平成16年度男女共同参画グローバル政策対話


テーマ: 男女共同参画推進のための新たな課題と戦略
  −ポジティブ・アクションによる女性の参画推進−


東京会議の結果概要

1 日 時  平成16年12月3日(金)13:00〜17:30
2 場 所  女性と仕事の未来館4階ホール(港区芝)
3 参加者数 約150名
4 概 要
 冒頭、名取男女共同参画局長より開会の挨拶がなされた。

【基調講演】
 スウェーデン王国のリセ・ベリー法務省男女共同参画担当副大臣より、「スウェーデンにおけるジェンダー主流化の取組み」と題する基調講演が行われた。
 冒頭、スウェーデンのジェンダー平等政策の基本目的は生活における全ての分野で男性と女性が同等の権利を持つことが前提であるとしたうえで、この平等政策は男性と女性 双方に対して好影響を与え、同時に経済的な独立に貢献するもの、との見解が述べられた。
 次に、スウェーデンにおける男女共同参画状況について、国の議会、地方議会、国営・民間企業の役員における女性の割合などの紹介があり、国の議会では女性議員が現在 45%を占めているが、50%に増やす目標を設定していることや、国営企業の女性役員割合は現在40%であるが、さらに引き上げる計画があるなど、ジェンダー先進国ならではの 現状・取組の報告があった。
 また、今回のシンポジウムテーマであるポジティブ・アクション(積極的改善措置)について、スウェーデン政府で行われている各種施策の紹介、例えば財務省における男女個別 の課税方式への転換、社会保健省におけるヘルスケアと社会保障の見直し、文化省における映画製作現場での女性勤務形態の改善措置などが報告された。
 その他、会場からの質問に応じ、リセ・ベリー副大臣より、男性を家事などへ積極的に参加させるための秘訣や、スウェーデン政府のポジティブ・アクション施策の具体的内容な どについて説明がなされた。

【基調報告】
 目黒依子上智大学教授のコーディネートにより、「ポジティブ・アクションによる女性の参画推進」と題して、5名のパネリストによる基調報告が行われた。はじめに、ドイツから招 へいした国連女子差別撤廃委員会委員のハンナ・ベアテ・シェップシリング博士から、女子差別撤廃委員会一般勧告第25号の「暫定的特別措置」についての説明があっ た。次に、韓国ジェンダー平等省のヨン・ヤン・ソク女性政策局長から、韓国の男女共同参画状況と政策の紹介があり、東北大学大学院の辻村みよ子法学研究科教授からは、日 本において政治分野のポジティブ・アクションの進展が遅れていること、またこれを推進するための法的課題などが報告された。さらに、株式会社リクルートの河野栄子会長から は、日本の民間部門、企業経営者の立場で現状を振り返りつつ、「多様な人材を活かし、企業の成長と個人の幸せをつなげる」ものとして、ダイバーシティ・マネージメントの実践が 重要であることが指摘された。最後に、海外の民間部門からゼネラル・エレクトリック(以下、「GE」)社が、日本を含む20カ国以上で同社が展開するウィメンズ・ネットワークの設立メ ンバーであるマリーローズ・シルベスター氏により、社員のやる気を喚起させ「成長したい」と社員自らが思うことのできる啓蒙活動と会社の人事制度を活用した好事例の紹介を 行った。

【パネル・ディスカッション】
 基調報告に引き続き、基調講演者のリセ・ベリー副大臣を加えたパネル・ディスカッションが行われた。
 まず、壇上の6名により、基調講演や基調報告で述べられた内容についてのディスカッションを行った。具体的には、政策・意思決定過程における女性の参画に関し、パネリストそ れぞれの国における女性議員数やクォータ制導入有無についての意見・情報交換が行われ、また女性議員の数にこだわるよりも、女性の意思が反映される社会の実現を推進す るものが選出されるべき、との考え方が示された。この他、リクルート社、GE社双方がキーワードとして言及しているダイバーシティ(多様性)の実践などについて議論がなされ た。
 引き続き、会場からの質問・意見に基づき、さらにディスカッションが展開された。会場の女性参加者から、日本女性の多くは生活の糧を得るのに精一杯の状況にあり、男性と同 等の経済力を女性も持つことが必要とのコメントがあり、海外パネリストの共感を得ていた。また、地方公務員の男性参加者からは、国と地方の政策が異なる場合はどのように対 処すべきなのかという質問があり、これに対しパネリストからは、政策を検討するにあたり十分な調査・モニタリングが重要であること、政策の推進は中央政府から地方政府への一 方向ではなく、地方から盛り上げてゆくことも重要であることが指摘された。
 最後に、目黒教授より、本日論じられた意見を各自がそれぞれの立場で実践・取り込んでいくことが肝要である旨コメントし、議論を締めくくった。

福島会議の結果概要

1 日 時  平成16年12月5日(日)13:00〜16:20
2 場 所  女と男の未来館(二本松市)
3 参加者数  約220名
4 概 要
 冒頭、主催者を代表して、内閣府から土肥原大臣官房審議官、福島県から佐藤県知事(代読)、下村女と男の未来館館長より開会の挨拶がなされた。
 
【基調講演】
 スウェーデン王国のリセ・ベリー法務省男女共同参画担当副大臣より、「スウェーデンにおけるジェンダー主流化の取組み」と題する基調講演が行われた。(内容は東京会議と 同様)

【パネル・ディスカッション】
 国連女性開発基金(ユニフェム)日本国内委員会理事長・横浜市女性協会顧問の有馬真喜子氏がコーディネーターを務めるなか、海外パネリストによる基調報告(東京会議と 同様、但し、GEはウィメンズ・ネットワーク・ジャパン共同議長の山下美砂氏に交代)が行われた後、福島会議の日本人パネリストである福島県立医科大学の藤野美都子教授か ら、県の男女共同参画推進条例前文にあるような「男女の実質な平等の実現が阻害され、様々な分野における方針等の立案から決定までの過程への女性の参画も進んでいな い状況」について、地方議会における女性議員割合が全国最下位、県公務員における女性管理職の割合が同44位という福島の現状を具体的に示すとともに、福島県が行うべき3 つの施策(県職員の意識改革、県内企業における男女共同参画実態調査の実施と実態を踏まえた改善策実施、県市町村トップの意識改革)を訴えた。
 後半は、会場からの質問・意見を受けながらディスカッションを進めた。スウェーデンの育児休業制度についての会場の質問に対し、リセ・ベリー副大臣より、スウェーデンでは女 性が15か月間有給で育児休暇を取得することができるが、夫ももっと育児休暇を取るべきとの主張と、夫には育児を任せられないとの主張があり、法案づくりの検討が続いている 旨の説明があった。
 また、「日本の若い女性は現状に満足し、さらに改善する必要性をあまり感じていないようだ」との会場のコメントに対し、ドイツでも同じ課題を抱えている(シェップシリング博士)、 スウェーデンでは世代間の認識の違いと捉えている(リセ・ベリー副大臣)、GE社のウィメンズ・ネットワークを立ち上げる際にも同様の課題があった(山下氏)など、パネリストから それぞれコメントがなされた。さらに、「日本の企業では不景気になると女性から先に人員削減されてしまう」との会場のコメントに対し、GE社より「企業のミッションは利益をあげる ことであり、ダイバーシティを掲げる企業が人員削減を行う場合は、男女の差ではなくあくまでもその企業に対する貢献度から判断されることになろう」とのコメントがあった。