コラム8 「生命保険業界の取組~女性管理職登用プロセスの確立,退職時の役職での再雇用」

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コラム8

「生命保険業界の取組~女性管理職登用プロセスの確立,退職時の役職での再雇用」


(明治安田生命保険相互会社)
(日本生命保険相互会社)

生命保険業界は,全従業員に占める女性の割合が8割から9割に及ぶ会社も珍しくなく,多くの女性が活躍する業界のひとつであるが,管理的職業従事者に占める女性の割合は必ずしも高くない。

明治安田生命保険相互会社は,女性従業員比率は89.5%1,女性管理職比率24.4%2であり,女性管理職比率については,令和2(2020)年4月までに30%程度に引き上げることを目標に掲げている。このように高い数値目標を設定する一方で,同社は,女性管理職登用において厳格な選抜プロセスとその着実な運営を重要視している。時間や手間を要しても,しっかりと選抜し育成することが結果的には本人にとっても会社にとってもプラスになると考えているのだ。具体的には,次のような選抜プロセスを行っている。まず,勤続年数や職務状況により管理職候補者として登録可能な人財を人事部にてリストアップする。管理職候補者の登録は,おおむね入社10~20年前後の者が中心であるが,本人の意欲,実力や実績も重視しており6年目から登録される人もいる。リスト掲載者を対象に所属長が面談を行い管理職へのキャリアアップの意思確認を行う。この意思確認を経て,挑戦意欲あふれる女性を所属長が人事部に推薦する。次に,人事部からも改めて本人にキャリアアップの意思確認を行う。つまり所属長及び人事部と二方向からのアプローチによって複数回の意思確認が行われるのだ。以上のプロセスを経て,キャリアアップへの意欲が明確な人財のみが管理職候補者となる。選抜された候補者にキャリア開発を支援する研修を集中的に実施して,管理職登用へと着実に結び付けている。

明治安田生命 女性管理職登用候補者の育成態勢の図

明治安田生命 女性管理職登用候補者の育成態勢の図

「ウェルカムバック制度」で再入社した方の写真

家庭の事情等により退職した人材を再雇用し,在職時に蓄積したキャリアや学びを活かす取組も行われている。日本生命保険相互会社では,平成30(2018)年度より「ウェルカムバック制度」の運用を開始している。配偶者の転勤や家族の介護等の事由で退職した人材を退職時の役職等を踏まえた処遇で再雇用することができる制度である。制度初の適用者は,子育てと両立しながら約20年勤めて課長職に就いていた時に夫の海外転勤に帯同するため退職し,2年半後に帰国して再入社した。制度を利用した最大のポイントは退職前の役職に戻ることができる点だ。在職時の経験や学びを再就職という形で活かせるだけでなく,退職前のキャリアが断絶せず,継続できる点が非常に魅力的であったという。仕事をすることを応援してくれていた家族も,再就職をとても喜んでくれた。退職中に海外で専業主婦として生活した経験は,人生に寄り添う生命保険を扱う仕事に中長期的に活かしていくことができると考えている。

1平成30(2018)年3月末時点

2平成31(2019)年4月1日時点