コラム8 「バストにいちばん近い会社」ワコールの乳がん・子宮がん検診の推進等

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コラム8

「バストにいちばん近い会社」ワコールの乳がん・子宮がん検診の推進等


株式会社ワコールホールディングス(以下「ワコール」という。)では,2015年11月に「ワコール健康宣言」を発表し,「社員の健康は持続的成長のための重要な資産」との基本方針の下,がん対策・生活習慣病対策・メンタルヘルス対策の3分野の取組を進めている。

(乳がん検診車「AIO」)

(乳がん検診車「AIO」)

がん対策においては,男性社員900人に対して,女性社員が5,000人と女性が非常に多い企業であることから,乳がん検診・子宮がん検診にも注力している。具体的には,2009年10月に乳がん検診サポート事業を発足させ,乳がん検診車「AIO(アイオ)」を購入,2011年から,本社や各事業所にバスを横付けし,移動の手間なく乳がん検診・子宮がん検診を受けられるようにした。「AIO」は他社への貸し出しも行っており,各地域で働く他社の女性の乳がん検診の受診率向上・早期発見にも寄与している。

ワコールでは,原則として,「お財布要らず(一時的でも個人の支払いなし)」,「手間要らず(会社で受診可能。定期健診のついでに受診)」,「休み要らず(就業時間内の受診を原則とする)」の3つの観点からがん検診の受診環境整備を進めている。百貨店や専門店などの店頭で働く外勤スタッフについても,勤務場所に近い契約医療機関において,定期健診のメニューにがん検診を組み込み,検診費用の立替払い等を不要とし,受診と移動に係る時間を就労扱いとすることで,受診率向上を達成したという。こうした様々な取組を通じて,検診受診率は乳がんが約80%,子宮がんが約65%と高い水準を誇る。また,がん検診を始めとした健康経営推進の結果,経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「健康経営銘柄」に3年連続(2016~2018)で,「健康経営優良法人(ホワイト500)」に2年連続(2017,2018)で選ばれた。

ワコールは,女性用のランジェリーを製造・販売する企業であり,「バストにいちばん近い会社の責務」という考えの下,自社の女性社員のための活動に止まらず,乳がん対策等の社会貢献にも取り組む。例えば,乳がん手術を受けた方の術後のQOL向上のために,1974年から,体への負担を軽減し,ボディラインを綺麗に見せるインナーウェアや水着などを開発・提供する「リマンマ事業」と名付けたソーシャルビジネス1なども手掛けている。

(個室で専門のアドバイザーに相談しながら商品を選べるリマンマルーム)

(個室で専門のアドバイザーに相談しながら商品を選べるリマンマルーム)

(幅広のストラップなど,体に負担がかからない工夫が施されたリマンマの商品)

(幅広のストラップなど,体に負担がかからない工夫が施されたリマンマの商品)

1ソーシャルビジネスとは,社会的課題を解決するために,ビジネスの手法を用いて取り組むものであり,社会性・事業性・革新性が求められ,継続的に事業活動を進めていく必要がある。「リマンマ事業」は,乳房切除手術を受けた女性に寄与するため,1974年に社長直轄の「社会福祉課」を設置して始まったものであり,現在に至るまで事業が継続されている。(ワコールホームページ)