第4節 子供に対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進

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第4節 子供に対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進

(子供に対する性的な暴力被害の防止,相談・支援等)

警察では,従来の検挙活動や防犯活動に加え,性犯罪等の前兆とみられる声掛け,つきまとい等の段階で行為者を特定し,検挙・警告等の措置を講じる活動(先制・予防的活動)を推進し,子供や女性を被害者とする性犯罪等の未然防止に努める。

また,各種活動を通じて児童虐待事案の早期把握に努め,児童の生命・身体を保護するとともに,性的虐待等の被害を受けた少年に対してその特性に配慮した継続的な支援を行う。

文部科学省では,児童虐待の防止のため,学校・教育委員会において,これまで発出した通知に基づき,学校等から児童相談所等への定期的な情報提供や児童虐待の早期発見・早期対応,通告後の関係機関との連携等を一層促進する。

また,性犯罪被害者を含めて児童生徒等の相談等に適切に対応できるよう,スクールカウンセラー等の配置を推進するなど,学校における相談体制の充実を支援する。

厚生労働省では,性的虐待による被害等を受けた児童に対する相談援助が適切に行われるよう,児童相談所の相談体制等の充実を支援する。

(児童ポルノ対策の推進)

「第二次児童ポルノ排除総合対策」に基づき,関係省庁が連携して,児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進等に引き続き取り組む。

警察では,ファイル共有ソフト利用事犯,低年齢児童ポルノ愛好者グループ,DVD販売グループ等に対する取締りを強化するとともに,児童ポルノ発見時におけるサイト管理者等に対する速やかな削除依頼の実施や関連事業者によるブロッキングに対する協力等の流通・閲覧防止対策,被害児童の早期発見及び支援活動等,総合的な児童ポルノ対策を推進する。

また,コミュニティサイトの利用に起因する被害を抑止するため,スマートフォン等インターネット接続機器へのフィルタリングの普及,ミニメールの内容確認体制拡充の促進,実効性あるゾーニングの促進等の関係事業者等による自主的取組を支援する。

総務省及び経済産業省では,関係省庁と連携の下,青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため,フィルタリングの普及促進やインターネットの適切な利用等に関する啓発活動等を行う。

このほか,総務省及び経済産業省では,児童ポルノアドレスリスト作成・管理団体等の活動の支援を行い,警察庁では,民間事業者によるブロッキングの自主的実施がより実効性のあるものとなるよう同団体に対して関連する情報を提供するなど,民間事業者の自主的取組としてのインターネット上の児童ポルノの流通・閲覧防止対策を促進する。

(児童買春対策の推進)

警察では,引き続き,児童買春・児童ポルノ禁止法等に基づき取締りを強化するとともに,被害児童に対する保護及び支援を推進する。また,個人的な売春等の勧誘を装って組織的に周旋を行う事犯や,合法的な営業を装いながら児童に卑わいな言動等で客に接する業務をさせる事犯等の悪質性の高い事犯の実態把握と情報の分析,積極的な取締り等に努める。

さらに,コミュニティサイトの利用に起因する被害を抑止するため,スマートフォン等のインターネット接続機器へのフィルタリングの普及等の関係事業者等による自主的取組を支援する。

(広報啓発の推進)

内閣府では,青少年インターネット環境整備法及び「青少年インターネット環境整備基本計画(第2次)」に基づき,関係省庁や民間団体等と連携して,青少年及び保護者等に対する広報啓発活動や国内外の調査等の施策を実施する。

総務省では,インターネット,携帯電話等のメディアの特性に応じたメディア・リテラシーに関する教材等の普及を図る。

文部科学省では,教職員等の学校関係者が,メンタルヘルスについて正しい知識をもって児童生徒に対応することができるよう,子供の心のケアシンポジウムを開催する。

警察では,児童ポルノや児童買春に関する情勢の深刻さや被害の未然防止の必要性等のほか,サイバー空間における犯罪から児童を守るため,犯罪被害の実態や出会い系サイトの利用に起因する被害等インターネットの危険性に関しても広報啓発活動を推進する。

経済産業省では,引き続き関係者と連携して,セミナーや研究会の開催等を通じ,フィルタリング等に関する情報提供・普及啓発活動を行う。