コラム8 100人いれば,100通りの人事制度~多様な働き方へのチャレンジ~

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コラム8

100人いれば,100通りの人事制度~多様な働き方へのチャレンジ~


ソフトウェアメーカーのサイボウズ株式会社(本社:東京都中央区)では,ここ10年ほど,徹底的な働き方の多様化を進めている。ITエンジニアが半数以上を占める従業員約340人に対し,働く「時間」と「場所」を自由に選べるようにしたほか,残業の有無,短時間勤務,週の勤務日数等を選択できたり,育児休業は6年まで取得可能,退職しても最長6年間復帰可能な「育自分休暇」制度等,個人の希望に会社が最大限応えられる様々な仕組みがある。そして,給与は社内の評価だけではなく社外での市場価値を考慮して決める。

多様化を進めるきっかけとなったのが,平成17年に従業員の離職率が28%を記録したことである。これではさすがに効率が悪い,と同社社長は考えた。辞めると採用や教育コストがかさむ。そこで,メンバーの意見を徹底的に聞き回ったところ,みんな働き方へのニーズが違う,という当たり前の事実に気付いた。そして,それまで残業や休日出勤が当たり前だった仕事の進め方を,一から見直した。

同社社長によると,働き方の変革を進めるには3つのポイントがある。一つは「ツール」。ITを駆使すれば,業務の柔軟性や効率性を高められる。次に「制度」。そして「風土」。制度を作っても,経営者が率先垂範しなければ,制度は利用されない。社長自身も育児休業を取得した。

同社では,働き方の変革を進めた結果,平成27年には離職率が3.8%まで低下した。特に女性の離職が減り,従業員の女性比率は4割まで上昇した。会社のダイバーシティや従業員の働きがいの向上にもつながっている。

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