第2節 非正規雇用における雇用環境の整備

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第2節 非正規雇用における雇用環境の整備

1 同一労働同一賃金に向けた均等・均衡待遇の取組の推進

(1)パートタイム労働法に基づく均等・均衡待遇の推進と事業主の取組への支援

厚生労働省では,非正規雇用労働者の雇用の安定や処遇の改善を図るため,正規雇用への転換,人材育成,処遇改善等の総合的な対策を推進している。

また,「『日本再興戦略』改訂2014」(平成26年6月閣議決定)を受けて,職務等に着目した「多様な正社員」モデルの普及・促進を図るため,雇用管理上の留意事項及び好事例の周知・啓発を行うとともに,「多様な正社員」の導入を検討している企業に対するコンサルティングや助成制度等,支援措置を講じている。

さらに,非正規雇用労働者の労働条件の確保や改善対策の推進のため,労働基準法(昭和22年法律第49号)等に基づく指導を徹底するとともに,無期転換ルールの導入等の有期労働契約に関する規定を含む労働契約法(平成19年法律第128号)他関係法令に関する周知・啓発を実施している。

パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため,平成27年4月に施行された改正後の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)に基づく是正指導等により同法の着実な履行確保を図るとともに,専門家による正社員との均等・均衡待遇や正社員への転換に関する相談・援助,事業主に対する職務分析・職務評価の導入支援や助成金の活用等により,正社員との均等・均衡待遇確保のための取組を推進した。また,パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保に向けた事業主の取組を支援し,併せてパートタイム労働者のキャリアアップ支援等を行った。

(2)有期契約労働者,派遣労働者の待遇の均衡等の検討

厚生労働省では,労働契約法において定められた,有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に,労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(いわゆる「無期転換ルール」)等について,労働局・労働基準監督署・ハローワークの窓口でのチラシの配布,厚生労働省ホームページを通じた無期転換ルールを先行導入した企業の好事例の紹介,全国47都道府県でのセミナー開催のほか,セミナー後に個別相談会を実施するなど,あらゆる機会を活用して無期転換ルールの周知・啓発及び導入支援を行った。

派遣労働者については,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律(平成27年法律第73号)が,平成27年9月に成立・施行され,派遣元事業主に対し,均衡待遇の確保のために考慮した内容を派遣労働者の求めに応じて説明する義務や,派遣先に対し,福利厚生施設の利用機会を与えるよう配慮する義務等を課すこととされた。施行に当たり改正法の内容を解説したパンフレットを作成し都道府県労働局で配布するとともに,都道府県労働局が説明会を開催するなどにより周知を行った。

2 公正な処遇が図られた多様な働き方の普及・促進

有期契約,パート,派遣等の非正規雇用労働者には,企業側の人材ニーズや労働者に様々な働き方の選択肢が提供されるなどの面もあるが,雇用が不安定,賃金が低い,能力開発機会が乏しいなどの課題がある。

厚生労働省では,平成27年1月,女性が多様なニーズに応じた働き方で様々な分野で活躍し,働きに応じた処遇を得られる社会の実現に資する各種施策を「働く女性の処遇改善プラン」として取りまとめ,着実に実施している。

また,非正規雇用の労働者の雇用の安定や処遇の改善を図るため,正規雇用への転換,人材育成,処遇改善等,企業内でのキャリアアップを促進するため,こうした措置を実施した事業主に対し包括的な助成措置としてキャリアアップ助成金を支給し支援している。

また,「『日本再興戦略』改訂2014」を受けて,職務等に着目した「多様な正社員」モデルの普及・拡大を図るため,ホームページへの掲載や全国主要地域でシンポジウムを開催することにより,多様な正社員の好事例を収集し,雇用管理上の留意事項と合わせて周知を行った。