コラム1 一人で育児と介護を同時に担う「ダブルケア」

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コラム1

一人で育児と介護を同時に担う「ダブルケア」


初婚年齢や出産年齢が上昇し,育児世代の平均年齢が上昇する中,1人で育児と介護の二つのケアを同時に担う,いわゆる「ダブルケア」問題が社会的関心を集めるようになっている。

総務省「就業構造基本調査」(平成24年)によれば,未就学児の育児を行う者は約1,000万人,介護を行う者は約557万人いる中で,育児と介護を同時に担う者(以下「ダブルケア」という。)は約25万人(男性約8万5千人,女性約16万8千人)と推計される。なお,推計値については,相当の幅を持って解釈する必要がある。

(参考1)ダブルケアを行う者の推計人数・15歳以上人口に占める割合

(参考1) [CSV形式:1KB]CSVファイル

ダブルケアを行う者の就業状況は男女で大きく異なっている。男性の約9割は有業者だが,女性の有業者は約半数にとどまっている。

(参考2)ダブルケアを行う者の就業状況

(参考2) [CSV形式:1KB]CSVファイル

また,内閣府「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」(平成28年)において実施したインターネットモニター調査により,ダブルケア(注)に直面する前に就業していた者について,ダブルケアが就業に与えた影響を見ると,「業務量や労働時間を変えなくてすんだ」者は,男性で約半数であるのに対し,女性では約3割にとどまっている。一方,「業務量や労働時間を減らした」者は,男性で約2割(うち無職になった者が2.6%),女性では約4割(うち無職になった者が17.5%)となっており,ダブルケアに直面した場合の就業への影響は,女性で大きくなっている。「業務量や労働時間を変えなくてすんだ」理由や背景として,男性で最も多いのが「家族の支援が十分得られたから」(47.3%)であるのに対し,女性は「子供を育児サービスに預けることができたから」(38.2%)が最も多くなっている。「家族の支援が十分得られたから」(27.0%)とする者は,男性に比較して20%ポイント程度低くなっている。

(注)「ダブルケア」は,子育て(子及び孫,いずれも小学生以下を含む)と介護(親及び祖父母)を同時に行う者を集計している。

(参考3)ダブルケアが始まった後の労働時間・業務量の変化

(参考3) [CSV形式:1KB]CSVファイル