男女共同参画白書の刊行に当たって

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内閣府特命担当大臣(男女共同参画)

野田聖子

男女共同参画社会の実現と女性活躍の推進は,少子化・人口減少社会に直面する我が国にとって,社会全体で取り組むべき最重要課題です。

安倍内閣発足以来,「女性活躍」の旗を高く掲げて取組を進めてまいりました。その結果,女性就業者数の増加や子育て期の女性の就業率の上昇,第1子出産前後の妻の就業継続率の大幅な上昇など,我が国の女性活躍は一定の成果を上げています。また,本年5月には日本の政治を大きく変える一歩となる「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が成立しました。

一方,改めて我が国の女性を取り巻く状況に丁寧に目を向けると,昨今のセクシュアルハラスメントに関する問題を始め,「普通の女性」が抱える様々な困難や制約が,女性活躍以前に取り組むべき課題として認識されていないと思います。こうした問題を直視し,正面から取り組むことで,「フェアネスの高い社会」を構築してまいりたいと考えています。

今回の白書では,56年ぶりに我が国で開催される2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を見据えて,「スポーツにおける女性の活躍と男女の健康支援」を特集テーマとしました。国際オリンピック委員会(IOC)の「オリンピック憲章」では,「スポーツにおける女性の地位向上」等の基本原則がうたわれていますが,我が国では,スポーツ分野における女性の指導者や役員等の育成に向けた取組が,未だ十分とは言えない状況にあると思います。また,無月経等に代表される女性アスリート特有の課題や,スポーツ参加における男女格差,健康面の課題についての男女の違いなどは,これまで必ずしも広く認識されてきたとは言えません。

白書では,オリンピック・パラリンピック競技大会で活躍した,あるいは,2020年東京大会等を目指して日々練習に励む女性トップアスリートの皆様にインタビューを行い,女性アスリートが抱える健康面や出産・育児との両立等の課題を明らかにし,適切な支援を行う必要性を示しています。また,アスリートだけでなく一般の男女にとっても健康は,職業生活や家庭生活の基盤となるものです。特に女性の場合,思春期,妊娠期・出産期,更年期等のライフステージによって心身の状態が変化し,月経痛,産後うつ,女性の更年期障害など,直面する健康面の課題も変わることから,女性の生涯を通じた健康支援の重要性を明らかにしました。

この白書を通じて,国民の皆様に男女共同参画の現状,取組等について理解を深めていただくとともに,男女が共に輝く社会づくりが更に広がっていくことを願っております。

平成30年6月