（東日本大震災後の雇用状況）

岩手県，宮城県及び福島県における雇用情勢は，復興需要等により求人の増加等の堅調な面も見られるが，沿岸部では，人口減少や復旧・復興の遅れにより，雇用者数が回復しないなど，依然として厳しい状況にある地域も見られる。

被災地における雇用のミスマッチ解消のため厚生労働省が実施している公的職業訓練では，介護，情報通信等の職業訓練コースを設定しており，平成25年度の受講者数は1万342人で，このうち約6割が女性となっている。なお，建設機械の運転技能等を修得する特別訓練コースの受講者数は673人で，受講者に占める女性の割合は2.6％と低くなっている（I－7－6表）。

厚生労働省では，東日本大震災等の影響による失業者の雇用機会を創出するため，都道府県に造成した基金を活用し，雇用の受け皿を作り出す事業を行っている。この震災等緊急雇用対応事業により，平成25年度実績で，岩手県，宮城県及び福島県で約2万5,000人の雇用を創出したが，このうち約1万5,000人（58.9％）が女性となっている（I－7－7表）。

I－7－6表　岩手県・宮城県・福島県の職業訓練の受講者数（男女別，平成25年度）

I－7－6表 [CSV形式：2KB]

I－7－7表　岩手県・宮城県・福島県の震災等緊急雇用対応事業雇用実績（男女別，平成25年度）

I－7－7表 [CSV形式：1KB]

（東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業）

内閣府では，岩手県，宮城県及び福島県に臨時相談窓口を開設し，東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業を実施している。平成25年度に同3県の相談窓口に寄せられた相談件数は4,837件となっている。その内訳は，不安，抑うつ，PTSD²⁹等の「心理的問題」が47.9％と最も多く，次いで，生きがいや孤独・孤立等の「生き方」が41.4％，親，兄弟又は子供との関係等の「家族問題」が29.0％となっている（I－7－8図）。

相談の中には，「心が復興に追いつかず，自分だけ置いていかれた気持ちになる」，「震災で家を失い親族と同居を始めたが，疎まれ家に居場所がない」，「放射性物質の身体への影響が心配。将来結婚して子供を産めるのか不安」，「震災で家族を失い，一人で頑張ってきたが孤独に耐えられなくなり死にたい」等のほか，「震災後に夫の暴力がひどくなり，子供にも暴力を振るうようになった」，「職場の男性から性的嫌がらせを受けているが，震災後にやっと見つけた仕事なので辞めたくない」等，配偶者等からの暴力に関する相談もある。

I－7－8図　東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業　相談内容の内訳（平成25年度）

I－7－8図 [CSV形式：1KB]

²⁹心的外傷後ストレス障害（posttraumatic stress disorder）の略語。