特集 多様な働き方・暮らし方に向けて求められる変革

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特集 多様な働き方・暮らし方に向けて求められる変革

少子高齢化の進展に伴い,総人口,労働力人口が減少する中,日本社会の持続的発展のためには,女性の活躍は極めて重要な政策課題である。

平成27年8月,女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が成立し,同年12月には,第4次男女共同参画基本計画(以下「4次計画」という。)を閣議決定した。女性活躍・男女共同参画に向けた取組は,新たなステージに入った。

4次計画では,女性の活躍のためにも,また,男女がともに暮らしやすい社会を実現する観点からも,まずは長時間労働等を当たり前とする男性中心の働き方を変革することの重要性を冒頭に掲げて強調した。

こうした中で,本特集では,女性を取り巻く様々な情勢を見ながら,男女が自らの意思に基づき,それぞれのライフスタイルに応じて個性と能力を十分に発揮できる豊かで活力ある社会に向けて歩を進めていく重要性を考える。

特集のポイント


  • 我が国の人口構造は大きく変化し,1人の高齢者(65歳以上)を支える現役世代(20~64歳)は平成22年に2.6人であったのが,32年には2人を下回り,72年には1.2人となる見込み。
  • 日本のM字型カーブは,必ずしも昔からそうした形状であったわけではなく,高度成長期にできあがってきた。
  • 育児や介護を行っている者の有業率は,男性より女性が低くなっているが,背景としては,6歳未満の子を持つ夫の7割が育児に関わっていないこと,第1子出産を機に約6割の女性が離職していること,介護で離職する者の8割が女性であること等も要因となっていると考えられる。こうした中,子供ができても就業継続する方がよいと考える女性が増加している。
  • 週間就業時間60時間以上の男性雇用者の割合は,子育て期と重なる30歳代や40歳代で高い。
  • 少子高齢化,現役世代減少下で日本社会が持続的に発展していくためには,従来のように「仕事」か「家庭生活」のいずれかを選択する状況を見直していく必要がある。
  • 従来,伝統的に女性が少なかった分野も含め,幅広い分野で女性の活躍が可能となる社会を作っていくことが重要。
  • 従来,ケアが必要とされ,社会から支えられる側にまわりがちであった高齢者や障害者の活動の場の拡大も重要である。そのための工夫や取組は,女性の働きやすい環境づくりにもつながると考えられる。
  • 1人の高齢者を支える現役世代の数が少なくなる中,現役世代が「仕事」か「家庭生活」かではなく,1人で何役も担うことができるようにしていくための鍵は,長時間労働や,画一的な働き方の仕組みを変革し,一人ひとりの事情に応じた職業生活を営むことができる社会を実現していくことである。
  • 時間や場所にとらわれない働き方としてテレワーク等があり,その活用が期待される。テレワークを導入する企業の割合は,今のところ高まっていないものの,テレワークに対する労働者のニーズは高く,実際にテレワークを導入したメリットを感じている企業も多い。
  • 多様な働き方へのニーズに対応する企業を支援することや社会全体の気運を高め,男女が安心して働ける環境を整えていくことも重要。
  • 多様な働き方・暮らし方の実現は,我が国経済社会が様々な変化への対応力を高め,力強く発展を続けるために必要であり,少子高齢化の中で必須の変革。「一億総活躍社会」の実現に向け,関係する取組を力強く進めていく必要がある。