APECにおける女性の統合のためのフレームワーク(仮訳)

1998年の女性問題担当大臣会合においては、APECにおける女性の統合を加速すること並びに「これらの勧告及び結果に対する説明責任を確実に実行すること」といった一連の勧告がなされた。実行のための戦略はまた、APECの首脳の「APECの活動の主流に女性を統合するための次のステップを決定する」(APEC首脳会合、バンクーバー、1997年)とした指示に対応するものでもある。

実行戦略は、女性をAPECに組み入れるための重要な活動を詳述したものであり、APECがその目標としている継続的かつ持続的な経済発展及び地域の女性と男性のさらなる繁栄の達成を支援するものである。実行戦略は、変化が多数、また随時生じることを認識したものである。戦略は、各APECのフォーラムが資源の配分を含む最も効果的な実行の道筋を策定することができるよう融通の利くものとなっている。

フレームワークの実行を成功させるためには、フレームワークに関する意識の養成、ジェンダーを組み入れた政策やプロジェクトのよい事例に関する知識の獲得、APECのジェンダー統合に関する経験の修得といったジェンダー分析における能力形成のための一定の移行期間が必要である。実行にはまた、組織のすべてのレベルにおけるコミットメント、APEC全体にわたる進捗状況の管理と監視、その過程において支援を行うジェンダーの専門家が必要である。よって、戦略では、1年ごとに進捗状況のレビューを行うことを条件とし、2年間の移行期間を見込んでいる。

実行戦略

APECにおける女性の統合のためのフレームワークの実行に対する責任は、APECのあらゆるレベルにおいて、また、APEC全体を通じて分担されている。その横断的な性質、また、調整と監視のマンデートのため、高級事務レベル会合(SOM)がフレームワークの確実な実施に関し主要な責任を負う。

A.APECの政策と活動の効率性を最大化し、女性の経済成長における役割と貢献を強化するために、以下のことを勧告する。

あらゆるAPECのフォーラムは:

  • 女性の役割と貢献を精査し、彼女たちの貢献に対する障壁を見つけ、フレームワークに沿って障壁を除去するための適切な措置を取ること(例えば、1998年の女性問題大臣会合の準備で行われた、中小企業、科学技術、人材養成の分野における分析を基にするなど)。
  • プロジェクトや活動、特に意志決定における女性の関与と参画を高めることを奨励すること。
  • 会合、プロジェクトその他の活動における女性の参加に関する性別データだけでなく、それぞれの主題の分野における性別データを収集し活用すること。
  • ジェンダー分析の原則と方法を、作業計画の進行部分として、また、プロジェクトデザイン、実行、評価、報告、勧告のような活動に組み込むこと。
  • APEC及びエコノミーレベルにおける効率的なジェンダーの統合を例示するような、政策、プログラム、プロジェクトについての良い取組を文書化し共有すること。

B.フレームワークの実行の進捗を調整し、円滑にし、監視するため、以下のことを勧告する。

あらゆるAPECのフォーラムは:

  • 女性の統合のためのフレームワークを促進し実行すること。
  • ジェンダー分析(1999年の人材養成ワーキンググループにおいて始められたように)及びフレームワークの適用に関する情報セッションの開設を通じて能力形成を確保をすること。

高級事務レベル会合(SOM)は:

  • ジェンダーの統合が政策決定の有効性を高める作業の一部であることを明確にするような方向性を、すべてのフォーラムに提供すること。
  • プロジェクト提案の開発を行うための、また、プロジェクトの承認を行うための基準の一部としてジェンダーが組み込まれることを確保すること。
  • 大臣及び首脳に、女性と男性についての勧告及び決定の示唆することを知らせるよう行動を起こすこと。
  • 金融・経済危機の女性に与える影響、復興措置についてジェンダーの視点から示唆されることといった優先事項について、及び1998年の女性問題担当大臣会合の勧告に照らした場合の女性の経済成長と将来の繁栄に対する貢献についての研究とさらなる調査を促進すること
  • APEC全体にわたりフレームワークの実施を監視し、確実なものとすること。ジェンダーの統合についてのSOM Ad Hoc Advisory Groupの形成などにより、フレームワークの実施の組織的な能力を強化すること。Ad Hoc Advisory Groupの役割は、フレームワークの実施についてSOM及び他のAPECのフォーラムに対し、ジェンダーについての助言及び専門的意見を提示することとなろう。このGroupは、フレームワークの実施のための個々のフォーラムの責任と説明責任を補完するものである。重要な過渡的措置は以下のようなものであろう。
    • ○プロジェクトの提案、承認及び評価のためのジェンダーに関する基準を開発・推奨する
    • ○フレームワークの実施に関して成し遂げた進歩についてのSOMの各年毎の監視のための様式とプロセスを開発・推奨し、結果を分析すること。
    • ○様々なAPECフォーラムのために、フレームワークやジェンダー分析についての情報セッションを設置することを支援すること。
    • ○APECのフォーラムやエコノミーにおけるジェンダーの組み込みに関する最良の取組の収集を監督すること。それは様々なフォーラムの取組を連携させ、ジェンダー分析・主流化についての実際的なアイディアを提供するものである。
    • ○ジェンダーの統合に関する次のステップ及びフレームワークのさらなる実行についての勧告を行うこと。

ジェンダー統合についてのSOM Ad Hoc Advisory Groupは:

  • ジェンダーの専門家をメンバーに有する。
  • すべてのエコノミー及び他のAPECのフォーラムからの代表に対して開かれている
  • 可能な限り電子的手段で運営される。
  • 1年毎にリードエコノミーを指名する。

Ad Hoc Advisory Groupのマンデートは期間の終わりのレビューを条件とする2年間である。

APEC事務局は:

  • 印刷物及び電子的な形態で、APECにおける女性の統合のためのフレームワークを普及させる。
  • ワーキンググループと他のフォーラムがSOM、大臣会合、首脳会合に対する報告を行うための毎年のプロセスを調整し、今後のジェンダー統合に関するSOM Ad Hoc Advisory Groupによる分析に備え、女性の参加に関するデータの収集を含む、フレームワークの実行に関しなされた進歩についての報告を準備する。
  • APECのウェブサイトを拡大する: - ジェンダーの統合についての最良の取組を公表するといった、APECの中でのあらゆるジェンダー関連の活動を網羅するようジェンダーについての個別のセクションを含める。
  • - ジェンダーの用語と定義、ジェンダー分析、ジェンダーの主流化、ジェンダーに敏感な指標及び性別データについての追加的な情報源として、女性指導者ネットワーク(WLN)、世界銀行、アジア開発銀行その他のような、他のサイトとのリンクを設ける。

付録 I.APEC女性問題担当大臣会合共同声明
(省略)

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