第2節 多様なライフスタイルに対応した子育てや介護の支援

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第2節 多様なライフスタイルに対応した子育てや介護の支援

(全ての子育て家庭に向けた子育て支援策の充実)

男女ともに,仕事と子育てを容易に両立できる社会の実現に向け,平成25年4月,内閣総理大臣から経済界に対して,子供が3歳になるまでは,希望する場合には,男女とも育児休業や短時間勤務を取得できるよう要請を行っており,企業の取組を後押しするため,育児休業中・復職後の能力アップに取り組む企業への助成制度を始めとした女性の活躍促進等に取り組む企業へのインセンティブの付与,子育て等のため仕事のブランクが生じた者へのスキルアップ支援等を推進する。

平成27年度から31年度までの5年間で目指すべき施策内容と数値目標を盛り込んだ「少子化社会対策大綱」(平成27年3月閣議決定)に基づき,結婚・妊娠・出産・子育ての各段階に対応した総合的な少子化対策を推進していく。

平成27年4月に本格施行された子ども・子育て支援新制度の着実かつ円滑な実施に取り組む。

子ども・子育て支援新制度においては,新たな事業の創設や既存事業の拡充に伴い,その担い手を確保する必要があることから,育児経験豊かな地域の人材を対象として,保育や子育て支援分野の各事業等に従事するために必要となる知識や技能等を習得する子育て支援員研修事業を実施するとともに,事業の担い手の資質向上等を目的として,資質向上・人材確保等研修事業及び指導者養成等研修事業を実施する。

子育て中の世代が仕事と家庭の両立をしやすい環境を作り,女性の活躍を推進していく上で,待機児童の解消は最重要課題であることから,平成25年4月に策定された「待機児童解消加速化プラン」では,29年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保することとしている。27年度においては,同プランに基づき約8万人分の受入児童数の拡大を図るため,保育所等の整備を推進するほか,保育士資格取得支援や再就職支援などの保育士確保対策を総合的に実施する「保育対策総合支援事業費補助金」を創設し,地方公共団体の取組を支援する。

また,「待機児童解消加速化プラン」の確実な実施のため平成27年1月に策定した「保育士確保プラン」に基づき,保育士試験の年2回実施の推進や処遇改善など保育士確保に向けた新たな施策を講じるほか,従来の保育士確保施策についても,引き続き確実に実施し,施策に関する普及啓発を積極的に行うなど,更なる推進を図る。

共働き家庭等の「小1の壁」を打破するとともに,次代を担う人材を育成するため,平成26年7月に文部科学省と厚生労働省が共同で策定した「放課後子ども総合プラン」では,31年度末までに,放課後児童クラブについて約30万人分を新たに整備するとともに,全小学校区(約2万か所)で放課後児童クラブ及び放課後子供教室を一体的に又は連携して実施し,うち1万か所以上を一体型で実施することを目指している。

放課後児童クラブに従事する者の処遇改善については,保護者の利用意向を反映して開所時間の延長を行う放課後児童クラブに対して,当該放課後児童クラブに従事する者の処遇改善経費の上乗せの補助を行う「放課後児童クラブ開所時間延長支援事業」を拡充し,更なる放課後児童クラブに携わる人材の確保及び資質の向上を図る。

文部科学省では,全ての親が安心して家庭教育を行えるよう,家庭教育支援チームの組織化等による相談対応,保護者への学習機会や親子参加行事の企画・提供等の家庭教育を支援する活動の推進を図る。

また,子供の発達段階に応じた学習プログラムの開発・普及促進,父親やシニア世代などの多様な主体の参画を促進する研究協議の開催のほか,訪問型アウトリーチ支援手法についての評価・検証等を実施する。さらに,家庭教育の基盤となる,食事や睡眠等を始めとする子供の基本的な生活習慣の定着を図るため,「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するとともに,中高生を中心とした生活習慣マネジメント・サポート事業を実施する。同事業では,睡眠チェックシートを活用した睡眠習慣改善プログラム等を実施し,その効果を検証・分析した上で,広く周知することで,全国に効果的かつ実践的な生活習慣改善の取組を推進する。

加えて,児童虐待の防止のため,これまで発出した通知に基づき,学校等から児童相談所等への定期的な情報提供や児童虐待の早期発見・早期対応,通告後の関係機関との連携等を一層促進する。

幼児期の教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり,今後とも,充実を図ることが求められる。平成27年度においては,地方公共団体における幼児教育の推進体制の在り方や幼稚園・保育所・認定こども園を通じた教職員の資質向上を図るための研修の充実方策等に関する調査研究等を行う「幼児教育の質向上推進プラン」等を新たに実施し,幼児教育の推進を進める。

警察では,子供連れでも安心して歩くことができるよう,最高速度30キロメートル毎時の区域規制や通行禁止等の交通規制及び信号機等の交通安全施設等の整備により,生活道路における速度抑制や通過交通の抑制・排除を図るとともに,外周となっている幹線道路における交通流の円滑化対策を実施するなど,道路交通環境の整備に努める。また,衝撃実験映像等を活用したチャイルドシートの正しい使用方法に関する講習会や幼児二人同乗用自転車の安全利用に関する自転車教室等の開催,子育て支援の効果をも有する交通安全対策を幼稚園,保育所等と連携して推進するとともに,地方公共団体等に対して各種支援制度の充実を働きかけることにより,チャイルドシートや幼児二人同乗用自転車の普及を促進する。

国土交通省では,引き続き良質なファミリー向け賃貸住宅の供給を促進するとともに,持家の取得の支援を行う。また,公的賃貸住宅等における保育所等の子育て支援施設の一体的整備や,子育て世帯の居住の安定確保を図る民間事業者等による先導的な取組を支援するほか,地方公共団体においても,地域の実情を踏まえ,子育て世帯に対し当選倍率を優遇するなどの対応を行う。さらに,職住近接で子育てしやすい都心居住,街なか居住を実現するため,良質な住宅供給や良好な住宅市街地等の環境整備を行う。加えて,安全で安心な道路交通環境の整備として,歩道,自転車道等の設置,歩行者等を優先する道路構造の整備,無電柱化,交通安全施設等の整備を推進するほか,公共交通機関,公共施設等におけるバリアフリー化を踏まえ,ベビーカーの利用等,子育てしやすい環境づくりに向けた取組を行う。

このほか,文部科学省,国土交通省及び警察庁では,学校,教育委員会,道路管理者,警察等の関係機関が連携して実施する通学路の交通安全対策を支援するとともに,各地域における定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実等による継続的な取組を支援するなど,通学路における交通安全の確保に向けた取組を推進する。

独立行政法人国民生活センターでは,悪質商法被害や製品事故等に関する注意情報及び相談窓口の紹介等を,報道機関への情報提供やメールマガジン「子どもサポート情報」の発行等,多様な手段を用いて子育て中の保護者等に対して周知を図る。

(多様なライフスタイルに対応した介護支援策の充実)

厚生労働省では,介護支援策の充実を図るため,介護・福祉サービスの基盤整備や介護サービスの質の確保を図るとともに,介護従事者の処遇改善や人材の養成・確保対策を推進する(第9章第1節参照)。