NEWSLETTER(第2号)

4 欧州評議会ジェンダー主流化会議

欧州評議会男女平等委員会の会合が、平成11年9月16日~18日、ギリシャのアテネで開催されました。今回のテーマは、女性2000年会議の主要テーマの一つである「ジェンダーの主流化」で、「21世紀へのステップ」と位置づけられました。日本からは有馬真喜子前国連婦人の地位委員会委員が出席し、去る11月9日の聞く会において、有馬前委員から会議の報告がありました。ここでは、その報告を基に、この会議についての概要をご紹介します。

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<概要>

全体会では欧州評議会男女平等委員会議長(フランス)が議長を務め、ギリシャの両性の平等委員会事務局長、スウェーデンの男女平等相等が基調報告を行った。基調報告では1) “伝統的な”男女平等政策と主流化政策との相互作用、2) ジェンダー主流化の前提条件及び主流化促進のための方法論、3) 政治的意思やポジテイブ・アクション(積極的差別是正措置)の必要性及び方法論が主な問題意識として取り上げられた。但し、“伝統的な”男女平等政策と主流化政策の違いや、ジェンダーの主流化とは何かといった抽象的議論は避け、全体会に続くワーキング・グループの場で各国におけるジェンダーの主流化の実践を紹介することに主眼が置かれた。それは同時に、具体例に基づいて議論を進めることで、主流化の概念を導き出そうとする試みであるようだった。

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<全体会>

欧州評議会男女平等委員会の会合が、平成11年9月16日~18日、ギリシャのアテネで開催されました。今回のテーマは、女性2000年会議の主要テーマの一つである「ジェンダーの主流化」で、「21世紀へのステップ」と位置づけられました。日本からは有馬真喜子前国連婦人の地位委員会委員が出席し、去る11月9日の聞く会において、有馬前委員から会議の報告がありました。ここでは、その報告を基に、この会議についての概要をご紹介します。

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<ジェンダーの主流化の定義>

なお、欧州評議会では男女平等委員会というものは非常に力を持っている。同委員会は北京行動綱領のフォローアップとしてジェンダーの主流化が最も重要であると認識し、1996年からジェンダーの主流化についての専門家会合を立ち上げている。その専門家会合の結果、ジェンダーの主流化が以下の通り定義付けられた。「通常の政策の形成に関わるすべての者によって(つまり、日本でいえば総理府男女共同参画室だけというのではなく、すべての者によって)、そしてあらゆるレベルや場面において、男女平等の視点が盛り込まれるように、政策形成のプロセスそのものを組み替えたり、つまり改組したり、改善したり、発展させたりし、そしてその評価を行うこと。」

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<ワーキング・グループ>

ワーキング・グループのテーマはいずれも「ジェンダーの主流化の実行」であり、各国の具体的なプロジェクトが紹介された。その内容は多様で、レベルもマチマチであった。その中で特に注目を集めたプロジェクトは、ノルウェーのジェンダーバイアスのない義務教育をめざした取組、カナダの私人の課税、スペインの家庭内暴力防止のための行動計画、イタリアのジェンダーの主流化のためのレシピ作り、オランダの人材資源マネージメント等があるが、ここでは以下の2つのプロジェクトについてその詳細を紹介する。

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●ノルウェー:ジェンダーバイアスのない義務教育への取組「ちゃんとしていることは楽しい-It is fun to be nice-」

ノルウェーのある地方では、6歳からの義務教育の段階で、とかく引込み思案になりがちな女子を見える形にしていこうという試みを行っている。具体的には、女子が発言をした際には自信を持たせ るように褒める。ネガティブにチェックしていくよりは全体として褒める。男子に対しては、問題を解決する方法として、殴り合いをする等、暴力で物事を解決するかわりに言葉で解決するよう教える。つまり、双方の持っている価値を認めさせていくことを目的としている。この取組を実施していく中で認識されたのは、子どもよりはむしろ教師、父母といった大人の態度に問題があるということである。大人がついステレオタイプなジェンダーの概念を持って子どもに接していることが問題であるということが認識され、結果として大人が一番襟を正すこととなった。

●カナダ:ジェンダーに配慮した統計に基づく税制改正の試み

ケベック州の財務省によって行われている試み。課税の対象者を性別やタイプ・オブ・ハウスホールド(その世帯が父・母・子どもという世帯であるのか、女性が世帯主である世帯であるのか等)、収入、年齢、子どもの数、主な収入・副収入はどこから来るのか等、細かく分類し、また様々な統計の取り方をして、それによって課税の在り方に多様性を持たせることが検討されている。本年から開始されたプロジェクトであり、まだ統計を作成している段階であるが、すでにジェンダーの視点を取り入れた統計の重要性が認識されている。

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<日本からの報告>

日本からは「男女共同参画社会基本法」の成立と行政改革に伴う国内本部機構の組織・機能強化を報告し、基本法に基づく個別法の制定が今後の課題であることを紹介した。

ミニ知識

欧州評議会とは

1949年、西欧10ヶ国が人権、民主主義、法の支配という共通の価値観の実現を目指して設立した国際機関。加盟41ヶ国。日本は米、加とともにオブザーバー。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019