はじめに 平成27年度を振り返って

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第1部 平成27年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

はじめに 平成27年度を振り返って

1 男女共同参画社会の実現に向けた取組は新たな段階へ

平成27年度は,第3次男女共同参画基本計画(以下「第3次基本計画」という。)の最終年度に当たり,また第2次安倍内閣の下で進められてきた「すべての女性が輝く社会」づくりを更に深化させるべく,新しい政策の枠組みづくりが進められた1年であった。

平成27年6月,内閣総理大臣を本部長とするすべての女性が輝く社会づくり本部において「女性活躍加速のための重点方針2015」が決定され,同方針において今後毎年,重点的に進めるべき政策方針を決定して各府省の概算要求に反映させることとされた(第1章第1節1(5)参照)。

また,同年8月には,女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)が10年間の時限立法として成立し,同法に基づく基本方針も同年9月に閣議決定された(第5章第6節(1)参照)。

さらに,同年12月には,男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)に基づき総合的かつ長期的に講ずべき施策の大綱として「第4次男女共同参画基本計画」(以下「第4次基本計画」という。)が閣議決定された。同計画は,男女が共に暮らしやすい社会を実現するため,計画全体における共通の課題として男性中心型労働慣行等の変革を冒頭に位置付けているほか,指導的地位に就く女性の人材層の拡充を含めた女性の参画拡大等の取組を重点的に推進することとしている。

このほか,女性等の一層の活躍促進に向け,「『日本再興戦略』改訂2015」(平成27年6月閣議決定)では,企業における情報開示の徹底による長時間労働の是正等が盛り込まれたほか,「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」(平成27年11月一億総活躍国民会議決定)では,税・社会保険,配偶者手当の制度の在り方に関する対応の検討や,長時間労働の是正・公共調達の活用等によるワーク・ライフ・バランスの実現の加速等が盛り込まれた。

2 男女共同参画に関わりの深い制度改革の動き

平成27年8月,上述のとおり女性活躍推進法が成立し,国や地方公共団体,大企業等の事業主は,女性の採用・登用等に係る計画を策定することなどが義務付けられた(28年4月全面施行)。

また,育児や介護を行う労働者が安心して働き続けられるよう,平成28年3月に雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「男女雇用機会均等法」という。)及び育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)等が改正され,(1)育児休業の申出ができる有期契約労働者の要件緩和,(2)介護休業の分割取得,(3)介護休業給付の給付率の引上げ,(4)事業主へのマタニティハラスメント防止措置の義務付け等を行うこととされた((3)は28年8月施行,(1),(2)及び(4)は29年1月施行)。

このほか,平成27年12月に出された最高裁判所判決を受け,女性の再婚禁止期間を180日から100日に短縮するなどの措置を講ずることを内容とする「民法の一部を改正する法律案」が,28年3月に第190回国会に提出された(第3章第1節5参照)。

子供・子育て関係では,平成28年3月に子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)が改正され,従業員の多様な働き方に応じて企業の負担により行う柔軟な事業所内保育等への支援を行うこととされた(平成28年4月施行)ほか,同年3月に児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)の改正法案が提出され,同法案において,ひとり親家庭に対する児童扶養手当について,第2子以降の加算額を増額することとされた(平成28年8月施行)。

3 国際的な動向への対応

「すべての女性が輝く社会」を実現するための取組の一環として,我が国は2015(平成27)年8月,東京において,2回目となる国際女性会議WAW!2015(World Assembly for Women)を開催した。また,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(以下「UN Women」という。)の日本事務所を同年4月に東京に開設するとともに,同機関への拠出を大幅に増額するなど,国連との連携を一層強化した(第16章第2節1第3節4を参照)。

国際的協調の分野では,2014(平成26)年9月に我が国が国連に提出した「女子差別撤廃条約実施状況第7回及び第8回報告」について,2016(平成28)年2月に審査が行われ,同年3月に女子差別撤廃委員会から最終見解が出された(第16章第1節参照)。

また,2015(平成27)年が「北京宣言」及び「北京行動綱領」の採択から20年に当たる(「北京+20」)ことを記念して,同年9月の第70回国連総会で開かれたグローバル・リーダーズ会合には,我が国から安倍総理大臣が出席した(第16章第2節3参照)。