4月3日(金)
〜「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」第3回、第4回会合〜
 

 今日は、先月のゼロPT第3回、第4回の模様をご報告します。

 【3月9日(月) 第3回:不妊治療】



 これまで、少子化対策において不妊治療は正面から取り上げられてきませんでしたが、少子化担当大臣の私の元に寄せられるご意見の中で最も多いのはおそらくこの問題についてだと思います。晩婚化、晩産化の傾向がますます進んでいる中で、不妊治療に対するニーズも高まっています。その結果、不妊治療を実施する病院も増えていますが、果たして治療内容や治療実績などについて正確な情報は提供されているのだろうか、しっかりとした治療体制がとられているのだろうか。そのような問題意識から、不妊治療をテーマに議論することとしました。

 今回のゲストは、
・国立成育医療センター周産期診療部不妊診療科医長の齊藤英和さん
・フィンレージの会の鈴木良子さん
の2名の有識者の方です。

 始めに、齊藤さんから、不妊治療に関するデータの紹介や、胚培養士や不妊コーディネーター・ナースなども含めた理想的な不妊治療体制と公的な不妊専門センターの設置の必要性などのご説明をいただきました。その中で示された「年齢と妊孕性(にんようせい)」に関するデータはとても衝撃的なものでした。妊孕性とは簡単に言うと妊娠し易さということですが、齊藤さんのデータによると、20代前半の妊孕性が0.5以上(最適なタイミングの場合。以下同じ。)であるのに対し、20代後半から30代前半では0.4以下、30代後半では0.3以下と、年齢の上昇とともに妊孕性はどんどん低下していきます。また、出産時のリスクも高まるとのことです。「20代後半から妊孕性がどんどん低下するということを知らずに、年をとってから不妊治療に来られる方が多い。妊娠し易い若い時期に子どもを持てるようになれば良いのですが・・・。」というお話はとても説得力がありました。



 次に、鈴木さんから、不妊当事者の方の抱える困難、悩みなどについて、生の声をお伺いしました。また、不妊治療を少子化対策として位置づけられることに対して当事者としては違和感を感じるという率直なご意見もお聞かせいただきました。私からは、少子化対策と言っても「産めよ増やせよ」ということではなく、子どもを持ちたいと願う人に子どもを持てるように支援の手を差し伸べるということなので、不妊当事者の方々の願いを叶えるために国はどのような支援をすべきかということを考えたいというゼロPTで取り上げている趣旨をお伝えしました。また、生殖補助医療に関する法整備が進んでいないという問題についても御指摘をいただきました。

 その後の意見交換では、妊孕性に関する正しい知識を伝えることの重要性、公的な医療体制の整備が進まない理由や不妊治療の標準化の必要性、1回10万円、年間2回まで、通算5年間、所得制限730万円という、現在の助成制度(特定不妊治療費助成事業)の見直しの方向などについて議論しました。どれも簡単に結論の出せる論点ではなく、具体的な施策の方向性については、引き続き検討していくこととなりました。

 議論を通じて、改めて痛切に感じたことは不妊及び不妊治療に関する社会の認識はまだまだ不十分だということです。今後も、いろいろな機会を捉えてこの問題について取り上げて、議論を積み重ねていきたいと考えていますが、何よりも、人々の関心が高まり、不妊治療に対する理解がすすめば良いのではないかと期待をするところです。

 また、年齢とともに妊孕性が急激に低下するという問題については、特に若い世代の人々に対して、あらゆる機会を捉えて正しい知識の普及に努めたいと思っています。

 不妊治療について、こうした表立った議論は始まったばかり。今後も皆様からの幅広いご意見をお待ちしています。

会議資料議事録についてはこちら)


【3月24日(火) 第4回:ワーク・ライフ・バランス/働き方/父親の子育て支援】



 今回は、これまでの回とはちょっと違って、ゼロPTのメンバー3人(佐藤さん、松田さん、安藤さん)から冒頭のプレゼンがあって、その上で、ゲストとしてお招きした、
・日本経団連常務理事の川本裕康さん
・ 同 労働基準グループ長 兼 安全・衛生グループ長の輪島忍さん
・連合事務局長の古賀伸明さん
を交えて意見交換を行いました。

 ワーク・ライフ・バランス(WLB)やWLB支援について、「ほどほどの働き方を推奨している。」「少子化対策のためのもの。」など、まだまだ多くの誤解があり、そのために定着していない面がある。従来型の男性フルタイム正社員を前提とした働き方から、男女を問わず多様なニーズに即した多様な働き方への転換が必要である。非正規雇用者に対するWLBの推進が課題である。WLBの推進のためには管理職の意識改革が必要である。などなど、これまでもいろいろな機会に話し合われてきた論点について改めて議論する形となりましたが、今回は、一昨年末の政労使合意によるWLB憲章と行動指針の策定以降の進捗状況と課題などについて、労使の代表者を交えて意見交換することができ、大変有意義な機会となりました。

 例えば、非正規雇用者のWLBについて、川本さんとしても、必ずしも意識して把握してこなかったということで、「実態を調査して、対応を検討したい。」とおっしゃっていただいたし、WLBは少子化対策のものという誤解という点について、古賀さんも「改めて全ての人々、特に男性の問題だと改めて気付いた。」と、組合として、より広い視野でWLBへの取組みを強化することをお約束いただきました。

 また、長時間労働の是正や終身雇用の見直しなど、「新しい働き方」に向けた制度の見直し、WLBの効果的なPRなど、政府の取組みについても、沢山の宿題をいただきましたので、私としても、責任をもって検討を進めたいと考えています。

 最後に、最近、「このような経済情勢の下ではWLBどころではない」などという声を耳にすることが多くなっています。しかし、本当にそうでしょうか。私は、このような時だからこそWLBを進め、経営の効率化や優秀な人材の採用・定着を図るチャンスなのではないかと思っています。WLBやWLB支援に対する誤解があり、その真髄が十分に理解されていないことがその理由だと思うので、もっともっとしっかりとPRして行かなければいけないなぁと痛感している今日この頃です。みなさまのご理解とご協力もお願いします。

 (会議資料についてはこちら)

 
 
4月2日(木)
本日は、「養護の必要な子どもたち」についてです。
 

 先日、熊本市で、「こうのとりのゆりかご」として、いわゆる「赤ちゃんポスト」を設置している慈恵病院の蓮田太二理事長さんが大臣室に見えられました。この赤ちゃんポストについては、様々なご意見があるところですが、現実問題として遺棄されて亡くなっている子どもたちがいる中で、そのような子どもたちの命を救おうというこの取組みに対して、私は、こころから敬意を表します。赤ちゃんポストは、そこに置かれた子どもの生命や身体への危険が生じないように細心の注意を払って運営されており、初年度(19年度)は17人の乳幼児が預けられたとのことでした。

 こうのとりのゆりかごの取組みとしては赤ちゃんポストばかりがクローズアップされていますが、実際には「新生児相談室」という相談業務がその本来の目的であり、妊娠、出産、育児などの様々な悩みを抱えるお母さん方からの相談を受け、一緒に考え、問題解決に導いておられるとのことでした。赤ちゃんポストはあくまでも最終手段とのことです。

 赤ちゃんポストに預けられた赤ちゃんは、児童相談所を通じて乳児院に引き取られ、病院としてその後の対応には関与できないのですが、相談という形で受付けた場合には、相談員の方とお母さんとが一緒になって、赤ちゃんにとって最も良い解決策は何かを考え、結論を導き出すことができるとのことで、例えば、里親制度、(普通)養子縁組制度、特別養子縁組制度など、いろいろな選択肢を検討することができるそうです。その結果、赤ちゃんは、施設ではなく家庭的な環境の下で育てられることとなり、その後の人生に大きな影響が生まれています。実際に、これまで相談の中から51件もの養子縁組が成立しており、さらに、その養親のほとんどが赤ちゃんを引き取った後も、病院で提供されている育児トレーニングを受けるなど、しっかりとしたサポートの下で子育てをされているとのことです。実際、理事長さんがお持ちになった写真を見せていただき、引き取られた赤ちゃんが我が子と何ら変わらず愛されて育っている様子に感激し、涙が出る思いでした。このことからも、本来の目的である相談業務がいかに大切かということが分かります。

 さて、現在、我が国には約3万6千人の要保護児童がおり、そのうちの約10%が里親の下で家庭的な環境の下で養護されており、残りの約9割は乳児院や児童養護施設などの施設に入所しています。4月1日からの里親制度の改正などにより、家庭的養護への移行が進むことが期待されます。

 さらに、里親の多くは子どもがいなくて養子縁組を希望する人たちだとも言われていますが、我が国では、養子縁組がなかなか進んでいないというのが実態だといいます。特に、新生児の養子縁組はなかなかハードルが高いということです。赤ちゃんの将来のことを考えると、一日も早く特別養子縁組をして、実子と同じように育つことが良いと思うのですが、養親の資格要件や6ヶ月の試験養育期間の問題、実親の同意や同意撤回の問題など、乗り越えなければならない問題も多いようです。

 保護者がいない、保護者に養育させることが適当でない、などの困難な状況に置かれている全ての赤ちゃんが、家庭的で愛情に溢れた環境の下で健やかに成長できるようになる日が一日も早く来るよう願ってやみません。

 私も大臣として、こうした子どもたち、親たちの状況を注視し、必要があれば問題提起していきたいと思いますが、今後こうした養子縁組のあり方、里親制度のあり方について国民的な議論をしていく必要もあるのではないかと感じます。

 (「こうのとりのゆりかご」についてはこちら

 
 
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2008年12月上旬
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