コラム4 「職業学科における状況」

本編 > コラム4 「職業学科における状況」

コラム4

「職業学科における状況」


高等学校には,普通科の他に職業学科,その他専門学科1,総合学科が置かれている。いわゆる専門高校である職業学科に通う生徒は,平成30(2018)年時点で全生徒の18.3%2と決して多くはないが,学科の選択や高等学校卒業後の進路において男女で違いが生じている。

まず,学科別の生徒数について平成元(1989)年から平成30(2018)年までの推移を見てみることとする(図表1)。平成元(1989)年時点で職業学科の中で最も女子が多く在籍していた商業科の平成30(2018)年時点の女子の生徒数は,平成元(1989)年時点の28.9%まで減少している。男子の生徒数も,減少してはいるが,女子の減少率と比べると小さい。同様に女子が多く在籍していた家庭科では,女子は,平成元(1989)年時点の25.3%まで減少しているが,男子は減少するどころか,約1割増えている。

図表1 学科別生徒数の推移別ウインドウで開きます
図表1 学科別生徒数の推移

図表1[CSV形式:1KB]CSVファイル

他方,平成元(1989)年時点で職業学科の中で最も男子が多く在籍していた工業科の平成30(2018)年時点の男子の生徒数は,平成元(1989)年時点と比べて半減しているが,女子の生徒数は約1割増えている。このように,商業科,家庭科や工業科といった生徒数における男女の偏りが大きかった学科において,男女差が以前と比べて小さくなってきていることが分かる。学科の選択にあたり性別の垣根が低くなっていること,結果として進路選択の幅が広くなっていることが推察される。

次に,平成30(2018)年の学科別の進路状況について見てみることとする(図表2)。普通科では,男子よりも女子の方が,高校卒業後に進学している割合が高くなっているが,職業学科全体も同様の傾向を示している。特に,工業科,家庭科では男女差が大きくなっており,工業科においては,大学,短期大学,専修学校(専門課程)への進学率が男子は25.4%であるのに対して,女子は42.6%と男子に比べて高くなっている。また,家庭科においても,男子が29.4%であるのに対して,女子は58.5%と男子に比べて高くなっている。職業学科においても,男子に比べて女子の方が高等教育段階への進学を希望する傾向にあることも,女子の高等教育の進学率上昇の一つの要因となっている可能性が考えられるだろう。

図表2 工業科・家庭科における進路状況(平成30(2018)年)別ウインドウで開きます
図表2 工業科・家庭科における進路状況(平成30(2018)年)

図表2[CSV形式:1KB]CSVファイル

1その他専門学科には,理数,体育,音楽,美術,外国語及び国際関係等の学科がある。

2文部科学省「学校基本統計」(平成30年度)