第5節 多様な生き方,多様な能力の発揮を可能にするための支援

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第5節 多様な生き方,多様な能力の発揮を可能にするための支援

1 再就職に向けた支援

厚生労働省では,子育て女性等に対して再就職支援を行うマザーズハローワーク及びマザーズコーナー(全国184か所(平成27年度末現在))において,担当者制によるきめ細かな職業相談・職業紹介,仕事と子育てが両立しやすい求人の確保,地方公共団体等との連携による保育所情報等の提供,託児付きセミナー等を実施している。

また,再就職を考え始めたが仕事と育児の両立に不安を感じている潜在的な求職者の方等を対象に,託児付き再就職支援セミナー等も実施した。

さらに「仕事と育児カムバック支援サイト」を運営し,情報提供を行うほか,再就職に関する好事例の普及を行うことにより,仕事と育児の両立が可能な再就職に向けた支援を行っている。

経済産業省では,地域の中小企業・小規模事業者のニーズを把握し,地域内外の女性・若者・シニア等多様な人材から,地域事業者が必要とする人材を発掘するとともに,地域事業者の魅力を発信し,マッチングの促進等を図る「地域中小企業人材バンク事業」を実施した。

2 仕事と生活の調和を可能にする多様な働き方の推進

厚生労働省では,所定労働時間が短いながら正社員として適正な評価と公正な待遇が図られた働き方である短時間正社員制度の導入・定着を促進するため,制度を導入した事業主に対して助成金を支給したほか,制度導入支援マニュアルの配布,ウェブサイト「短時間正社員制度導入支援ナビ」の運営,人事労務担当者を対象にしたセミナーの実施等により,短時間正社員制度の概要や取組事例等についての情報提供等を行い,周知・啓発に努めた。

「世界最先端IT国家創造宣言」(平成25年6月閣議決定,28年5月変更)等に基づき,関係省庁では,テレワークの一層の普及拡大に向けた環境整備,普及啓発等を連携して推進している。

総務省,厚生労働省,経済産業省,国土交通省のテレワーク関係4省は,平成17年度に設立した産学官から成る「テレワーク推進フォーラム」において,テレワークの円滑な導入や効果的な運用に資する調査研究及び普及活動を展開している。

総務省では,テレワーク導入を検討する企業等への専門家派遣を行うとともに,全国でセミナーを開催し,その普及を図った。また,厚生労働省と連携してテレワーク普及に向けた新たなモデル確立のための実証を行った。

厚生労働省では,仕事と子育て・介護等の両立等柔軟な働き方が可能となるテレワークモデルを確立するための実証を実施し,仕事と育児・介護の両立のための好事例集を作成・周知するとともに,在宅勤務ガイドラインの周知・啓発,テレワーク相談センターでの相談対応,企業等に対する労務管理や情報通信技術に関する専門家の派遣,事業主・労働者等を対象としたセミナーの開催,テレワークに先進的に取り組む企業等に対する表彰の実施,テレワーク導入経費に係る支援等により,適正な労働条件下における良質なテレワークの普及を図っている。

また,在宅ワークについて,契約条件の文書明示や適正化等を示した「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知・啓発を行うとともに,「ホームワーカーズウェブ」の運営により,在宅ワーカー及び在宅ワークの発注者に対する情報提供等の支援事業を実施した。

国土交通省では,テレワークによる働き方の実態やテレワーク人口の定量的な把握,テレワーク展開拠点の整備推進方策の検討を行った。

3 女性起業家に対する支援

経済産業省では,株式会社日本政策金融公庫を通じ,女性等を対象に優遇金利を適用する融資制度(女性,若者/シニア起業家支援資金)や,無担保,無保証人で融資を受けられる新創業融資制度等により,起業・創業の支援を行っている。新創業融資制度については,平成26年度補正予算により,女性の小口創業の特例を拡充し,女性であれば300万円以内に限って,勤務経験や雇用創出等の要件を撤廃している。

また,平成24年より,女性や若者等の創業者に対し,新たな需要を創造する新商品・サービスを提供する創業(第二創業を含む。)に対して,店舗借入費や設備費等の創業に要する費用の一部を支援している(採択実績:11,867件(平成28年1月時点))。

さらに,全国各地で創業予備軍の掘り起こしを始め,創業希望者の基本的知識の取得からビジネスプランの策定までを支援する「創業スクール」において女性起業家コース等を実施している。

加えて,平成26年度から若者等のロールモデルとなるような,インパクトのある新事業を創出したベンチャー企業経営者の表彰制度を創設し,平成28年2月に女性起業家賞(経済産業大臣賞)として1社を表彰した。

4 雇用・起業以外の就業環境の整備等

厚生労働省では,家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図るため,委託者及び家内労働者等に対し,家内労働手帳の交付の徹底,工賃支払いの確保,最低工賃の決定・周知,安全衛生の確保等の対策を推進した。