NEWSLETTER(最終号)

7 「聞く会」開催される

「女性2000年会議日本国内委員会有識者部会」及び「男女共同参画推進連携会議企画委員会」の主催により、「国連特別総会「女性2000年会議」について聞く会」」が7月4日に日本学術会議講堂において開催され、岩男首席代表を始め、目黒顧問、橋本顧問、中村顧問から女性2000年会議に関する報告がありました。会場には、都道府県、NGO、報道関係者の方々など211名が集まり、女性2000年会議に関する関心の高さが伺われました。

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岩男首席代表(男女共同参画審議会会長)

今回の会議には首席代表として参加したが、主な役割は、我が国ステートメントの表明、二国間会談、主要国主催レセプションへの出席等公式・非公式行事への対応、会議交渉グループJUSCANZ(日、米、加、豪、NZ、ノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタイン、韓国)の戦略会議への出席であった。

本会議(初日の5日午後)には、我が国ステートメントを表明した。このステートメントは「女性のエンパワーメント」、「女性の人権の尊重」、「パートナーシップに基く強い政治的意志と行動」の3つを内容とするものである。

また、会期中、エジプトのムバラク大統領夫人、カナダのフライ女性担当大臣、韓国のパック大統領女性問題諮問委員会会長等の11ヶ国の首席代表と二国間会談を行った。会談では自国の男女共同参画社会の形成に向けた施策について情報交換を行うとともに、各国に対し、今回の会議を成功に導くため、難航している協議の合意を促進するよう働きかけた。その他、日本の国際貢献を示すため、来年12月に我が国が横浜市において開催を予定している「第2回児童の商業的その他の性的搾取に反対する世界会議」について参加を呼びかけ、各国からは高い関心が寄せられた。

目黒顧問(国連婦人の地位委員会日本代表)

3月の準備委員会に引き続き、今回の会議開催1週間前に開かれた準備委員会から特別総会に係わってきた。本来であれば、準備委員会で採択予定文書は固まっているものであろうが、「政治宣言」の案文は3月の時点で固まったが、「成果文書」については、3パラグラフが合意されているのみで特別総会を迎えた。特別総会では、早く「成果文書」の案文の一読を終える様 、連日連夜、協議が行われた。アド・ホック全体会合で、あるパラグラフの内容、文言で協議が紛糾すると、コンタクトグループ(非公開政府間協議)にそのパラグラフの検討が移され、そこで解決しない場合、更にその問題に深く係わる当事国同士が小グループで検討し、その結果をコンタクトグループ、全体の会議へと上げていく方式で協議が行われた。常に、いつ何が、課題として紛糾するかわからない状況であっため、緊張の毎日であった。

会議は、セクシャル・オリエンテーション、セクシャル・ライツ、一方的制裁等を巡り紛糾し、進展は、はかばかしくなく、途中、NGOから「行動綱領より弱い内容になっている」といった指摘がされる等「成果文書」を採択できなくなるのではないかと思われる厳しい局面もあった。しかし、文書は必ず採択するべきであるという国連を始めとする働きかけもあり、会期を1日延長の上、採択に至った。

「成果文書」が採択されること自体が女性にとって重要であり、かつ「成果文書」は行動綱領と合わせて読むべきものである。

これまで開催された女性会議を振り返ってみると、「平等」が関心の中心であったが、第2回から「開発」が中核に入り、今回は「平和」、特に平和構築における女性の役割が注目されるようになったのが特徴である。

橋本顧問(十文字学園女子大学教授)

今回政府代表団に顧問として協議に加わったことで、NGOでは必ずしも見ることのできない政治的な交渉に係わることができ、貴重な経験を得ることができた。

役割としては、主に「成果文書」の第1章~3章の協議に参加した他、暴力、セクシャル・オリエンテーション等について協議するコンタクトグループに参加した。例えば、セクシャル・オリエンテーションに関する協議では、13ヶ国がセクシャル・オリエンテーションに基づいて差別しないことを憲法や法律に入れており、それらの国々が「成果文書」にも同様の主旨を入れようとしたが、これに反対する諸国との間で協議が紛糾し、主義・主張の違いを目の当たりにした。

今回「成果文書」が採択されたが、行動綱領はまだ生きている。「成果文書」は行動綱領の実施状況の評価であり、「成果文書」は行動綱領と対にして使うべきものである。

中村顧問(国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会世話人)

今回の会議では、北京会議のようなNGOフォーラムは開催されなかったが、CONGO(経済社会理事会の協議資格を有するNGOの連合)は会議への参加者約2,000名、国連外で活動していたNGO約2,000名に配慮し、開・閉会式を国連ビル外で行なった。アナン国連事務総長は開会式に出席し、NGOを激励した。

日本からは、会議への参加資格を持つNGO29団体からの約60~70名に加え、500~700名の日本人がニューヨークを訪れたと思われるが、これは、(1)今回の会議が20世紀最後の会議である、(2)女性に関連する情報をいち早く入手したい、(3)自分達の日頃の活動の成果を発表したい、(4)内外の会議参加者との意見交換と交流をしたい、といった理由であろうと思われる。

国連の外では、日本のNGOが、日本の女性の現状を紹介するパネルディスカッション等を行い、多数の外国NGOの参加を得るなど活発な活動が繰り広げられ、日本の女性の実力を発揮するよい機会だったと思う。

今回の会議に先立ち、各国政府報告に対するNGOレポートをとりまとめたNGOオルターナティブ・グローバルレポートを国連に提出したが、ナミビア国連特別総会議長は「NGOは人類のために運動しており、これをなくして女性の発展はない。政府代表団はNGOを失望させてはいけない。」とコメントしたことを特に御伝えしたい。

(文責:総理府男女共同参画室)

女性2000年会議の終了に伴い、このニューズレターも今回が最終回となります。今までご愛読いただき、ありがとうございました。

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