用・登用拡大計画」ですが、2020年までにもしも3割を女性幹部にしようと 思ったら、ここに書かれているとおり、入口で絶対数が3割以上でないと、これは大変不公平なことになるのですが、一方 で2枚目に書かれていますように、実際採用するというときには、平等的な取扱い、成績主義の原則、これも崩してはいけ ないのだろうと思います。
 具体的に、もし2020年に幹部3割でしたら、来年辺りの採用からそのような女性定数というのを設けるのか、設けない としたら、成績主義、平等主義の下でどうやって3割というものを確保していくのか具体的な考えを教えていただきたいと思 います。
内閣官房長官
これはおっしゃるように、採用という入口のところから考えていかなければいけないものですから、今か ら取り組むという方針を立てたわけでございます。
 そこで、良い人が来てくれないと困るということでありまして、良い人が試験を受けてくれないと結果としてそうならないと いうことであります。女性だからといって、余計に採るとかそういうことを考えているつもりはない。やはり、成績とか適性と かをよく見て採用しなければいけないということが前提であります。しかし、そのためには、女性にできるだけたくさん応募し てもらうということも必要でしょうし、いろいろなことをこれから考える必要があるだろうと思っております。
高市議員代理
応募していただく人を増やすための広報活動で、女性職員を活用したり、広報物に女性職員の活躍を 紹介したりということはもう経済産業省でもやっておりますし、II種、III種については全省庁の平均よりも多いのですが、 I 種に関しましては、特許庁等ありまして、非常に少なくなっております。では、実際に将来のことを考えて、幹部で3割と いうことになりますと、具体的にどういう対応をしていったら良いのか、省内の会議でも結論が出ないというか、具体的な方 法論が分からないのが現状です。
片山議員
受ける人が少ないんです。だから、国家公務員のI 種とかII 種とかの試験を受ける人を増やさなければい けませんね。それは人事院の担当なんです。試験に受かった者を採るのは各省庁がやるのですが、試験をPRして受け させるのは人事院なのです。その辺りとの連携も要るのでしょうね。私どもの方は48人採って7人です。来ないのです。 私は採れ採れと言うのですが、来ないと採れないです。
住田議員
私は弁護士ですが、女性の優秀な方は弁護士とか医師とかの資格の方に随分行って、なぜ国家公務員を 受けないかというと、やはり職場環境が非常に厳しい、女性にとっては働きにくいということがあると思いますので、職場環 境、魅力ある、働きやすい職場づくりを是非お願いしたいと思います。
内閣官房長官
内閣府は魅力ある職場ということに心掛けております。いろいろ工夫しなければいけないし、また、どこ のセクションも3割といくかどうか。その職種によりまして、ばらつきはあるんだろうと思います。ですが、トータルとして3割 は確保したいという目標を掲げておるところでございますから、ひとつ御協力を、また、工夫をよろしくお願いしたいと思って おります。
 ほかに御意見ございますか。
平山議員
今の問題で言えば、県ですと、入ってくる段階では3割くらい女性はいるのですが、幹部になってくるとなる と、辞めたりして少なくなるというのが実態です。やはり転勤があるというのが、子育ての問題で響いていると思います。
 もう一つ、総務大臣とも関係があるのですが、これから市町村合併が行われますね。男女共同参画ということ自体が全 体として今、どの程度理解され、どの程度進んでいるかということについて言えば、県の段階では基本的ないろいろな計 画とか推進の事業、それから市の段階ですとある程度行われていますが、町村の段階になると、そこまで余裕がないとい うことでほとんど進んでいないのです。これから合併して市になれば、いよいよ行われるかなということなのですが、実を 言うと、この間、千葉県のときもそうですが、新潟でもそうでした。県の男女平等条例とかつくるときの議会の議論というの は非常に激しいものがあります。これは伝統的な男らしさ、女らしさ、いわゆるジェンダー・フリーの問題が一番引っかかり ます。実際の理解度は、現実に議論を議会でやると、かなりレベルが合わないという部分があります。
 現に最近、新潟のある小学校で、男女混合名簿を校長先生の判断でやめたところがあるのですが、それに対して賛否 両論、相当な議論がありました。これは1人の校長先生が判断して決めるということができるシステムですから、それはそ れで校長先生の判断で良いのですが、そこにおいて行われた議論の大半はジェンダー・フリーの理解が相当ばらばらで ある。国において一定の理解というのを出していますが、これから市のレベルから町村が合併していって、本当に日本全 体で男女共同参画の議論が議会等でされるときに、かなり議員さんも含めて地域で理解されていないと、どういう議論に なるのかなという心配もしています。
 したがって、合併を機会に、市の段階でこういうこともきちんと取り組むように、地方行政もやるべきだと思いますが、是 非ともそういうことの理解が議員さん段階を含めて、地域の住民にも、県としても頑張りますが、国の方でも是非ともそこ のところを何らかの形で力を入れるようにお願いしたいと思います。
内閣総理大臣
福原議員のところは、女性の幹部職員は3割いっていますか。
福原議員
いっていません。私のところも2020年頃には30%になるであろうという目標は立ててやっているわけです が、多分この2、3年で15%くらいになるだろうと思います。今はまだ9.5%くらいです。
内閣総理大臣
社員は半分くらいですか。
福原議員
社員は7割です。
内閣総理大臣
それでも30%はいかないんですね。
福原議員
というのは、例えば10年くらい前までは4大卒の方は来ていただけなかったんですよ。急速にその方々が おいでになったのですが、そうかと言って、今の話ではありませんが、5年目で課長になるとか、そういうことは無理なので す。やはり現場の経験もなければならないし、人を育てるというスキルも必要です。そうすると、これがいっせいに育つの が、あと3、4年かかるということだと考えております。
古橋議員
今の内閣府の「女性職員の採用・登用拡大計画」にも書いてありますが、もし30%に達しないときには、民 間活力ということで、民間からも中央官庁の管理職に採用していただくということが、私は非常に重要な問題だと思うので す。今まで採用していなくて、ある程度女性の管理者を増やすというとには、民間の方にも目を向けるということが政府の 人事当局として重要なことではないかと思います。
内閣官房長官
どうもありがとうございました。平山議員から基本的な問題も御指摘いただきましたが、そういう問題が 生じたときには、地方公共団体に対して内閣府男女共同参画局の方から説明をするといったようなこともしているのです が、いずれにしましても、これは国民のレベルの話でありまして、上の方から押し付けて良いというだけの話ではないの で、そういうことにつきまして、政府としてもいろいろ工夫をしてまいりたいと考えております。
 それでは、ここで総理からごあいさつをいただきたいと思います。

(報道関係者入室)

内閣総理大臣
御苦労様でした。
 女性の進出というのは、男性にも良い刺激を与えますし、社会の活性化にもつながると思います。政府は今、待機児童 ゼロ作戦を展開していますが、仕事と子育ての両立支援、様々な分野への女性の進出をこれからも応援していきたいと 思います。
 先ほど伺ったのですが、自衛隊の女性の応募者は20倍で非常に応募者が多うございます。今まで男の社会だと思っ ていたところにも女性が進出していると思います。
 しかし、管理職全体に占める女性の割合を見ると、アメリカで46%であるのに対し、日本ではいまだ10%にも満たない ということであります。今後、先進諸国に遜色のない男女共同参画社会を実現するために、更に踏ん張りが必要だと思い ます。
 政府としては、2020年までに、あらゆる分野で女性が管理職等の指導的地位の30%を占めるよう、官民の垣根を越 えて女性のチャレンジを支援してまいりたいと考えます。各大臣におきましては、今後一層の努力をお願いしたいと思いま す。
内閣官房長官
どうもありがとうございました。

(報道関係者退室)

内閣官房長官
既に皆様方に御確認をいただいております前回の会議議事録と本日の会議資料は、従前どおり公開と し、本日の議事要旨も後日公表いたします。なお、議事要旨が公表されるまでの間は、自らの発言を除き、対外的公表は 慎重にお願いいたします。
 それでは、これをもちまして、第12回男女共同参画会議を終了いたします。ありがとうございました。
(以上)