第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し

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第10章 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備

第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し

(働きたい人が働きやすい中立的な税制・社会保障制度・慣行)

税制に関しては,個人所得課税について,各種控除や税率構造の一体的な見直しを検討する。

社会保険制度については,年金機能強化法に基づき短時間労働者への社会保険の適用拡大に向けた準備や周知に取り組むほか,更なる適用拡大に向けて必要な取組を進めていく(第2章第5節参照)。

国家公務員の配偶者に係る扶養手当については,人事院に対し検討を要請しており,その検討結果を踏まえ,速やかに対処する。

民間企業における配偶者手当についても,「配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項」について広く周知を図り,労使に対しその在り方の検討を促していく。

また,政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響等について,調査検討を行う。

(男女の多様な選択を可能とする育児・介護の支援基盤の整備)

「少子化社会対策大綱」(平成27年3月閣議決定)に基づき,結婚・妊娠・出産・子育ての各段階に対応した総合的な少子化対策を推進していく。

子ども・子育て支援新制度においては,小規模保育等地域のニーズに応じた幅広い子育て支援分野において,子供が健やかに成長できる環境や体制が確保されるよう,その担い手を確保する必要があることから,厚生労働省では,育児経験豊かな地域の人材を対象として,保育や子育て支援分野の各事業等に従事するために必要となる知識や技能等を習得する子育て支援員研修事業を実施するとともに,事業の担い手の資質向上等を目的として,資質向上・人材確保等研修事業及び指導者養成等研修事業を実施する。

子育て中の世代が仕事と家庭の両立をしやすい環境を作り,女性の活躍を推進していく上で,待機児童の解消は最重要課題であることから,平成25年4月に策定された「待機児童解消加速化プラン」における29年度末までの保育の受け皿の整備目標を約40万人から50万人分に前倒し・上積みしたところ,28年度においては,同プランに基づき約8万人分の受入児童数の拡大を図るため,保育所等の整備を推進するほか,保育士資格取得支援や再就職支援等の保育士確保対策を総合的に実施する「保育対策総合支援事業費補助金」を創設し,地方公共団体の取組を支援する。

また,事業所内保育業務を目的とする施設等の設置者に対する助成及び援助を行う事業を創設するとともに,一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げるなどの措置を講じ,子ども・子育て支援の提供体制の充実を図る。

さらに,「待機児童解消加速化プラン」の確実な実施のため平成27年1月に策定した「保育士確保プラン」に基づき,保育士試験の年2回実施の推進や処遇改善等保育士確保に向けた新たな施策を講じるほか,従来の保育士確保施策についても,引き続き確実に実施し,施策に関する普及啓発を積極的に行うなど,更なる推進を図る。

共働き家庭等の「小1の壁」を打破するとともに,次代を担う人材を育成するため,平成26年7月に文部科学省と厚生労働省が共同で策定した「放課後子ども総合プラン」に基づき,31年度末までに,放課後児童クラブについて約30万人分を整備し,合計で約122万人分の受け皿を確保するとともに,全小学校区(約2万か所)で放課後児童クラブ及び放課後子供教室を一体的に又は連携して実施し,うち1万か所以上を一体型で実施することを目指している。

平成28年度は,「放課後子ども総合プラン」に基づく放課後児童クラブの「量的拡充」のための支援策を27年度に引き続き実施して受入児童数の更なる拡大を促すとともに,待機児童の解消に向けた取組のより一層の強化を図るよう,市町村への支援の充実を図る。なお,中央教育審議会答申(新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について(平成27年12月))及び「『次世代の学校・地域』創生プラン」(平成28年1月)を踏まえ,放課後子供教室等,地域と学校が連携・協働して,地域全体で未来を担う子供たちの成長を支え,地域を創生する地域学校協働活動を全国的に推進する。

放課後児童クラブに従事する者の処遇改善については,引き続き,消費税増収分を財源として,放課後児童支援員等の処遇の改善と常勤職員の配置促進に取り組むとともに,18時半を超えて開所している放課後児童クラブに対して,職員の賃金改善に要する費用を補助する放課後児童支援員等処遇改善等事業を実施することにより,放課後児童クラブに携わる人材の確保及び資質の向上を図る。

子育て家庭等の不安感や負担感を軽減するため,子育て親子が気軽に集い,交流することができ,子育てに関する相談・援助を行う場の提供や地域の子育て関連情報の提供,子育て及び子育て支援に関する講習を行う「地域子育て支援拠点事業」を促進し,平成31年度末までに8,000か所での実施を目指す。

子ども・子育て支援の推進にあたって,子ども及びその保護者等,または妊娠している方がその選択に基づき,教育・保育・保健その他の子育て支援を円滑に利用できるよう,情報提供及び相談・助言等を行うとともに,関係機関との連絡調整等を行う「利用者支援事業」を促進し,平成31年度末までに1,800か所の実施を目指す。

厚生労働省では,高齢化が一層進展する我が国において,介護保険制度が将来にわたり国民生活の安心を支え続けることができるよう,介護保険法(平成9年法律第123号)の着実な実施を図る。

また,全国の主要なハローワークに設置された「福祉人材コーナー」において,福祉分野のきめ細かな職業相談・職業紹介,求人者への助言,指導等を実施するとともに,支援を一層充実させるため,事業拠点の拡大等を行う。

各都道府県に設置されている福祉人材センターにおいては,離職した介護人材の届出システムを活用し,ニーズに沿った求人等の情報提供を行うなど,再就業までの一体的な支援を実施する。また,当該センターに配置された専門員が求人事務所と求職者間双方のニーズを的確に把握した上で,マッチングによる円滑な人材参入・定着支援,職業相談,職業紹介等を推進する。

さらに,介護労働者の雇用管理改善を促進する「介護雇用管理改善等計画」(平成27年厚生労働省告示第267号)に基づき,従来から実施してきた労働環境の改善に資する介護福祉機器や雇用管理制度等を導入する事業主への助成や,介護労働安定センターによる雇用管理改善の相談援助及び実践力を備えた介護人材の育成を図るための介護労働講習に加え,介護事業主が賃金制度を整備(賃金テーブルの設定等)した場合の助成の拡充や,新たな介護技術等を用いた先進的な取組を行う事業所の雇用管理改善の好事例把握等を実施する。

国民が可能な限り住み慣れた地域で暮らすことができるよう,地域包括ケアシステムの実現を目指す。

また,改正後の育児・介護休業法に基づき,介護休業の分割取得や有期契約労働者の育児休業取得の要件緩和等について,施行に向けた周知を図る(第2章第2節参照)。

経済産業省では,安価で安心な家事支援サービスを利活用できる環境整備を図るため,平成27年1月に品質確保に向けた家事支援サービス事業者の取組指針となる「家事支援サービス事業者ガイドライン」を策定し,27年度以降,2年間かけて当ガイドラインを活用した事業者評価の検討を行っている。28年2月には,事業者が当ガイドラインにおける担保すべき項目を満たしていることを確認できる「家事支援サービス事業者自己診断ツール」を作成し,引き続き,事業者評価に取り組んでいくとともに,当該ツールの改善等を進めていく。

国土交通省では,公的賃貸住宅等における保育所等の子育て支援施設の一体的整備や,職住近接で子育てしやすい都心居住,街なか居住を実現するため,良質な住宅供給や良好な住宅市街地等の環境整備を行う。

また,安全で安心な道路交通環境の整備として,歩道,自転車道等の設置,歩行者等を優先する道路構造の整備,無電柱化,交通安全施設等の整備を推進するほか,公共交通機関,公共施設等におけるバリアフリー化を踏まえ,ベビーカーの利用等,子育てしやすい環境づくりに向けた取組を行う。