女子差別撤廃条約実施状況第4回報告(仮訳)

7. 第8条

(1)国際分野における政策決定への参画状況
1)国際会議への女性の参加

各種国際会議への政府代表団等の女性メンバーは増加傾向をたどっているが、我が国の女性が参加した主な国際関係会議の例(1994年度以降、代表又は代表代理、顧問)は次の通りである。

  • 国際労働機関第81回総会(顧問)
  • 国際連合アジア・太平洋経済社会委員会主催
    第4回世界女性会議のための地域準備会合閣僚会議(代表)
  • 国際人口・開発会議(顧問)
  • 国際労働機関理事会(常任)(代表代理)
  • 第38回国際原子力機関総会(代表)
  • 国際連合第49回総会(代表代理)
  • 日米環境保護協定に基づく第10回合同企画調整委員会(代表代理)
  • 第5回日米科技協定合同高級委員会(代表)
  • 社会開発首脳会議(顧問)
  • 核兵器の不拡散に関する条約再検討延長会議(代表)
  • 第4回世界女性会議(代表、代表代理)
  • 国際連合第50回総会(代表、代表代理)
  • 児童の商業的性的搾取に反対する世界会議(代表)
  • 国際連合第51回総会(代表、代表代理)
  • 環境と開発に関する国連特別総会(代表)
  • 国際連合第52回総会(代表代理)
2)第4回世界女性会議への参加

我が国政府は、国連の指針に基づいて「第4回世界女性会議に向けての日本国政府ナショナル・レポート」を1994年6月に作成し、同年9月、英文版レポートを国連に提出し、本会議に向けて日本の女性施策、女性の現状について各国の理解を得るために各種資料を作成し、政府間会議やこれと並行して開催されたNGOフォーラムの参加者へ配付した。また、これらの会議の参加者の我が国女性及び社会全般に対する正しい理解を促進するため、男女共同参画社会の形成に向けて様々な分野で活躍している我が国女性の現状等を図表とパネルで紹介する展示会を開催するとともに、NGOとの交流会を開催し互いに連携・協力関係を築くことに努力した。

「女性NGOフォーラム北京'95」には、日本のNGOから約5000人が参加し、エンパワーされた女性達が帰国後、さらに全国で活動を展開している。

3)国際機関等への女性の参加

国連事務局における日本人職員に占める女性の比率は、1997年6月末には57.5%となっている。

また、国連を含む主な国際機関においては、専門的な事業に携わる日本人の女性職員の数は1994年 には180人であったが、1997年には230人となっており、増加している。1997年10月末現在活躍している日本人の女性幹部職員としては、国連の緒方貞子難民高等弁務官を始め、ILO事務局長補、UNESCO人事局長、国連公共経済行政部長、ESCAP事務局次長等が挙げられる。

4)女性の大使

我が国の女性の大使は、歴代6人であり、うち1人が現在駐トルコ大使として在任中である。

5)WID(Women in Development:途上国の女性支援)

我が国は、従来、国連や経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)等をはじめとする国際社会における動向を踏まえながらWIDを推進してきており、また、政府開発援助大綱(1992年6月30日閣議決定)において、援助の効果的実施のための方策のひとつとして、「開発への女性の積極的参加および開発からの女性の受益の確保について十分配慮する」と明記している。

このような基本的な考え方にたち、我が国は1995年9月に北京で開催された第4回世界女性会議において「WIDイニシアティヴ」を発表した。

このイニシアティヴは、我が国が開発援助の実施に当たり、就学、就業、出産、経済・社会活動といった女性の一生のすべての段階を通じて、女性の地位の強化と男女格差の是正に配慮し、女性の「教育」、「健康」、「経済・社会活動への参加」の3つの分野を中心に、開発途上国及び他の援助国、国際機関、NGOとも協力しつつ、WID分野の開発援助の拡充に努力していくというものである。

我が国は、個々の援助案件について、その形成、実施、評価といったすべての段階において、また、技術協力、無償資金協力、有償資金協力、NGO事業補助金など援助形態に応じて女性の参加と受益に配慮するよう努めている。特に、草の根レベルで女性を支援し、きめの細かい援助を実施するために、草の根無償資金協力、NGO事業補助金の活用、青年海外協力隊員の派遣などを実施している。

なお、「WIDイニシアティヴ」の3つの重点分野の具体的な目標と協力の例 は次のとおり。

(i)教育

2005年までに、開発途上国における6歳から11歳までの男女格差をなくし、また、2010年までに開発途上国の6歳から11歳までの女子のほぼ全員が男子と同様に学校教育を受けられることを目指す努力を支援する。

(例)女子教育の教科書、教材の作成、普及/教員の養成/女子教育、訓練のための施設、設備の整備/成人女性の識字教育の促進

(ii)教育

2010年までに、妊産婦死亡率(出生10万人当たりの妊産婦の死亡者数)を200以下に下げることを目指す努力を支援する。また、出産に対する圧力を軽減するという観点から、2015年までに、乳児死亡率(出生1000人当たりの1歳未満の子供の死亡者数)を35以下に下げることを目指す努力を支援する。

(例)基礎保健医療体制の整備、強化/基礎衛生栄養教育の促進/母子保健サービスの強化(乳幼児の健康診断、予防接種、栄養相談)/家族計画の普及/基礎データの整備能力の向上

(iii)経済・社会活動への参加

女性のための適正技術の研修・訓練の場の提供、女性の労働環境の改善、女性問題関連の法律、制度の整備のための協力を行う。また、経済活動への女性の参加を促進する上で、女性の起業家が多い零細企業の育成を支援していくことが有益であり(我が国は、女性の経済的自立を支援する事業として、既に、インド・小企業育成計画に対する円借款供与、バングラデシュ・グラミン銀行に対する円借款供与等の実績あり)、かかる女性に対する支援制度の導入を支援し、また、資金協力等の積極的支援を行う。

(例)組織化のための助言、指導(例:機材供与や貸付の対象となり得る同業組合の設立)/零細企業の育成、その他経済・社会活動への参加に資する機材供与(例:縫製業支援のためのミシンの供与)/零細企業に対する支援制度への資金協力

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