男女共同参画白書(概要版) 平成28年版

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第5章 女性に対する暴力

第1節 配偶者等からの暴力の実態

(配偶者からの暴力についての被害経験)

これまでに結婚したことのある者のうち,配偶者(事実婚や別居中の夫婦,元配偶者も含む。)から「身体に対する暴行」,「精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫」,「生活費を渡さないなどの経済的圧迫」又は「性的な行為の強要」のいずれかについて,「何度もあった」とする者の割合は,女性9.7%,男性3.5%となっている(I-5-1図)。

I-5-1図 配偶者からの被害経験(男女別)

(配偶者間における暴力の被害者の多くは女性)

平成27年の警察における配偶者からの暴力事案等の相談等件数は6万3,141件,検挙件数は8,006件で,いずれも配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の施行後最多となっている。そのうち,生活の本拠を共にする交際をする関係に係る事案は,相談等件数が9,226件,刑法等の適用による検挙件数が1,431件,保護命令違反による検挙件数が7件となっている。

また,平成27年の配偶者からの暴力事案等の相談等件数のうち88.0%(55,584件)は女性が被害者であり,配偶者間における暴力の被害者の多くは女性となっている。

(配偶者暴力相談支援センター等への相談件数等)

平成26年度に全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は10万2,963件で,年々増加している(I-5-4図)。

I-5-4図 配偶者暴力相談支援センター数及び相談件数の推移

第2節 ストーカー行為,性犯罪,子供に対する性的暴力,売買春,人身取引の実態

(ストーカー事案の相談等の状況)

平成27年のストーカー事案の相談等件数は2万1,968件で,前年に比べ855件(3.7%)減少したものの,ストーカー行為等の規制等に関する法律の施行後から23年までに比べ,24年以降は高水準で推移している(I-5-6図)。また,被害者の89.3%が女性で,加害者の85.7%が男性となっている。

I-5-6図 ストーカー事案の相談等件数の推移

(ストーカー事案に対する対応状況)

平成27年のストーカー事案における検挙件数は2,415件で,そのうち刑法等の適用による検挙が1,872件,ストーカー行為等の規制等に関する法律違反による検挙が677件である。

(強姦・強制わいせつの認知件数)

強姦及び強制わいせつの認知件数は,いずれも平成16年以降減少傾向にあり,27年は強姦1,167件(前年比83件減少),強制わいせつ6,755件(同645件減少)となっている。

(売春関係事犯検挙件数)

平成27年の売春関係事犯検挙件数は986件となり,前年に比べ減少した。また,要保護女子総数は602人で前年に比べ減少し,そのうち未成年者が占める割合も32.6%で,前年に比べ5.0%ポイント低下している。

(人身取引事犯検挙件数等)

平成27年における人身取引事犯の検挙件数は44件,検挙人員は42人であり,検挙人員のうちブローカーが7人となっている。また,警察において確認した被害者総数は,17年(117人)をピークに減少傾向にあったが,27年は49人と,前年に引き続き増加している。