第13回男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会議事録
1 日 時 平成14年6月14日(金)10:00〜12:00
2 場 所 内閣府3階特別会議室
3 出席者
島野会長、原会長代理、大津委員、奥山委員、戒能委員、垣見委員、北村委員
小谷委員、佐々木委員、住田委員、瀬地山委員、林委員、前田委員、若林委員
4 議 事
(1) 開会
(2) 児童買春について
ア ヒアリング
宮本潤子 ストップ子ども買春の会代表
イ 自由討議
(3) 閉会
(配付資料)
○島野会長 ただいまから男女共同参画会議「女性に対する暴力に関する専門調査会の第13回会合を開催いたしま す。
議事に入る前に御報告いたします。本日付で当専門調査会の委員として東京大学大学院総合文化研究科瀬地山角助 教授をお迎えすることとなりました。それでは、瀬地山委員、1分程度で自己紹介をお願いいたします。
○瀬地山委員 はじめまして、瀬地山と申します。
ジェンダー論を専門にやっております。ただ、セックスワーカーの権利の運動などにも少し関わったりしているものです から、この委員会のテーマと委員の先生方のお名前を拝見したときに、「私は袋だたきをされに行くのでしょうか」というふ うに事務局の方にお伺いしたら、「そうかもしれません」というふうに言われました。どうぞよろしくお願いいたします。
○島野会長 多分、そんなことはないと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題に入ります。
本日は、トラフィッキング以外の売買春について検討することとなっております。
まず、初めに内閣府から説明があります。内閣府村上課長お願いいたします。
○村上内閣府男女共同参画局推進課長 内閣府から日本における売買春の現状について簡単に御説明いたします。
資料1『日本における売買春の現状について』というレジュメと『売買春関係事犯検挙件数等グラフ』と『売買春関係規定 等』の3つをお配りしております。
レジュメに沿いまして、売買春の処罰規定、検挙件数等、売買春の類型の順で説明をいたします。
まず、売買春の処罰規定ですが、(1)売春防止法の「目的」のところにありますとおり、売春そのものではなくて、「売春を 助長する行為等を処罰する」ことによって売春の防止を図ろうとしているわけです。売春の定義として、イ「売春とは対償 を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう」という3要素が必要になります。
処罰される行為については、ウに挙げられているとおりで、<1>「勧誘等」の「勧誘」は、売春を行う本人が公衆の目にふ れるような方法で勧誘すること等を処罰しますが、<2>「周旋等」以下の項目は第三者の処罰規定であります。
法の第3条で「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」と規定されていますが、罰則はございません。こ れが売春防止法の概略で、規定そのものは「売買春関係規定等」を御覧いただければと思います。
次に、(2)「児童売春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護に関する法律」ですが、児童買春とは、レジュメ の2ページのイに書いてあるような行為です。売春と異なり、性交のみに限定されてはおりません。「性交等」とは、※の 部分に説明があります。処罰される行為はウに書いてあるとおり、売春防止法とは異なり、買うこと自体が処罰されており ます。
次の3ページですが、刑法で13歳未満の女子に対する強制わいせつや強姦、営利目的での淫行勧誘が処罰されてお りますし、(4)児童福祉法では児童に淫行させることも処罰されているほか、いわゆる淫行条例を定めている自治体もあり ます。
次に、レジュメの4ページで「売買春関係事犯の実態」です。別冊の横長のグラフで、売春防止法や児童買春、児童ポ ルノ法、児童福祉法の検挙件数や要保護女子数等についてまとめております。グラフ1によると、昭和30年代、40年代で は「勧誘等」の検挙件数が多かったのですが、昭和58年以降は「周旋等」と「売春をさせる契約」が多くなり、検挙件数総 数の約9割を占めております。『警察白書』によると、昭和58年以降の盛り上がりは、“夕暮れ族”等の性を売り物にする 新しい形態の売春事犯が出現したことが一つの要因になっているようです。その他の傾向については、レジュメの4ペー ジ以降に書いてあるとおりでございます。
○島野会長 続きまして、議事次第2「児童買春について」です。本日は、児童買春の問題について「ストップ子ども買春 の会」代表の宮本潤子さんから御説明をいただき、児童買春について議論した後、児童買春以外の問題についても時間 をとって議論することといたします。
それでは、宮本さん、よろしくお願いいたします。
○宮本説明者 ただいま御紹介にあずかりました宮本潤子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
昨年、2001年12月17〜20日までパシフィコ横浜において「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(以 下「2001年横浜世界会議」という。)が開催されました。136 カ国の政府代表、283 のNGO(国内135 、国外148 )、23の 国際機関、メディアなど総勢3,050 人が参加し、この中には世界35カ国からの小学生を含む90人の子ども、そして若者の 代表、この中には実際に買春ポルノなどの被害を生き延びたサバイバーの子どもたちも数多く含まれておりました。
5年前(1996年)、ストックホルムで開催された第1回世界会議での参加数1,700 人から3,050 人へ、政府代表122 カ国 から136 カ国へ、そしてユース20人から90人へという数値の増加は、こうした子どもの商業的性搾取問題への国際的な 注目と自覚の広がりの一端を示したかと思います。
子どもの商業的性搾取と申しますのは、国連子どもの権利条約34条に規定されております。これからお話しさせていた だきますのは、子ども買春、子どもポルノ、そうした性目的の子どもの人身売買、トラフィッキングを指しております。お集 まりの皆様は御存じだと思いますが、これらの問題は実は昔から存在しておりました。しかし、現在のように危機的な、し かも国際的な問題として認識されるきっかけとなったのは、子どもの権利条約の採択の翌年、1990年、タイ国のチェンマ イで開催されました国際協議会「観光と児童買春−現代奴隷制の中の子どもたち」という会議でした。70年代から80年代 にかけて、外貨獲得のための観光推進政策の陰で、子どもを性的対象とする買春者の急増が起こり、子どもたちへの被 害が拡大している。この現状を重大な子どもへの人権侵害として国際的に明らかにし、この会議自体がエクパット、これ はECPATという英語の頭文字をとったものですが、アジア観光子ども買春根絶国際キャンペーン、そして97年からは子 ども買春、子どもポルノ、性目的の人身売買根絶運動というふうになってきますが、このエクパットを開始させます。
では、性目的の実態をあらわす正確な数値は何か。この正確な数値を出すことは問題の性質上、非常に困難であり、 国によっては、例えばタイなどがその一つですけれども、その数字そのものが大きな国内的な議論になっています。しか し、実態に近い推定値及び状況として、先ほどの90年チェンマイ会議、94年エクパットの入手資料に基づく推定、96年国 連人権委員会、98年ユニセフ東アジア太平洋事務所報告、99年及び2000年のお手元にあるかと存じますが、エクパット の世界的な状況レポート、これらによって次のように報告されています。
80年代からEUで報告され、また1993年、国連の人権委員会にノルウェー政府が報告したように、「今や世界中で100 万人の子どもたちが犠牲になっている」。そして、エクパットの推定によれば、アジアだけでも100 万人の子どもたちが犠 牲になっています。
アジアでは、タイ国、数万人から20万人(男子10%、女子90%)、ミャンマー、ラオス、中国、カンボジアなど周辺国から の人身売買が増加している。フィリピン6万人(男子60%、女子40%)、スリランカ1万5,000 人(男子90%、女子10%)、 台湾7万人、インド40〜50万人、国内周辺国からの人身売買が増加している。パキスタン、バングラデシュからの人身売 買による4万人。バングラデシュ12歳から16歳の子ども1万人。中国数十万人、人身売買から救い出された女性のうち5 人に1人が子ども。カンボジア、プノンペンだけで7,000 人。ベトナム8,000 〜1万人。インドネシア、リハビリキャンプにい るもと性産業従事者の60%が子ども。太平洋諸国、虐待、貧困によるストリートチルドレンの増加、商業主義化、買春ツ アーの目的地化が進んでいる。
アフリカ、地域紛争、戦争の中でのレイプ、孤児、ストリートチルドレン化が進んでいる。日々貧困生活の中での中東、 ヨーロッパ、米国への人身売買、買春観光の目的地化。伝統、慣習としての早期婚、債務奴隷制、宗教的確信に基づく商 業的性搾取という問題自体の否認、特にイスラム教圏。国内買春としては現地住民による、シュガーダディと呼ばれる国 内買春。
中東、情報の入手が非常に困難である。商業的性搾取自体の否認がある。早期婚、短期婚。この短期婚と呼ばれるの は地位やお金のある男性が短期間で女性を次々変えていくという、それが制度として存在するということです。人身売買 の受け入れ、需要国。
アメリカ大陸、北アメリカ。人身売買受け入れ、買春観光送り出し、ポルノ発信地。家庭の貧困化による子どものホーム レスの増加。学齢期にある子どもの間では、特にピアプレッシャーによる高校生の買春、薬物の被害が増加している。
中南米。4,000 万人と呼ばれるストリートチルドレンの性暴力被害。ほとんどのストリートチルドレンが何らかの性暴力 の被害を受けていると報告されています。本来、法執行に当たるべきポリスによる子どもの搾取が頻発している。買春ツ アー受け入れ、特にリゾート、ホテル、バーにおいて。国内買春としては、上流の個人宅における買春。ホームガールと呼 ばれる10代の学生への買春。そして、犯罪リングによる組織的な欧米、日本等への人身売買。
ヨーロッパ。ロシア、東欧などにおいては、共産主義崩壊と市場経済への移行、地域紛争に伴う混乱の中で貧困化、 ホームレス化が進み、そしてその結果として西欧、米国への人身売買が増加している。買春ツアーの受け入れ地。地元 住民による買春被害も報告されている。
一つ、国際的な買春として、国境を越えた学生への買春。これは、具体的にはポーランドの学生が学費を稼ぐ、経済的 な不足を補うために、国境を越えてドイツへ行き、ドイツ人の買春者の相手をするということが報告されています。
このような状況の中で、エクパットが開始されてから3年2期の間に、アジアの被害国、欧米加害国を中心に、政府の問 題への自覚とともに、フィリピンでは92年、これは「子ども虐待搾取及び差別に対する子ども特別保護法」という名前です が、このきっかけになったのが、何人かの方はご存じかもしれません、ロザリオ・バルオット事件と呼ばれるすさまじい性 暴力による子どもの死亡事件です。また、その当時日本人が関わった事件では、一件は未だに捕まっておらず、加害者 は自由に行き来しております。もう一つは、その後捕まって、現地で刑を今受けているところでございます。
ドイツが93年、これは刑法の改正です。オーストラリア、米国、フランス94年、スリランカ、台湾、ニュージーランド、ベル ギー95年、タイ96年などが、フィリピンのように特別法を新たにつくったり、または刑法を改正するというような形で法の整 備を行い、スウェーデン、ノルウェーなどは、日本同様、既に国外犯規定が法律上はありましたが、一度も執行されていな かった、またはほとんど執行が行われなかったという状況から、2国間条約、協定などの関係を結んで、法執行の強化を 行いました。
こうした成果の上に1996年、政府、国連機関、NGO3者の力を結集して、「第1回子どもの商業的性的搾取に反対する 世界会議」がストックホルムで開催されました。そこでは、アジアや西欧ばかりでなく、東欧、中南米、アフリカを含む全世 界に向けて買春・ポルノ・性目的の人身売買という子どもの商業的性搾取の根絶が訴えられ、問題解決のために必要な 9つの分野、 <1>法改正と法の執行強化、 <2>性的搾取者の分析とそれへの厳しい対処、 <3>ポルノグラフィーへの対処、 <4>観光と買春問題、 <5>健康問題、 <6>防止と社会的・心理的リハビリ、 <7>教育、 <8>メディア、<9>人間の価値観、これらの9 つの分野に沿った「ストックホルム宣言、行動アジェンダ」を全会一致で採択いたしました。
それでは、日本に関してはどうだったでしょうか。チェンマイ会議でも買春者、ポルノ撮影者送り出し国として名指しされ、 94年には「子どもの権利条約」を批准したものの、自覚、対策ともにほとんど進んでいませんでした。そうした無策、無自 覚に相呼応するように、国内でも子どもポルノの実写からアニメへ、印刷からコンピューター画像への拡大、量的氾濫が 顕著となり、買春に関しても、「ブルセラ−テレクラ−援助交際」という流れの中で、女子中高生を性的対象とする子ども 買春が横行するようになりました。
当時の日本の状況といたしましては、子ども買春、子どもポルノ問題に対する刑法や児童福祉法規定の不十分さの中 で、東京都が1997年に自治体として青少年健全育成条例を改正し、買春者処罰を打ち出した点を除けば、他の都道府県 条例の淫行規定にある、いわゆる子どもの非行防止や売春防止法の売春者、つまり勧誘処罰などの視点によって、本 来問題にされなければならない買春男性がまたもや野放しのまま、「子どもが好きでやっている。つまり自己決定だ」、だ から買春してもいいという論理にすり替えられる現状がありました。
皆様のお手元に2種類の「援助交際」問題に関する資料が出ているかと存じますので、ちょっと御覧ください。
「“援助交際”という名の子ども買春−ECPATの視点から」という資料が入っているかと思います。詳しくは申し上げま せんが、これは97年にいろいろな状況に関して、エクパットの視点からの考えを述べたものですけれども、2ページ目を御 覧いただきたいと思います。その当時、子どもが一体どんな状況にあったかということの御参考にしていただければと思い ますが、2段目です。
子どもの現状として、これほどまでに無自覚に子どもたちが買春に巻き込まれる仕掛けが存在する。(1)業者の発する 一方的情報。95年ごろまでには一般の少女雑誌にテレクラ広告、つまり、ぬいぐるみや文房具の宣伝の隣にテレクラ広 告が載っていた。その内容たるや、「ちょっとおじさんとお茶を飲むとお小遣いがもらえるよ」「さびしい子集まれ」という、そ れほど具体的な言葉すらあった。これは先生方の報告の中に入っています。
(2)性に対する無知。テレクラという言葉は知っていても、それが大人が売買春をするために使う手段との現実の意味は 知らない。そして、日ごろからの男の性欲にこたえるのが性という、歪められたイメージが子どもたちの中で支配していっ てしまっている現状。
(3)自己評価の低さ、居場所のなさ。受験体制一般から来るプライドの喪失、虐待など、家庭内の機能不全の一時的又 は慢性的直面の中で子どもたちが目の前にある網に飛び込んでいくということです。
(4)金銭万能主義。さびしさ、つらさ、プライドを保つこともお金さえあれば解決すると思い込める社会。これはまさに子ど もたちは常に大人から学習していますので、大人の姿から学びとっている事柄であるというふうに思います。
日本から政府代表を送ることを直前までためらった、先ほどの1996年のストックホルムでの第1回世界会議において、 122 カ国の前で日本の無策が非難され、法制を含む対応が強く求められました。
これを契機に、それまでECPAT/ストップ子ども買春の会、矯風会などを始めとするNGOや女性議員が訴えていた特 別法の立法作業がはじまります。そして、それからさらに2年を経て、1999年、御存じのように「児童買春、児童ポルノに 係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下「99年法」という。)が成立いたしました。
この法律は、まず国会で通ることが非常に少ないと言われております議員立法であるということ、そして全会一致でそれ が採択されたこと、そして内容については次の7点がプラスの部分として特筆されるかと思います。
1、子どもに対する性的搾取及び性的虐待が人権侵害であることを明言し、子どもの権利の擁護を目的とする。
2、保護年齢を18歳未満とする。これは世界中で、いろいろな国によって年齢がありまして、低いところもあります。日本 でも特に性暴力にかかわるものに関しては非常に低いところに設定されておりました。こうした保護年齢を18歳未満とす るということ。
3、買春者、買春斡旋者、勧誘者などへの処罰規定を含む。特に買春者への処罰規定とうのはこれが初めてのことだと 思います。
4、法執行官の訓練の促進など、捜査及び公判における子どもの人権への配慮を定める。
5、心のケアやリハビリなど、心身に有害な影響を受けた子どもの保護のための措置を定めていく。
6、子どものプライバシー保護のため、記事への掲載等を禁止している。
7、政府機関とNGOの連携及び国際的連携・協力がうたわれている。
これらは画期的と言われた点です。ただし、99年法を「全会一致で通す」という目的からも、第一歩としてのこの法律を 通すという点からも、性虐待根絶の立場からは後退とも言える幾つかの穴もあきました。それに関してはまた後ほど申し 上げたいと思います。
さて、この99年法の施行が11月からですが、その施行後約2年間に警察庁の資料によりますと、国内における子ども買 春2,415 件、うちテレクラ、出会い系サイトの使用が58%。子どもポルノに関しては340 件、うちインターネット使用が74% という検挙の成果を上げております。今まで犯罪と見なされなかった行為が、子どもを守る、子どもの人権侵害を罰すると いう点から検挙にまで至った例というふうに私は理解しております。
ポルノに関していえば、1998年当時、インターポールの担当者などから全世界にインターネットを通じて出回っている子 どもポルノのうち、商業的なものの80%は日本発信又は日本製造だというふうなところまで言われたくらい、この数字に は少し限定がつきますけれども、それくらいの状況が日本にありましたが、この法律施行前後におきまして、特に法律の 施行から何カ月かたった後ですけれども、複数の信頼のおける海外の調査機関及びエクパットの関連グループから、日 本のポルノが数十%から数%に激減したという評価の声が届きました。
しかし、他方で未だに「援助交際」、“援交”という造語は流通し続けています。売買春という実態がこの言葉で全く覆い 隠されてしまっている。それが業者、性産業の側からつくり出されたものである、そういった背景のある言葉であるにもか かわらず、あたかも中立的な言葉であるかのように使われてしまっている。私たちも、この言葉によっておわかりいただけ るものですから、書いた場合はカッコ付きですけれども、言葉としては使わざるを得ない状況にあります。
言葉も流通し続け、そしてこれは日本一国だけの問題ではなく、漢字使用国である韓国、台湾へのこの言葉と問題の両 方の輸出現象も起きています。もう一つの買春関係資料を御覧ください。
「台湾・韓国・日本懇談会」がありまして、これはエクパットグループと韓国の子どもの人権関係のNGOから要請を受け て開いた懇談会の短い報告ですが、やはり日本と同じような背景があり、また一方でインターネットの普及などとも相まっ て、台湾には台湾の状況、韓国では韓国の状況がさらにプラスされていることがおわかりいただけるかと思います。
先ほど、「ものの本によれば、『援助交際』を買春というのは間違いである」ということが書いてあるというふうに御説明い ただきましたが、その解釈を書いた人の主観が入っています。これはいかなる場合でもそうですけれども、この問題に関 してはそれが非常に大きい影響力を及ぼしております。テレビドラマ、これは10代の子どもたちが非常によく見たドラマの ようですけれども、「神様、もう少しだけ」というHIV問題をテーマに取り上げたドラマがありました。金城武という、台湾と日 本両方に人気のある男優とそして深田恭子二人の主演で、「援助交際」というものに対して言葉と同時にロマンチックな、 恋愛関係に発展する形として描かれています。これは一部HIVへの理解を深めたという声はありながら、それとは別に 「援助交際」全体のイメージを、恋人をつくるためのものというふうに植えつけた一つのテレビであった。これは台湾側の 代表が報告していた事柄です。
法律とその執行というのは、私たちの日本もそうであるはずでございますが、法治国家において現状を変えるための最 大の教育手段の一つであると私は考えております。これまで法律、行政用語として存在しなかった「買春」「ポルノ」という 言葉が99年法の中に正式な言葉として採用されたことによって、問題の所在を買う側へ、ポルノを単純な公序良俗対表 現の自由という対決軸から、子どもの虐待、性搾取の問題へと転換する機会を与えました。
また、議員立法としてのあり方、そして加害者への処罰ばかりでなく、被害者への配慮義務と回復のための条項、NGO との連携協力という項目を設けたことは、1年後の児童虐待防止法や犯罪被害者保護法制の内容にも影響を与えたので はないかというふうに考えております。
先ほど検挙件数を申し上げましたとおり、国内では非常にいい法執行を頑張ってくれている部分があるなというふうに感 謝しておりますけれども、ただ、もう一つ、最新の資料によりますと、買春によって被害を被った被害少年少女、実は少女 の方が圧倒的多数ですけれども、被害を受けた子どもたちの増加数を見ると、高校生に比べて中学生の増加率が非常 に大きいということが2000年から2001年の間で起きています。そこに被害者の低年齢化、つまり買春者がより低年齢の 子どもに焦点を当てているということがわかっております。
もう一つ、買春の需要をつくり出すシステムというのは、未だに巧妙にそして活発に機能しております。チェンマイ会議で も明らかにされましたけれども、虐待行為、買春行為とポルノグラフィーというのは表裏一体の関係にあります。スリランカ での男の子の被害が90%というものすごいパーセンテージに関して申し上げますと、80年代後半から90年代にかけて ヨーロッパのペドファイルの雑誌『スパルタクス』にスリランカ少年の顔入りのヌード写真、つまりポルノ写真と、その少年 をどこの海岸でどのようにして手に入れるかということまで全部書いたものが、何年間にもわたって発行され、需要されて いた。それに伴って、ペドファイルのグループや状況的な買春者がスリランカに大量に入ってきた、そういうことが事実とし て報告されております。
日本でも、写真における子どものポルノは激減したことは確かでございますけれども、繁華街やセックス産業の密集地、 新宿であれば歌舞伎町であり、インターネット関係でいいますと秋葉原ですね。ああいうところに行きますと、外国の方た ちが驚くくらい、子どもを性的対象として描いたポルノグラフィーが溢れている。
もう一つ、携帯電話の普及があり、また携帯電話の中にi モードがついこの1〜2年で入ってきました。このi モードという ハード面の技術の進歩、携帯電話に関しては世界中で日本が一番早いそうです。ただしハードができても、ソフトの方が 追いついていない。つまり、子どもがそれを使うことを前提として、どのように安全に使えるのか、それが犯罪に結びつか ないためにはどうするのかというようなことが企業の側の社会責任からしても、また政府、そして私たちの責任からしても 追いついていないというのが現状です。それに伴って、御存じのとおり、さまざまな事件が既に起きております。
東京新聞の2001年、昨年5月の記事の中で、「援助交際」と呼ばれる地下経済は569 億円市場だという報告がなされ ております。特に、その中で携帯電話とインターネットによって、90年当時に比べて14%増加している。
もう一つの最近起きていることは、先ほどの高校生から中学生の被害が増えているということと同時に、加害者の低年 齢化も進んでいるということです。2002年3月の記事で、14歳の少女を16歳の少年が買春した。そして、それを紹介した のが18歳の少年である。中学生を高校生2人が紹介しあい、そして具体的に買って、性的な行為を強要しているというこ とです。
もう一つ、これはゆゆしき問題なのですが、本来、弱い立場にある子どもたちが保護されて、親元にいるよりもより安全 な場所、より子どもたちの福祉に沿う場所であるべきところ、その立場を利用して、強制わいせつなど性的虐待を行ってい たということも起きております。
国外問題についてはいかがでしょうか。
子どもポルノについては99年法が施行して、昔、リップス、その当時コネクションと名を変えていた日本国内では子ども ポルノ製造販売の最大手と呼ばれた会社が起訴され、そして有罪判決を受けました。しかし、その判決内容は私たちに とって全く理解のできないものでした。この会社は何年間にもわたってタイやフィリピンなどで何十人、何百人という子ども たちを虐待してきました。しかし、捕まったのは今回が初めて、そして事件としてあげられたのは1件、つまり初犯の1件の 犯罪として見なされ、求刑が1年6カ月、実際は執行猶予がついて、今、そこの社長は大きな顔をして商売を続けていま す。彼が法廷で言ったのは「これからは合法的にやります」。合法的というのはどういうことか。たとえば18歳の人を使っ て、中高、時には小学生と見える、明らかに描かれた結果は小学生であるポルノをつくり続け、売り続けていくということで す。
子ども買春の国外犯に関していえば、実は最初の検挙、起訴があったのが昨年の世界会議の直前でした。大阪府警が 担当でしたけれども、非常にいろいろな形で苦労して、NGOとしても向こうのNGOと連携をとりながら、協力できるところ は協力するという形でしましたが、非常に困難である。つまり、件数からしても想像できますが、国外犯規定を執行するの がいかに困難かということを、このケースはあらわしている。これはカンボジアでの買春ケースです。今、その裁判が行わ れていますが、ネットワークからの情報によれば、買春者側がうまく逃れられるいろいろな要素があると。被害者は明確で す。これは、カンボジアの地元のNGOもそのことを目撃しているし、子どもに接したことがありますから、その子どもの被 害は事実です。しかし、裁判となったときに果たしてどのようになるか。それはこれからの問題です。
もう一つは、警察が検挙したその後の検察の判断が非常に緩いというか、時間がかかるということですね。ポルノケース ですけれども、2001年初めに警察から送検された後、10カ月以上も起訴されずにとどめおかれたケースがあります。これ もポルノですので、証拠は明らかに上がっているわけです。虐待の場面があるわけです。ところが、検察がそれを起訴す るところまで踏み切れない。これもかなりNGOや国際的なプレッシャーがあったからではないかと私は思いますが、世界 会議前後でやっと起訴になったようです。
こうした遅れが99年法の条項そのものの弱さなのか、それとも教育訓練の不足による法執行官の価値観の問題なの か、これをまず明らかにしなければならないと思います。そして、どちらにしても対処が一刻も早く必要です。先ほどの国 外犯捜査がいかに難しいか、いかに苦労するかということを見聞きし、また担当官の方々もよくおっしゃっています。今後 の国際的な捜査協力を迅速にするために、ほかのいくつかの国ではやっていることですが、2国間、多国間の条約、これ が日本はまだできていない。これを早急に外務省と協力するという形ででも始めていただきたい。外務省も現在の人権人 道課はかなり積極的といいますか、世界会議の窓口でもありましたし、動いてくれるのではないかと期待しています。もし、 もう既になさっているのであれば、御報告を承ればと思っております。
99年法の重要な後半部分に関しては、やはりこれからという状況です。後半部分では、被害者である子どもの回復に焦 点が当てられています。しかし、捜査、公判における配慮に関しましては、以前に比べて被害者という位置づけがあります ので、担当官によっては非常にいい対応をしてくださっている方もあるようですが、未だに担当官個々人の資質にかかっ ているようなところがあり、警察庁の上の方では御理解いただいていても、末端のそれぞれの捜査官までどのくらいこの 趣旨が徹底しているか。この点は、これからもぜひ力を入れていただかなければならないことだと思います。
そして、次が検察官。この検察官のところがどうも一番止まってしまう部分になっているようです。そして、裁判官。裁判 官の義務的な研修の中に、買春ポルノ法に関する、またその法律の子どもへの視点、問題への視点をしっかりたたき込 んでいただかないと旧態依然たる判決の内容になってしまう。
実は、カンボジアのポルノケースなんですけれども、10カ月も据え置かれて、やっと起訴されて、判決が出たようで、そ の判決の一部を見ました。この加害者はものすごい虐待をしています、しかし執行猶予です。先ほどと同じ理由です。裁 判官が情状酌量の理由の一つにしたのは、50万という慰謝料のような何かを出して、反省しているし、三十幾つの男性で すが、父親が「もうこのようなことはさせない」と約束している。これは99年法以前に児童福祉法の第34条違反で神奈川 でありました裁判を見に行ったときの判決の中で裁判官が言った情状酌量の言葉と同じなんです。つまり、99年法の趣 旨、子どもの側にしっかり立つ、子どもへの虐待は許さないという強さが、この特別法のプラスの部分が出ていない。少な くともこれら2つの判決の中の、2人の裁判官に関しては同じ言葉ですね。これも現実です。
ここで一つ、ストップ子ども買春の会はいろいろな専門職の人たち、特に子どもにかかわる養護施設の保育責任者、法 務省関係の子どもの保護にあたるワーカーも何人か入っておりまして、彼らから話を聞いた部分で現状とこれからの取り 組むべき課題を申し上げさせていただきたいと思います。
一般に、子ども買春事件に関しては、被害者である青少年が家出やシンナー、覚醒剤など薬物その他の非行事実の中 で、非行少年によるテレクラ遊びや売春行為という、青少年自身の問題行動として取り上げられることが多く、青少年を被 害者として買春に巻き込んだ成人を特定したり、加害者責任を追求したりという動きは非常に鈍いように見受けられる。ま た、このような過程で処罰される青少年側にも一つの心理がある。青少年には加害者を愛情欲求を満たしてくれる対象と 錯覚していて被害者意識が乏しいことや、捜査、審判を行う側の被害者、青少年少女たちへの配慮に欠けた対応に対し て、心を閉ざして、真実を申告できないという状況が依然として存在している。
したがって、たとえ一度は非行少年として捜査線上に浮かび上がった子どもだとしても、子ども買春事件においては青少 年は被害者であるという認識のもとに保護し、加害成人の責任追求を徹底する制度を確立、実体化していくということが 必要である。そのために、被害者の子どもの心理状態を把握しつつ、サポートできる専門機関を設け、捜査、裁判、処遇 の各段階で少年少女たちが心理的被害を繰り返さぬよう、特段の配慮をしていくことが必要である。
常習的かつ組織的な加害者に関しては、水面下の被害が多数あることをかんがみて、被害少年少女を漏れなく救済し、 加害組織を壊滅するまで徹底的に訴追していくために何が必要かといえば、各省庁で円滑な情報交換の姿勢を明らかに してほしい。これは法務省や警察庁のみならず、裁判所、そしてケアの分野に関しては特に厚生労働省。今、児童虐待防 止法の関係で大変でしょうけれども、この事柄に関して特別の専門機関がぜひ必要だということは国際会議でも指摘され ていることですし、フィリピンなどの被害国においても国立のそうしたケア施設をつくっているところがございます。
ですので、ぜひこれらの項目についてやっていただきたいというふうにお願いして、少し早めですが、質問のときに幾つ か追加させていただくということで、一応、私の説明は終わらせていただきます。
○島野会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対して委員の皆様から御質問等がありましたら、どうぞ御発言ください。
○林委員 エクパットをはじめとするNGOの力で子ども買春、ポルノ禁止法を成立させることができたわけですけれども、 今のお話で法律の運用にいろいろまだ問題が残っているということはわかりました。が、法律をつくるときに積み残した点、 本来は法律の条文に入れたかったけれども、入らなかった大きな点というのがあれば教えていただきたいと思います。特 に、子どもの権利条約の選択議定書に日本が署名しましたので、それとの関係で日本の今の法律というのは国際人権条 約、子どもの権利条約が要請する基準を満たしているのかという点について、NGOの皆さんはどういうふうに考えてい らっしゃるかということを教えていただきたいと思います。
○宮本説明者 ついこの間(2002年5月10日)の国連子ども特別総会で日本政府が署名いたしましたので、これは力に なるなというふうに思っております。
99年法が成立した段階で、すぐに問題になってくるだろうと思ったのが、子どもポルノに関しましては疑似ポルノのこと、 それから需要そのものである単純所持と呼ばれる所持ですね。現在は販売目的の場合のみ、所持が処罰されますの で、いわゆるペドファイルが「売る気持ちはない。これは自分のためだけだ」と言った場合には、明らかに虐待して製造し ているけれども、単純所持が主張できてしまうわけです。
私は、販売目的が製造にもついていたというのはまさかと思いました。販売のためではない、ペドファイルやその手の人 たちの中でただ交換の形で行われているやりとりというのは今ごまんとあります。特にインターネット上ではそれが横行し ておりますので、製造は製造そのもので虐待行為だというふうにしない限り、穴があき続けるなと思います。
また、例えば広告の禁止、それから年齢の知情に関しても見直しが必要であるというふうに思います。
前半部分については、これは国際的にみても、日本の法制自体の問題なのかと思います。起訴するときに先ほどのよう な何件にもわたって虐待をしていたというのがはっきりしているにもかかわらず、結局、犯罪化されたときには初犯の1件、 執行猶予という形で立て続けに出ているのです。必ずしも私は処罰絶対主義ではありませんが、被害者にとって加害者 がきちんと加害者として処罰されること、それは被害者からの回復の基礎になります。このことは皆さんに知っていただき たいと思います。被害者が被害者とされ、加害者が加害者とされること、そして加害者が自分の行為に対してきちんと責 任をとらされること、この点は見直しにおいても重要な部分のひとつだと思います。
後半部分については今幾つか言いましたが、買春については具体的に裁判を進めるときに、子どもたちへの負担をいか に減らしていける仕組みにするかということ、裁判の構成要件であったり、現実としてはそういうもので子どもたちがまだま だ痛めつけられてしまっている。そして、子どもが過酷な状況の中で証言しても、それが結果に出ないということになれ ば、子どもにとって、被害者にとっての非常に大きなマイナスの影響ですね。
例えば、先ほどの法執行官等に関するトレーニング、研修については努力義務になっているところが多いのです。これ は3年間の経験で、今申し上げたようなことがはっきりしたわけですから、これは「努力」ではなくて「義務」だと。予算も取 り、結果を出すようなことにしていただきたいと思います。
それから、幾分良くなったかとは思いますけれども、メディアによる子どもプライバシー保護のための努力も、これもまだ 「努力義務」ですので、その辺をどう効果的なものにしていくかが大事です。
買春者、買春斡旋者、勧誘者などに関する最終的な量刑に関しては、加害者の弁護をしている弁護士からも「軽い」と いうことばが出ているくらいです。量刑については過去の判例がとても影響力を持つようで、それを何とか引っくり返せな いかと。これは法律の専門家の方々にぜひ考えていただきたい点だと思っております。
○原会長代理 宮本さんがご所属になっている団体では性感染症についてはどのような活動をなさっていらっしゃるで しょうか。それとも主に法律のことでやっていらっしゃるのでしょうか。
○宮本説明者 エクパットストップ子ども買春の会という日本の私たちの団体は、法律、啓発、そして具体的な防止教育、 法執行への協力などが中心です、大きい団体ではないので。ただし、エクパットの国際的な連携の中では、そこに焦点を 当てた団体も多々ございます。大きい国際NGOなどは、各国でプロジェクトチームを持っておりまして、特に性感染症に 絞ったもの、性感染症の中でもHIVエイズに絞ったもの、そういうプログラムは行われております。
海外のNGOに関しては、全体の援助の中でそのプログラムの部分が入っていると思いますが、そこに特化していける のはやはり医療関係の専門家が集まったグループではないでしょうか。
防止教育はもちろんできます。エクパットでも特別の防止教育は幾つかのポイントを絞ってやっています。
○原会長代理 宮本さんの団体にはお医者様や保健師さんは、今のところ入っていませんか。
○宮本説明者 ストップ子ども買春の会は小さいボランタリーなグループです。幾つかのNGOがコア団体ではあります が、すべてはカバーできないと思います。
○北村委員 どうも売春の問題も子ども買春やポルノの問題もいたちごっこ的な面が見えます。児童買春・児童ポルノ禁 止法などができたことによって、確かにインターネットポルノへの日本からの発信が少なくなったという発表もありました が、これは法律に伴う成功例と言えるものなのか、また、ほかの国でこういう取組によって明らかに成功したという例が あったのか教えていただきたい。
それと、今、子どもたちの性行動の低年齢化、加速化が我々の領域でも非常に大きな問題になっています。考えてみれ ば動物だったら当たり前のことで、我々大人たちが彼らを動物としてきちんととらえられない現実の中で右往左往している 面があるかもしれませんが、結果として望まない妊娠の急増、性感染症のまん延という問題などにどう取り組んでいった らいいかというのが我々の非常に大きな課題なのです。
今、宮本さんも言われたように、子どもたちのいわゆる自尊感情をどう高めていくかということが、恐らく最後の決め手に なるのだろうと思います。宮本さんの側からすると、その援助は具体的にどういうことを通して、その自尊感情を高められ るのか。もちろん、貧困の問題などもかなり深刻な事態があって、それが結果的にはいろいろな行動を引き起こしている 部分があるのでしょうけれども、そのあたりについて教えていただきたいと思います。
○宮本説明者 1回、2回の世界会議において、特に2001年の横浜会議ではそれを一つの目標にしましので、成功例の 分かち合いというのがかなりなされたかと思います。全部はもちろん把握できませんけれども、一つ言えること、それは早 く気づいて手を打ったところは改善するということです。しかし、買春・ポルノという、より弱いものをターゲットとして性的に 搾取する、支配しようとする欲望というか、そこにお金が絡むわけですけれども、これは今全世界的な問題だということで す。ですから、一つの地域で改善すると、その隣の対応していない地域に移っていく。
例えば、96年までの間にタイの子どもたちはかなり被害を受けていました。タイ政府は手を打ちました。子どもたちの就 学年齢を高めたんですね。つまり学校に行かねばならないとしたわけです。そうしたときに、タイ人の子どもの被害は減り ました。しかし、そこで山岳民族の子どもの被害が増えました。そして、ミャンマーをはじめとして近隣の国からの人身売買 による子どもの被害がずっと続いています。つまり、弱いところ、弱いところというふうに移っていくのです。
ポルノに関しても、日本の前は実はアメリカだったんです。日本で法律ができて、写真に関してだけですけれども、少し 減りました。アメリカにまた順位が戻っていきました。アメリカでは地下のポルノに関する犯罪がうごめいているからです。 アメリカの視点の一つの弱さがそこに出ている結果だと思いますけれども、そういうことで弱いところ、弱いところへ移って いくということ。
それから、もう一つは、これは売春業者だけが悪いのではなくて、残念ながら買春やポルノ、そのほかの商業的な性搾 取にはビジネスセクターのほとんどが関わってしまっているということです。性搾取に加担することでお金を得ているわけ ですね。日本でもそうです。メディアにしても、新聞雑誌でもそうですし、旅行業関係者もそうなんです。旅行業者は今でも この問題に取り組みたくないです。実は買春ツアーなどが関わっているのをわかっているからです。ただ、国際的に見れ ば、UFTAA(旅行業者世界連盟)ではかなり積極的ですし、国によってフランスであるとか、オーストラリアであるとか、 積極的なところがあります。そこでは効果も出ています。
一国の中でこの問題への自覚が出てきたときに、自分の国だけではなくて、例えばオーストラリアであれば、旅行業者に 対するプログラムをかなり練って、アジアの他の国と協力し、その国の旅行業者、ホテルなども含むスタッフたちにワーク ショップを提供するという形で広めつつあります。逆にいうと、いい例の国もあるが、そうではない国も山ほどある、これが 同時進行しているのが今の状態ではないか。
日本に関していえば、いいものは少しずつ出てきていますけれども、今のサッカーワールドカップへの熱情と比べて、 2001年の横浜会議に対する、特に民間セクター、業界、ビジネス関係者の関心のあまりの低さ、自らも関わってしまって いるということの認識のなさには、私はものすごくあ然としている状態です。そういう現実が出ています。
日本の中で参考になる成功例というのは、この10年の間で、特に96年からのストックホルム以降あるのです。それは、 これまで政府 VS NGOとか、業界団体も別々であった、国連機関も雲の上のものだったのが、この3者、4者が連携す べきもの、連携できるものとして少しずつつながってきたことだと思います。ですから、私をここに呼んでいただいたのもそ の一つでありましょうし、この問題に関わる警察庁をはじめとして幾つかの省庁が協力しながら、言うべきことはお互いに 言い合い、違う立場もあるかもしれませんが、それはそれとしても協力していく。またこれは、国内だけではなくて国際的な 意味も含めて、この10年間、特にこの5、6年間で進んできたことだと思います。
それから、日本の子どもたちもただ黙っていた訳ではなく、自分たちで「おかしいよ」と声をあげ始めた。実は法律ができ る前ですけれども、公立、私立、女子校、男子校含めて東京の7つの高校の1年から3年までの823 人に関して、高校生 自身が自分たちで調査をして報告を出したというアクションも行われつつあります。より多くのユースが自分たちの問題と して取り組み始めているということも最近の動きです。
最後にもう一つ、今年度から全国の公立の小・中・高においてインターネットの接続が完備されることになっています。 進んでいるところでは既に学校ごとに始まっています。
しかし、そのインターネットは子どものためであって、子どもがインターネットのために被害を受けるようでは本末転倒な わけです。その部分の安全教育、小学校に入ったら交通安全教育をきちんとやらないと危ないのと同様、インターネットに 関しても安全教育というのは必須です。それができていない現状を克服するために国際レベルからいっても、ワン・オブ・ ベストというふうに思っておりますので、この「インターネット上の子どもの安全ガイド」を頒布し、活用していただくというこ とをやっております。
人権に基づく性の学習、すべての学校、小・中の義務教育や高校も含めて、特別関心のある先生がいて初めてできる のではなくて、国数英などの学科同様、義務的にカリキュラムに入れるべきことだと思います。これはまさに、政府が決断 しさえすればできることですね。子どものためですし、子どもたちはきちんとした情報を与えられれば、自分で判断します。
たまたまその実例もあるのです。3人の保健婦さんに中学2年生のクラス全部を回ってもらった。1回だけの授業でした が、子どもたちのアンケートを見ると、「性について本当に今まで不安だった。でも、保健婦さんがはっきり言ってくれて良 かった」と好評でした。保健婦さんが子どもたちに何に興味があるかと前もってアンケートをとり、その結果出てきた性病、 性交や男女の関係に関することについてきちんと答えてくださったので、たとえ1回でも、子どもたちの自尊感情を育てる ことに寄与しているというのが、アンケートを見てわかります。
ただし、その時の学年だけで終わりました。先生方が特別やろうと決めて、その学年はやれたのですが、次からはまた なしです。そういうことではなくて、確実にカリキュラムに入れる、これは本当に大事だと思います。
最後に、一つ付け加えさせていただきたいのは、1998年アジア女性資料センター(「男性と買春を考える会」)による意 識調査で、男性に関してですが、買春率の調査です。10代から70代までの2502人のうち46%、これが25歳以上だと 51%、2人に1人が買春している、これが日本の1つの統計です。
○瀬地山委員 ランダムサンプリングではないので、その数値はあまり意味がないと思います。つまり、サンプリングをし ていない場合、近いところに広がりますから、似たような数値が非常に高く出やすいわけです。
○宮本説明者 私は、調査対象や配布方法を勘案した上でも、この結果は一つの数値として、現状をあらわしているなと いうふうに思います。
○戒能委員 子ども買春の場合、当事者としての子どもの問題がより見えないという構造があるように思います。
その中で、高校生の取組などを御紹介いただいたのですが、当事者としての子どもの声として、例えば去年の横浜会議 などで、何が必要で、何が問題だと出ているのでしょうか。また、専門機関がないということは今までやってきて共通してい ることですが、現在は当事者への支援というのが法的な支援だけではなく全くやられていないのか、あるいは、事実上、 誰かやっているのかということも教えていただければと思います。
○宮本説明者 当事者の声というのは、2001年横浜世界会議のユースのアピールとしてはっきり文章化されて、子ども 特総にも提出されたものですので、そちらで正確なものを御覧いただければと思います。十二、三項目あります。結構具 体的なものが入っていて、さすがにというふうに思わされるところがあります。
そして、子どもに関するケアが今どこでなされているか。実は、世界会議にあわせてスウェーデンから記者が取材に来 まして、私もいろいろ紹介したのですが、この問題の中で「子どものケアを専門にやっているところを紹介して」と言われ て、紹介先が出てこなかった。つまり、まだそこの部分は本当に抜けているということですね。
部分的には、婦人相談員を始めとしてケースワークの中で、直接子どもに接した人たちが経験と、それこそその方の資 質、特にこの問題に関する視点をきちんと持っておられて、性虐待に対する知識も持っておられる場合には、そこでケア につながります。
それから、もう一つ、これはある意味残念なことですが、家裁送致にまで至った子どもに関しては、1週間から10日間の ゆったりした時間があるそうで、そこで初めて、「別にいいじゃない」と、一見非常に元気そうであった少女たち、子どもたち の背景にある本当のものが見えてくるそうです。これは調査官から直接に聞いた話です。あとは、虐待防止に関わるNG Oの中でも、フェミニストカウンセリングなど含めてやっているところもありますが、それは個別になってしまうのです。
養護施設関係者からも何人かに聞きましたけれども、養護施設の中でも、今、児童虐待防止法の関係でいろいろ動きが ありますが、とにもかくにもこの問題に関して受け皿がないと。養護施設においてもセクションとして必要だろうし、性的虐 待の中でも商業的なものということで、プラスアルファのものを持って接しないといけない。職員はこの分野のトレーニング を基本的に受けていないと勤まらない、というふうに言っていましたね。そこの養護施設は非常にいい施設で、いろいろな 方々が見学に見えるようなところなんだけれども、それが現状。ですから、そこが一番、今これからやらなければいけない ところではないかと思います。
○小谷委員 この児童買春、児童ポルノ法の積み残しの問題についての資料を追加でちょうだいできればと思います。
特に児童ポルノの愛好者というのか、買春を繰り返し行うというのは性癖といいますか、一種の病気の可能性もあるわけ ですね。そういう場合に、多くが執行猶予になるということは再犯の恐れが十分あるわけです。再犯防止のための取組も しなければならないと思います。
○島野会長 それでは、これで宮本さんからのヒアリングを終了させていただきます。
続きまして、自由討議に入ります。
まず、児童買春ですが、現状を踏まえた対策などについていかがでしょうか。
○住田委員 せっかく法律ができ上がっても、やはり、法執行担当者の意識の問題ということが浮かび上がっていると思 います。特に、検察官、裁判官の対応については非常にはがゆい思いをしておられるということは、よく理解できました。
その一つの理由は、私も元検事として想像するのですけれども、この法律自体が一種の形式犯ないしは買春する側な いしは商業的に子どもたちのこういうものによって利益を上げている、そういう者にだけ着目している一種の形式犯的な 側面としかまだとらえられていないのではないかという気がしてならないわけです。
これに関しては、法律の第一条にありますように、子どもに対しての大きな人権侵害だというふうに明記している以上、 その人権侵害がどういうものであるか、その中身がどういうものであるかをきちんと究明しないことには、なかなか一般的 には説得力を持ちにくいだろうと思うわけです。こういうことをやるのが好きな男性、もしくはそれを商業的に利用する男性 というのは今後も絶えないとしても、もっと一般的な形で、法の執行官含めて、ほかの方々に対してこの違法性がどういう ものであるかということをわかっていただくための研究というのは必要かと思います。
一般の「援交」している子どもたちというのは明るい部分だけがテレビ等で取り上げられていますけれども、私も10代の 娘を持っていて、その雑誌などを見ますと、全体の意識として変えていかなければいけないのですが、最終的には被害者 である子どもたちの自尊心の欠如に結びついております。
私は、女子少年院に行って、少女たちと話をするという機会を何回か持ったことがあるんですけれども、彼女たちのほと んどが性的な非行という形で入っていて、それがきっかけで最終的には暴力団と結びついて、薬物依存になって、ほとん どが性病に感染していて、かなりの率で妊娠しているという意味で、それは私はまさに被害者だと言うしかなかったわけで すね。
彼女たちは、恐らく社会復帰したときに、またもとのヤクザ関係の男性のところに戻るということがかなりの確率であるら しいということらしいのです。ですから、「援交」という言葉で覆い隠されている中で、そういう少女たちを生み出している、 そういうものがあるのだということ。彼女たちは、そういう意味では最終的にはかなりぼろぼろに傷つくということを明らかに していく必要があるでしょう。ヤクザのいわゆる「女性」になりまして、経済的には豊かな生活を送れるチャンスも実はある らしいので、それは彼女たちの一つの憧れらしいんですけれども、私はそういう価値観しか持ち得ないということについて は、非常に悲しいものがあるのではないかと思います。
そういうことを含めて、もっと負の面、どういうところで傷ついていて、どういうところで問題があるかを究明していくべきと 思います。そして、サバイバーのお話を実は先ほど聞きたかったんですけれども、そこから立ち直った少女たちは過去を 振り返って、あれはどういうふうな問題だったかということをどういうふうに認識しているか、まだどんな傷が残っているか ということを具体的に挙げることによって、はじめて法執行官やら、また一般的な中立的な立場の方々に対しての説得力 を持ち得るのではないかというふうな気がしました。今の雑誌のプラス面しか書いていない、そういう風潮に対して非常に 心配しているというところです。
○瀬地山委員 私も自尊感情を高めるべきだという点に全く賛成で、それからこの議論の中でも警察庁の問題ではなく て、厚生労働省や文部科学省の問題だと言っている箇所があるのですが、そういう性質の問題ではないかというふうに 私も思っております。
高校生の性意識というのは我々の世代とかなり違っていて、大体2〜3割が性交渉を持っているというのが前提なわけ ですね。それを前提として、被害者意識に乏しいというのは、被害者を植えつけるような議論で、そこは私は少し本末転倒 しているのではないかと思っておうかがいしていました。彼らの目線に立って、きちんとした性教育を行うということが一番 必要で、それは法律で一義的に取り締まるということとは少し別のレベルできちんと行われなければいけないと思います。
私は児童買春・児童ポルノ禁止法が買春者を帰責の対象としたり、ポルノ写真を規制したり、刑法で13歳未満だった性 行動年齢を上げたということについては基本的に賛成なのですが、自尊感情を高めるという観点からしたときに、こういう 法律の規制の仕方が良いのかというのは若干疑問があるというのが1点。
それから、もう一つ、これは条約との関係でそういう整合性をとられたのかもしれませんが、18歳未満というのが一律の 規制対象でよいのかというのにも私は少し疑問を持っています。17歳の女の子が自分の判断で体を売ってしまった、性 のサービスを売ったということと、中学生くらいの女の子がやったということについては、意味が違うのではないかというふ うに思っていて、もう少しきめ細かい対応が必要なのではないかというふうな感じがしています。
そういう意味では、法律の枠があるのだから、それでとにかく取り締まればよいというのではなくて、むしろ教育の現場で きちんとした性教育をやっていく。大体、性教育というのは保健の中に入ってしまうというのが今の現状で、つまり妊娠のメ カニズムとか性病の話をするのですが、それはもちろん大事なことなのですが、それだけではなくて性と社会の関係みた いな視点をしっかり持った人が県内で中学や高校をまわって、かなり踏み込んだ性教育をやる必要が私はあるのではな いかと思っています。
○原会長代理 今の瀬地山委員のコメントに続くのですけれども、今日の資料1「売買春関係事犯検挙件数等グラフ」の グラフ6ですが、18歳未満で一括りになっています。これはもとの警察の資料では、中学生である15歳未満で分けようと 思えば分けられるのでしょうか。
○村上内閣府男女共同参画局推進課長 警察の資料では、18歳未満と18〜19歳、20〜29歳というように集計しており まして、15歳未満では分けられないようです。
○原会長代理 今後、この種の統計に関しては、15歳未満を分けて集計できるような方向に持っていっていただけるよう な提言をできないかと感じております。
一般論として「低年齢化」といっても、もうちょっとしっかりデータが見えるようになるのが大事ではないかと思っておりま す。
○北村委員 クリニックを通じて、例えば出会い系サイトで被害を受けたとか、「援助交際」で被害を受けた子どもたちとの 関わりがあるわけですが、きょうも話題になったように、子どもたち側が抱えている問題、あるいはそういう世界に入り込 む背景の中に、実は社会の非常に根本的な問題があるわけです。例えば、受験体制の問題とか、受験体制から落ちこ ぼれた子どもたちをサポートする社会のシステムがきちんとあるとは思えない。あるいはまさに金銭万能主義が横行して いるわけです。このあたりが、僕はあらゆるものに共通して、子どもたちを非常に苦しめ、混乱させている問題ではないか という気がしてならないのですね。
僕からしてみると、子どもたちを責める力なんて、我々大人側にはとてもないわけであって、我々が、もちろん日本を動 かしている政治家だって、見れば金銭万能主義の中で生きているわけで、本来、模範となる人たちの動きを子どもたちは つぶさに見ているんです。国としての根本的な問題にどう我々が向かっていくのか。具体的にどうしたらいいか私はわかり ませんけれども、このあたりを抜きにして議論し続けても、実は非常に虚しい部分があるのではないかという気がしてなら ないのです。
○島野会長 「児童買春について」は、「児童買春の現状についてどう考えるか」。これはかなりお話があったと思います。 それから、「児童買春が犯罪であることを広く社会に認識させるためには、どのような対策が必要か」「そのほか、どのよ うな対象へのどのような対策が有効か」。例えば、対象としては児童、買う男性などが考えられます。
それ以外で付け加えたいというような御意見があったら、どうぞおっしゃってください。
○大津委員 ヘルプにもいわゆる18歳未満の子どもたちが外国から売られて、今、入所しております。現在にいたるまで 18歳以下の子どもたちが入所しています。その数をはっきり言うことができませんが、最近、16歳の子どもがタイから来 ていまして、それはどういう形で来ていたのかといいますと、インターネットの出会いサイトで日本人男性とタイで知り合っ て、日本に一緒に遊びにいかないかということで、その男性がビザの手続をした。そのお金は全部彼女自身が親からも らって払ったというふうに言っていますが、日本に来たときに、数日間はいろいろな遊ぶところに連れていってくれたらしい のですが、その後、彼はどこに行ったかわからず、売春をするようなところに置かれてしまって、怖くなって逃げ出したん ですけれども、そういう形で日本に来る18歳未満の子どもたちがさまざまな形で入国しているんですね。私どもは大使館 を通していますので、大使館から警察に対応してもらうように言っているのですが、まさにヘルプは帰国するための準備 だけの機関で、警察がどういうふうに対応されているのかというのは、なかなかわかりません。それを捜査してくださるの かどうかというのは、とても時間がかかることなんです。
現在、いらっしゃるコロンビア人の方でも、名前がわかって、どこのバックにだれがいるかすべてわかっているので警察 に動いていただいているんですけれども、なかなかそういう人たちを捕まえるというところに至らないんです。これはいわ ゆる外務省なり、警察なりすべてが子どもに関しては、既にこういう法律ができていますから、すぐに対処できるようなも のをつくらないと、そういう犠牲者たち、子どもたちはどんどん日本に送られてくるように思います。早急な対応を私たちは 望んでおります。
○前田委員 内閣府側の初めの説明では、援助交際というのは必ずしも売春と結びつかないのだという意見もあるという ことですが、我々刑事法に関わっている人間から見ると、「援助交際イコール売春」なんですね。ところが、マスコミでも、 さっきのドラマみたいな世界を大新聞が煽っているみたいなところがあって、私はそれをなぞるのは良くないなと。
現実に、それは全員が売春するわけではないけれども、6〜7割がすればもうイコールで結んでいいという感じを我々 持っているわけです。
一時期、「大麻は煙草より毒でないから開放しろ」という意見を学者は随分言いました。アメリカでその結果どうなって いったか。「麻薬大国」になってしまったわけです。それは、大麻が煙草より毒でないという面は確かにあると思いますけ れども、それと完全につなげてはいけないと思います。
あともう一つ重要なのは、児童ポルノに関する条約の関係で、IT関係で立法化が動かざるを得なくなってきております ので、外務省人権人道課、あとむしろ法務省の公安課も動き出しますので、その話ときょうの先生のお話はかなり結びつ いていくと思います。単純所持をどこまでやるかという議論はいろいろ難しい問題があって、御議論もわかるけれども、そ れを広げてしまうとペドファイルの問題だけでは済まない、非常に大きな広がりがあります。またITの世界に縛られるかも しれませんけれども、今年の秋にも大きな争点になっていくと思いますので、ここの意見は非常に大きな影響力を持つと 思います。きょうの議論を踏まえて、議論につなげていければと思っております。
○北村委員 インターネットポルノなどを少なくとも見る限りにおいては、そこに入り込むための条件というのがあるわけで す。要するに、カード会社との提携とか、契約とか、もちろん電話会社から徴収されることを明記されるわけです。これが 日本の現状というか、資本主義社会の現状なんですけれども、第三者、すなわち暴力団などに金が行くことがわかり切っ ていながら、カード会社などはなぜその部分で一次的な予防措置を講じようとしていないのか。あるいは電話料請求など の部分について、電話会社はそのことを承知ながら、なぜその部分に一歩踏み込めないのか。私は機会があったら、ぜ ひそういう人たちに、もちろん旅行業者も含めてでしょうけれども、ぜひ尋ねてみたいなという感じがしますね。
結果的には、子どもたちがインターネットメディアに入り込んだために莫大な請求が来て、消費者センターなどでのトラ ブルが絶えないということはよく伺うわけであって、そのあたりに対する対処はどうなっているのか、ぜひ知りたいところで す。
○原会長代理 援助交際というのをカギカッコに入れるというのが先ほどの宮本さんの話だったのですけれども、私たち の専門調査会でつくる議事録とか文章もそうするかどうか。新聞で出ている普通の言葉になっているから、カギカッコに 入れないということでいくのでしょうか。躊躇を持って「援助交際」という言葉を使うことにするかどうかというのも大切だと 思います。この専門調査会として検討するべきだと考えますが、私個人としては、カギカッコに入れておいた方がいいと 思っております。
○坂東局長 事務担当者が「援助交際は買春です」という表現は、買春、売春に至らない、カラオケに一緒に行くとか、お 茶を飲んだりというのもあるので正確ではありません、と言うのですが、先ほど前田先生がおっしゃったように、「援助交 際」の6,7割が売春に結びつくということならば、「援助交際は買春です」とアピールしてもよいのではと思います。
○前田委員 6,7割と言いましたが、これは不確かな数字ですので、調べる必要があります。ただ、いわゆる少年課の 世界とか、先ほど何人かの委員から出ていた中でもあると思うんですが、「援助交際」というのは、子どもたちの世界でも そうだと思うのですが、「最後は肉体関係にいくかもしれないけれども、そこの前でとめておく」とか話をするということは、 肉体関係ということも射程に入れながら議論しているんです。それのない「援助交際」という概念というのは、事実上、私 は問題にしなくていいと思うんです。
ただ、公の世界で、積極的に「買春だから援助交際をやめましょう」と広報するところまで踏み出すかどうかというのは 非常に難しい判断だけれども、逆にこの場で「援助交際は買春でない部分をかなり含んでいるから、問題のない概念だ」 ととれるような文章を出してしまうのは非常に危険だと申し上げたかったのです。
○住田委員 「援助交際」というのはすべて買春の入り口であって、たまたま未遂に終わるか、という程度の問題なので、 十分にそういう実行行為の着手はあるというように私は思っています。
○坂東局長 「援助交際」という言葉が一般に流布していくことの害毒は、先ほどの宮本さんからも十分提起されたと思う んです。ただカッコ付だけでいいのでしょうか。
○島野会長 ここで報告書をまとめるときに、どのようにこれを概念付けるか、価値を持たせるかの作業は当然あると思 います。
○住田委員 未遂で終わる理由というのは、女の子側が割合しっかりしていて、うまくお茶だけで逃げたという自慢話が続 くわけなんですけれども、実は自慢話は外に出ますけれども、自慢話にならない、強姦に至っているということも随分ある わけでして、そういう意味では「援助交際」というのはいろいろな意味の未遂になる場合もあるということですね。援助のつ もりが実際は強姦されてしまう、まさに最悪の意味での被害者になるという、それも大きいような気がしています。
○瀬地山委員 カギカッコにすることには基本的に賛成ですし、「援助交際」がある問題性をはらんでいることも全く賛成 なのですけれども、どうしてこういう注釈がついているのかということを考えると、「援助交際」というふうに普通に言ってい るときに売買春ではない部分が相当部分含まれていて、彼女たちもしくは彼らはかなり区別して使っているからだと思い ます。少なくとも私が接触している限りの元高校生たちを見る限りではそんな感じを持っていたので、「援助交際が買春で す」というふうに簡単に言うのは、彼女ら彼らのリアリティには反している部分があるということだと思います。
だからといって、そういうふうに呼びかけることが良くないというふうには必ずしも思いませんが、その概念をどういうレベ ルに定義をして、どういうふうに使うかということだと思います。ですから、社会政策的にそういうふうに呼びかけるというこ とについては、そういうやり方もあるかなと思っています。
○島野会長 この専門調査会としてはカギカッコで、「援助交際」という言葉を使い、かつそれが児童の売買春につながっ ている言葉と位置付けたいと思います。したがって、以後、会議の議事録等において「援助交際」と表記したいと思いま す。
○前田委員 それでよろしいのですけれども、かなり強く政策的に出すのだとすると、本当は「援助交際」についてのもう ちょっと資料的なものを固めてからでないと、学者の側としてはちょっと不安が残ります。
○島野会長 報告書にまとめるときは、これはきちんとした裏付けがなければと考えます。
○奥山委員 先ほど宮本さんのお話を聞いて、その後、皆さん委員のお話も聞いたときにかなり大きな問題ではないかと 認識したのは、当事者といいますか、被害者となった児童ですね。そういう子どもたちに対する救済。特に自尊感情をどう やって高めていくか、その工夫と手だてについてが大きな一つの課題だろうと思うんです。その辺が何か見えるような柱を 立てて議論すること、それからそうした議論の内容を報告書に載せるということは非常に大事なことではないかと思いま すので、こういう柱を具体的に出して考えるということも御検討いただければと思います。
○島野会長 わかりました。きょうの議論を踏まえて、論点というものはもっと違った形になっていくかと思います。
売買春の問題は、今回で済まない大きな問題だと思います。続きはもう一度時間を設けてやるということにさせていただき たいと思います。
それでは、以上で児童買春についての議事は終わりにいたします。
資料3を御覧ください。事務局に「第12回専門調査会の議事録(案)」をまとめていただいております。
これで内閣府のホームページ等で公開することとさせていただいてよろしいでしょうか。
[異議なし]
それでは、第12回の議事録につきましては、速やかに公開することといたします。
次回の専門調査会につきましては、7月17日(水)に開催する予定としており、女性のトラフィッキングについて検討を行う ことといたします。
それでは、これで「女性に対する暴力に関する専門調査会」の第13回会合を終わりにいたします。本日はどうもありがと うございました。
(以上)