コラム15

「次世代女性リーダーの育成」

福岡県男女共同参画センター「あすばる」では，地域や企業などにおいて今後責任ある立場で活躍する女性の人材を育成することを目的に，平成24（2012）年度から平成29（2017）年度の6期にわたり「ふくおか女性いきいき塾」（以下，「いきいき塾」という。）を開講してきた。

塾生は，地域や企業等でこれからリーダーとして活躍が期待される者として企業や地域の団体等から推薦を受けた20歳から50歳までの県内在住の女性の応募者の中から，30名程度が選考される。

7月から2月までの8ヵ月間，計10回におよぶカリキュラムは，「セミナー・討議」，「課題研究」，「交流会」の大きく3つのパートから構成される。セミナー・討議では，男女共同参画，働き方改革，リーダーシップ等の講座を受講後，さらに理解を深めるため，講師と塾生で討議を行う。並行して，塾生約6名で構成されるグループでの課題研究が始まる。また，当塾の修了生や地域の女性団体との交流会はネットワークを広げる絶好の機会となり，交友関係が修了後の財産となったという声は多い。

いきいき塾は，1期から6期まで181名が修了している。修了後に複数の活躍の場を設けていることも特長である。例えば，次期のいきいき塾での交流会やフォローアップセミナーの企画運営は前年度修了生が行う。さらに，修了生名簿は女性人材リストとして各市町村に提供されており，企業や地域で研修講師としての依頼を受ける修了生もいる。「会社で新たなプロジェクトを立ち上げた」，「審議会の委員に就任した」，「修了生でチームを組んでセミナーを実施した」などの変化が報告されており，企業における活躍はもちろんのこと，地域での活躍や地域への還元も見られる。

平成30（2018）年度からは，経営的視点を持った女性リーダーの育成を目的とした「あすばるキャリアアップ・カレッジ」を開講している。

いきいき塾との違いは，受講者は企業からの推薦を受けた女性社員に限定し，より企業の課題解決に特化し，実践を重視している点である。

いきいき塾で塾生の関心や活動分野により研究テーマを設定していた課題研究に代わり，自社の「解決したい女性活躍推進のための課題」を見いだした後，解決のための提案書を作成し，経営層に提案するという実践型プログラムとなっている。

平成31（2019）年2月には，成果報告会が実施され，17名の受講生に修了証が授与された。そこでは，修了生より，「自分のことだけではなく，会社にとってのベストを考えるようになった」，「他社の受講生や身近なロールモデルと出会い，多様なリーダーシップのあり方を知ることができた」，「上司の期待を感じたこと，立場と責任をあらためて見直したことが，仕事へのモチベーションにつながった」という感想が寄せられている。

人生グラフ　人生における学び・充実度・収入充足度～いきいき塾を修了したAさんの場合～