第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度の見直し

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第3章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し,意識の改革

第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度の見直し

1 働きたい人が働きやすい中立的な税制・社会保障制度・慣行の検討

平成26年10月の経済財政諮問会議で税制,社会保障制度,配偶者手当等の在り方について,総合的に具体的取組の検討を進めるよう,内閣総理大臣から指示・要請が行われ,27年6月1日には,同会議にそれまでの各制度の進捗状況を報告した。

2 税制の検討

政府税制調査会は「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」を平成27年11月に取りまとめた。その中では,これまでに提示した配偶者控除の見直しを軸とする5つの選択肢について更に検討を深める必要があるとしている。また,家族のあり方や働き方等国民の価値観に深く関わるものであることから,幅広く丁寧な国民的議論を行う必要があるとしている。

(参考)政府税制調査会では,「働き方の選択に対して中立的な税制の構築をはじめとする個人所得課税改革に関する論点整理(第一次レポート)」(平成26年11月政府税制調査会)において,働き方の選択に対して中立的な税制の構築にあたっての選択肢として,(1)配偶者控除の廃止と子育て支援の拡充,(2)配偶者控除の適用に所得制限を設けるとともに子育て支援を拡充,(3)いわゆる移転的基礎控除の導入と子育て支援の拡充,(4)いわゆる移転的基礎控除の導入・税額控除化と子育て支援の拡充,(5)「夫婦世帯」を対象とする新たな控除の導入と子育て支援の拡充,を提示した。

3 社会保障制度の検討

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号)に基づき,平成26年4月から施行された産休期間中の社会保険料免除の円滑な実施に努めるとともに,短時間労働者への被用者保険の適用拡大の28年10月からの円滑な施行に向け,必要な準備に取り組んだ。

また,平成28年10月の適用拡大の施行後の更なる適用拡大の進め方等に関する社会保障審議会年金部会における議論を踏まえ,中小企業についても,労使合意に基づき,適用拡大の途を開くこと等を内容とする「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」を第190回通常国会に提出した。

4 配偶者手当等の検討

国家公務員の配偶者に係る扶養手当については,平成27年8月6日の人事院勧告で引き続き検討を行うこととされ,人事院において,同年11月より学識経験者による「扶養手当の在り方に関する勉強会」を3回開催したほか,民間企業における動向の更なる把握などを通じ,検討を行っている。

民間企業における配偶者手当については,厚生労働省において,その在り方の検討を行うための背景,課題等を整理するとともに,見直しを行う場合の留意事項等を示すことを目的として,平成27年12月より学識経験者による「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」を開催して検討を行い,28年4月に報告書を公表した。

5 家族に関する法制の整備等

法務省では,平成8年2月の法制審議会の答申(「民法の一部を改正する法律案要綱」)を踏まえた選択的夫婦別氏制度の導入等を内容とする民法改正については,引き続き慎重な検討が必要であるとの認識の下,ウェブサイトを通じた国民への情報提供等に努めている。

また,女性にのみ6か月の再婚禁止期間を定める民法の規定については,最高裁判所が平成27年12月に再婚禁止期間のうち100日を超える部分は憲法に違反するとの判断を示したことを受け,28年3月,再婚禁止期間を100日に短縮するなどの措置を講ずることを内容とする法律案を国会に提出した。