男女共同参画会議(第5回)議事録

(開催要領)

  1. 開催日時:2002年1月18日(金) 16:45~17:55
  2. 場所:官邸大客間
  3. 出席議員
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    福田 康夫 内閣官房長官
    議員
    森山 眞弓 法務大臣
    田中 眞紀子 外務大臣 (代理 植竹 繁雄 外務副大臣)
    塩川 正十郎 財務大臣 (代理 尾辻 秀久 財務副大臣)
    遠山 敦子 文部科学大臣 (代理 青山 丘 文部科学副大臣)
    坂口 力 厚生労働大臣 (代理 狩野 安 厚生労働副大臣)
    武部 勤 農林水産大臣 (代理 遠藤 武彦 農林水産副大臣)
    平沼 赳夫 経済産業大臣 (代理 大島 慶久 経済産業副大臣)
    川口 順子 環境大臣 (代理 山下 栄一 環境副大臣)
    猪口 邦子 上智大学教授
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶応義塾大学名誉教授
    小島 明 日本経済新聞社常務取締役・論説主幹兼国際担当
    佐々木 誠造 青森市長
    住田 裕子 弁護士
    林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    原 ひろ子 放送大学教授
    福原 義春 (株)資生堂名誉会長
    古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
    山口 みつ子 (財)市川房枝記念館常務理事
    (説明者)
    島野 穹子 女性に対する暴力に関する専門調査会長
    (説明者)
    大澤 眞理 影響調査専門調査会長

    (議事)

    1. 開会
    2. 議事
      • (1)選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめについて
      • (2)専門調査会の検討状況及び今後の進め方について
      • (3)最近の男女共同参画社会の推進に関連する動きについて
    3. 閉会

    (配布資料)

    資料1
    選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめ(専門調査会報告)[PDF形式:85KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-1
    基本問題専門調査会の検討状況及び今後の進め方について[PDF形式:37.6KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-2
    女性に対する暴力に関する専門調査会の検討状況及び今後の進め方について[PDF形式:39.1KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-3
    苦情処理・監視専門調査会の検討状況及び今後の進め方について[PDF形式:40.2KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-4
    苦情処理・監視専門調査会の検討状況及び今後の進め方について[PDF形式:38.8KB] 別ウインドウで開きます
    資料3
    女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会・報告書 ~女性自身の貢献がみのる年金制度~
    資料4
    農林水産省男女共同参画推進本部の取組状況について[PDF形式:99.7KB] 別ウインドウで開きます
    資料5
    女性の経営参画の観点からの法人化の推進に関する実態調査の概況[PDF形式:193KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    国の審議会等における女性委員の参画状況調べ(平成13年9月30日現在)[PDF形式:386KB] 別ウインドウで開きます
    資料7
    「両立ライフへ職場改革」に関する意見・情報交換会について[PDF形式:24.5KB] 別ウインドウで開きます
    資料8
    第4回男女共同参画会議議事録(案)

議事内容

福田内閣官房長官
ただいまから、第5回男女共同参画会議を開催いたします。
議事に入る前に、議員の任命についてお知らせをいたします。昨年12月20日をもって諸岡議員が辞任され、本日付で日本労働組合総連合会副事務局長の林誠子議員が任命されました。林議員から一言ごあいさつをお願いいたします。よろしくお願いします。
林議員
御紹介いただきました連合本部副事務局長の林誠子でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、ごあいさつの機会をいただきまして本当にありがとうございます。99年に男女共同参画社会基本法ができまして、私は21世紀の社会がこれまでと違った社会像を目指すというような実感がいたしました。男と女の役割が違うということを前提とした社会から、対等な構成員であることを前提とした社会をつくるということを非常に明確にされた、この法律に大変励まされて仕事をしてきたところでございます。
私は働く女性、働きたいという女性、そしてそういう人たちと共に歩みたいという男性、そういった多くの人々の声をこのような場で、最高責任者でおられる皆さん方の前で述べさせていただくという機会をいただいて本当にありがたいと思っております。また、その責任の重さも感じているところでございます。
男女共同参画社会は安心して暮らせる福祉型社会を目指すということでもあると思いますが、その核となるのは良質な雇用と労働であろうかと思っているところです。社会づくりの基盤である納税者になることや、社会的な保障の担い手になるという責任を果たすような社会というものをつくっていきたいということで仕事をしてまいりたいと思っております。
高いレベルの議論には大変不慣れでございますけれども、一生懸命務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
福田内閣官房長官
どうも御丁重にありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。初めに、選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめについて報告をお願いしたいと思います。選択的夫婦別氏制度につきましては、基本問題専門調査会で検討が進められておりましたけれども、昨年10月11日に中間的な取りまとめをしていただきました。それでは、岩男会長にお願いを申し上げます。
岩男会長
それでは、選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめについて御報告をさせていただきます。お配りしてございます資料の1を御覧いただきたいと思います。当専門調査会では、男女共同参画社会の形成を図っていく上での基本的な事項と関わりが深く、また国民の関心も高い個別問題として選択的夫婦別氏制度について取り上げ、第2回専門調査会から第5回専門調査会まで計4回の会合を開催し、調査検討を進めてまいりました。
審議に当たっては、選択的夫婦別氏制度が導入されていないことによる現実面・実生活面での不利益という点では、従来必ずしも問題が十分に把握・整理されていなかったこと等にかんがみまして、具体的な体験や事例を広く国民から募集いたしました。
このような経過を踏まえ、本専門調査会として選択的夫婦別氏制度に関する審議について、中間的な取りまとめを行うこととし、10月11日に開催の第5回専門調査会において取りまとめたものでございます。それでは、中間まとめの内容について御説明をいたします。
まず本文1ページの「これまでの経緯等」を御覧ください。ここでは戦後、日本国憲法の制定とともに民法が改正され、「夫または妻の氏」を称することとされたこと、国連婦人の10年などを通じての意識の高まりや、女性の社会進出等を背景に、改姓による職業生活における不利益の解消を求める声が強まってきていることなど、これまでの経緯などについて説明をしております。
次に「1.男女共同参画社会基本法の成立について」です。これは本文の2ページを御覧ください。
平成11年6月に男女共同参画社会基本法が衆参両院とも全会一致で可決され、成立いたしましたが、同法の第4条で「社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない」と規定されているにもかかわらず、夫婦の97%において妻が改姓しているという社会的事実の下で、夫婦同氏が強制される制度によってとりわけ女性がさまざまな場面で不利益を被っているという問題があります。
次に「2.世論の変化について」です。3ページを御覧ください。
昨年5月に行われた世論調査では、初めて賛成が反対を上回り、特に20代から30代の若い世代において賛成が初めて過半数を占め、反対の4、5倍に達していることは婚姻を控えた当事者である若い世代に選択的夫婦別氏制度への希望が広がっていることを物語っております。
次に「3.選択的夫婦別氏制度が導入されていないことによる不利益について」です。
4ページを御覧ください。選択的夫婦別氏制度が導入されていないことによる不利益を募集した結果、信用や実績の断絶、仕事の機会の喪失など、職業生活上さまざまな不利益が生じている。旧姓を通称として使用するだけでは戸籍名と通称名の使い分けにより、本人のみならず周囲・社会も混乱する。長男・長女が結婚する際に、双方の家がそれぞれの氏の存続を希望するため、婚姻の妨げとなっている。不利益を避けるため事実婚を選択し、法律婚制度の形骸化を招いているといった、さまざまな不利益が寄せられてきました。
また、男性が改姓することはまれであるため、不利益が男性にとってより深刻となる場面も生じているという声もございます。こうしたことから、問題の根本的解決のためには、民法において所要の措置がとられることが望ましいと指摘をしております。
次に「4.憲法上の問題点について」です。6ページを御覧いただきたいと思います。
憲法学の立場からは、氏を維持するため、婚姻を躊躇したり、事実婚を選択したりしている者が少なからず存在することを考えると、夫婦同氏制度は婚姻を両性の合意のみに基づいて成立すると規定した憲法第24条第1項の趣旨に合わなくなっているのではないかとの指摘がございます。また、憲法第24条第2項は、婚姻に際して法律は両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないと規定していますが、夫婦の97%で妻が氏を改めている現状は、夫婦同氏制度が男女に中立的に機能していないことを示すものであり、実質的には差別的な効果を及ぼしているのではないかとの指摘もあり、これらのことから現在の夫婦同氏制度は少なくとも立法政策上、考慮されるべきではないかと考えられます。
次に「5.家族の関係について」です。7ページを御覧ください。
選択的夫婦別氏制度の導入が家族の一体感を弱め、ひいては夫婦の不仲、離婚の増加、家族の崩壊をもたらすのではないかとの意見がありますが、家族の一体感にとって最も大切なことは同氏という形式ではなく、愛情や思いやりといった実質であり、それぞれの夫婦の希望によって同氏か別氏かを選択することを認めるような多様な生き方を認め合う社会であることが望ましいとしております。
次に「6.子どもへの影響について」です。8ページになっております。
子どもの安心感にとって重要なものは親子間の対話や愛情であって、選択的夫婦別氏制度に対する理解が広まるにつれ、氏が異なる家族を普通の家族でないとする偏見は解消されていくものと考えられます。子どもへの影響に対する懸念は、政府が制度の趣旨や意義について適切に広報活動を行うとともに、多様性を認める教育など、社会全体が子どもへの影響について十分配慮することによって払拭されていくものと考えられます。
その他、今日では主要な先進国において、夫婦同氏を強制する国は見られないことを指摘した上で、「まとめ」として、当専門調査会として個人の多様な生き方を認め合う男女共同参画社会の実現に向けて、婚姻に際する夫婦の氏の使用に関する選択肢を拡大するため、選択的夫婦別氏制度の導入が望ましいと考える。このことは、少子化への対応の観点から婚姻の妨げを取り除くことにつながるものである。また、諸外国でも余り例を見ないほどの少子高齢社会において、我が国の社会を維持、発展させるためには、高齢者と共に女性の能力を生かすことは喫緊の課題であり、職業生活を送る上で支障となるものは除去することが必要である。当専門調査会としては、選択的夫婦別氏制度を導入する民法改正が進められることを心から期待するものである。なお、制度の導入に当たっては、政府が制度の趣旨や意義について適切な広報活動を行うと共に、社会全体が子どもへの影響について十分配慮することが重要であると考えるとしております。
このように、本件につきましては中間まとめという形式ではありますが、委員の意見やこれまでの検討の結果を反映させ、当専門調査会として男女共同参画社会の形成の促進という観点からの考え方をまとめたものとなっております。
中間まとめにつきましては以上でございます。
福田内閣官房長官
どうもありがとうございました。ただいまの岩男会長の御報告につきまして、法務大臣から一言、御意見をお願いいたします。
森山議員
ありがとうございました。ただいまの御報告にございましたように、中間まとめにおいて、選択的夫婦別氏制度の導入について、大変前向きなお言葉をいただきまして心強く思っているところでございます。
法務省といたしましても、関係各方面の御議論を踏まえながら、更にこの制度の導入に向けて努力を続けてまいりたいと考えています。よろしくお願いいたします。
福田内閣官房長官
それでは、引き続きこの件につきまして御意見がございましたら御発言をいただきたいと思います。どうぞ、村井議員。
村井議員
どちらかと言うと中国、韓国や、あるいは日本の古代の例を見ておりますと、夫婦同氏というのはある意味では大変新しい制度だという印象があります。例えば古文書などを見ますと、「夫人○氏」などと書いてあるようなケースが非常に多いですよね。
一方、例えば宋美齢はオフィシャルに呼ばれる形になりますとあくまでミセス・蒋なんですね。そういうような意味で、アメリカ、イギリスはどちらかと言うと夫婦同氏というような印象で、どうしても残したければミドルネームに入れるというようなケースがあるみたいですけれども、その辺りはどんな感じなのでしょうか。
先ほど岩男会長が仰せになりました、例えば論文の引用などで同一人物と理解されないというような問題は、アメリカあるいはイギリスなどの場合はどのように処理されているのでしょうか。
岩男会長
アメリカにつきましては非常に多様なケースを容認するということが基本になっていると思います。ですから、ミドルネームで入れてもよし、従来の姓を名乗って夫婦が全く違う別氏でもよしと、そういう多様性を容認するということが一番前面に出ている。それによって、個人の選択でいろいろなケースがあるということだと思います。
福田内閣官房長官
よろしいですか。
村井議員
エチケット上は、奥様に対してはミセスをつけるのが正しいと聞いておりますが、ただ、これはちょっとクラシックなのかもしれません。
岩男会長
クラシックだと思います。つまり、かなり前からミセスではなく、ミズにしてしまっているというのが、より一般的ですので。
村井議員
招待状をお出しするような場合は、何かミスター、ミセスのような書き方をしているように見えたものですから。
岩男会長
最近はアメリカ大使館などでも、ユア・パートナーという言い方をして、事実婚などのいろいろなケースに適応できるような言い方に気をつけてしておられるように思います。
福田内閣官房長官
原議員、どうぞ。
原議員
ちょっと付け加えますと、最近ではカップル宛てに招待状を出すとき、丁寧な場合はどういう表現でお名前を書けばよいか確認する場合が多くなってきています。国際会議などでも同様で、19世紀の欧米のカップルカルチャーからは変わってきています。
福田内閣官房長官
他に、御意見はございませんか。
それでは、選択的夫婦別氏制度に関しましては今後の動き等を踏まえ、適宜検討を進めていただきたいと思います。
次に各専門調査会の検討状況及び今後の進め方について御報告をいただきたいと思います。まず、基本問題専門調査会について岩男会長からお願いいたします。
岩男会長
それでは、基本問題専門調査会につきまして御報告をさせていただきます。
資料2-1の「基本問題専門調査会の検討状況及び今後の進め方について」を御覧いただきたいと思います。
まず1の「検討状況」でございますけれども、昨年5月の第1回専門調査会以降、6回の会合を開催しております。先ほど御説明をいたしましたとおり、本専門調査会において、選択的夫婦別氏制度について調査検討した結果として、第5回会合において「中間まとめ」を取りまとめ、公表しております。その後、第6回会合では「男女共同参画に関する基本的な問題について」意見交換をいたしました。
次に、2の「今後の進め方」でございます。男女共同参画の基本的な考え方に関するもの及び基本的な考え方に関わりが深く、国民の関心も高い個別課題に関するものについて引き続き調査検討することとしております。
最後に3の「今後のスケジュール(予定)」でございますけれども、今年は基本的考え方に関するものについて調査、検討を進めてまいりたいと考えております。
また、個別課題に関するものについては、当面検討の進め方について議論した上で、鋭意調査検討を進めてまいりたいと考えております。基本問題専門調査会については、以上でございます。
福田内閣官房長官
ありがとうございました。次に、女性に対する暴力に関する専門調査会について、島野会長からお願いいたします。
島野会長
つくば国際大学の島野穹子でございます。私から「女性に対する暴力に関する専門調査会の今後の進め方」について、簡単に御報告させていただきます。
資料2-2を御覧ください。御案内のとおり、本専門調査会では昨年の4月以降、配偶者暴力防止法の円滑な施行に向けた検討を行ってまいりまして、前回10月3日に開催された男女共同参画会議にその成果を御報告させていただきました。その結果、会議から関係各大臣に対して、配偶者暴力防止法の円滑な施行についての意見が述べられたところでございます。
配偶者暴力防止法は、本年4月1日に施行されます配偶者暴力相談支援センター等に関係する規定を除き、昨年10月13日に施行されましたが、関係府省庁においてはこの10月3日の意見を参考に、円滑な施行に向けた各種施策が進められているものと思われます。
そして、昨年10月以降につきましては、この配偶者暴力防止法に規定されてはいますが、深く検討が行われないままになっていた2つのテーマ、具体的には、加害者の更生のための指導の方法や被害者の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の進め方、及び、民間団体に対する援助の在り方について検討を行っております。専門家からのヒアリングなども交え、現在、専門調査会の報告について取りまとめ作業を行っております。次回の会議には、何らかの成果物を御報告させていただく予定にしております。
次に、本年4月以降の検討テーマについてでございます。現時点におきまして、専門調査会としては配偶者からの暴力に限らず、女性に対する暴力に関する幅広い問題について検討が必要であると考えております。具体的なテーマについては委員の意見を参考にして集約し、会議に御報告したいと考えております。以上でございます。
福田内閣官房長官
ありがとうございました。続きまして、苦情処理・監視専門調査会について、古橋会長からお願いいたします。
古橋会長
苦情処理・監視専門調査会の検討状況について、会長をしております古橋から御報告を申し上げます。
お手元の資料2-3を御覧いただきたいと存じますが、まず項目の1の検討状況について御説明をいたします。本専門調査会は2つ課題が与えられておりまして、第1は男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の各府省における実施状況を監視するということ。第2に、男女共同参画に係る苦情処理システムの在り方に関する調査、検討をするという2つの課題でございます。現在までに、10回の会合を開催をしてまいりました。
前回の男女共同参画会議の報告以降、監視関係につきましては、第8回会合から第10回会合におきましては、前回の会議において決定されました監視の実施方針及び監視に関する平成13年度の活動方針にのっとりまして、仕事と子育ての両立支援策につきまして関係府省から実施状況についてヒアリングを行っております。また、苦情処理関係につきましては、前回の報告以来、第7回会合におきまして総務省の行政相談制度、法務省の人権擁護制度等についてヒアリングを行っております。
続きまして、項目の2の今後のスケジュールについて御説明をいたします。苦情処理関係につきましては、これまでの関係府省や地方公共団体、有識者等からのヒアリングを通じまして、私どもが認識いたしました現状と問題点について検討を行いまして、我が国の実情に適した苦情処理等のシステムの在り方について、本年の3月を目途に論点整理を行うべく検討を進めることとしておりまして、これからいよいよ対応策について検討を進めるというものでございます。
たまたま本日の読売新聞の夕刊で、政府の男女共同参画会議は職場で男女差別を受けたり、配偶者や恋人から暴力を受けた人たちの相談に的確に対応するため、地域ごとに新たな行政委員を設置し、民間有職者に委嘱する方針を固めたというふうに報じておりました。ですけれども、先ほど申し上げましたように、今までずっとヒアリングをしておりまして、全くその対応策を検討している段階ではございませんので、そのような事実は全くないということを、まず念のため申しておきたいと思います。
次に、監視関係につきましては、引き続き各府省の関連施策等の実施状況について監視し、本年6月を目途に結果を取りまとめて会議に報告することとしております。また、平成14年度の監視活動の重点対象を何にするかという問題点につきましては、平成14年6月を目途に監視に関する平成14年度の活動方針の案を取りまとめまして、この会議で決定していただきました後に、これに基づく監視を進めてまいりたいと思っております。私からは以上でございます。
福田内閣官房長官
ありがとうございました。それでは、影響調査専門調査会について、大澤会長からお願いいたします。
大澤会長
大澤真理と申します。東京大学の社会科学研究所に勤務をしております。今日は影響調査専門調査会の検討状況について、御報告をいたします。よろしくお願いいたします。
資料2-4を御覧いただきたいと存じます。 まず、項目の1の検討状況について御説明いたします。この専門調査会は、女性のライフスタイルの選択に影響が大きい税制、社会保障制度、雇用システムなどの制度について重点的に取り上げ、モデルケースによる研究から着手をしております。同時に、広く各施策に男女共同参画の視点を取り入れていくための自己評価マニュアルの検討を行っております。現在までに7回専門調査会を開催いたしまして、税制や社会保障、雇用システムについて有識者や各省庁からのヒアリングを行い、議論を重ねてまいりました。
前回のこの会議への報告以降、第5回会合では、年金制度に関する厚生労働省からのヒアリング及び税制に関する財務省からのヒアリングを行いました。
第6回会合では、雇用システムに関する日本労働組合総連合会からのヒアリングを、このたび議員になられました林さんにおいでいただいて行いまして、合わせてワーキングチームの研究経過報告を行いました。
第7回会合では、雇用システムに関するアンケート調査結果の報告を行うとともに、中間報告に向けて議論をいたしました。
次に、今後の進め方、スケジュールでございます。本専門調査会は、女性のライフスタイルの選択に影響が大きい税制、社会保障、雇用システムに関する影響調査については、平成14年、今年の9月を目途に取りまとめて会議に御報告をし、その後も引き続き検討を進めることとしております。
また、各府省が各施策の企画、実施、結果評価の各段階に男女共同参画の視点を取り入れているかどうか、自己評価していただくためのマニュアルについては、この4月を目途に作成し、その後も改善に向けた検討を進めてまいる予定でございます。説明は以上でございます。
福田内閣官房長官
どうもありがとうございました。
それでは、各専門調査会の今後の進め方についてお諮りをいたしたいと思います。ただいま御報告いただきましたように、各専門調査会とも大変熱心に御討議をいただいたわけでありますけれども、今後の進め方についてはただいま御報告ございましたとおり決定をしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

(「異議なし」との声あり)

福田内閣官房長官
ありがとうございます。では、各専門調査会は本日、報告していただいたとおり検討を進めていただき、その状況については随時本会議に報告をしていただきたいと思います。
それでは、ここで総理大臣からごあいさつをちょうだいしたいと思います。
(報道陣入室)
小泉内閣総理大臣
どうもいつもありがとうございます。男女共同参画社会の促進に向かっていろいろ現実的ないい案を出していただきましてありがとうございます。これからいろいろな分野で女性がチャレンジしていくということを促進していきたいと思いますので、今後とも皆様方のいろいろなお知恵を拝借したり、御指導いただきたい。
女性が元気になり、各方面に進出すると、男もそれにつられて元気になるんですよ。これは暮らしの構造改革ですから、そういう意味においても女性だけのことではない。よろしくお願いしたいと思います。
福田内閣官房長官
ありがとうございました。ただいま総理から、男のために女性に頑張ってほしいという御発言がございましたけれども、合わせてチャレンジ、女性のチャレンジという言葉もございました。このチャレンジにつきましては、基本問題専門調査会において女性のチャレンジ支援という形でもって検討をいたしたいというように思います。具体的な進め方については、次回の本会議で御報告いただきますようお願いいたします。
この女性のチャレンジ支援、これは具体的に申しますといろいろな問題があるかもしれませんが、一例を挙げますと、そういうような状況、環境を整えるという意味におきましては、各府省、各大臣が人事の際に職長を任命するときに、例えば任期中に女性の登用に努めるという誓約書を提出させるとか、それから女性登用の心構えを書いたものを渡すとか、いろいろな細かい工夫ができるのではなかろうかと思います。
特に各府省は頑張ってくださっているんですけれども、特殊法人は非常に女性の登用が進んでいないという話も聞いておりますので、理事長とか、公団の総裁だとか、そういう方を任命する際には総理から特に具体的におっしゃっていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣
女性を登用しないと本当に特殊になっちゃうから。
福田内閣官房長官
そのようなひとつ工夫なども具体案としてあるのではなかろうかと思いますので、どうかよろしく御検討いただきたいと思います。
それでは、最近の男女共同参画社会の推進に関連する動きにつきまして随時御報告をいただきたいと思います。まず、植竹議員代理からお願いいたします。
植竹議員代理
それでは、外務省から申し上げます。ただいま総理から非常に女性の話が出まして、私も多いに男性として元気が出ましたので申し上げます。
外務省といたしましては、私が本部長、今は替わっておりますが、女性の丸谷政務官が副本部長となりまして、4回にわたって「女性職員の声を反映させる会」を開催いたしました。そこでは一時休業制度、セクシュアル・ハラスメント、在外赴任をテーマといたしまして、今後省内における男女共同参画を推進していく上での現状問題点等につきまして、いろいろと討論を重ねてまいりました。
更に、男女両省員を各局から集めまして、昨年12月に外務省男女共同参画推進会議第2回会合を開催し、その中で多くの有意義な意見、提案、問題点の指摘などがなされましたが、出されました意見は外務省女性職員特有の問題、広く女性であることに起因する問題、性別を問わず全外務省員全体にかかわる問題として、今後外務省が取り組んでいく問題あるいは公務員全体にかかわる問題として国レベルで取り組んでいく問題等、広く検討をいたしました。
我が外務省特有の問題として特筆される問題につきましては、在外赴任に伴う問題であります。特に子どもや親など、家族を同伴して女性が海外に赴任する際の問題については、昨今はますます女性職員が増加している外務省といたしましては、これを急速に検討しなければいけない、改善していく問題と考えております。これが現実に大変浮き彫りになりまして、検討をしていくこととなると思います。
外務省といたしましては、その意味で年度内を目途といたしまして、この男女共同参画施策を発展させていきたいと思っております。また、こういうことは外務省ばかりではなくて、公務員全体の課題として、今後前向きに議論されていくべき問題といたしまして、子育て及び高齢化社会に伴う介護などと仕事の両立のための一時休業制度の導入や、ワークシェアリング制度の導入等の考えが非常に強く指摘されたところでございます。諸外国におきましては、子育てや介護などと仕事の両立支援のために今、申し上げましたような制度の導入をしている国もあるように聞いております。今後、高齢化社会が深刻化する日本社会においても前向きに検討していく課題だと考えております。
以上が、外務省としていろいろ検討された課題でございますので御報告申し上げます。
福田内閣官房長官
ありがとうございました。それでは、次に厚生労働省の取組について狩野議員代理からお願いいたします。
狩野議員代理
私からは、昨年12月にまとめられた女性と年金検討会の報告書について御説明いたします。
今日、女性の社会進出、家族や就業の形態の変化等により、多様化する女性のライフスタイルと生活の履歴が反映する年金制度との間でさまざまな問題が生じており、制度全体にわたる検討が必要となっております。約2年前になりますが、平成12年の年金改正法の国会審議の際にも、この女性と年金の問題は非常に大きな論点でありましたが、結論を出すには至らなかったところであります。こうしたことから、厚生労働省において一昨年の7月より女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会を開催し、女性と年金をめぐるさまざまな問題について幅広い観点から御議論をいただき、昨年12月に検討会としての報告書を取りまとめました。報告書につきましては、本日お手元にお配りしてありますので御参照ください。
この報告書では、まず女性自身の貢献が実る年金制度を目指すべき方向とした上で、標準的な年金の在り方、短時間労働者に対する厚生年金の適用、第3号被保険者制度など、具体的な6つの課題について基本的な考え方と論点の整理をしていただいております。
報告書にも指摘されていますが、女性と年金をめぐる問題は年金制度の基本や社会保障制度全体にかかわってくる大きな価値判断を要する国民的な議論が必要な問題であると共に、女性の就労支援、少子化対策の推進、更に税制や企業の配偶者手当の問題など、関係する他の政策分野等においても整合性を持った取組がなされることが重要と考えております。
厚生労働省といたしましては、今後平成16年までに行うこととなっている次期年金制度改正に向けて、本報告書を基に幅広い議論をいただきながら検討を進めてまいりたいと考えておりますが、皆様方におかれましても国民的な議論につながりますよう、御協力をお願いしたいと思います。以上です。

(小泉内閣総理大臣退室)

内閣官房長官
ありがとうございました。引き続き、遠藤議員代理からお願いいたします。
遠藤議員代理
農林水産省の男女共同参画推進本部では、7月の初めに全国レベルまたは県レベルで農林漁業団体の役員をなさっている女性に東京へおいでいただいて懇談申し上げ、官邸にお連れしまして総理と会っていただきました。それ以来、4回農林漁業に従事されておる女性の皆様方と懇談を持っております。東北、甲信越、四国、4か所でありますが、いずれも活発な御意見なり切実な現実の経営問題等をお聞きしてきたところであります。
そこで、更に第2弾として男女共同参画社会の推進に向けての提言を募集しましたところ、何と194本の提言をいただきました。東大の八木教授に審査委員長をしていただいたんですが、その講評によれば、非常に中身が濃く、先駆的な意見が多く、表彰する方でも甲乙付け難かったということで11人を表彰させていただきました。
また、農林水産省の職員からも募集しましたところ、478本の応募があり、例えば、奈良県の山奥の小さな、もう十数名しか職員がいない土地改良事務所の女性が入賞をしました。こんなに多くのものが集まるとは思わなかったので、これまた生活に密着した仕事と家庭、家事あるいは子育て、職場でのさまざまな人間関係など、非常に中身の濃いものだったなと私自身も読ませていただいて思いました。
その中で主張されていることを、平成14年度の予算編成に大分活用させていただきました。まず女性が農産加工の現場で業を起こすような場合、支援しようということで、農業改良資金の中から30億円の女性優先枠というのをつくりました。それから、子育て支援も行うことにしました。これは6,800万円というものです。また、暴力からの一時避難なども含めて女性が集まれる場所として、各地にアグリサポートセンターを整備していこうということで、それも予算の中に盛り込ませていただきました。
なお、提言の中では女性を対象にした技術研修、経営研修あるいは情報収集の機会をたくさん持ってほしいということがございましたので、今後そういった方面をやってまいりたい。
なお、皆さん方のお手元に資料4とある写真が表彰式の模様であります。資料4の参考が中身で、資料5というのがございますでしょうか。これは法人協会に御協力いただいて、農業法人で役員をなさっている女性の方にアンケートをいたしました。3枚目を御覧になるとこういうグラフがございますが、何と30代、40代で3割の方が月額報酬で30万、50万、50万超ということになっております。大したことだと思っています。
それから、女性の経営参画に関する法人化のメリットというのがあるかと聞きましたら、まず8割の人が給与や報酬が明確になった。また、働きが正当に評価されたと感じた。また、安心して経営に取り組めるようになった。これは意欲を持ってということでしょう。ですから、農業の面での構造改革を進める上では、女性の共同参画推進ということも視野に入れた法人化は、ある意味では一つの切り口になっていくのかなということを感じさせられた次第であります。
なお、今後とも経営研修、技術研修あるいは情報収集の機会を与えてほしいということですから、先生方からもいろいろと御指導、御示唆いただいて進めてまいりたいと思っておるところでございます。以上でございます。
福田内閣官房長官
それでは、大島議員代理からお願いいたします。
大島議員代理
経済産業省におきましては、経済産業政策の観点及び省内の女性職員の一層の活用という観点から、男女共同参画を推進しております。
まず第1に、経済産業政策の観点からは将来の労働力不足への対応や、企業から見た人的資源活用という観点から、男女共同参画を推進していくことが求められているところであります。更に、女性が新規雇用や企業の重要な担い手としての役割を果たすことも期待をされております。当省といたしましては、平成14年度から新たに商店街の空き店舗を活用した保育施設の誘致を支援するコミュニティ施設活用商店街活性化事業を始めるなど、女性起業家支援等の男女共同参画関連の施策を推進することといたしております。
第2に、省内の女性職員の一層の活用といった観点からは、平成13年5月21日、人事院作成の女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針を踏まえ、当省における女性職員の採用・登用の拡大を2005年度末までに図るための行動計画を昨年12月17日にまとめたところでございます。
これらの取組につきましては、私を本部長といたします経済産業省男女共同参画推進会議を設置いたしまして、定期的に議論を行っております。今後とも経済産業省としての一層の男女共同参画の推進を図ってまいりたいと思いますので、関係府省におかれましても御協力をお願いを申し上げたいと存じます。以上でございます。
内閣官房長官
ありがとうございました。最後に、事務局から説明をお願いいたします。
坂東局長
それでは、事務局から説明させていただきます。
まず初めに、国の審議会等における女性委員の参画状況調べについてでございます。資料6を御覧ください。国の審議会等における女性委員登用の促進につきましては10%、15%、20%という目標を次々にクリアしてまいりましたが、平成12年の男女共同参画推進本部におきまして「国の審議会等における女性委員の登用の促進について」が決定されまして、平成17年度末までのできるだけ早い時期に、国際的な目標であります30%を達成することを目標としております。昨年11月に発表いたしましたこの参画状況でございますが、9月30日現在、国の審議会等における女性委員の割合は24.7%となっております。この3ページにグラフがございますが、一昨年9月の調査に比べますと今回、審議会等の再編があったこともありまして、3.8ポイントの大変大きな増加となっております。今後とも目標の早期実現に向けて、各省庁の御理解と御協力の下、取組を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
続きまして、両立ライフへ職場改革に関する意見・情報交換会について御説明いたします。資料7でございます。昨年7月、本会議の意見を基に、仕事と子育ての両立支援策の方針について閣議決定されておりますが、その中の5本柱の一つ、両立ライフへ職場改革を進めていくに当たりまして、企業トップの方々の御理解と御協力を得ることが大変重要だということで、えがりてネットワーク企画委員会の主催ということで、昨年10月に両立ライフへ職場改革に関する意見・情報交換会を開催いたしました。
当日は資料の出席者のところに書いてございますとおり、8名の企業の社長等に御出席をいただきまして、また内閣官房長官にも御出席いただきました。同会合では、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の会長代理の島田晴雄慶応義塾大学教授から基調報告をいただいた後、それぞれの各企業の取組について御意見を伺うと共に、大変積極的な取組等についても御紹介いただきまして、有意義な情報交換を行いました。内閣府では、今後とも経済団体等に閣議決定の趣旨の理解と両立ライフの確立に向けた取組に対する協力を依頼するとともに、男女共同参画に係る各種会議などの場におきまして説明や意見交換を行うなどの取組を行ってまいります。
また、さまざまな場を活用しまして、仕事と子育ての両立支援策について啓発などの取組を進めていくこととしておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
福田内閣官房長官
若干時間がございますので、もし御意見、御質問等ございますればどうぞ。原議員、どうぞ。
原議員
外務省では、審議会の女性委員の割合が40%と、すでに目標を達成していらっしゃる御様子ですね。また先ほどのお話のような省内での御努力は大変期待しております。
つきましては、今度は国際協力という分野で、ジェンダーの視点に立ったプロジェクトのつくり方などに関して、JICAも含めてどういうふうにいろいろな分野、例えば林業やダムの建設などという関係ないと思われるようなところでも、何がジェンダーに関係するかということも含めて御検討いただきたいと思います。地球規模のいろいろな問題とジェンダーの問題は組み込んでしまうのではなくて、両者を並べてグローバル・アンド・ジェンダー・イシューズみたいな形で外務省は取り組んでいるということをアピールできれば、具体的なプロジェクトを担当するJICAの専門家とか、プロジェクトを企画する計画の方とか評価の方でもその認識が徹底していくと思うんです。
具体的には、世界各地で外務省及びJICAの方々は本当にいろいろな努力をしていらっしゃるんですが、それが結局、見える形で整理されてきておりません。そこにギャップがあるように感じております。そこのところは組織として御努力いただければありがたいということです。それか1月21日からアフガニスタンについての閣僚の会議がございますけれども、その節にも緒方座長は重々御認識と思いますが、是非そのような視点をアフガニスタンの問題に関する対応でも入れていただければありがたいと思っております。
植竹議員代理
今のお話でございますが、大変参考になりました。
ダムとかああいうものは、実態をある程度知らないことにはなかなか対応が難しい点があると思います。この間、私は実際、カブールへ入りました。入ったときにはまだ飛行機の残骸とか、いろいろなもので大変な問題がありましたが、テレビとかマスメディアを通じて見たのと実際に行ったものと非常に乖離がある。ですから、そういう事態を考えますと女性がどこまで入れるかという問題も検討しながら、今のお話の点を踏まえましてこれから進めていきたいと考えております。
原議員
もう一つ、アフガニスタンの女性もいろいろなタイプの方がいらっしゃると思うんですけれども、それに対する配慮というか、そちらもプロジェクトの中に入れていただきたいということと両方でございます。
植竹議員代理
よくわかりました。アフガニスタンの場合はいろいろな部族があって、北方とか、パシュトゥールでも2種類ありまして、非常に難しい状態もありますが、ただ、女性への気遣いというのは、これもまた非常に重要でございますから、そういう意味でお話の趣旨を踏まえまして対応していくように前向きに考えていきたいと思います。
福田内閣官房長官
では、猪口議員どうぞ。
猪口議員
簡単に農林水産大臣にお伺いしたいと思いますけれども、意見募集されてその一部を実現したということで大変素早くありがたいことだと存じますが、さまざまな寄せられたお願いや要望の中で今回実現できなかったこと、今後の課題として残されたこと、そういうことをどういうふうに位置づけておられるかをちょっとお伺いしたいんです。つまり、今後のボトルネックをどういうふうに認識なさっていらっしゃるかをお伺いしたいということでございます。
それから、外務省につきましては今、原議員から的確な御指示がございましたと思いますけれども、ちょっと別の観点からお伺いしたいと思います。私は日々女子学生を教えていまして、外交分野に対する志あるいは希望及び意欲の高さということをとても感じるんです。ですから、是非そういうものを受け止めていただきたいということをお願いした上で、これはほかの官僚組織全般に言えるのかもしれませんが、育児とか介護といった大変なときでなくても、ごく普通のときに職場の仕事がどのぐらい家庭生活と両立し得るような形で運営されているのかということをお考えいただきたいのです。
最近アメリカではワークライフ・エフィッシャンシーという表現で、それを言うんです。ワークライフというのがどのぐらいエフィッシャントになされているか、どのぐらい合理的に時間節約的になされていて、家庭だけでなく、例えば地域活動とか、いろいろな個人的に別にやりたいこともありますね、そういうことと両立できるようなワークライフ・エフィッシャンシーというものが職場の中で推進されているかということ。特に外務省の仕事の内容から見れば、短期的に非常に大変になったりすることもあると思いますけれども、是非そのワークライフ・エフィッシャンシーを追求することによって、女性も普通の時間帯に頑張って仕事をして、そして十分にそれで職責を果たせるというような職場の運営が、今後女子に広く門戸を開くことになるのではないかと思います。
それから、原議員のおっしゃったことで具体的に考えますと、アフガンのように根深い紛争、ディープルテッド・コンフリクトと言いますけれども、そういう後においては女性がただ一人家計の責任者として残されているという場合などが多いので、例えば、マイクロクレジットシステムですとか、女性が融資を受けやすいような特別の復興のための支援ですとか、あるいは教育においても女児のためにイヤマークした教育支援ですとか、そういった具体的なことを是非東京会議の中でも提案していただければと思います。
福田内閣官房長官
では、古橋議員どうぞ。
古橋議員
1つは農林水産省の関係でありますけれども、女性の経営参画について今回調査をされたことについては大変時宜を得たものと感謝をいたしておりますが、更にこれを深めていただきたいということでお願いをいたしたいと思います。
1つは、今回の調査の中で女性の経営参画とその法人の規模ですね。法人就業者がどの程度いるのか、あるいは売上げがどうなっているのか。そういうようなところとの関係をもっと検討する必要があるので、そういう関係の資料があったら出していただきたいということであります。
それから、私は前から農業法人の推進を強く言ってきたのでありますけれども、女性が経営に参加していなくても、法人化することによって法人に雇われる女性はいろいろな意味において勤務条件が近代化される、報酬がはっきりする、勤務時間がはっきりする、帰宅時間もはっきりする、あるいは労働の代替もできるというようなことによって、農村における女性にとってメリットがあるのではないか。そういうことによってかえって経営に参加したから忙しくて困ってしまうとか、人間関係が大変だというようなことがなくなるので、そういう点の調査を是非やっていただきたいと思います。
ただ、今回の場合は非常に経営規模の小さいところですからそうはなっていないのかもしれませんが、もう少し大規模で農業法人化したものについては、そういったメリットが目に見えると思いますので、それを併せて考えていただいて農業法人化を進めていただきたいと思いますので、そこら辺の実態調査をお願いいたしたいということが第1点であります。
それから、例えば外務省職員とその配偶者が共稼ぎで、どちらかの配偶者が転勤を命じられたという場合について、もう一つの配偶者の方がそれに付いて行けないということになると、どうしてもそこで問題が出てくると思うんです。したがって、そういう場合に配偶者が地方へ行ったとき、外国に行ったような場合においては、その配偶者についてはその職場において休業制度を認めるということ。そして、戻ってきたときに必ず元の職場に戻れるような休業制度を考えていかないといけないのではないかと考えておりますので、今回検討なさるということであるならば、そういうことも含めまして検討していただきたいと思います。
日本においては単身赴任というのは当たり前となっておりますけれども、それを私は全く非常識なことだと思っておりますので、片方の配偶者が転勤になった場合、夫婦でそこに一緒に転勤する。そして、現在の職場を離れるという場合においては、それについて休業というような制度を一般的に認めるべきだと思います。外務省の場合においては特に海外に行ってしまうわけでありますし、そういうような制度について特に検討していただきたいと思います。
福田内閣官房長官
では、手短に遠藤議員代理お願いします。
遠藤議員代理
法人の規模はものすごい落差があるものですから、なお精査したものをお届けするようにいたしたいと思います。
それから、子育てとか家事とか、そういうものは別の問題として、やはり介護休暇だとか育児休業だとか保育園だとか介護施設だとか、そういう要望も結構多いんですが、これは農水省の分野を離れるわけです。ですから、せっかく各府省に副大臣を本部長とする男女共同参画推進体制があるのですから、いわば副大臣による会合でもして少しグローバルな横の連絡を取ったものでないと、そういうハード面の整備というのは、困難かなと思っています。
福田内閣官房長官
では、山口議員どうぞ。
山口議員
農林水産省が募集した男女共同参画の論文の審査を務めさせていただきましたが、今のお話以外にも大事な点があります。要望の中には、20年以上農業経営に従事していれば女性も農地の名義が持てるような制度の検討をしてほしいというものがありました。それからもう一つは、農業のプロフェッショナルの資格制度です。農業のプロフェッショナルと言っても名刺もないと農業女性が発言しています。そういう人たちが名刺を持てるような制度や名称が必要だということを痛切に感じました。私はそういうプロフェッショナルな、特に農業を支える女性には農業士のような資格制度を検討すべきだと思っています。
第2点、先ほど外務省の方からお話を伺ったことですが、在外赴任が多い。実はこの間、UNHCRでアフガンの活動をやっている若い女性が、そこで選挙をしたいけれども登録をしている間に選挙の期間が終わってしまうという話を聞きました。ですから、もう少し簡潔に参政権が行使できるように御検討をいただきたい。ちょうど在外赴任の話が出たのでそういうことも御配慮いただきたい。これだけでございます。
福田内閣官房長官
住田議員どうぞ。
住田議員
時間をいただきましてありがとうございます。私は先ほど狩野議員代理から御報告がございました、女性のライフスタイルの変化等に対応した年金検討会の委員としまして、1年半にわたりまして議論に加わってまいりました。これについては行きつ戻りつして、方向性を少しは出したものの、明確に打ち出せなかったところもございます。今後、年金部会の方で本格的に議論が始まったということですので、是非国民的議論を更に広げて認識を深めていただきまして、真に女性自身の貢献が実る年金制度としていただきたいと心から期待しております。
福田内閣官房長官
時間の関係で、どうしてもということがあればどうぞ。
植竹副大臣
先ほど外務省でも一時休業制度の導入を検討すべきとの御意見もありましたが、休業制度の問題は、公務員制度全般に関わる問題だということが1つ。それから、アフガニスタンでは女子の学校支援等も検討しております。それから、家族をもっている女性が海外赴任する場合は、御主人が残って家族全体が行くという場合が多いです。この問題を解決しないといけないものですから非常に問題ですが、御意見があったことはよく検討いたします。以上です。
福田内閣官房長官
ありがとうございました。
それでは、時間になりましたので進めさせていただきます。資料5、第4回会議の議事録についてでございますが、既に皆様には御確認をいただいております。本会議終了後、公開することを予定しておりますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)


御異議がないようですので、原案どおりとし、本会議終了後、速やかに公開いたします。
以上をもちまして、本日の男女共同参画会議は終了いたしますが、本会議の資料につきましては公表することといたしますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)


それでは、申し上げましたとおりの扱いとさせていただきます。なお、後日あらかじめ発言者の確認を得た上で発言者名を明記した議事要旨を公表することといたしておりますので、出席議員におかれましてはそれまでの間は自らの発言の除き、対外的な公表は慎重に取り扱われるようにお願いいたします。次回の会議につきましては、別途御連絡を申し上げます。
本日は大変ありがとうございました。御苦労様でございました。

(以上)