コラム5 技術革新がもたらす支え手の拡大

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コラム5

技術革新がもたらす支え手の拡大


力仕事が多い農作業の現場。果物や重量野菜の収穫・運搬作業等は,機械化が難しく,人の手で行う必要のある部分も多い。そうした現場で,今期待されているのが「農業用アシストスーツ」だ。身体に装着することで動作を補助し,作業時に身体への負担を軽減する機能を持つ。

「普及が進めば,高齢の農業従事者だけでなく,女性や若手農家にとっても,農作業を軽労化する頼もしい存在になるでしょう」と話すのは,アシストスーツを農林水産省からの委託で研究・開発してきた和歌山大学産学連携・研究支援センターの担当教授。

開発の道のりは平たんではなかった。全身を支えるスーツを目指して開発された1号機は,総重量が40キロで,逆に身体の負担を増やすものになってしまった。そこで,要望が多かった腰や股関節をアシストする仕様に絞って開発を進め,平成27年に総重量6キロのアシストスーツが完成した。装着者の動きに応じて電動モーターが作動し,荷物の持上げや運搬,傾斜地の歩行等をサポートしてくれる。

農業用アシストスーツは,農作業負担の軽減のみならず,女性や若者が農業へ参入しやすくなる等,農業活性化への効果も期待し,平成28年度中の商品化を目指している。他にも,介護や工事現場等,様々な用途でのアシストスーツの開発も民間で進んできている。

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