第4節 防災における男女共同参画の推進

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第4節 防災(復興)における男女共同参画の推進

1 防災(復興)分野における女性の参画の拡大

平成24年6月の災害対策基本法(昭和36年法律第223号)の改正では,地域防災計画の策定等に当たり,多様な主体の意見を反映できるよう,地方防災会議の委員として,充て職となっている防災機関の職員のほか,自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者を追加することとされた。内閣府では,地方防災会議における女性委員の割合を高めるために工夫している地方公共団体の事例を紹介するなどして,地方公共団体に対し,地方防災会議への女性の参画拡大や地域防災計画等への男女共同参画の視点の反映を働きかけている。

2 防災(復興)現場における男女共同参画

内閣府では,平成25年5月に作成した「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」を踏まえ,26年度に,男女共同参画センター等が中心となり地域の実情に合わせた男女共同参画の視点からの防災・復興のモデル的な取組を実施し,その効果や課題を明らかにする「地域防災における男女共同参画の推進事業」を実施した。

また,平成24年度以降,岩手県,宮城県及び福島県において,地方公共団体,警察及びNPO等との協力の下,震災に関連する女性の悩み全般や,女性に対する暴力に関する相談窓口を設け,電話や面接により相談を受け付けるとともに,仮設住宅等を訪問するなどして直接相談を受け付けている。

復興庁では,被災自治体や復興に向けて各地で活躍する方々の参考となるよう,東日本大震災からの復興にあたり,女性が活躍している事例や被災地の女性を支援している事例等を収集し,「男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~」を公表している。この中では,「まちづくり」「仕事づくり」「健康づくり」「居場所づくり」「人材育成」「情報発信」のそれぞれの分野について,取組の背景や概要のほか,工夫した点,特色,取組の効果などを取りまとめている。平成27年3月に作成した第8版では,81事例を公表した。これらの事例集等も活用しながら,被災地において,男女共同参画の視点に立った具体的な取組を働きかけている。

また,被災し,避難している妊産婦等について,優先的に住まいの確保に努めることを地方公共団体に依頼した。さらに,被災地における女性関連施設等による女性就業支援を促進するため,相談対応及び講師派遣等支援施策を行った。

3 国際的な防災協力における男女共同参画等

2014(平成26)年3月の第58回CSWにおいて,我が国が提案した「自然災害とジェンダー」決議が採択された。この決議は,防災,災害対応,復旧・復興の各段階での女性への配慮に加え,災害に強い社会づくりと,それに向けた平時からの女性の参画の重要性,第3回国連防災世界会議,世界人道サミットを含む平成27年以降の各種プロセスに繋げていく点を強調している。

第3回国連防災世界会議は,2015(平成27)年3月14日から同月18日まで,仙台市で開催された。同会議のハイレベル・パートナーシップ・ダイアローグ「防災における女性のリーダーシップの発揮」では,安倍総理大臣が基調講演を行い,同月14日に発表した「仙台防災協力イニシアティブ」の主要プロジェクトの一つとして,「防災における女性のリーダーシップ推進研修」を開始することや,災害に強靭な社会の構築には女性が原動力となることを述べた。また,共同議長を務めた高市総務大臣が,東日本大震災における我が国の女性消防団員や女性防火クラブの活動事例等を紹介するとともに,予防,応急,復旧・復興の災害対応の各段階における女性のリーダーシップの重要性を強調した。

同会議の関連事業として,内閣府は,「女性と防災」テーマ館において展示を行ったほか,外務省,内閣府及び復興庁が主催して,「災害復興時の女性の活躍」に関するシンポジウムを開催した。

同会議において策定された「仙台防災枠組2015―2030」の検討に当たっては,我が国は様々な意思決定に女性のリーダーシップと参画の平等な機会の確保が必要であることを盛り込むよう国際社会に働きかけた。この結果,「仙台防災枠組2015―2030」には,我が国が主張した女性のリーダーシップ促進と女性が果たす役割について明記された。

内閣府では,同会議に先立って,平成26年12月に福島市で,過去の災害対応の経験と教訓から,防災・復興においては女性の参画とリーダーシップが不可欠であることを改めて認識し,関係者と共有するため,シンポジウムを開催した。