コラム9 「若手社員に基幹事業を任せ,次期管理職としての育成に繋げる」

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コラム9

「若手社員に基幹事業を任せ,次期管理職としての育成に繋げる」


(タカハ機工株式会社)

ソレノイドを披露するタカハ機工株式会社の社員の写真

タカハ機工株式会社は,ソレノイド1を生産する専業メーカーである。総従業員数は現在2,79名(うち正規従業員数25名)である。同社の強みは,ソレノイドを部品から製造する一貫生産体制であり,下請けとして多様な受注に応じている。一方で,市場の縮小や海外との競争激化等の変化の中で,売上げを拡大していくためには,業界慣行に縛られない新しいアプローチでの営業が必要となる。そこで,同社は社員のイノベーション創出を促すため,平成25(2013)年から新卒採用を開始した。中小企業の多くは,即戦力となる中途採用に力を入れるが,新卒社員の新たな視点に期待を込めた。現在3までに女性3名,男性6名の計9名の採用を行った。また,多様な人材を確保するために,募集時に専攻や最終学歴は問わず,採用後に,個人のスキルや特性を見て適切な部署への配置行っている。平成25(2013)年には,入社した新卒女性社員の1名を,女性で初めて製造部門に登用した。

新卒採用を始めてから,社内の雰囲気はガラリと変わった。既存の社員は,まっさらな新卒社員を前に良いお手本にならなければならないと気が引き締まったのか,会社全体にとても良い刺激となった。

新卒社員は,次期管理職としての育成を積極的に進め,責任のある仕事を任せ,様々な経験を積ませることを実践している。平成26(2014)年に同社若手女性社員3名で立ち上げた「トイレプロジェクト」はその一例である。「トイレプロジェクト」では,老朽化していたトイレを,冷暖房完備で居心地が良く,デザインや照明にこだわったおしゃれなトイレに変身させた。社内のみならず社外からの協力者も得てプロジェクトを実現させたこの成功体験は本人らを成長させ,さらには,社内の風土もチャレンジングなものに変えていった。タカハ製品を使った発明品のアイデアと技術を競う「ソレノイドコンテスト」も若手女性社員が中心となって企画運営を行っている。

加えて,海外視察へは積極的に若手社員を連れていくことにしている。このような刺激的で貴重な経験は,多くのことを学び吸収する機会となり,その後,会社が期待するアウトプットを必ずもたらしてくれる。

以上のように,新卒採用時から活躍のチャンスや学ぶ機会の提供を積極的に行っている同社だが,女性の正社員増加に伴い,働く上での基盤となる勤務環境整備にも力を入れている。社長の妻である取締役は,自身の米国での経験と比較し,日本における子育て中の女性の働き辛さを実感した。女性が楽しく働ける環境を,まずは自分の会社で実現することを目指し,産休・育休制度等の各種制度の整備とその取得促進はもちろんのこと,平成29(2017)年10月には託児所を開設している。

「ソレノイドコンテスト」の写真

女子トイレ写真

女子トイレ写真

1電磁コイルに電流を流す事により発生する磁力を応用し,可動鉄芯を直線運動させる電気部品。自動販売機やレジの自動硬貨払い出し,安全装置やセキュリティなどのロック機能,複合機やプリンターの給紙装置の部品など,様々な機器に使用される。

2平成31(2019)年2月現在

3平成31(2019)年2月現在